ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

原作「天使の卵ーエンジェルス・エッグー」(村山由佳) 集英社文庫 および、映画「天使の卵」

2021-02-19 10:20:46 | Weblog
「天使の卵ーエンジェルス・エッグー」(村山由佳)集英社文庫


映画「天使の卵」

最近はアガサ・クリスティのくらいしか読書できてない私なのですが、友人より村山由佳さんの「天使の卵ーエンジェルス・エッグー」の文庫本をいただいて、恋愛小説ほぼ初挑戦で読んでみましたら、これが誠に切ないのです(T_T)

ほんのちょい、あらすじとしては・・・。

美大の受験に落ちた、主人公、一本槍歩太(いっぽんやり あゆた)は、三月の終わりごろに、池袋の予備校の入学手続きをするために、サラリーマンたちですし詰めの西武池袋線のドア付近に乗っていたところ、途中の駅でさらに乗ってくる乗客たちの一番後ろに、ひとりの淡い桜色のロングカーディガンをはおった女性の姿に出逢う。。

乗ろうかどうしようか迷っている彼女のために、歩太は身を挺して一人分の空きを作り、その女性を迎え入れる。。

うつむき加減の、少し憂いを帯びた端正なその横顔。。。自分よりは少し年上だろうか。。左の手のひらには包帯が巻かれていて痛々しい。。
これが歩太にとって電撃的な出会いとなります。。。

と、小説のほんのさわりの部分はそんな感じです。。

ちょっと話が前後しますが、
小説を読み終えて、これは何らか映像化されていないだろうかと、検索したら、2006年に冨樫森監督作で映画が公開されているではありませんか!知らなんだ(T_T)
出演は、市原隼人さん、小西真奈美さん、沢尻エリカさん、戸田恵子さんなど・・。

で、早速、配信しているところを探して、観てみると。。。

原作とは人物設定がちょっと変えてあって、ストーリーも、「4年後からあの頃を振り返る」といった感じで、「4年後の現在のシーン」と、「4年前の、あの恋をしていた頃のシーン」が交錯する感じの構成になっています。

ヒロインの春妃(はるひ・電車に乗ってきた彼女ね)を演じた小西真奈美さんがとっても素敵で・・・(T_T)オジサン参りました。。。!

というか、?小西真奈美さんが演じた春妃が素敵なのか?・・・あれ??ま、とにかく素敵なんですよ(^0_0^)

歩太のガールフレンド(恋人?)の、夏姫(なつき)というキャラクターが登場します。
映画では沢尻エリカさんが演じています。

原作と映画の違いとしては、前文でも書きましたが、原作は上記の歩太と春妃の出会いから続くストーリーを、ほぼ時系列に沿った形で書いてあるのに対し、映画では、まずその4年後を描きながら、画面の色調を変えた回想のかたちで、歩太と春妃の出会いからの日を描いてゆく、という感じになっています。

かなりネタバレあります・・・。

映画は、まず沢尻エリカさん演ずる夏姫が、高校の国語の教師として、教壇に立っているシーンから始まります。。

その帰り道で、夏姫は、一浪して美大に受かったが、心を閉ざしてしまった歩太(市原隼人)を見かけ、声をかけます。
「もう一度、描いて」
描きたい人がいないと言う歩太に夏姫は
「ひとりだけいるじゃない・・!」

ここから4年前のストーリーに・・・。

歩太は美大の受験に失敗し、浪人中。。。ガールフレンドの夏姫は現役合格して、大学1年生。

歩太の母・幸恵(戸田恵子)は、小さな飲み屋をひとりで切り盛りしている。
歩太も時には厨房に入り、お通しの一品などを造ったりもしている。

歩太の父(北村想)は、心のバランスを崩し、10年ほど前から入院生活を送っている。

時々ひとりで父の所を訪れる歩太であったが、病状が好転する気配は感じられなかった。。

そんな頃、歩太は、すし詰めの電車のドアのあたりに乗っているとき、途中の駅でさらに乗り込む客たちの一番後ろにいるその女性(小西真奈美)と出逢う。
歩太が身を挺して空けたスペースに、遠慮がちに乗ってきたその女性の凛とした横顔。。。運命の出会いであった。。。

歩太は自宅に戻り、デッサン帳にその女性の横顔を描いてみるのであった。。

そしてある日いつものように、父の見舞いに訪れた病院で、運命は動き出す。。

新しく歩太の父親の担当として赴任してきたドクターは、なんとあの電車で出会った彼女その人であった。。!

