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今年のマンガ2023

2023-12-30 | マンガ

早いもので本州の端っこに移住してから1年と6ヶ月が経過しようとしておりますが街中に住んでるので暮らしぶりにはほとんど違いはありません……が、ついに今年はマンガを ”紙” で購入する機会が完全に ”ゼロ” となった記念すべき?年となってしまいました(゚д゚;)

駅ビルや街には大型書店が一応まだ残ってたりするんですが(個人書店、古書店はほぼ壊滅状態)、ガチで一切の紙の書籍類を買わなかったですね……今年家に新規に増えたのは生活する上での書類に郵送物くらいか…

コロナ禍でなるべく外出を控えるようになったという意味では、生活様式は大きく変化したといえるのかもしれませんが、それ以前から(もう10年以上)書店にはほとんど足を運ばなくなってますからねえ…
(趣味の)勉強の為の参考書みたいなのは電書だと索引性において不便で、こればかりは紙媒体が有用だったりするんですが、そっち方面もコロナ禍をきっかけにすっかりモチベーションが下がりきってしまってるので…σ(^_^;)


以前に大規模に断捨離を実行したので(4000冊ほどのマンガや小説類を処分)、今の住まいにも大して書籍類は存在しないんですが、昨年の移住の際に一応、余裕をもって購入した(本も置ける用の)棚が今年全く活用されなかった ”人生初” の事態に軽くショックを受けている次第です

 

と、まあマンガ以外のことを愚痴ってても仕方ないので本題いきます
このエントリは年の瀬恒例の、”今年一巻から買い始めたマンガ”  のレビューとなります


■「永年雇用は可能でしょうか」原作:yokuu 漫画:梨川リサ(既刊3巻)

昔は ”枯れ専” とか呼ばれてたジャンルでしょうか……気難しそうなイケおじ魔法使いが自分にだけは心を開いてくれそう?的な女性向けの定番っぽい設定ではありますが、職業倫理のしっかりしたメイドさん(「エマ」や「シャーリー」の様な)ジャンルとしてオレは楽しんで読んでます


■「オトリ -過剰殺傷取締官・斑目詩子-」野生のもぎ(全3巻)

作風は田島列島に近いカンジで、やわらかい絵柄と鋭いセリフ回しのセンスが特徴なんですが、扱う題材が ”ネット炎上” を取り締まる厚生労働省の(囮捜査)専門官たちという独特の設定がもの凄く面白かったです

”やられたらやり返す!等倍返しだ!”(←セリフ一部改変ありw)

”炎上” に至るネタとして芸能人の不祥事から迷惑系配信者まで幅広く、社会風刺にSF的なアイディアとキャッチーな素材なので「世にも奇妙な物語」で実写化されないものかと密かに期待してましたw……一応、”第一部完” となってはいるんですが、うーん、それこそ実写化でもされないと続きは難しいですかねえ(ノД`)


■「三途の川アウトレットパーク」寺田浩晃(既刊1巻)

今作は(読切作品が)「世にも奇妙な物語」で実写化されたことで評判になって(ウェブ)連載に繋がったというとても珍しいパターンです

”三途の川” を題材にしてるのはありがちだったりしますが、見せ方が独特で荒々しいタッチに、ただ ”いい話” というだけでなく善意も悪意も両方あっての人間という軸があってそれが余計に胸に迫るものがあります

そしてそれには理由があって「世にも奇妙な」で放送されたのは2021年と少し前なんですが、作者が結構シビアな体調を抱えながら(それこそ命を削りながら)作品を発表している背景事情を知った上で今作を読むと、だからこそのこの題材なのかと非常に納得させられます


■「黒猫は泣かない。」寺田浩晃(全1巻)

「三途の川~」の読切版も掲載されている短編集です

戸田誠二の作品が好きな人にはきっと合うのではないかなと(自分がそうなのだというだけですが)


■「プロ奢ラレヤー」萬田ひろし(全2巻)

以前「レンタルなんもしない人」が大きく話題になってテレビにも取り上げられてた際、「レンタル恋人」はまだしも(まだしも?)「レンタルおっさん」なんてのもあるのを知って、”個人化” の進む現代社会には不思議な需要が存在するんだなと奇妙な感慨を覚えたものですが、今ではそこから更に需要の細分化?が進行しているようで…

セミドキュメント風?なカンジの様々な人間模様が読み応えあるんですが、メインは社会に対するビジネス的な視座がメインで、昨今の出版事情に対する明確なメッセージにもなってる要素は意外な面白さでした……読後感はすっきりしてるんですが、やっぱり打ち切りは残念…


■「ただの飯フレです」さのさくら(既刊2巻)

かつては非モテや草食系、今では恋愛弱者ですか……表現は違えど、恋愛観や結婚観に繋がる男女間の感覚格差みたいな要素はマンガでも鉄板の題材ですが、(食事を媒介して)友情とも愛情とも言い切れない新しい男女関係みたいなのを模索してる感が楽しいです


■「本好きの下克上~司書になるためなら手段を選んでいられません~第三部」漫画:波野涼 原作:香月美夜(既刊7巻)

アニメ版で第一部~第二部を見て、そこから「ベビステ」の勝木光が手がける第四部のコミカライズ版をガマンできずに読み始めてしまった~と昨年のエントリで書きましたが、端々で語られる第三部の要素が気になりすぎて、結局第三部のコミカライズも買い始めてしまいましたw

もともとが異世界転生モノなんですが、主人公の成長に伴い、周辺の事情というか異世界の事情がどんどん広がりを見せていくにつれて複雑化していくので、大人の読者にも俄然面白くなっていくのが素晴らしい( ゚∀゚)o彡゚……コミカライズが各部で同時並行して進行するので、結局第三部の気になる要素が不明なまま第四部も読み進めてる状況には変わりなかったりもするんですがw、それでもかなり楽しめてます

原作小説の完結と共に第三部のアニメ化を(「進撃の巨人」の)WITスタジオが手がけるというニュースも出て非常に興奮しております


■「米蔵夫婦のレシピ帳」片山ユキヲ(既刊2巻)

いやもう、これは泣く(T△T)……大切なモノを喪ってしまってからその大切さに気づくという、ベタな王道設定ではありますが、おっさん読者なら(おそらく独り身でないなら尚更)涙なしでは読めないです…

実写化しやすそうですしするなら内野聖陽とかイメージしてたんですが、もう既に有名な料理モノに出てるしなあ…


■「エロチカの星」前野温泉(既刊2巻)

”漫画家モノ” で ”エロ漫画” が舞台というのを毎年こうやって感想を書いてる気がするんですがw、やっぱりクリエイター論としての視点がどこか一般作とは違う規制の緩さみたいなのに魅かれてしまうのかなあ……でもウェブ連載の方は先頃完結してしまいました…orz


■「タタリ」彌(既刊2巻)

週刊少年サンデーにあって、”サンデーらしさ” に忠実にありつつ、そこから一歩抜きん出ようと仕掛け続ける野心みたいなのは応援したいです
現状でも作者さんは間違いなく新人離れした才能の持ち主で光ってる要素がいくつもあるんですが、何だろうもっと人気出てもいいと思うんですが…


■「ずっと青春ぽいですよ」矢寺圭太(既刊1巻)

「ぽんこつポン子」の作者による新作で、要略するとアイドル研版「げんしけん」なんですがw、個人的にはアイドル業界に疎いので今後主人公たちがどうしたいのか、どうなっていくのか全く予想がつかないのが面白かったりします


■「だんドーン」秦三子(既刊1巻)

元警察官という異色の経歴の「ハコヅメ」作者による新境地……というより日本警察機構の ”源流” を辿ってみることで、”働く日本人” の本質をより深く抉っていく作品となっていますな

「ハコヅメ」の舞台は岡島県という架空の地方都市で、ネットでは(モデルは)岡山?広島?みたいに語られてたりもしたんですが、作者はおそらく鹿児島の方なんじゃないかと……そしてなぜ「ハコヅメ」を休止してまでこの新連載にこだわったのかなというのも、薩摩人の気質や気風を通しての ”郷土愛” みたいなのもテーマにしてるのかなみたいに考えたりしました


■「街道あるくんです」原作:竹本真 漫画:猪乙くろ(既刊1巻)

”東海道を実際に歩いて辿ってみる”……日本人ならば誰もが一度は思いつくも、実際にやる行為にはナカナカ至らない部門第二位(自分調べ…第一位は ”富士登山”)をテーマにしているんですが、序盤で東京都大田区、隣の川崎市川崎区がガッツリと登場してて楽しかったなあヽ(^O^)ノ
 
(移住したばかりの寂しさも重なって)オレが長年住んでたマンションから徒歩数分の老舗和菓子屋やスーパーが普通に登場してるのに異様に興奮したものですw

ちょっとした仕掛けがあって主人公は江戸時代の実際の風景を ”体験” しつつの東海道巡りになる展開なんですが、このコンセプトみたいなアプリ(GPSと連動して、スマホで今自分の現在地点の過去の風景をVRなりARなりで体験出来る)を夢想してたりしたので、世の中似たようなことを思いつく人もいるんだなと思ったり


■「あくたの死に際」竹屋まり子(既刊1巻)

オレみたいにマンガを読むのが好きな時点で、そのマンガを描いてる側にも興味がいくのも当然の成り行きだと思ってたんですが、その感覚はオタク的な視点でしかないというのをここ数年でようやく気づかされてちょっと呆然としたり(←何の話だw)

今作は純文学の作家を目指す主人公なので毛色は少し違いますが、クリエイター論というか、”表現者の苦悩” という要素はいつの時代も(どんな分野でも)人を魅きつけるものであるのは間違いないと思うんですが……上記した「プロ奢ラレヤー」なんかの視点からすると(出版社や権威ある賞)に固執するのも時代性にはそぐわない感なんかも出てきてしまって複雑な心境になったりもします

 

 

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年の瀬恒例とか自分で書いといて何ですが、タグを振り返ってみると、2016年からこの振り返り感想を始めてるのか……まあ、まだ長いとも短いとも言えない微妙な期間ですがw、とりあえず10年は続けてみることを目標に生きていきたいと思いますのでよろしくお付き合いのほどを

そしてこのエントリによって毎年、その年の訃報を振り返るのが習慣になりつつあるのが自分でも何やってるんだろう感が拭えませんが、今年の筆頭はやはり松本零士先生のインパクトが絶大であと寺沢武一先生もか……ツイッターのTL上では90年代から読んで来た作家さんたちがイロイロと大病を抱えてる報告が当たり前のようになってて切ないです(自分も当然他人事ではありません)

音楽業界では高橋幸宏に坂本龍一が続いて、まさか細野晴臣まで同じ年にとかないよなと悲鳴のような声が上がってたのももう遠い昔のように感じてしまいます(谷村新司とかKANなんかはつい先日なのでまだ全然実感も湧かない…)

 

どうしてもしんみりしてしまう話題なのでもう訃報の振り返りはやらない方がいいのかとも思うんですが、やった方がいい気もするので来年もおそらくやると思います…

 

では今年はこんなところで

 

明日の年越し天一でまたw

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今年のマンガ2022

2022-12-30 | マンガ

続くコロナ禍、戦乱に伴う物価高(まだまだ序の口のようですが)、余りにも多くの悲報の続いた2022年が暮れようとしておりますが、未だにトンネルを抜ける気配すら見えていないのが生きてて息苦しい限りですな…

そんな生活の中で例え刹那的にでも現実を忘れさせてくれる、フィクション上だけでも希望を持たせてくれるエンタメ娯楽作品というのがかつてないレベルで重宝される時代になったと言えるのかも知れませんが、オレ個人にとってもマンガは相変わらず ”命” を繋ぎ止めてくれている存在です

 

売上の低迷や海賊版対策としてようやく日本の出版社に ”マンガをサブスクで” という流れが出来つつありますが、その先駆けというか最も大規模に先行してるのが(月額1000円弱で)20誌以上をまとめて読める講談社のコミックDAYSだと思います

オレは元々(DAYS以前に)週マガ、月マガ、モーニング、イブニングを購読してましたのでこの4誌分でコストが7割減くらいしただけでも有り難いのに(ゴミとして捨ててたストレスも馬鹿になりません)、十年くらいご無沙汰していたアフタヌーン系、ほとんど縁がなかったヤンマガ系、そして一部の女性誌まで読むようになった事でオレの日々のマンガライフは大層充実したものになってますヽ(^O^)ノ 

ですがいくら電子化の波が進んだとしても、結局は単行本が一定数以上売れなければ編集部としても立ちゆかない現実は厳しさを増すばかりで、昨年のヤンマガサードに続き、今年はモーニング・ツーが丸ごとネットに移行し、年末ギリギリにはイブニングの休刊までが発表されてしまいました…(ノ_-;)


かの少年ジャンプですら、今や大ヒット作や超ヒット作をジャンプ+(プラス)と分け合いつつある現状からすると、そう遠くない時期に ”マンガ雑誌” という形態が消滅するのが確実視されてるカンジですが、究極的にはより広範で(出版社の垣根も越えた)簡便なサブスク化を目指すのをいち読者としては望む所ではあるんですが、90年代の絶頂の盛り上がりを知っている世代としては寂しさも禁じ得ませんね…

で、雑誌に取って代わりつつあるマンガサイト(アプリ)というのは、日替わりで数作品ずつを更新、新作エピソードは当面無料というのが基本フォーマットになってますが、昔からのマンガ読みとしてはこの ”基本無料” というシステムに対して(有り難いとは思いつつも)どうにも拭えない違和感的なモノがあるんですが、最近、ふとその理屈に思い至った気がしました

