「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」を川崎チネチッタにて鑑賞しました
いよいよ公開された「新たなる旅立ち」ですが基本的には旧作を踏襲しつつ、「2199」や「2202」の要素も当然引き継いでる展開になっていました
冒頭、まさかの芹沢虎鉄による振り返りダイジェストから始まったのにはビックリしましたが、「西暦2202年の選択(→感想)」ラストにおける ”君たちが羨ましい” というセリフの裏側というか、”嫌われ役” をやらざるを得なかった心情や背景が語られててちょっと涙が出てしまいました(ガミラスへの先制攻撃命令は早計ではありましたが、相手の覇権主義からしたら結果はどの道同じではありましたし、波動砲艦隊構想にしても地球の命運的には推進して正解でした)
そして物語は「ヤマト3」で登場した天の川銀河を二分する ”ガルマン・ガミラス帝国vsボラー連邦” の構造を先取りするカタチで、デスラーが新たな移住先として最適なガルマン星を発見し、領有するボラー連邦へ ”譲渡” を願い出るというシーンから始まります
あのデスラーが ”跪いて” 請うも、ガルマン人を単なる奴隷扱いしてるボラー側がそれを受け入れるハズもなく、当然の様に決裂も想定していたデスラーによって結局は武力による ”奪取” となってしまうと(音楽と相俟っての ”デスラー戦法” のシーン最高でした!)
破壊されたマザー・シャルバート像が意味深に登場してたり、脚本の福井晴敏が今後を ”大河路線” に発展させたいと発言してるように、「永遠に」の暗黒星団帝国、「ヤマト3」のボラーやシャルバート信仰、「完結編」のアクエリアス文明などの要素を複合的に絡めた壮大なシリーズ展開を構想してるっぽいので期待は膨らみますヽ(゚∀゚)ノ
こちらは今作のイメージビジュアルですが、見ての通りに土門竜介というキャラがメインの扱いとなっていて(松本零士っぽさが強調されててアツい)、明白に ”世代交代” をアピールしています
旧作の「新たなる」から「3」にかけても同様に世代交代を目指してたフシがあるんですが、古代と雪の存在感が良くも悪くも強すぎたのと、「ヤマト3」が当初の一年から半年の放送で打ち切られてしまった事もあって上手く成し遂げられなかった事へのリベンジなんですな
「2199」から始まったリメイク版における最大の違いに年代設定があって、旧作ではガミラスとの戦いから一年ごとに地球が侵略の危機に晒され、古代の初登場時18歳から僅か4年後の2203年に「完結編」の展開を迎えるという相当に無茶な展開となっていましたからねえσ(^◇^;)
おそらく目指す ”大河路線” の理想としては古代が沖田艦長のレジェンダリーなポジションに到達する所までを描写したいのだと思われますが、最初の旅から6年が経過してる古代はそれなりに艦長としての経験と貫禄を身に付けててもう ”代理” 降格される事もないでしょうし、この上で「2202」のラストの高次元で得た ”悟り” の体験を小出しにしていく事でその道筋はある程度は福井晴敏の中でも見えてるといったカンジでしょうか
”身内” 感覚で憧れていた徳川太助から、”憎い” とまで思っていた土門竜介まで新乗組員たちがヤマトに抱く様々なスタンスは、現代の新たな観客たちとヤマトとの関係性に重ねてる部分もあった様に感じられましたが、多数のアナライザー型AIが補佐する事で乗組員の総数が大幅に減ってるのを見て、少子化の現実も反映してたりするのかなとか思ってしまって面白かったです
また、世代交代の後押しという意味ではヤマトのメインキャラクター達の分散化を行っているのも興味深かったです……新たに随伴艦であるヒュウガとアスカを登場させる事でヤマトが艦隊行動をとることが基本となり(そう簡単に退場もしなさそう)、古代の責任をより拡げた上で ”ヤマト単艦” という最大のロマン要素を犠牲にしてでもリアリティの底上げを行った制作現場の大きな ”決断” を長年のファンとしても大いに応援したいですな
三艦が索敵、攻撃、防御など互いに補完し合って連携する役割分担が為されてることで、旧作でもあった訓練風景が絵的にも量的にも相当に派手になってる事が楽しくて仕方ありませんでしたが、「2202」では艦隊同士がどっかんどっかん撃ち合う描写で手一杯だったのが残念だったのは否定できませんので(特にコスモタイガー周り…)、ヤマトを中心とした戦術の拡張性に期待したいです
それに初代ヤマトや「ヤマト3」が行く先々で様々な宇宙の驚異と出会うハズだった ”センスオブワンダー” な冒険展開へのリベンジも期待できると……「2199」で登場したビーメラ星みたいな小ネタから繋がるイスカンダル文明についても掘り下げられるのは次の「後編」で確定してるでしょうし、第11番惑星にも痕跡があるアケーリアス文明、更には「YAMATO2520」のゴーダ文明まで神秘的な大ネタはいくらでも膨らませられそうなので ”大河路線” の未来にワクワクが止まりません( ゚∀゚)o彡゚