彼女の名は五堂春妃(ごどうはるひ)。

彼女もあの日の電車のことを憶えていてくれた。
話をするうち、歩太は彼女が自分より八つ歳上であることを知ったのだが、彼女は歩太の出身校を聞くと、
「同じ学年に、斎藤夏姫って知らない?あれ私の妹なの」。。!

聞けば「五堂」というのは、結婚して姓が変わったと。。。

何ということだろう・・よりによって憧れた女性が、自分のガールフレンドの姉だという。。。

歩太はしばし呆然とするが。。。

しかし運命はもう走り出してしまったのである。。。


という感じで、物語は展開してゆきます。

春妃と歩太の距離が、少しずつ近くなっていく様子は、観ているこちらも何故かドキドキしてしまいます。

最初は夏姫のことや、亡くした夫のこともあって、歩太の告白には「もうだれかを好きになる気力は残っていないの」という春妃でした。。

そんな折、一時退院した歩太の父が、自ら命を絶ってしまいます。

春妃は自分が一時退院許可を出した責任を感じ、憔悴しきって、お寺にこもってしまいます(お寺にこもるのは原作にはないエピソードです)

そのお寺を訪ねた歩太に、春妃は「五堂も歩太君のお父さんと同じだった。私には誰も救えない。私には精神科医の資格がない」と。
そんな春妃に、歩太は「そんなことはない!今のままの自分でいればいいと言ってくれたのは、先生だ!」と。。。

後日、歩太は、持ちきれないほどの食材を抱えて、春妃のマンションを訪ね、「うまいもの作りますから、食べて、元気出して、職場に復帰してください!」と、あっけにとられている春妃の家の厨房で、料理を作り、テーブルに並べて、クリスマスプレゼントの代わりに小さな卵のレプリカを置いて、そっと帰っていったのであります(原作のクリスマスプレゼントは、銀色の卵に金の翼がはえたデザインの『天使の卵』と名付けられた、小さなピアスでした)。。

まぁ考えるに、どうして歩太がもっと早く夏姫に「お姉さんを好きになってしまった」事情を話さなかったのか、とか、ありますが、そんなことも忘れてしまうほど、切ないストーリー展開で、ようわからんけど、純愛ちゅうんは、こげなごとく切ないもんやな・・と、思いました(T_T)

母の幸恵と、物静かな常連客の渋沢さん(三浦友和)が、いい雰囲気だったので、店に入りそこねた歩太が、夜遅くに春妃のマンションを訪ねるシーンが印象的です。

ドアホンを鳴らしたのが歩太だと気付いた春妃は、事情を察して内に招き入れるのですが、そのすぐあとに、病院の同僚の医師である長谷川(鈴木一真)が酔った勢いで訪ねてきて、「オレと結婚すれば、お前は働かなくても充分食っていける、もうあんな患者たちの相手をしなくていいんだぞ」と、春妃に乱暴しようとするところを、歩太が出てきて、一発で殴り倒します。。

長谷川は鼻血を出しながら帰ってゆくのですが、このあと、傷ついた歩太の手に包帯を巻きながら、春妃は「夏姫に合わせる顔がない」と伏せ目がちに呟きます。。。
「解ってしまったの・・夏姫がどうして歩太君のことを好きになったのか。。」

普段、恋愛映画とかほとんど観ないもので、こういう映画は新鮮で、観てて照れますね(#^.^#)

原作の春妃のイメージと、映画の小西真奈美さんが演ずる春妃のイメージは、自分的に若干違いはありますが、それぞれ魅力的で、素敵です(^0_0^)

小西真奈美さんていう女優さんがいらっしゃるのは知っていたのですが、出演されている作品を観たのはほぼ初めてで、この映画で俄然ファンになってしまいました(^^♪
他の出演作も、調べて観てみようと思っております。

ストーリーはつかの間の幸せのあとに、終盤悲しい結末へとつながってゆくのですが・・・。

是非、映画ならびに原作をご覧になってください~。。。

ちなみに、ストーリーの締めくくりは、原作と映画ではかなり違います。。。そこだけは、映画版、ちょいと無理あったかな。。。とも思いました。。。

小説の続編『天使の梯子』と『天使の柩』も読んでみようと思っております。。。





ヒッキー的満足度(原作)★★★★☆
        (映画)★★★★









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