これって ”立ち読み” 文化の復興なんですな

少年ジャンプの黄金時代における最大発行部数は653万部というとんでもない記録ですが、あの頃は学校での貸し借り、家庭内での回し読み、電車の網棚からのリサイクルw等々で、部数よりも遙かに多くの人数が(返本もあったにせよ)毎週読んでいたと思うんですが、直接の購読者以外の読者として、”立ち読み勢” というのも相当数いたんじゃないかと思われます

今や絶滅の危機に瀕している本屋業界ですが、かつてはどこの町にも大小様々な規模の本屋が当たり前の様にあって、その上で80~90年代にコンビニが一気に増えた事で ”雑誌コーナー” も全く同様に一緒に増えていたわけですが、まだ24時間営業というものが日本人にとって馴染んでいなくて、表側に面した大きなガラス越しに雑誌コーナーを配置し、防犯面の安全性を店外にアピールする為に立ち読みを ”推奨” していた時代があったからです

まあ、売上的には他商品で賄うとはいっても(立ち読みによって)ボロボロになった雑誌が乱雑に置かれてたりするマイナスイメージや返品するコストもあったでしょうから、”文化” 扱いすることには異論もあるでしょうけれども(^_^;)

マンガ好きのオレとしてはあのボロボロになった雑誌類の姿が見るに堪えなくて(オレがどうしても買いたいのがボロボロのしか残ってなかったり)立ち読みしてる連中に余りいいイメージを持ってなかったのを、昨今のマンガアプリのシステムに重ねてしまってたのかなと思った次第ですw

 

やたらと前置きが長文になってしいまいましたが、年末恒例の ”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” の感想まとめです


■「1978年のまんが虫」細野不二彦(全1巻)

細野不二彦版の「まんが道」です(主人公も ”細納(さいの)不二雄” とリスペクト感満載)

「アオイホノオ」とほぼ同時代なので、島本和彦(細野の二歳下)とイロイロと重なる娯楽やカルチャーが語られてるだけでも面白いんですが、片や ”西” の庵野秀明らガイナックス組のエピソードがほぼ独立して挿入されてるのに比べて、此方 ”東” は美樹本晴彦や河森正治にスタジオぬえといったアニメ界隈の面々と細野自身がガッツリ密接に関わりながらのキャンパスライフが描写されるので情報密度も高く、細野の家庭事情とも相俟って読み応えが凄すぎました

サンデーに足を踏み入れるところで終わりますが、1979年以降のエピソードも是非とも読んでみたいなあ


■「平和の国の島崎へ」原作:濱田轟天 漫画:瀬下猛(既刊1巻)

日常の中で物騒なスキルが駆使される、いわゆる ”殺し屋モノ” の一種と言えると思いますが、背景設定が相当にヘビーで現実の日本がこのタイトルに相応しい国ではなくなりつつある今、発表されたタイミングがギリギリの作品なのかもしれませんな


■「天幕のジャードゥーガル」トマトスープ(既刊1巻)

先日発表された ”このマンガがすごい!2023” のオンナ編第一位のニュースをきっかけに読んでみたんですが、一介の奴隷だった少女が全てを奪った大モンゴル帝国に対して、己の ”知” だけを頼りに絶望的な戦いを挑む~という展開がとにかくアツいです……「乙嫁語り」「辺獄のシュヴェスタ」「シュトヘル」「チ。」辺りが刺さった人には文句なしにオススメかと( ゚∀゚)o彡゚

”知識” から ”知恵” を、”知性” から ”知略” を生み出していく様は痛快で、それでも主人公はひたすらか弱い存在でしかないのでハラハラしっぱなしなんですが、どうやら実在したモデルがいるそうで、詳しくは調べずに楽しみにしていきたいです


■「令和のダラさん」ともつか治臣(既刊1巻)

妖怪なんかの超常的な存在を ”俗化” させる作風がオレの性癖に刺さった源流を辿ってみると「GS美神」や「うしおととら」になるかと思うんですが(元祖となると水木しげるや永井豪辺りでしょうか)、おそらくその最先端にいるのが本作や「怪異と乙女と神隠し」や「出禁のモグラ」なんだと思います

巻末あとがきによると作者は脳梗塞による半身マヒの状態で描いている事が明かされていて(とてもそうとは思えないクオリティだったので)心底ビックリしたんですが、詳しい顛末が リアルの方のおっさんの備忘録 としてまとめられてるので必見です

…ただ(大きな声では言えませんが)、脳梗塞であることを知った時を遙かに超える衝撃というのが、かの「田村本」(←伝説級の「寄生獣」エロ同人誌)の作者であるという事実を知ったことだったり…w


■「本好きの下克上~司書になるためなら手段を選んでいられません~第四部」漫画:勝木光 原作:香月美夜(既刊5巻)

勝木光(「ベビステ」の作者)の新作が出てる!と知ったのは去年(2021年)のことでして、その時点で発売されていた2巻分を即座に購入したんですが、タイトルに第四部とあるようにどうやら長大な原作シリーズを複数のマンガ家が並列的に手がけるという展開をしてるらしく、いきなり第四部から読むのはアリなのかと某掲示板にて訊いてみたら余りオススメ出来ないとのことで読めずにジラジラするしかありませんでした(ノД`)

でも第一部からTVアニメ化がされてるのを知って配信サービスで見てみたんですが、内容はいわゆる異世界転生モノだし、展開も児童向けっぽくて面白いともつまらないとも言いにくいカンジだったんですが(^0^;)、なんだかんだで第3シーズンまでを見終わる頃にはそれなりに思い入れも出来てました……が、最終的にアニメ化されてるのは原作の第二部までで、続きはどんなに早くとも来年以降だろうということでガマン出来ずに(第三部を丸々すっ飛ばして)第四部を読み始めてしまいましたw

キャラや世界観については把握出来ていましたし、大量の登場人物たちの描き分けも流石の読みやすさで非常に面白いです……何より作者さんが楽しんで描いてそうなのがヨシ!( ゚∀゚)o彡゚


■「サヨナラ魔法使い」伏見ダイキ(既刊1巻)

サンデー本誌に出張掲載されたのを機に購入したんですが、”魔法=病気” という独特の設定がイロイロと流行ってる他の終末モノと一線を画してるカンジですな……基本的には何でもアリな世界観とはいえ、人ひとりが起こせる現象(魔法)のスケールが大きめなのが今後の壮大な展開を予感させます


■「ラストカルテ 法獣医学者-当麻健匠の記憶-」浅山わかび(既刊3巻)

人間が自然死した以外のあらゆる死因を調べる法医学の獣医版である ”法獣医学” という聞き慣れない言葉ですが、”動物に寄り添う目線” が特徴的なヒューマンドラマです……特に第一巻に収録されてるエピソードはどれも完成度が高くて素晴らしい


■「~異伝・絵本草紙~ 半妖の夜叉姫」椎名高志 原案:高橋留美子(既刊3巻)

「絶チル」を完結させた椎名高志が自ら高橋留美子に申し出てコミカライズを担ってるだけあって、半端な気合いの入り方ではありません(ある意味、師匠的な存在みたいですし)……アニメ版からは結構自由に改変を許されてるとのことですが正直、オレ自身は「犬夜叉」にあんまり思い入れは無いのにそれでも単体作品として十二分に面白いのが凄い


■「神様のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~」菊池真理子(全1巻)

シンプルな可愛らしい絵柄の日常描写はマンガとして非常に読みやすいです

ですがもう、”しんどい” という言葉以外が出てこないノンフィクション作品です……誰を責めたらいいのかどう変えていけばいいのか以前に、”(現実的に)とにかく出来るだけ関わり合いにならない処世術を身につけるしかない” と 周 り に 思 わ れ る こ と の絶望…

宗教二世のマンガが不当に打ち切りにされた、というニュースはオレの耳にも入ってはいました…が…
安倍元首相の暗殺事件がなければきっと作者さんのツイッターのフォローもしなかっただろうし、単行本も買わなかったろうなあ…

申し訳ない限りですが、オレにはこの単行本を買って売上と拡散に僅かながらも貢献することくらいしか出来ることが思いつきません


■「マンガ脚本概論」さそうあきら(全1巻)

マンガ家に限らず創作家を目指す全ての人への指南書なんですが、ヒトや社会をどの様にして見るべきかという読み方も出来て非常に読み応えがありました


■「BLACK LAGOON エダ イニシャルステージ」原作:広江礼威 漫画:やまむらはじめ(既刊1巻)

もともとエダは「ブラックラグーン」の本編から好きなキャラでしたが、どうやっても結局は撃ち合いになってしまう80~90年代アクション作品のいい意味での大雑把さwと、昨今の海外ドラマの緻密な情報量が上手く噛み合わさっててこれは素晴らしいスピンオフです


■「最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場」漫画:小野洋一郎 原作:赤城大空(既刊3巻)

サンデーで不遇に打ち切られてしまった「史上最強の弟子ケンイチ」のファンタジー版みたいな内容で、いわゆる ”なろう系” ではあるんですが、戦いや修行における理屈や実践を理論立てて丹念に描写する独特の面白さがあって、そこに「ハリポタ」的な学園要素までも加わってめちゃめちゃ楽しいです


■「正直不動産」漫画:大谷アキラ 原案:夏原武 脚本:水野光博(既刊16巻)

山下智久主演によるTVドラマ版の第一話の放送を見て面白かったので買い始めてみたんですが当時、私生活で不動産絡みでイロイロとあったタイミングだったということも大きいです

余談ですが作画を担当している作者は、昔サンデーでちょっと不遇感があったのでヒット作に恵まれてホント良かったなとも思ったり(^^)


■「一級建築士矩子の設計思考」鬼ノ仁(既刊1巻)

上の「正直不動産」を買った勢いで~というわけでもなくて、元々エロ方面の人だった作者が一級建築士の資格を活かして描いた作品という異色の経歴がツイッターで流れてきたのが面白くて購入しました

”建築士目線” からのちょっとしたミステリー仕立てになってたりするんですがなんと表現したらいいのか、”美術的な興味” と ”数学的な興味” の合わせ技みたいな独特の面白さを醸し出しています……何よりオレらが当たり前に暮らしたり仕事したりする物件の構造がめっちゃ気になるようになっちゃうのが楽しいですヽ(゚∀゚)


■「吼えろペンRRR」島本和彦(既刊1巻)

「燃えよペン」から始まった「吼えろペン」シリーズは島本和彦の代表作ですが、相当な思い入れがあったにも関わらず数字が伸びなかったことで(「新吼えろペン」とタイトルを変えたりしつつ10年踏ん張ってました…)、家業を継ぐタイミングでマンガ家を引退する選択肢まで考えていたのを「アオイホノオ」が30年の作家人生で初と言えるレベルのブレイク作となったことで(家業と並行して)継続することにした的なことをどこかで発言してました

そんな「吼えろペン」が復活しましたが、旧シリーズとは方向性が明確に違って「アオイホノオ」の直系というか、勢い重視の同人誌でのノリに近いというかw、炎尾燃の設定がほぼ島本先生本人の現在と重なっていて(普通に作中でコロナ禍だったりします)、ジャンルとしてはエッセイになってますな


■「金色のガッシュ!!2」雷句誠(既刊1巻)

まさかの続編シリーズの開始ですが実はまだ購入済みの一巻を読んでません(-д-;)

無料で公開された単話版の第一話と二話のみを読んだ段階で、かつては紙で持っていた旧シリーズを全巻まとめ買い(ついでに「どうぶつの国」も全巻)してちゃんと読み直してから…とか思ってたら、私生活のゴタゴタで未だに読み直す機会を逸してしまってます……この年末年始で読めるかなあ…


■「チェンソーマン」藤本タツキ(既刊12巻)

田中圭一による、”令和の「デビルマン」なんじゃないか” 的なツイート評に惹かれて読み始めたんですが、ホントにこんな悪意を悪意で塗り固めたような ”アンチ” な作品を本誌でやっていたのか?と、ジャンプから離れて久しいおっさん読者としては驚愕の思いでしたσ(^◇^;)

アニメ版も終始、異様なクオリティで第一シーズンの放送が終了した所ですが、第一部の衝撃のラストまで是非とも突っ走って貰いたいです

 


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2022年も水島新司、藤子不二雄A、高橋和希、かざま鋭二、聖悠紀、御厨さと美といった大物マンガ家の訃報が相次ぎましたが、ご冥福をお祈りいたします(マンガ以外だと水木一郎アニキ、渡辺宙明、渡辺徹、中本工事、上島竜平、猪木、楽太郎(円楽)、石原慎太郎、安倍晋三、ああそれにアニメ界だと清川元夢に小林清志もか…orz)

「1978年のまんが虫」という自伝的作品を細野不二彦が描いた動機に、おそらくは還暦を過ぎたことがきっかけにあったのではないかという推測は外れてはないと思います……手塚治虫を始め、マンガ家には ”60才寿命説” なんてジンクスがあるのを知らないハズはありませんし、そうでなくとも昨年の三浦建太郎の50代半ばでの死の衝撃が同業者に与えた影響については想像に難くありません(T△T)

オレがかつて10年間勤めていた職場でも、(修羅場の中で)”一晩徹夜するごとに寿命が三日縮むらしいぞ” なんてことを誰彼とも無く語り合っていたものですが(^_^;)、週刊連載なんて一週間の睡眠時間を全て合わせても20時間いかないとかムチャクチャな世界らしいですからねえ……最近はようやくマンガ業界全体で、キチンと休載を挟みつつのスケジュールに取り組んでくれてるようですが、くれぐれもご自愛願いたいものです

