ラジオからジョンレノンの曲が続けて流れてくる。この日はジョンレノンの命日。テレビではレノンではなく真珠湾攻撃の白黒映像が。
昼間、和洋中折衷の小洒落た喫茶店に入った。中華ドレスを身にまとった可愛らしい女の子がお手拭きと水を持ってきた。お手拭きは布製ではなく薄い半透明ビニールに入った濡れティッシュ。近頃よくあるパターン。
最近、滅多なことで若い女の子と会話をしたことのない小生。
ここぞとばかり、ちょっとからかってやろう。
「すいません。この店、ホットの上にウインナー載せたコーヒー置いてあります?」
「はい?」女の子、必死に頭を巡らせているのかフリーズした。「熱いコーヒーの上にウインナーですよね? ちょっと……」困惑の目になっている。
「なーんだ、ないのか」がっかりしたように言うと「あ、少々お待ちください」戻っていく際、ウインナーソーセージなんてあるのかな~、と呟く声と共に奥に消えていった。
その間、半透明のビニールを破って濡れティッシュを取り出した。何重かに折り重なっている。それを広げようとした。するとその折り目が中々見つからない。なんだなんだ、これ。些か……腐る。
束の間すると、目を輝かせて女の子が戻ってきた。素敵な笑顔だった。
女の子は気難しい顔はダメ。お客に幸せを与えるためにも、また店に来てもらうためにも、笑顔。これが一番。
「お客様、あります」
「じゃ、ウインナーお願いします」小生は目を細めた。
数分すると、女の子がトレーに載せ運んできた。
表面にウインナーハムを載せたホットコーヒー、……だったらシャレが利いていて絶対面白かったのだが。
パソコンを立ち上げエクセルを開き仕事モードに入る。小一時間ほどしてショートケーキを頼んだ。今度はケーキと紙ティッシュの入ったケースを置いていった。
ティッシュを取り出し、これも大きく使うためにその合わせ目を探した。
うん……? 中々見つからない。合わせ目はきれいに重なっていて広げられなかった。これもちょっとイライラ。え~~い。でも女の子が可愛かったから、グー!^^