
ある坊主がいた。
大きな寺の副住職やったが、
一切経(日本にあるお経のほぼ全部?)を読破したと言う自惚れが、
信徒に、
悪評価付けられる要因やったけど、
当人は、
前世は釈迦弟子と思い込んでいたので、
まったく、
人様の視線を気にする様子はなかった。
が、
住職は、
その傲慢な態度が治るようにと、
この坊主を、
ド田舎の寺に飛ばした。
ド田舎とはいえ、
寺の住職になったこの坊主。
檀家まわりに行って、
自己アピールしようと思った。
それで、
近くの檀家へと向かった。
こじんまりとした佇まいの家の前で、
小さな女の子が、
地面に落書きしていた。
坊主は「こんにちは」と挨拶した。
すると女の子は坊主を睨み、
「図に乗るな!!」と怒鳴った!
坊主が驚いていると、
再び、
「図に乗るな!!」と怒鳴ってきた!
坊主があたふたすると、
女の子は、
坊主の足元を指差して、
「図に乗るな!!」と怒鳴った!
その時、
坊主は、
自分が、
女の子が落書きしていた絵を踏んでいることに気付いた。
坊主は軽く詫びて、
家の方へ入って行った。
そして、
お仏壇に手を合わせた時、
あの女の子の言葉は仏様のお声やないか?と言う疑念が湧き上がった。
そして、
あまりにも、
自分が傲慢であった事実を悟った。
「仏様、申し訳ございませんでした」という一念を持って、
涙ながらの経文を唱えた。
この、
最初の檀家での読経の素晴らしさに、
この坊主は、
五つ星のイイね評価を、
このド田舎で、
いただくことになる。