 

最後まで湿っぽい話なのもなんなので明るいネタもいくつか


まずは何より「ベルセルク」の連載再開ですかねヽ( ̄▽ ̄)ノ
オレは未だに41巻を読めていない状態なんですが、(生前より親交の深かった)森恒二体制による新刊が発売される時に敢えて一気に読んでみたいと考えています

連載再開といえば「ハンター」もついに!4年ぶりにッ!!(…結局いつもの様に10週で終わっちゃいましたがw)

あとオレがサンデーでイチオシしていた「ノケモノたちの夜」の(連載打ち切り後の)まさかのアニメ化!( ̄▽ ̄)=3
アニメ版公式サイトにて作者とスタッフや声優などの対談企画があるんですが(作者自身による制作裏話ネタも満載で素晴らしい)、番組プロデューサーによる ”何故アニメ版を企画したのか” に至った発言にいちいち我が意を得たりといったカンジで、見てる人は見てくれてたぞ!とアニメが始まってもいない段階から涙が出そうなくらい嬉しかったです(T∀T)

…実は連載終了後に作者さんがわざわざ応援のお礼のDMなんてのまで送って下さいまして(全部は見せてあげませんw)、もうオレは一生ついていく所存です

そしてこれはマンガ家の自伝作品にも通じるネタなんですが、かわぐちかいじの娘さん(イラストレーターのカワグチニラコ)が父親にインタビューする過程をマンガ化しているのが興味深いです

かいじくんちのニラコさん(2022年末現在第二話まで公開中)
https://souffle.life/manga/kaiji-kun-chi-no-nirako-san/20221220-2/

かわぐちかいじは2019年頃に大病で長期休養していたこともありましたし、やはりこういった自伝的な要素を作品として残したいという風な心境の変化もあったのかもしれませんね

田中圭一によるキレイなネタの方wとして評判な企画にもかわぐちかいじ回があって、娘さんも登場してるのでこちらもオススメです

かわぐちかいじと深大寺のそば
https://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/penhashi/2579

 

では、来年も素晴らしいマンガの数々に出会えることを願って!ヽ(゚∀゚)ノ 

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[マンガ] 今年のマンガ2021

2021-12-30 | マンガ

2021年もひたすらコロナ禍に振り回されてましたが、二年目となって流石にオレの職場も人件費の削減に踏み込まざるを得なくなり、(全体の仕事量そのものは減りつつも)残った人間側の負担は増していくというストレスとの戦いの日々でもありました……で、ここ二ヶ月ほどでようやく世の中や仕事量がコロナ禍以前の状態に戻りつつあっても、人はそう簡単には戻せなくて更に負担は増すという悪循環に陥ってる不景気あるあるネタです(ノД`)


まあ愚痴はともかく今年も益々、日々の癒やしとしてのマンガの存在感が大きくなる一方の中で、”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” の感想まとめです

 

■「ブランクスペース」熊倉献(既刊2巻)
ツイッターの第一話掲載がバズってたのを機に購入
”すこしふしぎ” な超能力を持った女の子の話ですが、始まりはほのぼのとしつつ、途轍もない不穏さを徐々に醸し出してくる空気感みたいなのが凄いです
”想像力”ってやつは時に暴走もするし自分にも誰にも得にもならない ”妄想” と区別がつかなくなるのが厄介ですが、人間にとっては必須の、無ければ文化も進化も発展もないんだろうなとか考えちゃったりなんかしちゃったり


■「じょしまん。」吉田丸悠(全3巻)
アフタで「大上さん、だだ漏れです」を描いてた作者の新作
少女漫画家志望(秘密)の陽キャ女子高生と、既にエロマンガ家としてデビュー済みの陰キャ同級生(巨乳)の二人の青春マンガですが、昨年までマンガワンで連載されてた「あーとかうーしか言えない」にインスパイアされたのかなとか思ったり
マンガ業界モノとして考えると、プロという ”本番” に入る前にまとめられてしまった感が残念ですが、初々しい関係性を描ききった感はとても可愛らしかったです


■「ダンジョンの中のひと」双見酔(既刊2巻)
RPGでお馴染みのダンジョンには、徘徊するモンスターやら宝箱のアイテムが当たり前の様に存在してますが、果たしてその裏側はどうなってるのかを大真面目に考察している異色のダンジョン ”運営” マンガですが、ほのぼのタッチと妙にシビアな設定の同居っぷりが興味深くて楽しすぎます


■「異剣戦記ヴェルンディオ」七尾ナナキ(既刊2巻)
すっとぼけた作風ですが、前作「Helck」の始まりも冗談みたいなふざけた絵柄と設定だったのが、徐々に重厚な世界観や激アツなドラマが展開していったのに驚かされたものです……マンガ好きとして、今作にも全幅の信頼を置いてます


■「ドキュンサーガ」いとまん(既刊3巻)
まず作者にはアフタで「発症区」という、非常にマニアックだけど抜群の面白さの能力バトル漫画が3巻で打ち切られてしまったという過去があります

今作はそんな作者の個人サイトにてアップされてるんですが、世に溢れる ”なんちゃって中世風ファンタジー世界” を揶揄するというか、完全にケンカを売るような内容wで始まり、(打ち切りの鬱憤晴らしか)”好き放題描いてやる!” 感が溢れまくってましたが、描いてるウチに本気になったのかとんでもなく深く世界設定が作り込まれていくことに…

その世界観の成立の歴史的経緯がまるで過去から未来にかけての壮大な ”人類史” の暗黒面をシミュレートする地獄の様な展開に当然賛否は分かれるでしょうが、おそらく思想的や倫理的な ”表現の束縛” が限りなくゼロに近い商業作品の一つとして、日本のマンガの ”多様性” の象徴でもあるのではないかと本気で思ってたりします


■「今日のさんぽんた」田岡りき(既刊3巻)
サンデー本誌に出張掲載されたのを機にポチりました(←犬マンガなだけに)


■「め組の大吾 救国のオレンジ」曽田正人(既刊3巻)
90年代のサンデー黄金期を支えた名作の正統な続編が月マガにて連載中です

随所に、近い将来における未曾有の大災害に臨場している主人公達のシーンが挿入されるんですが、火山の噴火か隕石なのか、タイトルに ”救国” とまで付いている壮大さに引き込まれます……旧作の甘粕だけでなく、デビュー作「シャカリキ!」や前作「Change!」のキャラまでが登場していたりするので、作者としても自らの漫画家人生の集大成的な作品にしようという意気込みなのかもしれません


■「AIの遺電子 Blue Age」山田胡瓜(既刊2巻)
シリーズ3作目は須堂がまだ研修医の頃に時代が遡って、AIが限りなく人間に近い存在となった物語の基本に立ち戻ったカンジですが、現代人の感覚の延長線上に確実に存在する ”人間性” の描写が相変わらず秀逸です


■「リスタート!~34歳ゲームディレクターのつよくてニューゲーム~」坂木原レム(既刊2巻)
スクエニだかセガだかを合わせたカンジなゲーム会社を舞台に、1995年からタイムスリップしてきた伝説のディレクターがスマホゲー全盛の現代でもその能力を遺憾なく発揮する ”おっさん接待” な展開ですが、おっさん読者としてはその狙いに見事にハマってワクワクが止まりませんヽ( ̄▽ ̄)ノ


■「てづくりの魔法」木村胡麻(既刊1巻)
”まるで縄文人だ” というヒロイン像から始まる斬新なw、大小様々な小道具や料理など生活の彩りを少し華やかにしてくれる ”てづくり” アイディアが楽しいです……正直、絵はまだ拙いんですが、それがてづくり感を増してる作風に繋がってるのがまたいい


■「僕はまだ野球を知らない・Second」西餅(既刊1巻)
全5巻で打ち切りの憂き目にあいながらも、作者が執念で続きをアップしている新作の第一巻ですが、すっとぼけたコメディ要素と最新の理論に裏打ちされた本格派な野球要素の組み合わせに、更に ”熱血” 要素までが加わり始めて面白さが大幅に加速してます


■「高円寺純情貧乏」西餅(既刊1巻)
すぐ上の「ぼくまだ」ではその片鱗しか出していない、この作者お得意の ”奇人・変人” 要素の全開っぷりが清々しい快作(怪作)です

今まさにコミケという世界最大級のコンテンツ即売会が(二年ぶりに)開催されてますが、電子書籍ならば更に自費出版が容易になった昨今、”編集者” という最低限の社会性のバイアスすら一切通過しない剥き出しのコンテンツが商売(生業)として成立している現状は果たして幸福なのか不幸なのか真剣に考えてみる機会なのではないでしょうか(←何言ってるんだ)


■「姫騎士は蛮族の嫁」コトバノリアキ(既刊2巻)
”くっころ” と書くだけですぐに理解出来る人がこのブログを読んでる人にどれだけいるのかわかりませんが、まあ要するにそれ系のある意味正統派です
個人的に「進撃」終了後の別マガで一番楽しみにしてるのが本作で、”蛮族” への無理解が丁寧にほぐされていく過程や、ありそうでなかった世界観設定が実に趣深くて、何より主人公の有能さとポンコツ具合のバランス感覚が絶妙です


■「川尻こだまのただれた生活」川尻こだま(既刊5巻)
ツイッターで書き殴られてる自堕落日常エッセイをまとめたものです
上で自費出版の隆盛についてちょっと書きましたが、今作は完全に無料のkindleコンテンツなのに、ダウンロードされて読まれるだけでなにがしかの ”利益” が出てるという作者の言葉がホント謎で、広告が表示されるわけでもないし一体どういうからくりでマネタイズされてるのが不思議でなりません……はっ…もしや、いな○やがスポンサーに?(多分違う)


■「オッドタクシー」肋家竹一(既刊3巻)
今年放送された ”謎アニメ” のコミカライズ版ですが、アニメ版とは微妙に解釈違いな部分もあったりして新鮮に楽しめます

ちなみに2021年最大のダークホース作と呼ばれたアニメ版はアマプラとかで見られますので、機会があればなんの予備知識もないままに是非とも見て貰いたい作品です


■「逃げ上手の若君」松井優征(既刊3巻)
「暗殺教室」作者の新作ですが、時代劇の題材として(戦国や江戸でなく)マイナーな鎌倉から室町にかけての設定でも勝算はある、大ヒットさせてみせるという自信が伝わってくる面白さでした


■「菌と鉄」片山あやか(既刊1巻)
主人公が ”徹底した管理社会” に抗い、”世界の謎” に挑むというフォーマットはちょうど最新作が公開されてる「マトリックス」シリーズなんかにも通じる定番のSFネタなので、後は設定や演出でいかに独自性を出せるかが勝負所なわけですが、”菌類” をベースにしてる世界観は興味深いです


■「地球から来たエイリアン」有馬慎太郎(既刊2巻)
エコを取るのかエゴを取るのか、遠い未来の遙か彼方の植民惑星の開発に纏わるSF生態系ミステリーで、「動物のお医者さん」を彷彿とさせる濃いキャラ達によるアカデミックなコメディ要素と、SFならではのミクロからマクロなスケールまで発想の柔軟さがとても面白いです


■「羽人」宮尾行巳(既刊2巻)
中華系のファンタジーにはあまり馴染みがありませんが(最近だと「薬屋のひとりごと」くらいか)、権力闘争や ”不死身伝説” をモチーフにしたドロドロの展開は非常に重いですが、軽妙なやり取りも多くて結構笑えたりもします

ちなみに同作者の「五佰年BOX」が好きで今作も買ったんですが、「羽人」の前にゴラクで連載していたのを知らなかったです(不覚)……そっちも面白そうなので後で買おうと思います


■「スノウボールアース」辻次夕日郎(既刊2巻)
庵野秀明の帯コメントをきっかけに購入したんですが、”「トップをねらえ」のもう一つの世界線” みたいなのが裏テーマとしてありそうな作風ですな……おっさん読者としては一部の ”少年マンガ” なノリがちょっとキツい部分もありますが、これくらいなら ”燃え” の方が上回るッ!( ゚∀゚)o彡゚


■「かけあうつきひ」福井セイ(既刊2巻)
漫才師コンビとしては駆け出しどころかまだデビューもしてない養成所の卵レベルの二人で、作中の描写もネタそのものよりも ”萌え” 日常系に分類されるカンジですが、”応援したくなる二人” はキッチリ表現されてると思います

作者の前作「ゆこさえ戦えば」が残念な終わり方をしてしまったので今作では是非とも ”4巻越え” を達成して欲しい所なんですが…


■「錬金術無人島サヴァイブ」原作:伊口紺 漫画:保志レンジ(既刊1巻)
無人島でサバイバルする上で ”錬金術” が使えるってのはチートすぎじゃね?と思わせつつ、ちゃんとした ”知識” や ”経験” がないと生かせないという設定が実に巧みで面白いです


■「殺し屋やめたい!」外木寸(既刊1巻)
”女殺し屋と女子学生の恋人同士にその父親が絡んでくる一種の三角関係”…という風に書くとタイトルからしてもゆるゆるなコメディみたいなんですが、設定やアクションは骨太なハード系で、押井守が帯コメントを寄せているのは伊達ではありません


■「魔王の帰還」原作:一穂ミチ 漫画:嵐山のり(全1巻)
オレが考えるアフタヌーン掲載作の典型というか理想形というか、”人間” の弱さや強さの機微が独特のタッチで描写される中でとにかく ”魔王” ことお姉さんのキャラが素晴らしすぎます……原作小説がある作品ですがマンガ好きなら必読です


