古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

卵の緒       瀬尾まいこ

2020-05-08 09:58:23 | 小説の紹介
新潮文庫      2002年

2001年に「卵の緒」で坊っちゃん文学大賞を受賞し

「7’s blood」を書いて、単行本を出して、翌年にデ

ビューしている。2019年に本屋大賞を受賞されてい

るので、そのとき、僕もこのひとをしったのだ。

「卵の緒」は児童文学というか、子供が主人公なのだが

僕は子供が主人公の小説が苦手なので、買ってうっち

ゃっていたのだが、ふと手に取って読んでみると、おもし

ろく、ひきこまれて読んでしまった。やはり、「7’s~」より

「卵の緒」の方がデキがいい、というか、作品の熱量は

上のようだ。「7’s~」はお母さんがガンで死んでしまった

りして、そこのところが大いにこの小説の問題というか、

考えていくべきところだと思う。ひとが死ぬって、簡単じゃ

ないと思うが、このお母さんはコロッと死んでしまう。

「卵の緒」では親子の絆がテーマになっていくのだと思う。

とても読みやすく、本屋大賞前夜をひしひしと感じる作品

集だった……合掌。

                 (鶴岡 卓哉)






























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狐狸庵食道楽      遠藤周作

2020-05-05 12:11:26 | 本の紹介
河出文庫      2006年

1996年に亡くなった遠藤周作さんをしのんで、十周年に

つくられた傑作選的な作品集。

広島の白島の円光寺に墓のある、僕も参ったことのある原

民喜と親交があったことが記されている。自殺してしまった

のだが、その寂しげな後ろ姿をしのんでいる。

カストリを飲んで、バクダンもちょっと飲んでいたという。まあ、

カストリと言われても僕も酒であること以外はさっぱり分から

ないのだが。

タバコを吸われていたらしく、禁煙に何度も挑戦したらしいが

失敗した様子が描かれている。まあ、僕も5年前まで吸ってい

たが、ほんと、やめてよかったと思う。

体がラクである。体重は十五キロ増えたが、これから減らしていき

たいし、それにあまりある健康を手に入れたと実感している。

クスリはその当時なかったから、クスリってスゴいねって思う。

クスリがなかったら、僕もまだ吸っていて、チーン、お陀仏だっ

たろうね……合掌。

               (鶴岡  卓哉)
































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詩・投身     鶴岡卓哉

2020-05-03 22:37:06 | ポエム
この投身を持って、不完全な生活はしばしの間

封印しようとおもう。この不完全~の運が良け

れば、どこかで読まれることもあるかもしれな

いが、僕は、どうしても読んでいただきたいと

も思わない。

僕はもともと書いてはいるけれど、発表意図は

あまりなく、その作品の完成をもってして完結し

ているのだ。

まあ、読んでいただけるなら、恥ずかしながら、

読んでいただこう。

・・・・・・・・・・・

その運命を甘受しようと僕は崖から身を投げようとする

その時に僕は甘美なる笛の音を聞く

それが誰の仕業であろうと僕を踏みとどまらせたのは確かだ

絶壁に切り立った断崖で僕は死を決意していたのだ

死を決意するということは全てを放棄することだ悟ったのだ

僕は放棄などできやしない、ただ僕にできるのは受け入れることだけだ

その笛は誰の仕業でもなかった

心の中から湧き上がる精神のざわめきだったのだ

僕は悔いる、その死を決意したという動機は

ただ君への未練だったのだ

その未練さえ今や僕の力だ

自分を変えるだけの力をもった僕は

ありあまる生への渇望へと変えたのは

自分自身だけなのだと分かったのだ


















































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モンパの木の下で      椎名誠

2020-05-02 16:36:14 | 小説の紹介
文春文庫      1993年

モンパの木とは、昼寝の木とも言われ、根が張っていて、

葉がたくさん茂っている木だそうだ。

シーナさんは沢野さんによるとせっかちらしい。

せっかちだから、しかけがはやいから書くものがおもし

ろいということにもなろう。仕事のできる男はせっかちだ、

という格言通りだと思う。

これは「新宿赤マント」シリーズだ。丁度、ひるめしのもんだい、

おろかな日々、これ、と読みすすんでいる。

SFのことも書かれているし、シーナさんの身辺事情がことこ

まかに書かれている。キヨスクの壁のゲロに寄りかかってコ

ートがゲロまみれになったことすら書かれている。

うーん、シーナファン、やめられまへんなあ......合掌。


























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アド・バード     椎名誠

2020-05-01 14:29:41 | 小説の紹介
集英社文庫   1987年

このアド・バードというSF作品が存在すると知って

一年くらいずっと読んでみたいものだ、と念願して

いた。横川の古本市で見つけたときは狂喜してし

まった。しかも百円だ。サイコーである。

期待通りだった。僕はたまーにSFを読むという程度の

SF好きだが、この作品の世界観に魅せられてしまった。

地ばしり、海ばしりというイメージに飛んだモチーフに、

コマーシャルで満ち溢れた荒廃した街、C4という脳なし

と呼ばれるロボット、箱形の脳髄だけの人間もどき、その

どれもがユニークで、ブライアン・オーティスという人の

作品は読んだことはないが、一度、読んでみなくてはなるまい

と思わせる。

父親探しの旅だが、そのとき、ラストを読んでいるときに

坂本龍一氏のレインを聴きながらだったのだが、実に

よくあっていた......合掌。

                 (鶴岡 卓哉)



































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