今年の映画の中でも期待していた作品です

私以外のお客さんの年齢層が高くて驚きました。
全編を通して非常に落ち着いた演出。
浮ついていないこういう作品は中々無いんじゃないでしょうか。
登場人物の感情や行動は全て理解できるわけではないですが、それを想像したり読み取ろうとするのがまた面白かったです。
私は、大谷の心情がよく分かる気が。
きっと彼は、サチが羨ましかったんじゃないか…
むしろ世渡り上手な彼女に嫉妬さえしていて。
まあ、自殺願望は理解できないけれど。。
サチは世間知らずで、でも口紅のエピソードなんかから見ると、心中事件を起こした大谷に仕返しのようなこともしちゃう人。
それぞれの生きる様を見ていると、なんだか人間って愛おしい生き物なんだなと思えてきます。
冒頭は死を臭わせるような映像から始まりますし、この作品を暗いと感じる人も多いみたいですが、私は最後に(希望とは違うけれど)明るいものを感じました。
サチが妻じゃなかったら、大谷は死んでいたんだろうな。
夫婦もしくは男女もしくは人と人。
その関係とは一体何なのだろう?
結婚した時、そして更に年を重ねた時にまた見直したいと思える映画でした。
そして私は、劇中に出てくる着物・浴衣・干してある手ぬぐいの柄なんかにもう釘付け

(笑)
青で統一されていて、監督のセンスに脱帽。
そして何より、松さんや広末涼子が来ている銘仙が素敵すぎる!!!(笑)
セットも軽い感じが無くて、ちゃんと生活感のある本物でした。
流石、種田さん!!
あと、食べ物のアップはないですが、フードスタイリストは飯島さんです♪
すごいキャスト・スタッフが揃った映画だなあ。
出演者について。
松×浅野夫婦はきっと素晴らしいと思っていましたが、期待以上!
松さんのあの絶妙な表情!素晴らしすぎます!
そして人間臭い浅野さんのヴィヨン。
堤さんも佇まいが凄く格好良くて、言うこと無しでした。
伊武さん・室井さんの夫婦は、親しみ易く等身大。
ちょっと心配だった広末・妻夫木も、それぞれが持つ雰囲気がよく引き出されていました。
妻夫木くんのあの初々しさはいつまでもなくならないのだろうか(笑)
広末涼子は、あの警察でのシーンは、松さんと比べるとやはり”テレビ的演技”に見えてしまいました

山本未來はちょっと男みたいに見えたなあ…(苦笑)
この間、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」公式シネマ鑑賞読本という本をチラっと見たのですが、原作の初版がそのまま収録されていて、しかも衣装などについても書いてあって欲しくなってしまいました。。
小さい頃からレトロなものは好きでしたが、このところ確実に、明治・大正・昭和という時代に惹かれています。。
憧れなのか、郷愁なのか…。
こうして舞台を観たり本を読んだり映画を見たりする中で、まずは感性で感じたことを大切にしますが、考えを巡らせることもとても大切だとよく思います。
”考えること”の大切さは、高校の時の先生方からも学びましたし、大学でも文学をやるにあたり必要ですし、更には堺さんの本からも学びました。
社会人になったら、こうしてゆっくり時間を持って考えを巡らせてみるということが出来なくなるかもしれないので、学生の暇のあるうちにじっくり経験しておきたい。
そしてそういうことは凄く大切なんじゃないかとも思います。
なんとなく。
今は授業を多く取っているので忙しいですが、それでも変わらず、何かを見て・読んで”考える時間”を大切にして生活していきたいです。