旧来のマニア層からも好評だった「2199」ですが、ガミラスとの総力戦を回避した事や、デスラーの乱心っぷりのせいで ”終盤の展開はいただけない” という評価にはオレも頷ける部分があります……特にヤマトの波動砲封じに代表される ”続編潰し” などと揶揄される要素はどうなるものかと思ってましたが、どうにかこうにか「2202」の結末でキャラの関係性や世界観情勢を(「さらば」や「2」も踏まえた上で)”原状復帰” にまで持ち込んだ福井晴敏の手腕はそれだけでも十二分な評価に値すると思います
デスラーは総統としてガミラス臣民のために身命を賭して頑張るキャラとして、また古代ら地球人を対等の友人として見做す土壌も整備されてるので安心して見てられましたが、不意打ちのようにキーマンのメッセージが流れたシーンでぶわっと涙が出てしまったのは、オレの中で結構な思い入れが出来てたんだなと再認識…(ノД`)
ガミラス本土の方でも6年という期間が経過してる事を示す目立った要素がヒスとシュルツ娘くらいだったことは少々残念で、個人的な欲を言えば、ユリーシャを指導者として再編されたガミラスが歩んだ民主国家への経過を知りたかった所ですが、星そのものが崩壊してしまう設定が復活した事でそういう事情が些末化してしまったのも致し方ないですな(政治的な描写を好むオレみたいなのは圧倒的少数派であることもわかってます、ええw)
でもそんな ”ガミラス側の事情” を象徴する存在としてヤーブこと薮が思いっきりクローズアップされたのは嬉しい誤算でした……ベタな家族ネタではありますが ”人道上” というわかりやすいヤマトが戦いに介入する目的と、ガミラスどころか土門や太助たちとの ”橋渡し役” までこなす脚本上の適材適所っぷりは見事な差配と言う他ありませんヽ( ̄▽ ̄)ノ
ヤマトの ”叛乱” が恒例行事扱いされてるのはどうかと思いましたがw、星名の保安部の存在が大活躍してるというのは何気に嬉しかったりもしました(実際は大問題でしょうけどw)
フラーケンはいつもの調子として、バーガーが歴戦の猛将感を漂わせ始めてるのも頼もしい限りでしたが、地球側から提供された例のアンドロメダ型に乗ってないのはどういう事情なのか(ていうか地球のアンドロメダ型は残存してる?軍縮で廃棄された?)……勝手な想像ですが、おそらくガミラス軍が波動砲艦隊を保有することを指導者ユリーシャ(スターシャ)が許さなかったのではないかと
スターシャ母さん「何そんなのよその家から貰ってるの!返して来なさい!」
バーガー「はぁい…(しょぼん)」
…というのは半分冗談として(半分?w)、そのスターシャといえば新たな謎がいくつか蒔かれていて、デスラーが少年時代に出会った際には既に大人の姿をしていたことで再び妖怪疑惑(参照→2199第七章感想)が…ってそうじゃなくてw、”儀礼” とやらで不死性みたいなのを獲得してるっぽい…?
確かにイスカンダルの ”使命” とやらからすると、残ってるイスカンダル人がスターシャ姉妹だけっていうのはどうやっても存続が無理ゲーに過ぎると言いますか、そもそもどうやってこれまで続けて来たんだっていう当然の疑問が…
6年前に示唆されていた古代守との子がどうなってるかというのも気になりますが、”サーシャ” と呼ばれている大型の波動コア状の物体は一体何なのか、ヤーブがヤマトに持ち込んでるのは次元潜行艦のコアなのか、デザリアム(暗黒星団帝国)がイスカンダルに何を求めているのか(少なくともエネルギー資源のガミラシウムの設定は無くなったっぽい?)、そもそもデザリアムの正体とは、「永遠に」はどういう公開形態になるのか気になる要素は満載です
「後編 -STASHA-」の公開2022年2月4日(金)を刮目して待ちたいと思います!!
ここから後編のネタバレ注意:
オレが劇場に行ったのは最終週ということで、上映後に「後編」の冒頭7分半がオマケで見られたんですが、”イスカンダル防衛線” に颯爽と介入したヤマト艦隊の活躍をいきなり見せつけてくれて盛り上がってましたねえ( ̄▽ ̄)=3
艦載機や空間騎兵の活躍は勿論、アスカの波動共鳴導波はユキが艦長でホント良かったと思いましたし、ヤマトの ”全砲門一斉射” のシーンは実にシビれまくりでした
古代がバーガーとガッチリ握手したりもグッとくるシーンだったなあ
「2199」感想リンク:
宇宙戦艦ヤマト2199第一章、宇宙戦艦ヤマト2199第二章、 宇宙戦艦ヤマト2199第三章、宇宙戦艦ヤマト2199第四章、宇宙戦艦ヤマト2199第五章、宇宙戦艦ヤマト2199第六章、宇宙戦艦ヤマト2199第七章、宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海、宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟
「2202」感想リンク:
第一章感想、第二章感想、第三章感想、第四章感想、第五章感想、第六章感想、第七章感想
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます