映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

偉大な映画音楽の巨匠に

2019-01-30 19:32:33 | 旧作映画、TVドラマ


ミッシェル・ルグランが死んだ。昨年末にフランシス・レイの訃報を聞いたばかりだから、フランス映画界は偉大なる映画音楽家を相次いで失ったことになる。
イタリアのニーノ・ロータと三人、ヨーロッパ映画界の映画音楽における至宝と言ってケチを付ける御仁は居りますまい。
哀悼の意味をもって、三人の映画音楽を思い出そう。

ミッシェル・ルグラン
やっぱり「シェルブールの雨傘」かな。
若きカトリーヌ・ドヌーブはこの世のものとも思えぬ可憐な美少女だったし、物語はありきたりな悲恋物ではあるが世の無常観をそこはかとなく漂わせるラストには、アメリカ映画にはない重みがあった。台詞が全部音楽にのって語られる手法も斬新だった。
戦争に向かう彼を駅で見送るシーンで流れる主題曲は本当に美しい。
「おもいでの夏」も忘れ難い曲だ。
1942年の夏、少年が一歩だけ大人の男に近づく日々を、海辺のリゾートを背景に描く物語。年上の魅力的な戦争未亡人と踊るシーンに流れた主題曲に、自分の少年時代との決別をも重ね合わせた。学生の頃、夏の始まりと終わりに必ず名画座で上映されていたのも懐かしい思い出。
そして「愛と哀しみのボレロ」。
音楽や踊りを軸に世界大戦から現在までの何組かの家族を中心に描いた大河ドラマ。
既存のクラッシックやジャズが使われているので、ルグランの曲はあまり目立たないが、音楽が中心になった傑作として忘れられない作品。

フランシス・レイ
クロード・ルルーシュのスタイリッシュなモノクロ画面にボサノバが色をつけた「男と女」。
斬新な映画にこの音楽はやはりぴったりなんだろうな。無駄を取っ払った物語(上映時間1時間40分の短さ)を観終わった後に残るのは、ダヴァダ ダヴァダヴァダ ダヴァダヴァダ あのリフレイン。
「白い恋人たち」の邦題をつけた人に感謝。
原題は「フランスにおける13日間」という、グルノーブル冬季五輪の記録映画だ。よくもまあ、お菓子の名前や桑田佳祐のヒット曲にまで影響を及ぼすような題名をつけたものだ。題名だけ聞いたらラブストーリーとしか思えないよね。これまたロマンチックな美しい曲。
そしてラブストーリーの王道「ある愛の詩」。
最近CS放送で観直してみたら、子供の頃あまり感動できなかった父と息子の絡みで泣いてしまった。
冬のアメリカ東部に降り積もった白い雪が、最愛の人を亡くした哀しみを助長させる。誰でも知ってる旋律は定番中の定番だ。

ニーノ・ロータ
フェリーニ映画のスコアはこの人無しでは語れないが、一般的に有名な「道」を紹介する。
トランペットが高く悲しい音を奏でる主題曲ジェルソミーナは、粗野な大道芸人が道端に捨てるように生き別れた女が口ずさんでいた旋律。失くしたものの大切さに気付き、号泣する男にも神の福音が訪れるラストに祈りを捧げたくなる。
アラン・ドロンの美しさと共に記憶される「太陽がいっぱい」。
メランコリックな曲調が、地中海の青さに映える。ラストのドンデン返しが衝撃的で、映画を観てよかったと思える見本のような作品だ。
これも知らない人はいない名作の名曲「ゴッドファーザー」。
シチリア出身のコルレオーネがアメリカに渡りマフィアのドンになる重厚な物語だが、故郷シチリアの輝く太陽の下で流れる愛のテーマと、ドンに上り詰めた暗い部屋に静に流れるメインテーマが、どちらも哀愁にあふれ忘れられない。

