習慣で、電車に乗ると小説を開く。今は、村山由佳の「星々の舟」という本を読んでいる。
彼女の本は、なかなか進んでいかない。解説のような部分が多く、のめりこんでいかないのだ。本には、文学調のものとエンターティーメント調のものがあるが、どちらかというと、彼女のは前者だ。つまり、スピード感がないのだ。
今日は集中できない理由がもうひとつあった。斜め前にいる男の存在だ。
携帯を耳に電話をかけている。――風邪、大丈夫なの？ とでも電話の向こうで言われているのだろう。「ああ、大丈夫、気をつけるよ」と潜めた声が聞こえてくる。
ま、これはいい。
金蔵似のこの男、出てくる鼻水を絶え間なくすすっているのだ。本人のエチケット、ポリシーの問題もあり、こちらからはとやかく言えない。が、汚い。
おびただしい量が産出されているのが、すすった音の響きでわかる。これが、原油だったら日本は救われるのにと思ってみたりする。
時々でかい音もする。実にうるさい。耳に障り、とても読書などに集中できない。
諦めて、このすする回数を数えてみた。すると……1分に12回。約5秒に1回。
17～18分、電車の中にいるから、200回以上鼻をすすっていた勘定になる。
胃の中は、、、、、、、、？ ！＾ ＾；； 想像したくない（笑）＾＾
うん？ 何で助けてあげなかったの、って？
もちろん、ティッシュ持っていないのだろうから、ポケットの中から取り出してあげようか、とも思ったよ。だけど、余計なお節介だ、と言われるような気がして、赤っ恥かくのは嫌だから、そ知らぬふりしているのが賢明。
そう思って、阿仁金蔵似の男を放っておいたわけだよ。わかったかね、ワトソン君!!＾＾