■「ダーウィンクラブ」朱戸アオ(既刊1巻)
「リウー」や「インハンド」にしても公務員の描写にこだわりがあった風なのでこの作者の新作が刑事物というのも納得です……あと押井守に帯コメント貰うなら上の「殺し屋やめたい」もいいんですが、是非本作の方も

革命志向、テロ、認知不全、犬(ビーグルですが)等々、結構な押井フォロワーな気がしてなりません


■「はじめラブコメ オガベベ」おきらくボーイ(既刊1巻)
一部のキャラ造形やパロディに一切の躊躇が無い作風に80年代にタイムスリップした感が凄いんですがw、ラブコメの処理は流石に現代の手法で面白いです


■「片喰と黄金」北野詠一(既刊6巻)
オレにとっての今年一番の ”オススメ作” なんですが、実はこの作品は打ち切り寸前だったというか、実際には打ち切りが ”決定” してた作品でした……元々の掲載誌は集英社のウルジャンで、単行本の6巻が発売されるタイミングでの連載終了が決定していたのを、講談社の配信サイトであるDAYSに移籍するカタチで継続されることになったというかなり特殊な経歴となっています

19世紀半ば、大飢饉に見舞われたアイルランドから ”新大陸” に渡る主人公達が目指すのは ”黄金” による一攫千金……ゴールドラッシュには ”ならず者” や ”荒くれ者” の負のイメージが大きいのは作中でもツッコまれますが、主人公にはどうしてもそれを目指したい悲惨な境遇や悲壮な覚悟があって、応援したくてたまらなくなるんですよ…(ノД`)

オレは移籍を機に読み始めて、尋常じゃ無い面白さと圧巻の ”人間描写” に何度涙を流したことかわからないレベルで感動したんですが、出版社の垣根を越えてまでの連載継続に、”絶対にここで終わらせるな”っていう強い意志を持った人たちが現場で踏ん張ったんだろうなと今更ながら感謝の念に堪えません

DAYSで ”7巻分” が既に何話か更新されていますが、本来ならこのエピソードは読めなかったんだよなと思いながら読むと感慨深さもひとしおです…(T△T)

 

 

※ここからの一連の作品は ”今年、一巻から買い始めたマンガ” というカテゴリではありません……何度か挙げている講談社の配信サイトDAYSにて出張形式で連載され、続きは掲載本誌か単行本で!という作品を中途から買い始めたものだからです

いわゆる ”異世界転生もの” というジャンルについては、なろう系って要するに素人作品ってことでしょとか、どうせ粗製濫造なんでしょとか偏見に塗れて手に取りもしなかったんですが(好きな方にはホントすみません)、実際に読んでみたら意外な視点や発想が楽しくてハマってしまったのもいくつかあったという次第です

 


■「よくわからないけれど異世界に転生していたようです」原作:あし 漫画:内々けやき(既刊9巻)
作画の人が元々エロ系の人とあって絵柄から読み始めたんですが(←正直者)、特殊能力と前世知識で存分にチートする割には目的はひっそりと生きることであったり、スケール的な拡大傾向をほとんど見せずに進んでいくのが(他もイロイロと読んでみた上では)結構珍しいパターンなんですかね……あとエロ要素は思ってたよりも全然控えめですが可愛いから良し


■「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」原作:FUNA 漫画:モトエ恵介(既刊9巻)
こちらは不可逆的な転生ではなく異世界と現世を自在に行き来するパターンで、事故で家族を喪い天涯孤独となった主人公が求めるのは ”老後の安泰” という設定に意表を突かれましたw……基本的な指標が ”お金儲け” なので、様々なパターンの ”経済活動” を現世の知識や技術を駆使していくのが退屈させられなくて楽しいです


■「ポーション頼みで生き延びます!」原作:FUNA 漫画:九重ヒビキ(既刊9巻)
「老後~」と同じ原作者なので登場人物たちの基本的な ”価値観” みたいなのが共有されてる感覚がありますな……”ポーション” と定義すれば内容物も容器もいくらでも改変が可能という能力設定が便利すぎるきらいはありますが、常識的な ”価値観” のおかげでそれなりに波瀾万丈な面白さがあります


■「ライドンキング」馬場康誌(既刊7巻)
プーチンをモデルにした最強の大統領が異世界で ”騎乗” 欲を存分に満たそうとするという意味不明な設定ですがw、絵が「ベルセルク」系で緻密で上手いのでとにかく謎の説得力に納得させられるしかありません


■「聖者無双」原作:ブロッコリーライオン 漫画:秋風緋色(既刊8巻)
”聖職者” という身分、”ヒーラー” としての役割、そして(何故か)どんなに鍛えても ”レベル1” のまま、といった要素が独特の面白さを醸し出してます……一昔前の少女マンガ風のタッチが気にならないと言えばウソになりますが、物語のスケールが段々大きくなってきて主人公の行く末が気になります


■「時間停止勇者」光永康則(既刊7巻)
究極ともいえるチート能力ですが、”時間を停止させる” ことしか出来なくて、一応簡単な魔法みたいなのも扱えるんですが、身体能力的には常人でしかないってのがミソです……例えば大型のボスキャラみたいな敵の弱点を攻撃する為に、時間を止めて何をするかと言えば大がかりな足場を(独力で)何ヶ月もかけて構築しなければならないみたいな不便さがホントに大変そうで…w

ハッキリ言って命がけの苦労に見合わないクエストばかりさせられるんですが、主人公は時間を止めてる間に女の子の服を脱がせてセクハラしまくったりして対価?を得ている事でバランスをとっています(とれてるのかどうかはともかくw)


■「異世界のんびり農家」原作:内藤 騎之介 漫画:剣康之(既刊8巻)
こちらはDAYSではなくKADOKAWA系で、異世界モノへの偏見もほとんどなくなりましたし、セールにつられて購入してみました

”転スラ” はアニメ版を見続けてるので、どういった要素が何が今の若い読者にウケているのかはなんとなく把握してるつもりですが、今作はまるで業務日誌かのように日常が淡々と描写されるだけなので、自分でも何が面白いのかよくわからなかったんですが、次々と続刊をポチり続けてしまう謎の魅力がありますw

 

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■「ベルセルク」三浦建太郎(既刊41巻)
今年も芸能界やら含めて哀しいニュースがいくつもあった中でどうしても触れておきたいのが三浦建太郎の訃報です(漫画家では他にさいとうたかを、白土三平、佐伯かよの、アニメ界では大塚康生、信本敬子なんかも……ご冥福をお祈りします)

昼も夜もない執筆生活で、漫画家には ”60歳寿命説” なんてのがまことしやかに囁かれる程の過酷な商売ですが、それにしたって54歳は若すぎですよね…

実は41巻を買ってからまだ読んで(読めて)ないんですが、これが最終巻となってしまうのを認めたくありません…(T△T)

こちらは録画を消化してた中に、たまたま訃報の直前(4月)に「ベルセルク」を紹介してる番組があってうううとなりました…

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[マンガ] 「進撃の巨人」完結

2021-06-09 | マンガ

12年にも及んだ長い物語が完結しました


こちらは10年ほど前に書いたエントリですが、まだアニメ版の影も形もなく、”大” ブレイクする寸前の空気感みたいなのが伝わってくるかと思います……中世風の街並みに巨大な壁、人類vs巨人、立体機動といった独特の世界観の中で、作者の死生観や政治観が色濃く表現されてる様は(絵柄はともかく)若干23歳の新人漫画家とはとても思えなくて、たまたま第一巻の発売日に表紙買いした自分を今でも褒めてやりたいですねw


「ベルセルク」の三浦建太郎という偉大な才能が(志半ばで)喪われてしまった衝撃も冷めやらぬ中、日本漫画史上でも屈指の ”世界的影響力” を持った超大作がこうして無事に最終巻の発売を迎えられたことに何より ”安堵” したという心持ちが今のオレの感覚を一番的確に表現しているかもしれません

勿論、2ヶ月前に雑誌連載の方が最終回を迎えるまでは、最後の最後まで読者を打ちのめす展開の連続に翻弄されまくって心中穏やかとは程遠い状態でしたが(^0^;)……ある意味 ”無難” な、全方位に気を遣った感のある結末に様々な意見や賛否はあれど、オレとしては ”美しく” まとまった素晴らしいラストだと思いました

 

 

 

 

以下最終巻ネタバレ注意:

 

 

事前に8ページ追加されると告知されていた描き下ろしは、

・ミカサと始祖ユミルとのやり取り(2ページ)
・エピローグの更にその後(4ページ)
・スクールカースト(2ページ)

でしたが、8ページで何が補足出来るんかなと思ってたら、結構な情報量と驚愕の伏線回収でもありました

一つ目については、”道” においては(死後は)ずっと少女の姿だった始祖ユミルが成長した女性になっていて、これはミカサを通じて ”愛”(の一つの側面)を知ったってことなんでしょう……ミカサの頭痛が、”愛” する対象の喪失をきっかけに引き起こされていたのは、そこに同期していたユミルの苦痛を同時に味わっていたからだったんですな

二つ目は連載の最終ページがマフラーを巻き直した鳥(エレン)が飛び去るカットだったのを、パラディ島のその後の描写が追加されていましたが、ミカサはおそらくジャンと結ばれ、子や孫も出来、”個人” レベルでは安らかに人生を終えることはさせられつつも、復興した ”世界” はやはりエルディア人を許さなかったと(きっと様々な ”正義” が入り乱れたんでしょう)
やがて名も無き少年が、30巻で始祖ユミルが遭遇した ”巨大樹” とそっくりになった ”エレン” を発見し、また歴史は繰り返される(かも?)~といったカンジですかね

そして驚愕の三つ目、アルミン達によって語られた「進撃の巨人」という物語が ”現代社会” で公開されてるという実にメタなネタで、(雑誌の最終回について)世界中の喧々諤々のやりとりに作者は心痛めてたとインタビューがありましたが、まさかこんなカタチで昇華させてしまうとはw

確かにエレンが見た未来の光景の中にごくごく小さく例の二人が描かれてはいましたが、あのスクールカーストの世界をこんな風にオチに使ってくると予想出来た ”考察班” の人はいるんでしょうかσ(^◇^;)


”もし…次回作があったら…”

新作が「進撃」と関連したものなのか、全くの別物語になるのかはわかりませんが、作者はまだまだ30代半ばという驚愕の若さですし、作中でも作品外でも余りにも影響力が肥大化してしまったデビュー作のプレッシャーに負けず、新たな作品を生み出し続けてもらいたいです

 

アニメ版の完結も楽しみ!ヽ( ̄▽ ̄)ノ 

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[マンガ] 今年のマンガ2020年

2020-12-31 | マンガ

昨年の秋頃から問題視されてはいましたが、まさか2020年が丸ごとコロナに脅かされるに終始する年になってしまうとはなあ…

本来なら東京オリンピックが一番の話題になって、日本中がそれなりに ”前向き” になれてたハズの年だったと思うんですが、オレ個人にとってはコロナの影響をモロに受ける職場なので気苦労ばかりの年でした

収入は減りつつも失業までは当面なさそうですが、来年はどうなることやら…(-_-;)

まあしんどい事を挙げてたらキリが無いので、引きこもり生活のオレの精神の支えとなってくれた両輪である配信サービスとマンガの存在に改めて感謝を捧げつつ、”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” の感想まとめです

 

 

 

■「東独にいた」宮下暁(既刊3巻)

社会主義体制下の東ドイツを舞台に秘密警察と反政府組織の暗闘が描かれる作品ですが、なんていうか個人的には(この10年であちこちから湧いて出た)”進撃イズム” みたいなのを最も色濃く継承している作品な気がしてなりません

登場人物がほぼドイツ人で一人だけ東洋人という設定だけでなく、絵柄の荒っぽさと相俟ったケレン味あふれる超人的な戦闘描写や、死生観、政治劇といった要素がひょっとして元アシとか?とつい勘ぐってしまうほどにイメージが重なるんですよ(何より面白さが抜きん出てる)


■「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」原作:島田荘司 漫画:嶋星光壱(既刊2巻)

かつてオレが島田荘司という作家に、ひいては本格ミステリーという ”沼” にハマるきっかけとなった小説が原作なんですが、漫画化してる人が全力を出した?結果、漱石視点のホームズの狂いっぷりと、ワトソン視点のヤバさがとんでもないことに(←どっちもおかしいんかいw)


■「ミステリと言う勿れ」田村由美(既刊7巻)

マンガ大賞だったかのランキングを見て何の予備知識もなく買ってみたんですが、こりゃ新手の ”タイトル詐欺” かとw、これ程よく出来たミステリ作品もそうそう無いぞといい意味で見事に裏切られました

いかにも小栗旬や大泉洋辺りを使ったドラマ化を狙ってそうですが(さすがに大学生という設定は改変が必要かw)、人の心にいつの間にかするっと入り込むメンタリストなキャラ描写は難易度高そうなので、やるからには相当気合い入れてやれよと(←謎の上から目線)


■「戦争は女の顔をしていない」原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 漫画:小梅けいと(既刊2巻)

第二次世界大戦中の女性目線、とは言ってもいわゆる ”銃後の暮らし” などではなく、洗濯部隊から軍医、狙撃兵、機関士、飛行士などソ連軍に ”従軍” した様々な立場の女性たちの視点というのは、(オレが男だからというだけでなく)ほとんど発想すらしたことがないエピソードばかりでかなり衝撃的な内容でした


■「半助喰物帖」原作:草香去来 漫画:灯まりも(既刊4巻)

