ぐーちゃんgoo日記

ぐーちゃんgoo(倶輔丼)の独り言、つぶやき。

R2.12.10(木)過日 Vol.1

2020-12-10 21:35:18 | Weblog

20才の頃だった。僕は東中野に住んでいた。といってもそこは友達の部屋。1ヶ月ほど田舎に帰るという友達がその間使っていていいと言われしばらく居候することにした。
僕は大学をドロップアウトし日々バンド活動に掛け暮れていた。そのライブ活動は夜が中心。終わると仲の良いメンバーと深夜営業の店に寄り飲み明かす。そんな日々を繰り返していた。

ある日の朝帰り、新宿三丁目から戻ってくると、アパートの傍に黒・グレー・白の三色たてじま模様のかわいいトラネコがか細い声で鳴いていた。思わず近くに寄って抱き上げた。ぜんぜん怖がらない。更にすりすりしてくる。顔を舐めてきた。うわぁお、たまらない。

ただただ好きだという一念で部屋に連れ帰った。
その日は、可愛いこの子猫ちゃんに僕の酒臭い息をたっぷり味わせ布団の中に招き入れいれた。いつのまにか寝てしまった。ああ、幸せ。こんな思いは初めて。

目が覚めると子猫ちゃんは丸い洗面器の中に入って寝ていた。幸せ気分満喫。
既に午後になっていた。お腹が空いた。冷蔵庫を開けるとソーセージがあった。それを包丁で切ってその切れ端をあげた。小さな口を開けむしゃむしゃ食べた。お皿に水を汲んであげると小さな舌を出しそれもおいしそうに舐めた。食べ物も水もきれいになくなった。

その後しばらく子猫と遊んだ。名前をわかりやすくトラと名づけた。やがてトラは飽きたのか興味をなくし布団の上に飛びあがりカラダを丸くした。
出かける時間が近づいてきた。もっと一緒にいたい。もっと長くいたい。時計に目を落とした。切り刻んだソーセージとパンの切れ端を置き水を注いだ。起きてこれを見つけたら食べるだろう。
ギターはライブハウスに置きっぱなし。アドレス帳と小銭をポケットに忍ばせ部屋を出た。またあとで会える。「じゃあまたあとでね、バイバイ」寝ている猫の鼻頭に唇をあて部屋を出た。  To be continued

コメント (2)
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