DUMMY FAKE ROLLERS

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見渡しても誰もリアルな自分を映してくれない~R25氷室京介インタビューより~

2007年01月19日 | 音楽レビュー
前回の氷室京介の記事の続きです。

「KISS ME」が大ヒットした後のアルバム『Memories of Blue』が
ミリオンを突破し、ソロでも大きな成功を収めた後に彼を襲ったのは、

「自分の音楽がどれだけの人の深いところに響いているのか」
「なんでそんなに評価されるんだろう」

という疑問だそうです。

当時はカラオケブームと、タイアップ手法によるCDのミリオンセールスが
乱発したいわゆる音楽バブル期。
そこで、使い捨てではなく、本当に自分の音楽を理解してくれている人は
(リスナーも含めて)どれだけ自分の周りにいるんだろう?と
感じたのでしょうね。
特に、伝説のバンドのカリスマヴォーカリストとして、
一般に認知されていた彼の環境は、次第にゆがみ始めていたようです。

「みんなが腫れ物に触るような感じで俺に接するんですね。
・・・
俺をプロテクトする人たちがいて、スター扱いする人もいっぱいいて。
自分を映すものがなくなった。
見渡しても誰もリアルな自分を映してくれない。
俺が言ったことに"そうですね"って返すだけ。
裸の王様になる危険をすごく感じていたんです。」

と、周囲の声と自分の中の思いのギャップに悩み、
日本では自分が自分であることを保てないと感じ、
その翌年、アメリカへ渡り、自分のやりたいペースでの活動に入ったとのこと。

アルバム制作にも、かけたいだけ時間をかけて、
他人と合わせないで好き勝手やってる分、その責任はちゃんととる。
ファンにも媚びはしないが、きっちり筋は通す。
そうやって、自分が本気でやってれば、認めてくれる人も出てくる。
すると結果は自然とついてくる。
もし、ついてこなくても、それはそれでいい。

これが彼の現在に通じるアティテュード。
毎回彼のアルバムを聴くたびに、そのストイックな内容に
感心してしまいますが、これが、彼が孤高であり続ける所以なのでしょうね。

続く

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