一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

海抜0メートルから登る富士山③ …新六合目から富士山頂を経て御殿場へ…

2011年08月02日 | 海抜0mから登る「富士山」単独行
私が泊まった8月1日(月)の宝永山荘は奇跡的に空いていた。
前日は日曜日ということもあって満室で、
翌日の8月2日(火)は団体さんの予約が入っていてこれまた満室だとか。
この日は一人一部屋が割り当てられて、ゆっくり過ごすことができた。
スタッフの人たちも親切な方ばかりだったし、
おまけに畠掘操八氏にもお目にかかれて、言うことなしであった。
私ひとり早めの夕食を食べて、早々に就寝。

寝た日と同じ8月1日(月)の23時に起床。(笑)
すぐに出発準備。

23:30
山荘で用意してくれた朝食用の弁当を持って、いざ出発。


なぜこんなに早く出発するかというと、
富士山頂で御来光を拝みたいということもあるけれど、
いちばん大きな理由は、8月2日(火)は、距離を稼がなければならないからだ。
私に与えられているのは4日間。
もうすでに2日が過ぎた。
3日目の今日は、富士山登頂を果たした後、
御殿場口へ下山し、
そのまま御殿場市まで歩き、
そこから右折して、できる限り沼津に近づきたい。
最終日(4日目)は、午前中で歩きを終え、
できれば夕方までには佐賀に帰りたいと思っているのだ。
御来光を見ることができるかどうかは、時の運。
見ることができなくても不満はない。
それはそれで仕方がないと思っている。
だが、夜空は満天の星。
ちょっと期待。(笑)

0:20
新七合目・御来光山荘を通過。(標高2780m)


1:03
元祖七合目・山口山荘を通過。(標高3010m)


1:48
八合目・池田館を通過。(標高3250m)


2:31
九合目・萬年雪山荘を通過。(標高3460m)


ここまで来るとかなり息苦しくなってくる。
ダウンしている人も多くなってくる。
毎年30万人以上の人がチャレンジする富士山だが、10万人ほどは高山病などで登頂できないとか。
この辺りが分かれ目になるのかもしれない。


3:02
九合五勺・胸突山荘を通過。(標高3590m)


3:40
富士宮口頂上に到着。(標高3720m)
新六合目から4時間ほどで着いた。
ゆっくり登ってきたつもりだったが、案外早く着いた。


でも、ここはまだ富士山の真の山頂ではないので、剣ヶ峰へ移動する。

4:06
剣ヶ峰に到着。(標高3776m)


まだ御来光までには40分ほど時間がある。
すでに明るくなってきているので、雲海がよく見える。
中央に灯りが集まっている辺りが、富士宮口頂上。
あそこから登ってきた。


4:45
太陽が顔を出す。


拍手をする人、
万歳三唱をする人、
奇声を発する人、
いろんな人がいて面白い。


私は静かに御来光を拝む。


佐賀を出発する直前、テレビで、
野口健と東山紀之が富士山に登る番組を見た。
その時、野口健が、
「剣ヶ峰の標柱が真の最高点ではない。そこから20mほど離れた場所にある赤い印がつけられた岩場が真の最高点だ」
と言っていた。
そこへ行ってみる。
あった!
海抜0メートルから富士山(3776m)への登頂が、いま完了した。


5:00
これから再び海抜0メートルへ向かって歩いて行く。
まずはお鉢巡り。

少し下って、剣ヶ峰を見上げる。


時計回りに歩いて行く。


雲海に影富士が……
ラッキー!


どこまでも続く雲海。
言葉が出ない。


本当に押し寄せる波のようだ。
御来光も拝めて、雲海も堪能できて、これ以上の幸運はないだろう。


お鉢を半分ほど歩いた頃からガスが出てきた。


5:21
吉田口頂上までくると、ガスで周囲は見えなくなってきた。
この時間以降に登ってきた登山者は、まったく展望は得られないだろう。
わずか30分ほどの差が、雲泥の差となる。
ここで、宝永山荘で作ってもらった朝食を食べる。


5:58
御殿場口下山道を下り始める。


6:32
赤岩八合館を通過。(標高3300m)


6:48
砂走館に到着。(標高3100m)
大砂走りに備え、スパッツを装着。


大砂走り、スタート。


一歩で2~3mほど進む。
スゴイ、スゴイ。


大砂走りの写真を撮るためにセッティングしているとき、
ふとGPSを見ると、電源がOFFになっている。
ガーン!
御殿場口下山道を下り始めた頃からの軌跡が消えている。
GPSはいつも雨蓋に入れているのだが、何らかの拍子でボタンが押されてしまったらしい。
しかし、こんなことは今までなかった。
これからは、こまめにチェックしなければ……
でも早めに気づけて良かった。
念のために電池も入れ替え、GPS軌跡をONにする。


それにしても、この大砂走りルートから見る風景はダイナミック。


実に雄大。


本当に気持ちイイ。


もの凄い勢いで駆け下りて行く。


8:20
大石茶屋に到着。
ここまで2時間20分ほどで下りてきた。
本当にアッという間。
畏るべし大砂走り。


8:33
御殿場新五合目登山口を通過。(標高1440m)


ここからは、人家もなにもない道を、ただただ下っていく。




シモツケ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどがたくさん咲いていて、それほど退屈しない。



10:32
「中央青少年交流の家」の前を通過。


御殿場市街地へと入って行く。




12:21
ここより右折し、国道246号線を沼津方面に向かって歩いて行く。




ここから先は、ひたすら歩く。


歩く。


沼津までは、まだまだ。
でも、今日中に、できるだけ近づいておきたい。




歩く。


歩く。


道の反対側を、大きなザックを背負った青年が歩いて行く。
どこからどこまで歩いているのか?
日本縦断か?
それとも日本一周だろうか?
心のなかでエールを送った。


新六合目から歩き始めて、今日はもう15時間も歩いている。
そろそろ限界だ。
15:00
裾野市あたりで、今夜泊まる宿を探す。
岩波駅近くでビジネスホテルを見つけ、宿泊。
ここまでくれば、明日は夕方までに佐賀に帰れるだろう。


最終日の明日、
フィニッシュ地点の沼津・千本浜は、
どんな風に私を迎えてくれるだろうか?
海抜0メートルから登る富士山④ ……(最終日)沼津・千本浜へ至る道……(←クリック)

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