ジャンルとしてはいわゆる ”タイムスリップ無双系” なんですが、過去から現代にやってくるパターンは珍しいですし、特に偉人でも有名人でもない幕末の侍が ”食文化” という共通項を手がかりに現代のヒロインと交流を深める様がとても面白いです大好き


■「国境のエミーリャ」池田邦彦(既刊2巻)

漫画家としてデビューしたのが40過ぎで、「カレチ」等の激シブな鉄道モノを何作も手がけてる作者による架空の戦後史を舞台にしたまさかの ”女スパイ” モノです

共産主義体制下の日本における悲喜こもごもが地味に面白いんですが、どう見ても ”おっさん” 向けの絵柄と構成なのに ”萌え” 要素やらにも果敢にチャレンジしてる姿勢も大いに応援したいです


■「宙に参る」肋骨凹介(既刊1巻)

ガンダム世界の様な巨大なシリンダー型コロニーが多数地球圏にある近未来SFで、でもそこに暮らす人々の生活感はお葬式、お役所、食堂のカレー、エキナカ、おでん屋チェーンといった、”現代の日本の延長線上”っていうギャップがとても素晴らしい

あとこの ”すっとぼけた絵柄で実はハードな世界観” を描写する感覚はあさりよしとおの作風を彷彿とさせますな


■「アンドロイドタイプワン」YASHIMA(全3巻)

”機械に魂は宿るのか?” 系の王道SFですが、人間側がどう認識するのか、そもそも魂とは何なのかという視点が ”シンパシー(Sympathy)” とは似て非なる、”エンパシー(Empathy)”(同じ ”共感” という訳語でも、前者は相手を思いやっての感情で、後者は相手と自分を同一視する感情)をキーワードにより深く掘り下げてるのが特徴でしょうか

近未来社会の細かなガジェットの設定などオレ的に好感度高かったんですが、3巻で急にハナシが畳まれてしまったのにしょんぼり…(オチそのものは結構好き)


■「水溜まりに浮かぶ島」三部けい(既刊2巻)

小学生男子が凶悪な殺し屋と魂が入れ替わってしまう、物騒な「君の名は。」…あるいは変則的な「名探偵コナン」かσ(^◇^;)

中身が大人な小学生の方はともかく、逆側は一方的に無理ゲーなのではという危惧はまさにその通りなんですが、毎回の綱渡りにハラハラしながら夢中になって読んでます


■「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」漫画:小玉有起 原作:舞城王太郎(全3巻)

作家の舞城王太郎がアニメ用に構想したオリジナル作品で、なんていうか通常のミステリーをひっくり返した ”倒叙モノ” というジャンルを更に(SF的なガジェットを使って)時系列ごとひっくり返したみたいな不思議な作風で、深層意識や無意識なんかをビジュアル化する ”何でもあり” な世界観が楽しめるのはサイコダイバー物のお馴染みの設定ですがミステリー的にも非常に魅力的です

今年の1~3月期のアニメ版の放送終了に合わせて1巻が発売されたんですが、単なるコミカライズではなくて実は ”続編”だったっていうのがアニメの最終回を見ると判明するという仕掛けになっていて二度美味しかった作品です


■「怪異と乙女と神隠し」ぬじま(既刊2巻)

主人公達が働くモデルとなっている本屋(現存せず)には思い入れがあったので泣けたという個人的事情はさておき、”怪異” への恐れと畏れ、そしてエロの吸引力に人間が抗えないのはいつの世も不変であるという事を実感させてくれます

あと令和の世にもし江戸川乱歩先生が生きて、川崎に暮らしていたらこんな物語を紡いでくれていたかもしれないなと妄想w


■「パリピ孔明」原作:四葉タト 漫画:小川亮(既刊3巻)

タイトルからは全く面白そうに思えなくてスルーしてたんですがDAYSの無料チケットを機に読んでみたらメッチャ面白くて慌てて1巻をポチりました……まさかこんなに大真面目なw音楽(業界)モノだったとは( ゚∀゚)o彡゚

転生した天才軍師が芸能界を相手に様々な計略を巡らすわけですが、三国志に詳しい人はもっと深く楽しめるんだろうなと思うと羨ましいです


■「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」山田鐘人(全2巻)

後述の「葬送のフリーレン」の原作者の過去作という事でポチったんですが、リアルで人恋しさが募りまくりのコロナ情勢下で読んだのが奏功したと言っていいものか、「フリーレン」にも(ほぼそのまま)引き継がれてるすっとぼけたギャグと ”終末” の悲哀の組み合わせがとても良かったです


■「ベアゲルター」沙村広明(既刊5巻)

「波よ聞いてくれ」のアニメ版がとてもいい出来だったので、何となく勢いに乗ってポチってみたら余りのヤバさに(作者の志向(嗜好)としてエロもグロもバンバンやる人だというのは勿論知ってましたが)”これ本当に少年誌で連載してるのか?” と本気で疑ってかかる羽目に陥りましたw


■「将軍足利義昭 信長を一番殺したかった男」しまたけひと(全1巻)

作者の「敗走記」(→感想)の続きをずっと待ってたんですが、”歴史を追体験する” アイディアがこの様なカタチで結実した新作を読めて良かったです(T∀T)

無能っぽい印象しかなかった義昭の見え方がガラリと変わり、大河「麒麟がくる」とリンクしてる要素も楽しく読めました


■「とんがり帽子のキッチン」漫画:佐藤 宏海 原作・デザイン:白浜 鴎(既刊2巻)

「とんがり帽子のアトリエ」のスピンオフ作品ですが、「ダンジョン飯」のヒットによる ”ファンタジー世界でもグルメ物をやっていいんだ!” というインパクトは凄かったんだなというのを改めて感じざるを得ません(ジャンプの「トリコ」は料理を主体としてるとは言えなかった気がします)

…ふと大変なことに気づいてしまったんですが、ファンタジー世界の実在しない食材も、「美味しんぼ」等のグルメ物に登場するそうそうお目にかかることの無い高級食材も、一般人のオレにとっては(手の届かないという意味で)同じような存在なんじゃねという哀しさ…(ノД`)

まあそれはともかくキャラや料理の描写も原作再現度というか、クオリティが高くて(誌面だと本編と本作で連続して掲載されてるのにも関わらず)全然違和感なく読めるので楽しいです


■「空母いぶき GREAT GAME」かわぐちかいじ(既刊2巻)

中国海軍の次はロシア海軍を本気で相手にすると…

前シリーズに続き、自衛隊も日本政府も(実状を逸脱して)無茶をしすぎるのがハラハラして面白いんですが、基本的に米軍に全く期待できないカンジなのがリアルすぎて何だかなあと(^_^;)


■「殺し屋は今日もBBAを殺せない」芳明慧(既刊2巻)

まさか令和の世に ”ながいけん閣下” の後継者が出現するとは…w


■「テロール教授の怪しい授業」原作:カルロ・ゼン 漫画:石田点(既刊2巻)

テロリズムとは切っても切れない関係にある ”洗脳” という ”テクニック” について学べる作品です……”洗脳” は決して一部の政治団体やら宗教団体にとっての特殊で謎な技術などではなくて、実は身近にありふれているという側面を知るだけでも今作を読む価値はあるかと思います


■「iメンター」小出もと貴(既刊2巻)

遺伝子情報を元に国民の管理が行き届いた一見、ユートピアの様なディストピア社会を描写してる近未来SFですが、「PSYCHO-PASS」の世界観が好きなのでこちらも非常に楽しんでます

人間の発想や判断力がシステムの根幹に必要というのはシビュラなんかと同様ですが、”究極の官僚システム” と揶揄されるシビュラと比較すると管理の実態が結構アナログで、匙加減ひとつでイロイロとどうにかなっちゃうのは好みが分かれるところでしょうか


■「少年のアビス」峰浪りょう(既刊3巻)

前作サンデーの「初恋ゾンビ」が何年も続いてたことで勘違いしそうになってましたが、青年誌ヤンジャンに移ったことで作者本来の作風を剥き出しにして来ました(゚д゚;)

第一話だけは ”推しのアイドルと出会っちゃった” みたいな軽めのイメージなんですが、そこからはひたすらエグい人間模様の連続で、しかも伏線っぽい要素が大量にバラ撒かれてるので全く目が離せなくなります


■「ぽんこつポン子」矢寺圭太(既刊8巻)

垣間見える情報からの「攻殻機動隊」みたいなハードな世界観設定と、お気楽なほのぼのギャグ展開とのギャップが楽しいですな

ツイッター上での島本和彦とのやり取りからのまとめ買いですw

 

■「満州アヘンスクワッド」原作:門馬司 漫画:鹿子(既刊2巻)

舞台が満州国の和製「ブレイキング・バッド」といった趣で麻薬戦争に巻き込まれる純朴な一人の青年の怒濤の人生ドラマです

島国根性とは対称的な ”大陸性” とでも言うべき気質へ、日本人が根源的に抱く限りない憧憬と底知れない恐怖の合わせ技が見事なタッチで描写されていて、夢も希望も悪逆も非道もスケールがケタ違いで面白いです


■「天泣のキルロガー」原作:菅原敬太 作画:井上菜摘(全3巻)

一種の ”吸血鬼モノ” に分類される作品だと思うんですが、”殺人者” を見分けられる能力を持った主人公と、”殺人者”を捕食しないと生きていけないヒロインの設定が面白くてWebアクションで読んだ時点で発売されてた1~2巻をポチッたら、3巻で打ち切られたという…orz

上述の「~タイプワン」にしてもそうですが、アクション編集部の打ち切り判断早すぎ…


■「オオカミライズ」伊藤悠(既刊3巻)

分割統治された日本が舞台という部分では同じで、上述の「エミーリャ」は架空の戦後史でこちらは架空の近未来の設定なんですが、”起こり得る” 世界観としての危機感がシャレにならんレベルで生々しくて恐ろしい…

ちなみに ”電子機器が無効化され、近接戦闘が主戦場となった日本で孤児達が戦う” という、まさに ”もう一つの「鉄血のオルフェンズ」” といった趣なんですが、「鉄血~」の物語案の一つだったのか、キャラクターデザインを手がけていた際に独自に物語が作者の中で膨らんだのかとても気になります


■「葬送のフリーレン」原作:山田鐘人 作画:アベツカサ(既刊3巻)

”魔王討伐” という究極イベントを終えた ”後” から始まる物語ですが、「このマンガがすごい2021」で堂々の第2位、サンデーから久々のブレイク作品が誕生しました

静かな叙情性と軽妙洒脱なユーモアのあふれる作風なんですが、”魔王” がかつて存在していた物騒なファンタジー世界でもあることが要所にて結構シャレにならんピンチを招いてるのが怖い(^0^;)


■「龍と苺」柳本光晴(既刊2巻)

”女に将棋は向かない” と、昨今のポリコレ姿勢なんざ糞食らえな勢いで断じてくる世界観で(女性のプロ棋士がまだ一人も存在していないという ”現実” に即した価値観ではあるんですが)、そこに殴り込みをかける天才少女という構図が実に爽快感に溢れています

あらゆる意味で ”浮いてしまってる” 主人公を支える(或いは抑える)、元校長やタッキーといった脇のキャラがとても魅力的なのも素晴らしい


■「スインギンドラゴンタイガーブギ」灰田高鴻(既刊2巻)

終戦直後の東京における荒々しい文化風俗を背景にした一人のベーシストと歌姫のシンデレラストーリーですが、いやはやモーニングはこういう独特のタッチの漫画の才能を見つけるのが相変わらず上手いですな

時折見せるゾクッとくる色気のある絵がたまりません


■「ジュピタリア」梶山昊頌(既刊2巻)

”SFの王道” みたいなのを定義するのはナカナカ難しいですが、個人的には ”宇宙の怖さ” をしっかりと描写している作品が(SFの一つのジャンルとして)そうなのかなと考えてたりします……”空気が無い” ”無重量” ”スケール感” といった、わかりやすく ”地球上ではあり得ない” 事象や現象が作中でどう扱われてるか、今作も多大な影響を受けてるっぽい「プラネテス」や、少し前だと「彼方のアストラ」や連載が中断している「MOONLIGHT MILE」なんかも同ジャンルですかね

少年マンガっぽさがいい意味でも悪い意味でも強いのでちょっと読者を選ぶ傾向はあると思いますが、木星圏を舞台にしてるというだけでもかなり挑戦的だと思いますし応援していきたいです


■「推しの子」赤坂アカ 横槍メンゴ(既刊2巻)

タイトルの ”推しの子”ってそういう意味なのか!…というのが一番の驚き


■「賊軍 土方歳三」赤名修(既刊2巻)

幕末まっただ中、沖田総司が実は死んでない~という展開から始まるんですがその設定はあんまり生かされて無くて(おそらく明治の世に入ってからが本番?)、連載の最新話で日本の歴史的タブーともいえる ”南北朝以来の天皇が二人いる” 状態になっていて、会津の方こそ官軍なんだという展開がめちゃめちゃ面白いです

”東武皇帝” やら ”東北朝廷” なんて言葉は完全に初耳でしたし、ここからどの様に日本史から ”葬られて” しまうのか、刮目して読んでいきたいと思います


■「ヨリシロトランク」原作:鬼頭莫宏 漫画:カエデミノル(既刊1巻)

一種の思考実験的な作品と言いますか、”殺人者を殺すと被害者が生き返る” という風に改変された世界で、SFやら時代劇やらメルヘンやら何でもありなシチュエーションの物語がオムニバス形式で語られます

