一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

作礼山・登吾留山 ……緑のシャワーを浴びながら、可憐な花々と出逢う……

2010年06月24日 | 作礼山
この時期、躰がいくつあっても足りないほど忙しい。
いろいろやらなければならないことが多すぎる。
今日の休みも山に行けるかどうか危惧していたが、なんとか午前中だけは時間がとれた。
っていうか、無理矢理時間を作った。
入梅し、雨の日が多くなっているが、今日は梅雨の合間の貴重な晴れの日。
時間が限られているだけに、近くの山と、今見られる花を存分に楽しみたい。
まず最初に向かったのは、多久聖廟。
聖廟の近くで、「2000年ハス」が見られるからだ。
ここ数年、私は毎年訪れている。
「2000年ハス」は、正式には「大賀ハス」と呼ばれている。
植物学者の故・大賀一郎博士が、1951年に、千葉県検見川で、弥生時代の遺跡から約2000年前のハスの種を発掘。
その種が発芽し、見事に花をつけたことから「大賀ハス」と呼ばれるようになり、全国に広まった。
多久聖廟近くに、1570年に龍造寺長信が建てた「聖光寺」という由緒あるお寺がある。
ここの野中寛應住職が、その「大賀ハス」の種を、2002年に島根県斐川町の荒神谷史跡公園から譲り受けて、発芽・栽培に成功。
一躍有名になった。


写真で見るとそうでもないが、実際に見ると花はかなり大きい。
2000年の時を経て咲いた花に感動!
ハスの花を見るには早朝が最適なので、なるべく早い時間帯にどうぞ。


昨年は、同じ時期、このハスを見た後、そのまま鬼ノ鼻山に登ったが、今日は少し移動して、作礼山に登ることにした。
栗ノ木登山口に向かう。
草で覆われているのでよく見えないが、右の斜面に道があり、ここが栗ノ木登山口。
いつもはここから登って行くのだが、今日はそのまま直進。


左の道を歩いて行く。
この道を歩いて行けば、白木木場登山口に行き当たる。
今日は、白木木場登山口を経由して登ってみたい。


道端にはウツボグサがたくさん咲いている。


やや荒れ気味の道だが、緑の中を歩くのは気持ちがイイ。


20分ほどで、白木木場ルートに出合う。
杭の右から登って来て、この道を向こう側に進んで行くことになる。


その前に、いったん林道に降り、登山口を確認する。
ここからあらためて登り始める。


歩き始めてすぐに鳥居に出合う。
栗ノ木登山口と同じだ。
こちらの鳥居がやや小さいような……


植林帯の中に、大きな岩があった。


白木木場登山口から16分ほどで、栗ノ木登山口からのルートとぶつかる。
私は向かって右側から登ってきた。
左側が栗ノ木登山口からのルート。
これから手前の方に登って行く。


分岐から6分ほどで、展望大岩に着く。
岩の上に上がってみたが、周囲の木々が育っていて、展望はそれほど良くない。


丸い岩のように見えるが、岩の上から向こう側を見ると、段になっていて、腰掛けて足が置けるようになっている。
弁当やおやつを食べるのに最適の場所かもしれない。


ここから先は緑のトンネル。


グリーン・シャワーを浴びながら、気持ちよく歩いて行く。
(ちょっと蒸し暑いけれどね)


ソクシンランが咲いていた。


栗ノ木登山口を出発して、ちょうど1時間で、稜線上の西峰・東峰の分岐に出た。
白木木場登山口からは40分ほど。
まずは西峰に向かう。


この分岐から西峰に向かう道が美しい。
私の大好きな道。


分岐から5分ほどで西峰山頂に着く。
山頂の周囲は、ややガスっている。


今度は東峰に向かう。
途中、満開のヤマツツジに出逢う。
作礼山は、他の山に比べてどの花も開花時期が遅いような気がする。


東峰に着くと、おじさんが草刈りをされていた。


作礼山の向こう側に、作礼山より標高の高い無名峰がある。
写真ではよくわからないが、この無名峰の山頂付近が斑に白く染まっている。
ヤマボウシのようだ。
この作礼山山域は、意外にヤマボウシが多い。


この東峰の周囲にもヤマボウシの木がたくさんある。


ジュンサイ池に行くと、池の周囲のツツジが見頃だった。


食虫植物のモウセンゴケ。
右上に、虫を捕獲しているのが見える。


美しい植物だが、恐い植物でもある。


ジュンサイの花には光沢があり、独特の美しさがある。


池の傍でもヤマボウシを見ることができる。


この後、目的の花を見に行くが、まだ蕾だった。
見頃は7月になってからだろう。
また緑のトンネルをくぐって下山にかかる。


栗ノ木ルートは、道がえぐれていて歩きにくい箇所がある。


栗ノ木登山口の鳥居が見えてきた。
短い時間だったが、楽しい作礼山登山であった。


その後、登吾留山に向かった。
イチヤクソウが見頃を迎えていた。


たくさん咲いていた。


この花は花期が短いので、開花のピークに出逢うのが難しい。


でも、今日は、そのピークに出逢えた。


驚いたことに、イチヤクソウの傍で、ウメガサソウに出逢えた。


和名の由来は、梅鉢形の美しい花の姿に基づく。
下向きに咲くのを笠に見立てた。


この花に出逢えたのが、今日一番の歓びだった。

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