新潮文庫 2002年
2001年に「卵の緒」で坊っちゃん文学大賞を受賞し
「7’s blood」を書いて、単行本を出して、翌年にデ
ビューしている。2019年に本屋大賞を受賞されてい
るので、そのとき、僕もこのひとをしったのだ。
「卵の緒」は児童文学というか、子供が主人公なのだが
僕は子供が主人公の小説が苦手なので、買ってうっち
ゃっていたのだが、ふと手に取って読んでみると、おもし
ろく、ひきこまれて読んでしまった。やはり、「7’s~」より
「卵の緒」の方がデキがいい、というか、作品の熱量は
上のようだ。「7’s~」はお母さんがガンで死んでしまった
りして、そこのところが大いにこの小説の問題というか、
考えていくべきところだと思う。ひとが死ぬって、簡単じゃ
ないと思うが、このお母さんはコロッと死んでしまう。
「卵の緒」では親子の絆がテーマになっていくのだと思う。
とても読みやすく、本屋大賞前夜をひしひしと感じる作品
集だった……合掌。
(鶴岡 卓哉)