原作を手がけてるのがあの鬼頭莫宏ですから、どのエピソードも一筋縄でいくわけがないのは言うまでもありませんが、経緯はどうあれ改変されてしまった世界で人の倫理観や価値観はどう変容してしまうのか、死刑制度を始めとした法の整備はどうなるのか……改変後の世界から ”現実” への否応の無い対比から読者は逃れられなくなります


■「メダリスト」つるまいかだ(既刊1巻)

フィギュアスケートの技術とメンタルの要素を上手く絡めつつ、連載が始まってから毎回がクライマックスな盛り上がりなのがとにかく凄い

もちろん緩急はきちんとあるんですが(カタルシスのために ”落とす” 展開にも容赦がない)、基本のテンションの高止まりが凄くて(イロイロと)大丈夫なのかと心配になるほどw


■「リサの食べられない食卓」黒郷ほとり(既刊3巻)

当初は吸血鬼モノにグルメ成分をちょっと重ねたくらいの印象だったのが、作者自身も認める ”すこしふしぎ” の方のSF成分がマシマシになってきて単行本の購入に至りました

去年の感想で挙げた「ノケモノたちの夜」、上述の「フリーレン」、そして今作の担当編集者が同じだと知って、ああなんか手のひらの上で転がされてた感が軽い衝撃と共に心地よかったりもw


■「友達として大好き」ゆうち巳くみ(既刊1巻)

第一話のインパクトが凄いんですが一巻ラストまで読むとこのコに(上から目線で)ちょっとおかしくね?とか思ってた自分をひっぱたいてやりたくなります

”他人” と思いや感情を共有する為に言語化する事は難しいですが、”ルール化” を始めハッとさせられる演出の数々が素晴らしいです


■「怪獣自衛隊」井上淳哉(既刊2巻)

海上自衛隊を本格的に題材にしたエンタメは珍しい印象ですが(かわぐちかいじと福井晴敏でほぼ寡占状態かと)、”海洋国家” の日本で勿体ないなと常々感じてた俺得ホラーアクション大作です

「シン・ゴジラ」ではあんまりいい所を見せられなかった海自が大活躍!…というワケでもないんですが(ここまでの所)、脇役としての見せ場は微に入り細に入りで地味に嬉しい


■「クレイジーフードトラック」大柿ロクロウ(既刊1巻)

クレイジーとフードとトラックが登場するマンガです(←ひどい紹介だw)

世界が荒廃してるのと物資がそれなりに豊富なのが両立してる感覚がちょっとよくわからない世界観ですが、まあ細かいことは気にせずに楽しんでいきたいと思わせてくれる作品です

 

■「結婚するって、本当ですか」若木民喜(既刊2巻)

”おひとりさま” なんて言葉が流行して久しいですが、男女ともに中高年の未婚率がとんでもない数字になってしまっているというニュースの責任の一端を担う者としてはホント申し訳ないとしか言いようがありません

せめてフィクションの上ではという意識がオレの中にもあるのは情けない限りですが、恋人同士や夫婦同士というのとはまた違った ”結婚” そのものをテーマにした作品が世に増えてる気がするのはまさに世の中の流れなんでしょうな…

 

■「また来てね シタミさん」漫画:隆原ヒロタ 原作:青木潤太朗(既刊1巻)

”晴らせぬ恨みを晴らし、許せぬ人でなしを消す”(「必殺仕掛人」より)……殺し屋稼業モノというのは時代を越えて様々な派生作品を生み出し続けてますが、本家の ”必殺” からして(殺し技の)イロモノ競技みたいになっていった事が示唆しているように、設定のインパクト勝負な側面からは逃れ得ないジャンルなわけですが…

美少女が殺し屋という設定だけでは弱いと判断し、今作では日本各地の ”ご当地もの” を凶器に使用するという物凄いバクチに出ておりますw……都道府県を全て制覇するまでは連載が継続することを願ってやみませんが果たして吉と出るか凶と出るか


■「ダーウィン事変」うめざわしゅん(既刊1巻)

知能も意識も人間と同等(かあるいはそれ以上)の存在を目の前にした時の社会の反応を描写(シミュレート)する系の作品はホント大好きです

アフタ連載ということもあって「寄生獣」を彷彿とさせますが、人間とチンパンジーのハイブリッドであるチャーリーは ”異種” として唯一無二の存在である事から更に ”先鋭化” した思想や展開も期待できそうです


■「豊作でござる!メジロ殿」ちさかあや シナリオ:原恵一郎(既刊3巻)

江戸時代の ”郡奉行(こおりぶぎょう)” という農政を司る耳慣れない役職の主人公が当時の農業の諸問題の解決に尽力する物語です

ミステリやサスペンス仕立てだったり、現代農業との比較だったり(まさに農作物よろしく)バラエティ豊かなエピソードばかりでめちゃめちゃ面白いんですが、ほぼおっさんしか出てこないストイックさに編集の判断が介入?したのかw、2巻から登場する妹ちゃんがかっこかわいくて好きです(時折強くなる水木タッチも好きw)

最近は稲作をテーマにしたインディーズゲームが異例のヒットを飛ばしたりもしてるそうですが、「メジロ殿」も広大な農地や巡る季節の描写など地味に ”時空間” のスケールが大きいので、映画でもドラマでもいいのでこういう作品にこそ最新のCG技術を投入して ”滋味豊か” な時代劇作品を期待したいものです


■「走れ!川田くん」伊佐義勇(既刊2巻)

コミュ障気味で何の取り柄も無いと思われてた主人公が長距離走の才能を見いだされて~というありがちな展開ですが、要所要所の理論解説やレース展開が面白くてDAYSの連載も普通に楽しんでたんですが、もう一人の主人公が覚醒するシーンが激アツだったので慌てて単行本の購入に至りました(その展開は4巻辺りに収録?)


■「怪獣8号」松本直也(既刊1巻)

連載開始早々、マンガ好きたちがネットで大いにザワついてたので1巻の発売を楽しみにしてたんですが、こりゃ想像を遙かに超えて凄いですな(゚д゚;)

ジャンプの王道要素を詰め込みまくりな上に、作品世界の ”リアリティ” の構築の手法がとにかく秀逸で、膨大な背景設定を匂わせつつも読み手に一瞬も停滞させることなく読ませるキャラ描写や構成力がハンパなさ過ぎです


■「JUMBO MAX」高橋ツトム(既刊1巻)

伊集院光がラジオで ”大人のドラえもんなんじゃないか” 的に紹介してたのを聴いて購入してみたんですが、「満州アヘン~」よりも更にストレートに和製「ブレイキング・バッド」な趣もあって(主人公の重度EDの中高年男のモデルも伊集院っぽいw)これは実にヤバいです 


■「リコさんブッチギリです!」大田均(既刊1巻)

今どきのスポーツマンガは何となくの精神論が許されないと言いますか、(例え最終的には精神論に行き着くとしても)普段の練習法から技術論に至るまでをキッチリと構築するのが当たり前で、後はどの様なインパクトをキャラや展開で読者に提示するかが勝負なワケですが、今作の場合はまさかの、”ギャル” と ”卓球” の組み合わせというギャップで、これは意表を突かれまくりで好きですw


■「紛争でしたら八田まで」田素弘(既刊4巻)

古くは「沈黙の艦隊」「オフィス北極星」「大使閣下の料理人」等、国際的なスケールの政治劇や交渉劇を描写するのが伝統的に強いモーニングに ”ビッチ系” w才女の新顔が加わりました

個々の案件のスケールはそんなに大きくはないものの、人種、民族、宗教、イデオロギー、経済、紛争といった、地球上の全ての人類の根幹に関わる問題が入り組んだ題材の割には正直、絵のタッチが軽すぎる感がどうしても否めないんですが、これが劇画タッチだと重すぎるんだろうなというのも理解出来るので現状が丁度いいバランスなのかもしれません


////////////////////////////

 

以上、46作品の感想を書いてきましたが、去年の24作品と比べて倍増してるのはコロナの自粛生活の影響が少なからずあると思います…

毎年言ってる気がしますが、ずっと読んでる連載作についても感想をいくらでも書きたいんですよ……今年の新刊をざっと振り返るだけでも、いよいよあと数回で連載が完結する「進撃の巨人」、60巻に至っても全くテンションの落ちない「キングダム」、奇跡の維・維コンビによるコミカライズ「化物語」、五百旗頭さんが編集長になって益々実写ドラマ版の続編が見たくなった「重版出来!」、コメディとシリアスのバランスが神がかってきた「ハコヅメ」、インディーズの底力「GROUNDLESS」、いろんな意味で頭のおかしい「ゴールデンカムイ」、精緻な世界観が相変わらず凄い「図書館の大魔術師」、ちばてつや御大の自伝エッセイ「ひねもすのたり日記」、今年遂に最終巻が発売された「銀の匙」、ずっとハイレベルで面白いのに何故か埋もれたままの「ノケモノたちの夜」、無念の5巻で終了も作者が執念で続編をネットに書き続けている「僕はまだ野球を知らない」、打ち切り候補から崖っぷちで粘り続けてる「アニメタ!」…etc etc

更に言えば連載を読んでるだけだったり、コロナ禍以前のネットカフェなんかで読んでるだけだったりの ”単行本は買ってないんだけど…” という更に多くの作品群でもちょっと書きたい事もあったりするんですが、もうそうなるとキリが無いどころでは無いので…

 

もうすぐ2021年を迎えますが、今年は劇場で映画を見る機会が激減したり、一度たりともネットカフェやらスパリゾートなんかにも行けなかったので、とにかく一日も早くコロナ騒動が収まってくれることを願ってやみません

 

全身全霊を込めて、よいお年を!

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[マンガ] 今年のマンガ2019年

2019-12-31 | マンガ

もう一年……また一年が終わってしまう…(呆然)

いや一年どころか、今年で ”平成の30年が終わった”ってのがもう実感的に体感的に衝撃的やらなんやらで…

来年、っていうか明日から ”2020年” ですよ!?

311から9年、911から18年が経っていて、「ブレードランナー」も「AKIRA」の時代も超えてしまって…(゚д゚;)
(ルトガー・ハウアーさん、シド・ミードさん追悼……まさか共に2019年に亡くなられるとは…)


ついこないだ、東京オリンピック決定!的なエントリを書いたばかりだったのになあ…
いだてん、最後の最後まで最の高でした!)



…(遠い目)

……

………

キリがないので本題に入ります

一応、”今年、第一巻が発売されたマンガ” の感想を書く趣旨のエントリですが、”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” という風に変更します…って、そんなのどうでもいいですな






■「数字であそぼ。」絹田村子(既刊3巻)
最近モーニングで完結した「はじめアルゴリズム」(全10巻)にしてもそうでしたが、オレは ”数学的なモノの考え方”ってのがかなり好きなんだなと改めて感じます(…かと言って ”数学” が得意だなんて事は口が裂けても言えませんが)

この作品は数学の基礎の基礎から丁寧に教えてくれるカンジがとても有り難いですし、ギャグもキャラも非常にハイレベルで楽しいヽ( ̄▽ ̄)ノ 


■「連載を打ち切られた実家暮らしのアラサー漫画家の親が病で倒れるとこうなる」キダニエル(全2巻)
(主に)ラノベの最近の風潮として、”ひたすら長いタイトルで内容を全部説明してる” 的なのがウケてるとは何となく知ってはいたんですが、長文タイトルとしては本作も最長の部類じゃないでしょうかw

元々はツイッターに掲載されていたものを、DAYSにて連載された事をきっかけに読み始めたんですが、基本的には遅かれ早かれ誰にでも平等に訪れる ”親の死” という境遇についてユーモアも交えつつ綴られたエッセイマンガで、それなりの年齢層には確実に胸に来る描写が多かったです……そしてとても大事なことを学ばせて貰いました


■「ゆこさえ戦えば」福井セイ(既刊2巻)
サンデーで連載が始まった当初は、”「ガッシュ」の亜流?” くらいの印象しかなかったんですが、凶悪な悪魔と最強の能力を持つ少女がタッグを組むド定番のバトル物の設定であるにも関わらず、(タイトルにもある通り)主人公のゆこが ”戦いさえすれば(凄いことになるのに)” とひたすら寸止めな展開で押し通す力業から目が離せないんですよw

個人的にはこのマンガの到達地点はガチで ”世界平和” だと思ってるので是非とも描ききって欲しいものです(*゚▽゚)ノ


■「パトラと鉄十字」真鍋讓治(既刊1巻)
近年はお色気モノの方に比重が偏っていた感のある作者ですが、”第二次大戦の時代にSF要素を混ぜた戦艦バトル物”(お色気もあるよ)という実に燃える要素満載の期待作です

懐かしの「エリア88」の ”地上空母” を彷彿とさせる、”砂漠艦隊” のケレン味あふれる設定とビジュアルが必見です(性に奔放なヒロインもw)


■「愚者の星」遠藤浩輝(既刊1巻)
アフタやイブニングで描いてきた作者の月マガでの初連載作です

サンデーの「蒼穹のアリアドネ」でも感じたんですが、(先ごろ9部作が完結した某)新シリーズによほど引っかかりを覚えたのか ”オレのSWを見せてやる!” 的な気概が誌面を通して伝わって来ますな……前作が不本意っぽく終わってしまったので、今度のは長く続いてくれるといいなあ


■「水は海に向かって流れる」田島列島(既刊2巻)
” このマンガがすごい” の今年度5位にランクインと、「子供はわかってあげない」の実写映画化おめでとうございます

