一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

劇場版『TOKYO MER 走る緊急救命室』 ……女性キャスト・スタッフが秀逸……

2023年05月16日 | 映画


TVドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」は、
2021年7月4日から9月12日まで、
TBS系「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマで、
東京都を舞台に、
最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、
危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、
負傷者にいち早く救命処置を施す、
救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」(東京モバイル・エマージェンシー・ルーム)の活躍を描く本格救命医療ドラマであった。


主演の鈴木亮平が演じる喜多見幸太は、
「TOKYO MER」の専任チーフドクターで、
「待っているだけじゃ、助けられない命がある」
のポリシーの下、
危険な環境の現場に自ら乗り込み救命活動を行う。
私は、このドラマのファンであり、
これまでの病院内における医療ドラマとは一線を画した、
スケールが大きいドラマに、毎回、ワクワクさせられた。
鈴木亮平の他、
仲里依紗、中条あやみ、石田ゆり子、菜々緒、佐藤栞里、渡辺真起子なども出演しており、
私の好きな女優たちに逢えるという楽しみもあった。
TVドラマが終了し、「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」ロスに陥っていたところ、
2022年1月5日に映画化されることが発表され、歓喜。
公開を、首を長くして待っていた。
2023年4月16日に(劇場版の公開を記念した)スペシャルドラマ「TOKYO MER 隅田川ミッション」が放送された後、


4月28日に劇場版が公開された。
で、公開直後に映画館に駆けつけたのだった。



「TOKYO MER」が正式運用を開始してから2年の月日が流れ、
メンバーそれぞれが更なる成長を遂げていた。
そんなある日、横浜のランドマークタワーで大規模な爆発事故が発生する。


数千人が逃げ惑う未曾有の事態に陥る中、
東京都知事直轄の救命医療チーム「TOKYO MER」のチーフドクター・喜多見(鈴木亮平)は、
「一刻も早く現場へ向かうべきだ」
と主張するが、
厚生労働大臣によって新設されたエリート集団「YOKOHAMA MER」の鴨居チーフ(杏)は、
「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」
と正反対の意見をぶつける。


地上70階、取り残された193名。
爆発は次々と連鎖し、人々に炎が迫る。
混乱の中、負傷者が続出するが、炎と煙で救助ヘリは近づけない。
まさに絶体絶命の危機。
さらに、取り残された193名の中に、
喜多見と再婚し妊娠中の千晶(仲里依紗)もいることが判明。
千晶は妊娠後期で、切迫早産のリスクを抱えていた。
喜多見は医者として、夫婦として最大の決断を迫られる事になる。
2年前打ち砕かれた死者ゼロと言う信念。
全ての命を救い、誰も死なせない為に、「TOKYO MER」の戦いが始まる……




上映時間の128分、たっぷりと楽しませてもらった。
もう「言うことなし」の面白さ。
なので、レビューも「言うことなし」になってしまって、(爆)
公開からかなり日にちが経ってしまったのに、
レビューを書けずにいた(……というか、書こうとも思っていなかった)。
申し訳ない。

先程も述べたが、
私はTVドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」ファンであり、
劇場版の方も「感動するだろう」「感動したい」という心構えで見ていたので、(笑)
一般の人たちに比べ、5割増しくらい「感動」していた(と思う)。
ストーリー的にも、様々な矛盾点や、都合良すぎる点など、
ツッコミどころ満載であったに違いないが、
すべてに目をつぶり、私は只々楽しく面白く見た。(コラコラ)
(興奮冷めやらぬ)鑑賞後は、
超高層ビル火災を描いたハリウッド映画『タワーリング・インフェルノ』(1975年日本公開)に比すべき作品だと思ったし、(この辺りでもうすでに冷静さを欠いている)
満足感に満たされていた。
このような状態で、冷静なレビューなど書ける筈もなく、
書かなくて(書けなくて)正解だったのかもしれない。

このレビューを書いている5月16日の時点で、
「映画.com」ユーザーレビューで(5点満点の)4.3点、
「Yahoo! 映画」のユーザーレビューで(5点満点の)4.2点と、
一般的にも高く評価されており、
私と同じような人が多くいることに少し安堵した。(笑)
調べてみると、
5月14日までの17日間で、
観客動員229万人、興行収入30億3000万円を記録。
2023年公開の実写作品で唯一、興収30億円を突破している。
大ヒットしている映画なので、
TVドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」のファンはもうすでに見ているだろうし、
レビューも多く書かれているので、(特に主演の鈴木亮平を絶賛する記事が多い)
私が今更、付け加えるようなことはないのだが、
「女優大好き」人間の私なので、(笑)
出演女優について、少しだけ書いておこうと思う。


循環器外科医・高輪千晶を演じた仲里依紗。


私と同じ長崎県出身で、デビュー当時から応援している大好きな女優なので、
TVドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」も、
仲里依紗の出演作ということで観ていた部分が大きかった。
東京海浜病院循環器外科医で、
世界でも名の知れた心臓・血管の治療のエキスパートという役柄。
弦巻比奈(中条あやみ)の(憧れの)指導医でもある。
喜多見の元妻であったが、
劇場版では、喜多見のプロポーズを受け、再婚し、妊娠している(妊娠後期)という設定。
火災ビルに取り残された193名の中に、千晶(仲里依紗)もいることが判明し、
切迫早産の危機が迫り、喜多見と千晶は、医者として、夫婦として、
最大の決断を迫られる事になる。
〈もうダメか……〉
と思われる瞬間の連続で、
ハラハラドキドキさせられるのだが、
これらのシーンは鈴木亮平の熱演もさることながら、


