DUMMY FAKE ROLLERS

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【RECYCLE】 ついに廃盤!弱いくせによく吠えるスピッツの美学

2006年01月09日 | 音楽レビュー
ついに、これまでずっとスピッツが強い嫌悪感を示していた
ベスト盤『RECYCLE』の廃盤が決まったようですね。

コチラ↓でこの件に関するスピッツからのコメントを見ることができます。
3月25日にリリースする2作のシングルコレクションに関して

RECYCLE Greatest Hits of SPITZ
スピッツ,笹路正徳他
ポリドール

スピッツの消したい過去

本作がリリースされたときに、スピッツ公式ホームページで
「これはメンバーの意思ではなく、レコード会社から一方的に決定されてしまった」
とのコメントが発表されたことを知っている人もいると思いますが、
スピッツのメンバーにとっては、過去の汚点とも言えるこの作品。
今まで公式HPのディスコグラフィにも掲載されたこともありません。

『RECYCLE』は1999年の12月15日にリリースされたのですが、
実は、1998年度のレコード会社の決算(1999年の3月ということですね)に向けて、
ベスト盤を発売するという企画がありました。
しかし、絶対にベスト盤を出したくないスピッツは、
シングルのカップリングや、インディーズ音源等を盛り込んだ
『花鳥風月』というバンド主導の編集盤を1999年の3月25日に出すことで、
一度、その危機を乗り切っています。

花鳥風月
スピッツ,笹路正徳他
ポリドール

決して「裏ベスト」と呼んではいけません

当時はカラオケ人気=CDセールスに直結していた時代でしたから、
特定の時期のヒットシングルだけをまとめて利益をあげたい
ビジネス戦略モロ見えなベスト盤企画に対抗する形で、
『花鳥風月』という一見特異な作品が誕生したわけです。

しかし、結局その抵抗も空しく、半年後に一方的に発表されてしまった『RECYCLE』。
彼らは強い意志を持って、自分達の納得いく歴史を作ろうと、吠え続けたのでしょうね。
バンド名に込められた「弱いくせによく吠える」というスピッツの美学を
貫き通しています。


ただ、『RECYCLE』はある意味彼らの新たな起点ともなったと思います。
このベスト盤騒動で、結束を固めた彼らは、それまでのコマーシャルな
ポップス路線よりも、バンド・サウンドへ回帰し、次作の『ハヤブサ』で
躍動感あふれるロックサウンドを展開しています。

ハヤブサ
スピッツ, 石田小吉
ポリドール

まだ若干、音楽性に揺れがある

そして、さらにその傾向は、傑作『三日月ロック』へと引き継がれ、
バンド・サウンドと、スピッツの切ないメロディが融合した
現在の形を形成するに至ったと思います。

三日月ロック
スピッツ, 亀田誠治
ユニバーサルJ

現在のスピッツサウンドを確固たるものにした傑作


公式ページによると、彼らは現在レコーディングに入っている模様。
最新アルバム『スーベニア』をリリースしてから、約1年経っていますが、
新しいアルバムに期待がかかりますね。

スーベニア
スピッツ, 亀田誠治
ユニバーサルミュージック

『三日月ロック』路線を推し進めたロックな作品


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほど。。 (春風)
2006-01-11 00:27:04
TBありがとうございました。

大変、勉強になりました。
コメントありがとうございます (lepps)
2006-01-14 08:01:27
こういう話を聞くと、スピッツって本当に

ロックな人達だなぁと思いますよね。

これからも応援していきたいです。
知らなかった。。。 (ぐっさん)
2006-05-27 13:30:58
僕このCDもってるんですが・・・そんな話とか知らなかったです(・・;)

[三日月ロック]にもそんな経由があったなんて。。。でも僕が「好きだぁ」と思った理由がわかりました(笑)

僕も大変勉強になりました。
音楽業界も大変そうですよね (lepps)
2006-05-29 00:28:51
こういうレコード会社やプロダクションと、

アーティストの間のトラブルってよくあるんですよね。

一見、華やかに見える世界の裏側はドロドロで。。。

それが嫌で音楽業界から引退していくアーティストも多いですしね。

しかし、スピッツの鉄壁の意志にはホント頭が下がります。

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