田島列島は短編集も発売されてますが、デビューから一貫して独特の視点と空気感を大事に感情の機微を描写し続けてるのが凄い


■「終末のワルキューレ」作画:アジチカ 原作:梅村真也 構成:フクイタクミ(既刊5巻)
天界を代表する ”13神” と人類の歴史上から選ばれた ”13人” の人間による互いの存亡を賭けた ”ラグナロク(最終戦争)=タイマン勝負” が描写されるんですが、まさに ”荒唐無稽” を絵に描いたようなバトル物です

古今東西、ありとあらゆる ”有名人” が出まくるオールスターバトルは「ドリフターズ」やらの異世界転生モノでは使い古されたネタとも言えるかもしれませんが、何せこっちはトールやらゼウスやらまさに至高神から軍神、戦神もろもろが相手なのでどうやったって1対1の戦いで人類側に勝ち目なんか無いとしか思えないんですが、まあその辺りの仕掛けは是非とも実際に読んで自らの目で確認してくださいとしか言えませんw


■「私はカレン、日本に恋したフランス人」じゃんぽ~る西(全1巻)
ツイッターで作者自身が第一話を丸ごと公開して宣伝する手法もすっかり一般化されてるカンジですが、今作もTLに流れてきたのを見て購入しました

自国文化について自分よりも遙かに造詣の深い他国の人を見ると非常に申し訳ないというか情けない気持ちになってしまいますが、大いに勉強させて頂きました

自分もこれから、より日本を好きになりたいと思います


■「バトルグラウンドワーカーズ」竹良実(既刊2巻)
近未来の日本人が ”職場” としての戦場で奮闘するという設定は過去作「辺獄のシュヴェスタ」「不朽のフェーネチカ」とは大きく違ってるようで、人としての ”強さ” を見いだしていく部分は根底で繋がってると感じました

(ロボット物としては)社会人として地に足の付いた描写が珍しかった「パトレイバー」的な要素も多分に含みつつ、より視野の広がったといいますか、理不尽な業務や上司との軋轢を様々な人生を生きてきた仲間達がそれぞれの経験によって ”戦う” ワクワク感が最高です


■「可愛そうにね元気くん」古宮海(既刊2巻)
いやもうなんていうか恋愛マンガの一種だとは思うんですが、心が鷲づかみにされて無遠慮でブン回されて抉り回される恐ろしいマンガですσ(^◇^;)

まともな人間がほとんど誰も出てこない救われなさが、ここまで来ると逆に ”隙間の無い” 安心感みたいなのにも繋がってる気がしてしまうの実に心乱されますわ…


■「ノケモノたちの夜」星野真(既刊1巻)
”10年に一人の逸材” と個人的には思ってますが、作者はサラリーマン経験を経ていることでデビューが遅かったとはいえ、連載二作目とはとても思えない完成度にサンデーだけでなくマンガ界全体で一番今後を応援したい作品です

最底辺にいた主人公の少女が更なる ”喪失” を経て ”最弱” の存在になるも、傍らには ”最強” がつく~という第一話から劇的な展開なんですが、主要キャラ立てから世界観に必要な情報を過不足無く描写し、しかも物語が出し惜しみ一切無し!という気概でやたらとテンポ良く進む構成なのもホント素晴らしい


■「プラネットガール」大石日々(既刊1巻)
令和の時代の「E.T.」(美少女ver)といった趣で、「ふたつのスピカ」や「うどんの国の金色毛鞠」なんかが好きな人は絶対にハマる日常系SFです

宇宙に出ること自体はそんなに難しいわけではなさそうな世界観なので、いずれ舞台は壮大な宇宙へと移るんでしょうか


■「ヤオチノ乱」泉仁優一(全3巻)
去年のエントリでも一巻のみが発売されてる段階で挙げましたが、無念の三巻打ち切り…orz

完全な打ち切りでしたが、それでも!作者の意地を感じさせる激アツで激燃えな最終巻でした!必読です


■「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」原作:麻生羽呂 作画:高田康太郎(既刊3巻)
タイトルからだけでも既視感のある設定や要素が満載ですがw、”ブラック企業” から解放された主人公っていう視点が(痛快な娯楽活劇の背後で)日本人ならではの叙情性に繋がってる感があって独特の面白さがあります


■「天牢のアヴァロン」原作:浜村俊基 作画:藤澤紀幸(既刊3巻)
今までありそうでなかった ”ロシア文化” を基底にしたSFファンタジーが特徴的で、パワードスーツのデザインや機構もカッコいいです


■「事情を知らない転校生がグイグイくる。」川村拓(既刊4巻)
こちらもツイッター発で人気が爆発してる作品で、こういうストレートな物言いで躊躇も遠慮もせずに恋心をぶつけるスタイルの恋愛モノは「ラブロマ」辺りが起源になるんですかね


■「ヴァンピアーズ」アキリ(既刊1巻)
今作を含めて、「よふかしのうた」やら「リサの食べられない食卓」やら「嘘月」やら最近のサンデー編集部の ”吸血鬼押し” は一体何なんだろうなとちょっと不思議な気持ちに……ってそれは別にいいとして、ゆうきまさみの「白暮のクロニクル」の世界観を共有してるっぽいなと思ったのと、あと島本和彦の言うところの ”カッコいい絵でギャグを!” 理論から派生した、”美しい絵でギャグを!” といった所でしょうかw


■「SHIORI EXPERIENCE シオリエクスペリエンス ジミなわたしとヘンなおじさん」長田悠幸×町田一八(既刊13巻)
こちらもツイッターの一話目を丸ごと載せる宣伝手法から

オレとしては音楽的素養は皆無に近くて、でもジャンルとしての ”音楽マンガ” は結構好きで読んで来た気がします……現在も「ましろのおと」「BLUE GIANT」「はしっこアンサンブル」「空電の姫君」辺りを読んでますが、声も音も出ない(出せない)媒体だからこそ、”こう来るか!”~みたいな作家独自の視点や表現のアイディアがイロイロと練られてる作品が多い気がするからかもしれません

今作における、毎度毎度のライブシーンでの ”マンガ表現の限界” を探求するかのような描写に、”もうこれ以上の表現(感動)は無理なのでは?” と思わされつつ、次の巻ではそれを確実に越えてくるのが見事という他ありません

余談ですが、最近ニルヴァーナの Smells like teen spirit のMV動画がyoutubeにて10億回再生を突破したとニュースになってましたが、その内の5~6回は(洋楽なんて全くと言っていいほど聴かない)オレの視聴数ですw


■「拳児2」原案:松田隆智 作画:藤原芳秀 シナリオ協力:佐藤敏章(既刊1巻)
続きについては一巻の評判次第…的なカンジだったみたいですが、藤原芳秀のツイートによると新作エピソードを既に描き上げてるようで、続刊が決定したとみて良さそうです

それとシナリオ協力の佐藤という方は、「拳児」の担当編集だったのだそうでだからこそ当時の空気感みたいなのを出せてるのかもしれませんな


■「百万畳ラビリンス」たかみち(全2巻)
初出は2015年と少し前の作品なんですが今作を知ったのはツイッターの宣伝とかではなくて、「CUBE」みたいな密室系の映画が話題になってた掲示板とかだったかな……ハリウッド映画的なスケール感と、”畳” という単位で表現されてる純和風なイメージのミスマッチなタイトルに魅かれて読んでみたら一気にハマってしまいました

アニメでも実写でもいいんですが、”映像” として是非とも見てみたくなる世界観でしたねえ


■「あーとかうーしか言えない」近藤笑真(既刊2巻)
エロ漫画誌の編集者が主人公というちょっと珍しいタイプの ”漫画業界モノ” ですが、タイトル通りのコミュ障気味の主人公がもう一人漫画家側にいて、エロ漫画というカテゴリには収まり切らない ”マンガ論” が実にアツい作品です

マンガ家と彼ら彼女らをサポートする編集者を含めたクリエイターたちの持つ感性を、”面白い” と感じる感情の根底にある ”言葉にできない” 部分を、敢えて言葉にしていく様が読み応えあります


■「狭い世界のアイデンティティー」押切蓮介(既刊4巻)
こちらも ”漫画業界モノ” で……って、いや、えっとちょっと別モノというか、島本和彦の一連の業界シリーズから ”狂気(凶器)” の要素だけを分離して純粋培養したかのような恐ろしいシロモノです(爆笑)

しかもこちらは ”富士鷹ジュビロ” なんて忖度した名前では無く、普通に藤田和日郎、浅野いにおらが実名で登場させられてるという…w


■「こいいじ」志村貴子(全10巻)
一巻を買ったのは去年になるんですが、DAYSの連載を何となく読んでたらいつの間にか引き込まれてしまっていた作品です……何だろうどこか「めぞん一刻」を彷彿とさせる内容だったからかなあ

ちなみに「カカフカカ」「パーフェクトワールド」「私たちはどうかしてる」等、おっさんとしては女性マンガへのアンテナがどうしても低くなってしまうのを補完出来るきっかけにDAYSはなってくれてるのがホント有り難いです


■「サガラ~Sの同素体~」原作:真刈信二 漫画:かわぐちかいじ (既刊3巻)
一巻が発売されたのは去年だったんですが、正直一巻の時点では内容がサッパリ理解できなくて(^0^;)、せっかくの大御所コンビなのに残念だなあとか思ってました
それが、”現代の日本でクーデターが画策されてる”~という設定が判明した事で一気に面白くなって単行本も買い始めた作品だったんですが、唐突に連載が半年も中断されるというトラブルがありまして…

最終回を目前にしていた「空母いぶき」の方も何の情報もなく中断していたものですから、ネットでもイロイロと憶測が飛び交っていたんですが、どうやら食道がんの治療をされていたのだそうです(現在では両作品とも連載を再開してます)

かわぐち御大ももう70過ぎですし、一読者としてはくれぐれもご自愛くださいとしか言えません……今年は小池一夫、吾妻ひでお、荻野真といったビッグネームの方々の訃報が相次いだりもしてましたからねえ…



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感想を書く作品の範囲が広がったのでえらい時間がかかってしまいました(^0^;)……それでもまだまだ感想書けてない気がしてしまうなあ
「進撃の巨人」とかまさにクライマックスでとんでもない展開だったり、去年のエントリでも取り上げた「ハコヅメ」の普段のおちゃらけコメディとの凄まじいギャップの過去描写だったり、とても片手間で感想を書けそうに無い(^_^;)


2020年……と、こうして書いていても未だにどこか ”遠い未来” というイメージが未だにありますが、年々、重くなる腰と鈍くなる足腰をなんとか奮い立たせて ”新しいマンガ” にも果敢にチャレンジしていきたいものです




あ、年越しそばですが恒例の天一は今年は 平成の大晦日 にて食べたので、今日は行きません(別に年に一回しか食べないと決めてるワケでもないんですがw)


では、よいお年を!

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[マンガ] 今年のマンガ2018

2018-12-30 | マンガ

2018年がまもなく終わり、平成も残すところあと4ヶ月ほどですが皆さんはいかがお過ごしでしょうか


2017年末はマンガについての総括をしませんでしたし、今年は ”マンガ” カテゴリに一つもアップすらしてなかったので慌てて今年買った(今年から1巻が発売された)マンガについて軽く感想など(2016年版についてはこちら


もうオレは紙の単行本は一切買って無くて、kindle等の購入履歴を遡りながら書き連ねて行こうと思いますが、いやはやどんだけ買い込んでるんだオレ…(゚д゚;)

特に、一冊11円とかで投げ売りされてるのをまとめ買いしたのなんかが完全に ”積ん読” になっちゃってるのはマズいと自覚してはいるんですが、電子版の善し悪しで ”積まれてる” 状態が可視化されてないので完全に忘却してしまってるのもあるのがヤバすぎる…σ(^◇^;)


■「あなたの鼓動を見させて。」原作:MITA・作画:棚橋なもしろ(1~2巻:マンガワン連載中)

サイコでスプラッター、”極悪vs極悪” な展開は読んでて胸くそ悪くなる人の方が圧倒的かと思いますが、ヒロインの ”突き抜け”っぷりがむしろ爽快感すら感じさせてしまうのが凄いw

■「オリンピア・キュクロス」ヤマザキマリ(1~2巻:グランドジャンプ連載中)

タイムスリップしてくるのが1960年代の古き良き昭和の時代ではあっても基本的には「テルマエ・ロマエ」の二番煎じじゃね……とか思いながら読んでたんですが、○塚○○やら○○幸○やらの実在の人物が登場して深く関わって来るのにかなり驚かされました

■「ヤオチノ乱」泉仁優一(1巻~:コミックDAYS連載中)

忍者モノですがいわゆる ”忍術” やら ”幻術” といった超常現象的なファンタジー要素に極力頼らず、史実同様の ”諜報員” としての忍者を現代社会で描写しています……とてもとても地味なんですが(^0^;)、”ハンター試験” 的なノリでエグい駆け引きやら知能戦やらがごく普通の雑踏の中で繰り広げられたりするのが面白くてたまらんです

■「図書館の大魔術師」泉光(1~2巻:good!アフタヌーン連載中)

この作品の第一巻に出会えたことが2018年最大の衝撃だったかもしれません

なんと表現すればいいのか、”絵とストーリーで魅せる総合芸術” であるマンガという表現媒体の極限に迫る作品の一つなのではないかと……美麗な作画と異様なディテールの描写で ”世界” そのものを表現しようとしつつ、読書体験を ”冒険” そのものへと昇華させてしまう演出の力が余りにも凄すぎで、これ程の力量の漫画家をこれまで全く知らなかった自らの不明を恥じるばかりです