あらためて合掌






おじさんだってキュンとする

2019-01-28 20:32:00 | 歳時記雑感


「もう離れないで」と
泣きそうな目で見つめる君を
雲のような優しさでそっとぎゅっと
抱きしめて 抱きしめて 離さない

ああ アイラブユーの言葉じゃ
足りないからとキスして
雲がまだ二人の影を残すから
いつまでも いつまでも このまま

離さない


あいみょんの歌う「マリーゴール」にキュンとしちゃう
泣きそうな目で見つめられたら、離さないよな

そっとぎゅっと抱きしめるって、そうだよね
そんなふうに華奢な女の子の肩を包み込む感じ
とっくの昔に忘れちゃったけど
男の子が大切に愛おしむ感情が溢れているよね

なんでこんなにこの曲が気になるのか調べてみたら
ボブ・ディランや吉田拓郎との類似性を指摘している人がいた
だから還暦間近のおっさんにもわかるんだ
言われてみると、確かに雰囲気は似ている

彼女の曲は3曲しか知らないけど
どれもおじさんにだって理解できる良さがある






百人一首競技かるた

2019-01-27 18:34:00 | お遊び

難波津に 咲くやこの花 冬ごもり
今は春べと 咲くやこの花





前々から一度は見たいと思っていた、百人一首競技かるた大会を観戦した。

目の前で闘う女の子たち。
ダブルスコアの差がついた時点で勝負ありと思ったけど、自陣に残った最後の札が詠まれない。
結局運命戦まで縺れ込み、敗戦濃厚だった子の逆転勝ち。
まるでドラマの様な結末に、感嘆の吐息しか出ない。

また必ず見に行こう。
面白い。




冬ドラマもなんとなく

2019-01-25 22:27:16 | 旧作映画、TVドラマ

1月スタートの冬ドラマが二順三順する頃。
取りあえず観ようと思っていたドラマは全部観てみた。

「3年A組」
舞台設定と一部役者の演技だけで持ちこたえている。
映画のようにお金をかけられないのは良くわかるけど、もうちょっと知恵を出せなかったかなぁ?と、毎回残念な気持ちになってしまう。携わるスタッフの工夫次第でスリリングな密室ドラマになったのに。
永野芽郁の所々現れる鈴愛化を楽しみにするしかないのか。上手いからと言っても菅田将暉と川栄李奈だってベテランに比べればキャリアは浅いのだから、いつまでもテンション保っていられないだろうし。外野でワイワイやってる警察と教師の場面は邪魔なだけでなく、緊張感を削ぐマイナス描写でしかないように思う。

「いだてん」
金栗四三の故郷で、東京へ向かう汽車に併走する綾瀬はるか漕ぐ自転車の速さにびっくりした。
綾瀬はるかが加わって、物語に躍動と華がうまれた。流石に今を代表する女優だなと感心している。クドカン脚本のテンポに演出と役者が慣れてきたのかもしれない。
心配なのは、金栗のマラソン挑戦が終わってから東京オリンピックまでの繋ぎがどう描かれるのかだ。噺家(たけしと森山未来)のナレーションがまだ物語に馴染んでいないように感じるのも心配だ。

「QUEEN」
竹内結子は大好きな女優だったのに。
このドラマは可もなく不可もなくのスタートだったから、二話目も録画して観たのだけれど退屈で寝落ちしてしまった。戻してまで観なくても良いかと思った時点で、リタイア決定。脱落しました。結子さんごめんなさい。映画「長いお別れ」は必ず観にいきます。

「ハケン占い師アタル」
初回はそれなりに楽しめた。杉咲花のハケン占い師が派遣先の会社員志田未来と絡む筋立てで、このパターンを踏襲するなら派遣先にはまだ7~8人残っているから、充分10話のドラマが成り立つ。名脚本家の遊川和彦が本を書き演出も手がけているのも特徴だ。二話目も破綻の無い予定調和に飽きてきた。次もこの調子なら脱落しそう。

