プログラムの挨拶は音楽家というよりもむしろ詩人を思わせる素敵な文章で始まっていました。
「ブタペストの冬。その日もまた、ドナウからの風は氷のように頬を刺した。」
コバケンさんが、体が不自由がひとりの少女と出会ったときの回想です。知的障がい者が健常者と一緒にコンサートを聴ける環境を作ろう・・・小林研一郎さんが「コバケンとその仲間たちオーケストラ」の結成を思い立った瞬間でした。
ヴェルディ=「アイーダ」の凱旋行進曲
カラヤンとウィーンフィルのために特注されたという本物のアイーダ・トランペットの華やかな音色が感動のコンサートの開演を告げました。
サラサーテ=「チゴイネルワイゼン」
瀬崎明日香さんの超絶技巧に目が釘付け!むせび泣くような弦の音色に、会場のあちこちには目頭をハンカチで押さえる姿が見えました。
プッチーニ=歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
大きな盲導犬、ナンシーに導かれて鈴木加奈子さんがステージ中央に進み出ました。太くて暖かなトロンボーンが会場中に鳴り響く中、ナンシーは微動だにせず彼女の脇に座っていました。
当日の画像はコバケンとその仲間たちFACEBOOKより転載させていただきました
シベリウス=交響詩「フィンランディア」
第二のフィンランド国家と言われるこの名曲に被災地から高校生が掛け付けて、見事な合唱に鳥肌が立ちました。
モーツァルト=レクイエムより「ラクリモーザ」
荘厳なモーツァルトの傑作・・・大船渡高校、高田高校、花巻北高校、宮古高校の皆さんが被災地復興の祈りを込めて、見事に歌い上げました。
モーツァルト=ピアノ協奏曲第23番第二楽章
世界的指揮者であるコバケンさんは、同時にまた一流のピアニストでもありました。
皇后陛下もお弾きになるというこのモーツァルトのアダージョを、指揮するときと同様、全て暗譜で弾いてくださいました。
プッチーニ=歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」
このあまりにも有名なアリアを、今夜はベルサイユのバラの原作者池田理代子さんが見事に歌ってくれました。
「千の風になって」
圧倒的な声量です・・・村田孝高さんのバリトンに、会場からはすすり泣きの声が聞こえました。
尋常小学校唱歌=「ふるさと」
コバケンさんのピアノ伴奏、村田さんのバリトン、池田さんのソプラノ、そして高校生の皆さんの合唱も加わって・・・こんな豪華なふるさとは聞いたことがありません。
チャイコフスキー=荘厳序曲「1812年」
知的障がいを持つ和太鼓奏者 友野龍士君のブログが朗読されました。
「聴くだけじゃなくて一緒に演奏ができることに感謝します。今日、会場に来ている知的障がいを持つみんなも、自分の夢を大切にしよう!諦めないで夢を持って生きていこう!僕に与えられた1812年の大砲の音を聞いて欲しい!」
その言葉通り、圧倒的な迫力で彼の和太鼓が会場に響き渡りました。吹奏楽コンクール上位入賞常連の桜丘高校のブラスバンドも加わって感動的なフィナーレでした。
まさに「感動てんこ盛り」・・・最初から最後までシビレっぱなしのコンサートでした。
ブログ:「ティンパニーで朝食を」より特殊楽器「和大砲」