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またもや、
私の大好きなエル・ファニングの主演作である。
2018年2月3日に公開された作品であるが、
先に紹介した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』と同様、
佐賀(シアターシエマ)では、5月中旬になってやっと上映され始めた。
16歳のトランスジェンダーのレイと、
レイを見守る家族の姿を描いた作品で、
メガホンを取るのは、女優としても活躍してきたゲイビー・デラル。
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ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンら実力派が共演しているのも楽しみ。
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実は、この作品『アバウト・レイ 16歳の決断』は、
日本では当初2016年1月22日の公開が予定されていたにもかかわらず、
様々な事情で、2015年12月に中止(延期)が発表された。
理由は、(これは、最近になって判ったことであるが)
トロント国際映画祭(2015年9月12日)で披露された際に凡庸な評価を受けたことで、
本作のプロデューサーであるワインスタインが、
作品のクオリティを引き上げるべく、何度も編集に手を加えたから。
ワインスタインといえば、
昨年(2017年)、ニューヨーク・タイムズ紙が、彼の過去30年以上にわたるセクハラ行為をスクープしたことから、
セクハラ撲滅を訴える「#MeToo運動」により集中砲火を浴びせられている人物であるが、
仕事に関しては優れており、敏腕プロデューサーとして、
『ロード・オブ・ザ・リング』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『イングロリアス・バスターズ』など、
ヒット作、オスカー受賞作を次々と世に送り出している。
ワインスタインが何度も編集に手を加えたことにより、
2015年にトロント映画祭でプレミア上映されたものに比べ、
それぞれのキャラクターをより深く掘り下げた「3世代の家族の物語」として完成度が高まっているとか。
タイトルも『About Ray』から、『3 Generations』に変更されている。
(日本でのタイトルは当初のまま)
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公開中止が発表されたときには、
〈このままずっと見られないのではないか……〉
〈お蔵入りしてしまうのではないか……〉
と、心配していただけに、
2年遅れたとはいえ、
こうして佐賀でも上映が決まり、ホッとしたし、嬉しかった。
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』を鑑賞してから数日後、
私は、またしてもシアターシエマへ駆けつけたのだった。
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トランスジェンダーで16歳のレイ(エル・ファニング)は、
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身も心も男性として生きていくことを、母親のマギー(ナオミ・ワッツ)に告げる。
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思わぬカミングアウトと、医師から渡されるホルモン治療の資料などに、
〈娘だったのに、突然、息子を育てることになるなんて……〉
と、動揺を隠しきれない母マギーは、
不安を打ち消すかのように近所に住む青年と一夜を共にする。
一方、すでにレズビアンであることをカミングアウトし、
パートナー・フラニー(リンダ・エモンド)と暮らしている祖母ドリー(スーザン・サランドン)は、
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レイを応援はしているものの、その気持ちを充分に理解できず、
「女性が好きなら、レズビアンと公言すればよくない?」
と少々的外れな発言も……
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髪を短く切り、身体を鍛え、少しずつ“本当の自分”に近づいていくことで生き生きしてくるレイの姿を見て、
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マギーは意を決して、治療の同意書のサインをもらうために、何年も会っていない別れた夫に会いに行くのだが、
そこでまさかの“家族の秘密”が明らかになるのだった……
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エル・ファニングほど、変化し続けている女優もいないだろう。
主な作品を並べてみただけでも、それが判る。
(公開年はアメリカ本国でのもので、日本公開は順序が入れ替わっている場合もある)
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)
『SOMEWHERE』(2010年)
『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)
『Virginia/ヴァージニア』(2011年)
『幸せへのキセキ』(2011年)
『マレフィセント』(2014年)
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年)
『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015年)
『ネオン・デーモン』(2016年)
『20センチュリー・ウーマン』(2016年)
『夜に生きる』(2016年)
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年)
『パーティで女の子に話しかけるには』(2017年)
特に、ここ数年は、難役に挑戦し続けているとしか思えないような充実ぶりで、
ニコラス・ウィンディング・レフン監督作品『ネオン・デーモン』
ソフィア・コッポラ監督作品『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督『パーティで女の子に話しかけるには』
など、異色の監督とタッグを組んでいるし、
年齢と共に出演作を選ぶ目も確かなものになっている。
どちらかというと、(日本では)ミニシアター系の作品が多く、
佐賀での上映作が少ないのが難点だが、
こんなにいろんなエル・ファニングを見ることができて、
彼女のファンとしては嬉しい限りである。
紹介している本作『アバウト・レイ 16歳の決断』は、
その中でも特に難しい役で、
女性として生まれたものの、
身も心も男性として生きていくことを決意したトランスジェンダーを演じている。
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エル・ファニングを子役の頃から見ているし、
背がそれほど高くない美しい少女というイメージを抱いていたので、
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〈男性として生きていくことを決意したトランスジェンダーを演じることができるのか?〉
〈不自然さを感じないだろうか?〉
と、映画を見る前は心配していた。
だが、本作を見始めると、そんな思いは杞憂であった。
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ナオミ・ワッツやスーザン・サランドンと並んでも身長差がかなりあり、
〈えっ、エル・ファニングの身長っていくつ?〉
と思って調べたら、175cmということでビックリ。
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〈いつのまにそんなに成長したのか……〉
ということで、エル・ファニングの美少年ぶりを堪能できたし、
素晴らしい演技も楽しむことができた。
中でも、
「まさかの“家族の秘密”が明らかになる」シーンでのレイ(エル・ファニング)の絶叫は、
本作でのエル・ファニングの存在を強く印象付けるものであったし、
名シーンであったと思う。
出勤前なので、この辺で終えようと思うが、
エル・ファニングのファンなので、彼女のことしか書かなかったが、
ワインスタインが何度も編集に手を加えたことにより、
タイトルが『About Ray』から、『3 Generations』に変更されたように、
レイ(エル・ファニング)、
母親のマギー(ナオミ・ワッツ)、
祖母ドリー(スーザン・サランドン)の、
3世代を描いた物語になっている。
だから、あらゆる世代の人に楽しめる作品になっている。
それぞれに問題を抱えた3人が、
荒波を乗り越えてたどり着くのはどんな場所なのか……
それをぜひ見届けて欲しい。
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エル・ファニング自身が、
「どの役よりも誇りに思っている」
と公言する作品『アバウト・レイ 16歳の決断』。
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機会ありましたら、ぜひぜひ。