夕方帰ろうと決めた時、1匹のカラスが目にとまる。
カラスは白い何かを加えて飛んで行った。
見渡すと卵が入った卵パックが落ちていた。
まだ卵はたくさんある。
ということは、またヤツは来る。
そう思ったので5分ほど待っていると、
やっぱり来た。
F4のレンズは50ミリ。
こんな時はどうしても望遠が欲しくなる。
卵パックと自分との距離は約3メートル。
近過ぎるのか、ヤツも警戒してなかなか近づこうとしない。
「獲物はお前のもんだし、もちろんジャマもしないから、早く持ってけ。
自分は写真撮りたいだけだよ」
しばらくすると、とうとうヤツが動きだした。
クチバシで器用にパックから卵を取り出すと、素早く飛び去った。
予想と逆方向へ飛んで行ったため、こちらの反応が遅れた。
失敗だ。
まだ卵はある。
また来るさ。
しばらく待つ。
すると、
来た。
さっきよりも2、3歩離れてみる。
こちらを警戒しつつも、さっきより早く獲物に飛びついた。
クチバシでパックごと移動したあと、パックをつつくヤツを撮る。
するとヤツは卵をくわえずに飛び去ってしまった。
潰れた卵が1つパックの外へ。
どうやら他の卵も割れているようだ。
たぶんもうヤツは来ない。
自分も去ることにした。
海辺のカラスとの約25分の格闘。