私はむしろ、
〈仲里依紗の渾身の演技があったればこそ……〉
と思われた。
それほどの迫真の演技であった。


ユーチューバー仲里依紗のときも、舞台挨拶のときの仲里依紗も、
派手な髪の色や、奇抜なファッションなどで、いつも驚かされるのだが、


循環器外科医・高輪千晶を演じているときは、


真面目で清楚な仲里依紗なので、そのギャップが(ファンにとっては)堪らなく好い。


私にとっては、劇場版『TOKYO MER 走る緊急救命室』は、仲里依紗の映画であった。



TOKYO MERセカンドドクター・弦巻比奈を演じた中条あやみ。


普段は循環器外科との兼務で活動を行なっており、
当初はMERとの兼務を快く思っていなかったが、
数々の現場を経験し、逞しく成長を遂げた。
特に、4月16日に放送されたスペシャルドラマ「TOKYO MER 隅田川ミッション」では、
江東区内の劇場で発生した特殊効果装置の暴発事故に際し出動し、
救命処置中に照明器具の落下により右腕を負傷。
患者の状態を鑑み、ERカーにて喜多見と音羽が不在の中オペを強行するが、
腕が思うように動かせず処置は難航し、
更に患者の傷が予想に反して深かったことで対応不能に陥ってしまう。
駆けつけた喜多見と音羽によって患者はことなきを得るが……というストーリーで、
循環器外科の道とMERに残留するかで深く悩みながらも、
TOKYO MERセカンドドクターになるまでの(弦巻比奈の)成長譚となっていた。


劇場版『TOKYO MER 走る緊急救命室』では、
研修医・潮見知広(ジェシー)の先輩としてリーダーシップをとるなど、
TVドラマ版とは違った姿を見せ、格好良かった。



TOKYO MER看護師・蔵前夏梅を演じた菜々緒。


普段は東京海浜病院外科病棟において看護師長を努める存在で、
喜多見の右腕的存在であり、的確な器械出しでチームをサポートする他、
自らも危険な現場に果敢に飛び込んで行く。


TVドラマ版の第3話、
凶悪犯が重病の少女を人質に立てこもる事件で、
シングルマザーの看護師・蔵前夏梅(菜々緒)が、
状態が危ぶまれる少女を守るため、身代わりとなることを願い出る……


という回の菜々緒は秀逸で、観ていてワクワクさせられた。


劇場版『TOKYO MER 走る緊急救命室』では、
高輪千晶(仲里依紗)と共に火災ビルに取り残されるという設定の中、
千晶の身を案じながらも、負傷した人々の救命活動も行う、
いつにも増して頼りになる存在で、
特に、身を挺して千晶を護るシーンには感動させられた。
それにしても、こんなにもスタイルが良い女性がこの世にいることが、
私は未だに信じられないのである。



YOKOHAMA MERチーフドクター・鴨居友を演じた杏。


アメリカ帰りで最先端の医療技術を学んできた救命医で、
音羽(賀来賢人)の医学部時代の同級生であり、元カノという役。
どんな時も冷静沈着な救命のプロで、不合理なことは一切認めない冷徹さを持つ一方、
医師としての使命感はTOKYO MER の喜多見にも劣らない。


「危険を冒しては、救えない命がある」
をモットーとし、
「医者は自分の命を守り安全な場所に運ばれてきた傷病者を全力で救う事が大事である」
としているため、
危険な現場で医療活動を行うTOKYO MERチーフの喜多見とは度々対立する。


(不倫した)東出昌大と離婚し、それが演技にも影響するのでは……と心配したが、
杞憂であった。
人生の荒波を乗り越えた者だけが持つ毅然とした態度、凛とした佇まいが美しく、
音羽を思い続けているという可愛らしさも巧く表現されていて、
惚れ惚れさせられた。


3人の子どもとフランスに移住することを発表し、
今後の女優業については、
現在の所属事務所に所属したまま、フランスに拠点を置いて、
日本と行き来しながら継続させるということのようなので、
女優・杏をこれからも見ることができそうで嬉しい。
さらなる活躍を期待したい。



その他、
TOKYO MERの創設者である東京都知事・赤塚梓を演じた石田ゆり子、


元厚生労働大臣、元医系技官であり、
現在は内閣官房長官として活動を行っている白金眞理子を演じた渡辺真起子、


(回想シーンで登場する)喜多見(鈴木亮平)の妹・涼香を演じた佐藤栞里、


TOKYO MER看護師、ホアン・ラン・ミンを演じたフォンチー、


「死者は……ゼロです!」
が決まり文句の危機管理対策室のメンバー・清川標を演じた工藤美桜などが、
本作『TOKYO MER 走る緊急救命室』を更なる感動作へと導いていた。



本作は、一見、
喜多見(鈴木亮平)と音羽(賀来賢人)を中心とした男くさいドラマのようでありながら、
こうして、女優の側から眺めてみると、
TOKYO MERの創設者である東京都知事・赤塚梓(石田ゆり子)、
内閣官房長官・白金眞理子(渡辺真起子)、
世界でも名の知れた心臓・血管の治療のエキスパート・高輪千晶(仲里依紗)、
TOKYO MERセカンドドクター・弦巻比奈(中条あやみ)、
YOKOHAMA MERチーフドクター・鴨居友(杏)というように、
主要な役柄は女性(女優)が占めており、
むしろ女性映画であり、女性が活躍しているドラマであることが解る。


そういえば、
本作のプロデューサー(八木亜未、辻本珠子)も、
監督(松木彩)も、女性なのであった。


そういう意味でも意義ある映画であったし、
見るべき映画であったと思われる。

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