「トクサツガガガ」
小芝風花主演でドラマを作るとは、NHKらしい。それも特撮オタク女子の物語ときいて、期待よりも不安のほうが多かった。原作は青年漫画らしいが、それも聞いたことがない。
嬉しい誤算。初回でのめり込んだ。わたくしの奥様が無類の戦隊もの好きで、毎週日曜日の朝は○○レンジャーと仮面ライダーがテレビで暴れている。映画も欠かさず観に行っているから、本当に筋金入りの戦隊オタクだ。間近にそんなサンプルがあるので、この物語が他人事には思えないし寧ろ日常でさえある。
そんな環境的なこともあり、オタクが一般社会のなかでどのように立ち回っているかもコミカルに描かれているこのドラマが今のところ一番の楽しみだ。小芝風花もこんなに可愛かったのかと見惚れてしまった。NHK金曜10時枠はこのところ当たりっぱなしだな。早くも三話目が楽しみだ。

「まんぷく」
年が明けて、やっとラーメンにたどり着いた。
塩つくりを止めて栄養食品会社が潰され、信用組合の理事をやっていたこの一ヶ月ばかりは苦痛だった。何度も言うようだが、ヒロインの不気味な笑顔に馴染めないままだから、楽しみはインスタントラーメン発明の道程だけだ。王道の朝ドラセオリーに辟易しているので、世間のおじいちゃんおばあちゃんが面白いというこのドラマの楽しみ方が分からない。早くすずちゃんヒロインの「なつぞら」に会いたい。





30分後には「マスカレードホテル」へ

2019-01-23 20:51:48 | 新作映画



持参したおにぎりを急いで齧り、続けざまに映画館に戻る。





原作はつい最近読んだばかり。東野圭吾にしては辻褄合わせがやや凡庸で、切れの無い作品だと思った。毎年何作もミステリを書いていればいくらなんでも面白いものばかり量産できはしないだろう。
それでも着想はやはり面白い。格式ある一流ホテルで起こると予期された殺人事件を、マスカレード(仮装)した刑事とホテルマンが協力して阻止しようと奮闘するという設定が良い。
しかし肝心の内容は、残されたメッセージが次の殺害場所を示す緯度経度でした。と言うような使い古されたジャブにもがっかりだし、一流ホテルのフロントマンと同じようなスキルを易々と習得できる筈無いでしょとか、ちょっと無理がありすぎて三流ミステリの臭いもする。
そんな原作だった割には、映画は面白かった。フジテレビ制作だし、監督もテレビ出身だから低く見積もりすぎていたのかもしれないけれど。

木村拓也はいつものキムタク演技だけど、相方の長澤まさみとの相性が良いみたいで上手くはまっていた。大柄でボリュームある長澤まさみが貧弱なキムタクと対峙すると、一流ホテルの貫禄みたいなものがでてくるから説得力がある。小柄で小娘みたいな女優がやってしまうとキムタクワールドに取り込まれてしまい、一連のテレビドラマと区別が出来なくなるところだ。ホテルを訪れる怪しげな人々をテンポ良く見せるのも映画らしいリズムがあり、原作通りといえばそれまでだが楽しめる。ワンポイントであってもキャストをふんだんに使っているので、その辺も楽しみながら観ることができる。

原作には無いが、ホテル内の従業員とか警察内部に伏線を張ったりできれば、もうちょっと緊張感のある作品になっただろうけど、原作者が許さないかもしれないしそもそも今のフジテレビにそこまでの気概があるかも疑問だ。
日曜日の昼は満員だった。
原作もシリーズ化されているから、多分映画もシリーズになるのだろう。
次作るとするなら、原作に頼り切った平均点狙いはしないで欲しいと注文を付けておこう。

それにしても上映中に携帯端末を操作する馬鹿が多いのには辟易する。
不思議と耳に残る音楽に合わせて啓蒙される映画盗作罰則のお知らせに、上映中の携帯端末操作も違法です!とやってくれないかな。後から頭ひっぱたきたくなる衝動をどうにか抑えている今日この頃。