Tabi-taroの言葉の旅

何かいい物語があって、語る相手がいる限り、人生捨てたもんじゃない

感動てんこ盛り

2012年07月26日 | 雑学
当日の画像はコバケンとその仲間たちFACEBOOKより転載させていただきました

プログラムの挨拶は音楽家というよりもむしろ詩人を思わせる素敵な文章で始まっていました。
「ブタペストの冬。その日もまた、ドナウからの風は氷のように頬を刺した。」

コバケンさんが、体が不自由がひとりの少女と出会ったときの回想です。知的障がい者が健常者と一緒にコンサートを聴ける環境を作ろう・・・小林研一郎さんが「コバケンとその仲間たちオーケストラ」の結成を思い立った瞬間でした。


ヴェルディ=「アイーダ」の凱旋行進曲
カラヤンとウィーンフィルのために特注されたという本物のアイーダ・トランペットの華やかな音色が感動のコンサートの開演を告げました。

サラサーテ=「チゴイネルワイゼン」
瀬崎明日香さんの超絶技巧に目が釘付け!むせび泣くような弦の音色に、会場のあちこちには目頭をハンカチで押さえる姿が見えました。

プッチーニ=歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
大きな盲導犬、ナンシーに導かれて鈴木加奈子さんがステージ中央に進み出ました。太くて暖かなトロンボーンが会場中に鳴り響く中、ナンシーは微動だにせず彼女の脇に座っていました。

当日の画像はコバケンとその仲間たちFACEBOOKより転載させていただきました


シベリウス=交響詩「フィンランディア」
第二のフィンランド国家と言われるこの名曲に被災地から高校生が掛け付けて、見事な合唱に鳥肌が立ちました。

モーツァルト=レクイエムより「ラクリモーザ」
荘厳なモーツァルトの傑作・・・大船渡高校、高田高校、花巻北高校、宮古高校の皆さんが被災地復興の祈りを込めて、見事に歌い上げました。

モーツァルト=ピアノ協奏曲第23番第二楽章
世界的指揮者であるコバケンさんは、同時にまた一流のピアニストでもありました。
皇后陛下もお弾きになるというこのモーツァルトのアダージョを、指揮するときと同様、全て暗譜で弾いてくださいました。

プッチーニ=歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」
このあまりにも有名なアリアを、今夜はベルサイユのバラの原作者池田理代子さんが見事に歌ってくれました。

「千の風になって」
圧倒的な声量です・・・村田孝高さんのバリトンに、会場からはすすり泣きの声が聞こえました。

尋常小学校唱歌=「ふるさと」
コバケンさんのピアノ伴奏、村田さんのバリトン、池田さんのソプラノ、そして高校生の皆さんの合唱も加わって・・・こんな豪華なふるさとは聞いたことがありません。

チャイコフスキー=荘厳序曲「1812年」
知的障がいを持つ和太鼓奏者 友野龍士君のブログが朗読されました。
「聴くだけじゃなくて一緒に演奏ができることに感謝します。今日、会場に来ている知的障がいを持つみんなも、自分の夢を大切にしよう!諦めないで夢を持って生きていこう!僕に与えられた1812年の大砲の音を聞いて欲しい!」
その言葉通り、圧倒的な迫力で彼の和太鼓が会場に響き渡りました。吹奏楽コンクール上位入賞常連の桜丘高校のブラスバンドも加わって感動的なフィナーレでした。

まさに「感動てんこ盛り」・・・最初から最後までシビレっぱなしのコンサートでした。

ブログ:「ティンパニーで朝食を」より特殊楽器「和大砲」

凄い指揮者が現れた!

2012年07月15日 | 雑学
すみだトリフォニーホールへ行ってきました。
トリとは三、フォニーは響き・・・「アーティスト」「ホール」「観客」の三つの音の響き合いの意味を込めて名付けられたホールです。
ふんだんに木材が使用されたダークブラウンの内装が、何ともぬくもりのある落ち着いた雰囲気を醸し出しておりました。
こんな素敵なホールを活動の拠点とできる「新日本フィル」さんは幸せです。

颯爽と指揮台に上ったのは今をときめく三ツ橋敬子さん。
スリムな黒のパンツスーツに身を包んだ小柄な体が指揮台で躍動しました。

三ツ橋敬子さんは2010年トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝した実力派!
流麗なマエストロの動きに合わせてオーケストラがうねり、満員の観客の体も揺れました。
まさに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」とはこのことです。

プログラム前半は「眠りの森の美女」
篠崎和子さんの奏でる美しいハープの音色にうっとり。「パノラマ」の美しい旋律に身を委ねました。

そして後半は交響曲第6番「悲愴」
作曲者自身が「全作品のうちで最高の出来栄え」と自負した作品ですが、その初演の僅か9日後、このロシアを代表する大作曲家ピョートル・チャイコフスキーは不慮の死を迎えたのです。
まさにこの最終楽章は自分自身へのレクイエムだったのでしょうか?!
かつて旅したサンクト・ペテルブルクの地、アレクサンドル・ネフスキー大修道院、チフヴィン墓地・・・
十字架を抱え大きな羽を伸ばした天使を従えた、ひと際大きなチャイコフスキーのお墓の姿を思い出しました。

ブラボー、三ツ橋敬子!
ブラボー、新日本フィル!
ブラボー、トリフォニーホール。
そしてブラボー、チャイコフスキー!