『あなた方の天国』を書いた李清俊の短編2編が翻訳されています。
後輩で、この辺が好きな子がいて図書館にリクエストしたみたい。
「隠れた指」朝鮮戦争下を舞台に告発と裏切りと偽りと無関心をテーマにした重い重い作品。
故郷の村に軍人として向かう青年の、現在の行軍と、その村を出るまでにあった出来事が交互に描かれているのですが、息の詰まるような悲惨な話です。
悲惨な状況下で人間が人間らしく生きるのには何が必要なのでしょうか。
この作品の翻訳は在日歴の長い韓国人の教授なのですが、
自分の翻訳力は棚に上げて言いますが、
会話文の文末処理がばらばらです。
人と人の上下関係や近さが揺らいでいて、読んでいて不安定な感じを受けました。
原作ではどうなっているのでしょう?
「虫物語」は、チョン・ダヨンの主演で映画化された 「Secret Sunshine 密陽」の原作なんですね。
映画では主人公の女性がシングルマザーで、壊れていく彼女によりそっているソン・ガンホの演技が
印象的でしたが、原作では夫婦になっていて、壊れていく妻を見ながらもなすすべもない、という感じで書かれています。
「許し」がテーマで(これもやっぱり漢字語のまま「容赦」にすると言葉のイメージが違うと思うんですが)
「許し」には必ず神が必要なのでしょうか。筆者は神の存在を信じて、あるいは信じていないからこの作品を書いたのでしょうか。
自分だったら、どうするだろう?と考えさせられるところがありました。
『あなた方の天国』でも思ったのですが、李清俊のテーマって人間らしさなのかもしれません。
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