ぐーちゃんgoo日記

ぐーちゃんgoo(倶輔丼)の独り言、つぶやき。

R4.10.1(土)遠い昔のフォルム(1)

2022-10-01 17:22:48 | Weblog

1973年の3月にバンドは解散した。

「じゃ、またな」

誰からともなく放たれた言葉は冬の虚空に吸い込まれていった。

この日を境に皆が各々の新たな道を歩みだす。

かつてあった熱い息吹は不完全燃焼に終わり名状しがたい思いだけが残った。その一方どこかさばさばした思いも生まれていた。

帰路に就くさ中、禁じられた遊びの曲が夜のはざまに聴こえてきた。中学生の時に買ってもらったガットギターでこの曲をよく弾いたことを思い出した。

禁じられた…遊び……か……。

 

小学校中学校と勉強もせず遊び惚けていた。危険な悪戯、いわゆる禁じられた遊びもいっぱいした。

遊び仲間三人がすぐ近くの西院春日神社に集まった。

京都の天神川に亀を取りに行った。ここは平地を掘りさげて周囲をコンクリートで固めて壁面にし淀川まで水を放流しようという水路のような役割の川だった。僕らは夢中になって亀やザリガニを取っていた。遠くで雷の音が鳴った。上を見上げると青々とした空が広がっていた。しばらくして水かさが急激に増してきた。やがて濁流となった川の水が襲ってきて危うく吞み込まれそうになった。間一髪だった。

その帰り道、土砂降りの夕立に見舞われた。

びしょびしょになった三人は四条通りを走るトロリーバスの停留所に雨宿りで入った。早くやまないかなーと空を見上げると真っ黒な雲の合間から青い空が見えた。それから少しして雨がやんでまたカンカン照りの太陽が僕らに降り注いだ。

 

阪急西院駅近くにトンネルがある。この時もいつもの三人だった。「電車が来るぞ」枕木で作った柵の陰に隠れた。通過した電車はトンネルの中に消えていった。そのすぐ後、線路の方に駆けていった。持ってきた釘を線路の上に何本も置いた。そこで10分以上待った。するとまた電車が近づいてきた。すぐ柵の脇に隠れた。電車がトンネルに消えるのを待って、線路の方に駆けて行った。大成功だった。何本もの釘がペッちゃんこになっていた。砕石の中にうずもれたものも拾い集め、先っちょを金づちで叩くと忍者の手裏剣が出来あがる。それを皆に自慢した。

本来三人の永遠の秘密だったこの出来事、遂にベールを脱いだのである。ジャンジャン。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする