goo blog サービス終了のお知らせ 

映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

台風の跡

2019-09-09 06:58:56 | 歳時記雑感
元々、有給休暇でのんびりしたもんだが、深夜吹き荒れた野分が生活を一変させた。

久しぶりに強烈な台風の襲来に交通機関は大往生している。


強い風が木々の葉を散らした

普段穏やかな川も激流に



最寄駅のお知らせ
結局全線運転は13時

横浜に向かう幹線道路は明方から大渋滞






ゆっくりと 人と人だもの

2019-09-05 20:36:37 | 歳時記雑感

映画「チルソクの夏」という佳作がある。
1977年、下関に住む女子高校生と釜山の男子高校生が、国際交流を兼ねた陸上競技会で知り合いお互い淡く惹かれあう青春映画。佐々部監督の妹さんの体験を基にしたお話しらしい。監督が1958年生まれだから、妹さんはほぼわたくしと同い年だろう。
映画の中で釜山で開催された競技会シーンがあるが、驚くことに釜山市街は戒厳令が敷かれている。わたくしが高校生の頃、韓国はまだそういう国だった。地勢状は隣国だが感覚的にはかなり遠い国だったのだ。
物語のラスト、25年以上が過ぎ去った時間が不自由だった交流は劇的に開放され、大人になった二人は軽やかに笑いあう。

昨今、日本と韓国のあいだに流れる不信感はあの頃とは全く違うけど、意地の張り合いはヒートアップしていく一方のようだ。多少の距離を置く時間は必要かもしれないが、映画のラストシーンのように笑って再会できる様大人になるべきだ。

韓国人の言い分は納得できないまでも理解は出来る。理不尽な理由でいじめた人は、反省し謝らなければならない。それは子供にも通じる当たり前の礼儀。ただ、反省はし続けるべきだけど、いつまでも謝り続けなければいけないのか。片方が頭を垂れ続けたままでは真の友人にはなれない。友人になるための努力を子供の目線で考えるべきだろう。

わたくしの父の話を思い出した。
先の戦時中、父の住む集落にも半島出身の家族が沢山住んでたという。子供同士にも支配被支配の関係はあったらしいが、父は結構分け隔てなく仲良くしていたらしい。半島出身者の家にも良く遊びに行ってホルモンをご馳走してもらって嬉しかったと言った。
8月15日のあの日を境に、仲良しだった半島出身者の子供たちが居丈高になり、離れていったという。友達だと思っていたから悲しかったと話してくれた。自由を手にし放たれたように故国へ帰る彼らを見送りながら父は何を感じたのか、聴かなかったので分からない。

歴史を塗り変えることは出来ないし、体験した人の感情をコントロールすることも叶わない。
だからわたくしたち戦争を知らない世代は、過去に耳を貸しながらも明日は元気な声で挨拶できるように生きてゆこう。





夏ドラマ後半戦

2019-09-04 20:50:45 | 旧作映画、TVドラマ
9月になり、夏ドラマも後半終盤を迎える。
豊作なこのシーズン途中をレポートする。


凪のお暇
中村倫也演じる軟派系の男が黒木華の凪にマジ恋する設定はどうかと思うけど、高橋一生演じるエリートサラリーマンの屈折した感情はギリギリ嘘くさくならない演出で見せてくれている。唐田えりかみたいな可愛い女の子に好かれたらそれで有頂天になろうと思うけど、凪には抜け出すことのできない謎の引力があるんだろうな。わたくしにはその辺が未だ感情として共有できないでいる。まあ、凪の元彼への未練が吹っ切れたように描かれているのはとても良い。元鞘パターンだけは幻滅なので避けて欲しものだ。
後半に向けて市川実日子と吉田羊の存在感が際立ってきた。事業(コインランドリー店)を起こそうとしているのも、男女腐れ縁話に終始しないための仕掛けだと思うので、若干唐突ではあるが応援したくなる。
バーのママ(武田真治)のような濃いキャラも上手いアクセントになっているので物語を分断していない。終盤に向けて気になるのは、凪の母親役で片平なぎさが重要な役回りになりそうだ。存在だけで不穏な空気を醸し出す女優が、どんなに強烈な母親を演じるのかも楽しみではある。2話くらいはかなりかき回されそうな気配がする。

これは経費で落ちません!
多部未華子が可愛いと思った。自分のリズムを壊されたくなくて、決めたこと決められたことを日々淡々と過ごす毎日に、自分のことでうさぎを追う(気になる人が出来た)ことになろうとは。不器用だけど何事にも一生懸命な女性がトキメク姿って、その手のドラマの定番だけど、多部未華子の容姿と演技はドンピシャだ。経理処理を通じて人々の裏表を描くのが物語の主軸ではあるけれど、主人公が単なる堅物で融通の利かない人間じゃ観ているほうは感情移入ができない。恋に不慣れであたふたする姿に観ているこちらは安心するのだ。
経理の仕事をやったことが無いので分からないが、経験者からするとあるあるのエピソードも沢山あるのだろう。中盤まではそのままお仕事ドラマとしてだけのお話しかと思っていたので、途中から投入された江口のりこの強烈キャラや様々な部署の曰くある社員たちの内面も垣間見えて面白い。

だから私は推しました
もしかしたら夏ドラマどころか、今年一番の傑作かもしれない。未だ数話残っているから、ドルヲタ等とアイドル卵の女の子たちがどのような結末を迎えるのか想像もできないけど、民放のプライムタイムでは絶対放送できない内容の濃さだ。NHK本当に凄いな。伊達に受信料払わせていないぞと云わんがばかりの秀作の連打。紅白や大河ばかりにお金を使っているだけじゃなく、深夜ドラマにも才能と気合を集結させている。日本の国営放送(正確にはそうじゃないけど)として世界に誇れるぞ!
森下佳子の脚本を乾いた演出で映像化しているのは、ベタ付いた最近のテレビドラマとは一線を画す。謎解きの要素も秘めているからその辺りも興味深いけど、やっぱり最後まで観たいのは名も知れぬアイドルを応援する純真な滅私のヲタク魂だ。
役者も褒めておこう。
桜井ユキ、初めて知った女優だ。過去作も観たことがあるようだが、印象に残っていない。でもこの作品でわたくしは彼女のことを絶対忘れない。アラサーの何処にでもいるOLがドルヲタになって、人間関係をも劇的に変化させてゆく姿を自然に演じていて圧巻だ。
白石聖、全く接点が無い。結構ドラマや映画にも出演しているようだけど。これからは気にして追いかけてみよう。おどおどしたコミュ障気味の地下アイドルをリアルに演じているその力は、今後の活躍を期待させてくれる。素なのか計算された演技だったのかも分かり辛い人物描写も大したものだと感心。
細田善彦、逃げ恥でみくりの無責任な兄を飄々と演じていたので覚えていたが、それほど良い役者だと思わなかったた。それが、この作品では重要な位置をキープしながら煩くなり過ぎない適度な按配がとても良い。主人公のOLをオバハンと呼びながらも情愛を感じさせるキャラは秀逸だ。
村杉蝉之介、あまちゃんのときもドルヲタ役を怪演していたから印象深い。実はわたくしと故郷が一緒で小学校も同窓(歳はかなり離れてますが)なので、密かに応援している。理知的なヲタクが嵌っていて、ドラマの楔のようになっている。ドルヲタの生態と地下アイドルの事情なんかも分かりやすく解説してくれるのも良い。

監察医朝顔
嫁にいったわたくしの娘の名前も字は違うけど、あさがお。名付けた時は親をはじめ年配の親戚筋から非難されたが、名の由来を源氏物語の孤高の姫君から頂いたことや、キラキラネームと違い誰もが馴染みやすい花の名前であったことなどから「良い名前だ」仰っていただく人が増えてゆき、半年も経つと手のひら返すように肯定的な褒め言葉ばかりとなった。大したものは何もあげられなかったが、結婚式の挨拶で自分の名前が大好きだといってくれた娘に良い贈り物ができたかなと思っている。
さて、ドラマは父と娘、娘と亡き母、津波にのまれた妻を捜し続ける夫と年老いた祖父、結婚して娘が生まれて最近のドラマに良くある第二章になってからも監察医の話と同じ分量で家族の物語が語られる。わたくしはそれで正解だと思っている。医療系ドラマは監察医も含めて飽和状態だから、小さな家の小さな家族に温かな光をあてた物語にほっとする。
上野樹里がとても良い。時任三郎の憂いある後姿もとても良い。

なつぞら
天陽君が死んでしまった。
なつと夫婦になると思っていた序盤では考えも付かない流れ。
アニメーターとして生きてゆくことに悩むなつとは対照的に、マコプロは楽しそうにアニメを作っていそうだ。京アニのようなジブリのような制作プロダクションがこの後どうなっていくかも気にかかる。残り一月、北海道の広大な青空のような結末を迎えて欲しい。