とにかく第一巻の ”物語の導入” としての完成度は10年や20年に一度の傑作レベルなので、是非とも1巻だけでも読んでみて欲しいです( ゚∀゚)o彡゚

■「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」泰三子(1~4巻:モーニング連載中)

作者は実際に10年間、警察官として働いていたという経歴の持ち主でやたらと細かくてリアルな警察エピソードがコメディタッチで描写されるんですが、セリフ回しがひたすら秀逸で、現場で働く ”お巡りさん” を見る目が間違いなく変わります……”実写ドラマ化して欲しい” 作品のぶっちぎりNo.1

連載に至る過程とか作者さんの人となりも非常に面白いので、
↓こちらのインタビュー記事を併せて読むのをオススメします
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/284031/042300030/

■「あたりのキッチン!」白乃雪(全4巻:アフタヌーン連載作)

一巻は昨年に発売されたものですが、講談社の定額配信サイトのコミックDAYSでアフタ本誌を十年ぶりくらいで再び読み始めるようになり、これは料理モノの久々のヒット作だ!と1~3巻をまとめ買いしたらあっさり4巻で完結してしまった切なさをどうかご理解ください(←打ち切り終了ではありませんので念のためw)

ドイツ在住の作者さんが毎週更新してる料理エッセイ漫画も素敵なので是非
https://comic-days.com/blog/entry/hakumai01

■「あせとせっけん」山田金鉄(1巻~:Dモーニング連載中)

モーニング系列から久々にブレイクしてるカンジの作品ですが、エロくてエモい純愛モノです

「こぐまのケーキやさん」等、デジタル配信から純粋に口コミでブレイクしていく流れは傍から見てるだけでも非常に夢のある展開で、マンガ業界全体からしても未来に希望が持てて幸せになれますな

■「美人が婚活してみたら」とあるアラ子(1~2巻:Vコミ連載中)

こちらも一巻は昨年発売されてますが、デジタル配信から人気に火が付いて映画化もされるようです

田中圭一らが手塚治虫や水木しげるの大御所の絵柄を模倣して ”現代風” に甦らせる流れがある中で、松本零士の ”松本美人” の系譜が意外な分野(実録エッセイ的な)でアップデートされてるのが個人的には嬉しくて楽しいですw
それと松本美人といえば真鍋讓治の ”駄メーテル” も局地的に大ブレイク(←矛盾表現w)したんですが、こちらは同人界隈から拡がることは無い…かなあ残念ながら(^0^;)


■「マーダーボール」肥谷圭介(1~2巻:コミックDAYS連載中)

前作「ギャングース」における、世の中のありとあらゆる ”痛み” の描写が先鋭的だった作風が ”障害者スポーツ” という舞台でより強調されてるのが読んでて胸が苦しくなりますが、熱血スポ根モノとしての描写も秀逸で引き込まれます

■「サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~」原作:佐藤マコト・漫画:伊鳴優子(1巻~:コミックDAYS連載中)

20年ほど前に佐藤マコトによってイブニングで連載され、映画化やオダギリジョー主演でドラマ化もされた「サトラレ」が復活しています

原作としてクレジットされてるものの佐藤マコトは基本的にはノータッチみたいで、世界観的にも地続きであるかどうかも判明してはいないんですが、”少女マンガ” 的な要素をより強調してるカンジでこのまま続くのか、SF的な要素もこれから拾い上げるのか楽しみに読んでいきたいと思います

■「僕はまだ野球を知らない」西餅(1~3巻:モーニング・ツー連載中)

一巻は昨年発売されてますが(以下略

野球マンガを根底から変えたと言われた「おお振り」の連載開始から15年(!)が経過しましたが、更に新たな地平を見せてくれそうなポテンシャルを秘めたマンガかと……「犬神もっこす」や「ハルロック」でお馴染みの作者独特の奇人変人キャラに好き嫌いはあるかもしれませんがw、斬新な視点とID野球の最先端に興味のある方なんかにも必読です

■「銀河の死なない子供たちへ」施川ユウキ(上下巻)

上巻は昨年発売されてますが(以下略

もうとにかく読んで震えろ、としか

SF好きとか終末モノ好きとかそんな偏狭なカテゴライズに全く意味はなく、この世に生を享けた全ての存在に知って貰いたい物語がここにあります…(ノД`)

■「AIの遺電子 RED QUEEN」山田胡瓜(1~3巻:別冊少年チャンピオンにて連載中)

前作「AIの遺電子」(全8巻)にて高度に発達したアンドロイドと人間が共存する未来社会を医療ドラマという視点から丹念に描写していましたが、手塚治虫の系譜を色濃く感じさせるのは掲載誌の伝統でしょうか……ロードムービー風となってる今作では、より深くテーマ性を掘り下げつつスケールの大きいアクション等の動的な要素も増えてきて読み応えあります


■「寄生獣リバーシ」太田モアレ(1巻~:コミックDAYS連載中)

「ネオ寄生獣」でも印象的な一篇を描き上げていた太田モアレによる本家の公式スピンオフ作品です

旧知のキャラクターが登場する度におお、と読者の興味を引きつつ、”単なる別視点” というだけでは済まない独自の物語構成が徐々に見えつつあって、おそらくはあのシーンがクライマックスに来るのが今から楽しみでなりません

■「リウーを待ちながら」朱戸アオ(全3巻:イブニング連載作)

一巻は昨年発売されてますが…って、2017年にマンガの総括をしなかった弊害出過ぎですみませんw

この作者は ”現代社会でのパンデミック” というテーマを何度も繰り返してるカンジですが、物語の骨子というか基本構造も繰り返しになっちゃってるのはちょっと残念……でも今作「リウーを待ちながら」はまさにその集大成となっていて、恐怖と混乱のさなかでの等身大の人間の苦悩と葛藤と奮闘が実によく描写されているので是非とも映画化なりドラマ化なりの映像化を熱望します



番外:
■「拳児2」原案:松田隆智・作画:藤原芳秀・シナリオ協力:佐藤敏章(サンデーうぇぶりにて不定期連載中)

まだ単行本化はされてなくてネットでも第二話までしか公開されていないんですが、あの「拳児」がまさかの復活ですヽ( ̄▽ ̄)ノ 

https://www.sunday-webry.com/series/747

しばらく前に作者のツイッターで第三話と思われる原稿もチラッとアップされていましたし、早く更新されないかなー

あとまだ単行本化されてないのだと「子供はわかってあげない」(感想)の田島列島が長い沈黙を破って別マガで開始した「水は海に向かって流れる」も相変わらず独特のゆるゆる感で面白いです


////////////////////////////


…とまあ、大体こんなカンジでしょうか

もっと長めの連載作についてもいくらでも語りたいんですがキリがないので…(^_^;)

やっぱまとめて感想書くのも無理があってちょこちょこ書いとかないとなあ…

 

今年のマンガ2019

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[マンガ] 少女終末旅行

2017-09-24 | マンガ

2017年10月期アニメのPVとかを見て回ってたら、オレの心の琴線に触れまくりの作品に出会いました



原作はつくみず「少女終末旅行」という同名のマンガで、PVを見た直後にそのまま既刊5巻を全てポチって、ネットで連載されてる最新話まで一気に読んでしまいました

公式サイト→ http://www.kurage-bunch.com/manga/shojoshumatsu/

遠い未来、朽ち果てた巨大な都市の内部を少女たちがたった二人で彷徨う~という、”冒険” や ”ワクワク” と表現するには余りにも憚れるほどに ”もの悲しい” 世界観にはとても惹かれるモノがあります……というか、惹かれる要素だらけの作品でした



廃墟、旅情、巨大構造物、メカ、ミリタリー、少々の萌え…



そして作品全体に通底する、ハリウッド映画やアメリカのテレビドラマでいう所の ”アポカリプス物”、”終末モノ” の要素の描写が秀逸で、その代表的なジャンルとして ”ゾンビ物” というのが世界的な人気を博してたりしますが、今現在、生きているオレらとの ”地続き感” を維持しつつ、ガラリと変わってしまった ”人” や ”風景” といった要素に惹かれてやまないのは年齢や性別、国籍や人種にとらわれない普遍的な感覚なのかもしれません(…ある種の ”破滅願望” みたいなのも含むのかな)

「少女終末旅行」の場合、派手なアクションや(残された)人間同士の軋轢といった ”劇的” な描写はほぼ皆無なんですが、深く静かに心に染み入るような ”詩的”、”哲学的” な描写が全てのエピソードごとに差し込まれるのがとにかく印象的でした……”感動させよう” とか ”泣かせよう” といった流れでは決して無いのに、読んでて涙が溢れて仕方なかったシーンがいくつもありました(ノД`)

登場するのは基本的にチトとユーリという凸凹コンビのみ、ほとんど背景設定の説明も無しに旅の道程で凄くゆったりとした時間と空気が流れるだけで、ひたすら何も起こらない物語とも言えるし、毎回(読む側の想像力次第で)とんでもない情報量が詰まってるとも言える不思議な物語です

全ての事象には ”終わり” があって、今、オレらの身の回りにありふれてる(溢れている)各種様々な ”ヒトビトの営み(=文明)” は、遠い未来の世界では一体どのような ”最後(最期)” を迎えているのか……延々と ”(その先が存在しない)絶望” を思索し続けている作者さんの孤独な戦いが単行本あとがきから伝わってくるのが作品の一部になっているのも要注目です

原作マンガの方は現在公開されている最新話辺りで物語が終盤に差し掛かってることが示唆されてるカンジですが、アニメ版を楽しみにしつつ、果たしてどのような ”終末” を迎えるのか心して刮目したいと思います

 

追記:

CM

PV

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[マンガ] CICADA シカーダ

2017-02-11 | マンガ

昨日、第一巻を購入して、中盤くらいからボロボロ涙が止まらない状態で読み終えてから、このマンガから伝わってくる ”想い” をどう表現したらいいのか、ずっと考えあぐねていましたσ(^_^;)

「CICADA シカーダ」1巻 原作:山田玲司 作画:バナーイ(月刊スピリッツ連載中)


 *ほぼバレ無し、の感想を書いたつもりですが気になる方は読まれない方が吉


時折、マンガ喫茶やらレンタルやらでまとめ読みなんぞをしたりもしますが、雑誌も入れれば大体毎月2~30冊くらいを買って読んでるオレは果たして ”マンガ好き” としてはどんなレベルなんだろう?と、ふと思うことがあります

別に ”量” を読んでれば偉いワケでも何でもないですし、どれくらい好きかの尺度を他者と比較するのも不可能なので意味が無い疑問だとは思いますが、マンガを読むという事はオレにとっての ”もう一つの人生” であって、自分自身が普段から寝て起きて仕事行ってご飯食べて~っていう一連の生活の中で抱く喜びや怒りや哀しみや楽しみから完全に切り離されて、全く別種の、そして遙かに ”強烈” な喜びや怒りや哀しみや楽しみを感じられる行為に他なりません

他にも映画やアニメやドラマを見たり、グルメだったり身体を動かしたりする事なんかも大好きではありますが、オレの中での重要度といいますか、思春期以降のオレの人生の ”精神” に占める割合が他を圧倒し続けているのがマンガなんです

酒もタバコもギャンブルもやらないオレみたいな人間にとっては ”現実逃避” 的な側面があるのを否定はしませんし出来ませんが(-_-;)、古今東西、森羅万象をその ”表現” の対象とし、読者も少年少女青年成年熟年老年の何でも来い状態な媒体な上に経済的にも(他の一般的な趣味と比較して)優しいなんて、今風に言えば ”コスパ最強” な娯楽だというのは間違いないと思われます(論は分かれるでしょうけど、個人的な経験からしてマンガを読むことで実用的な知識も膨大に得られて来たと確信する次第です)



…と長々と前置きした事でオレが如何に ”漫画無しでは生きていけない” とガチで思ってる変人である事が十分に伝わってくれたと思いますがw、「CICADA シカーダ」は ”マンガを読む自由を奪われた世界” を舞台にしてるマンガなものですから心穏やかでいられるハズがありません

いわゆる ”ディストピアSF” というジャンルで、100年以上先の日本は国土の大半が海中に没していて、荒廃しきった都市部で人間は階級格差によって明確に区別(差別)され、思想統制の一環でマンガという存在をこの世から抹殺しようと政府によって専門機関までが創設されているという設定で、主人公はその機関に所属しつつも、とある一冊のマンガと出会うことで大きく運命が変わることになります

ズバリ焚書をテーマにした映画「華氏451」(とそのリメイク版「リベリオン」)を想起させる設定と展開ですが、オレの場合は最近、劇場で見たばかりの遠藤周作の「沈黙」が真っ先に思い浮かびました

「沈黙」はいわゆる ”隠れキリシタン” たちが過酷な弾圧の元で如何に ”信仰” を保ち続けたかという重厚な内容で、オレも非常に見応えがあったとか当たり障りの無い感想を書きましたが、まともな宗教観も関連知識も無いオレは本質的な部分を全くと言っていいほど ”実感” してなかったんだなと(所詮他人事としてしか捉えてなかったと)「シカーダ」を読んで思い知らされた気分でした(゚д゚;)

そうか、オレにとってのマンガって ”信仰” も同然だったのか

マンガによってオレは ”救われて” いたのか

オレ自身、自らの人生が特段、不幸であった自覚は一切無く、総合的にはむしろ相当な幸運に恵まれた ”幸せ” な人生だったなと思ってるくらいなんですが、それでも人が生きていく上で否が応でも感じざるを得ない、”寂しさ” や ”空しさ” といった負の感情から完全に逃れきることは出来るハズもなく、そういった部分に(無意識的に) ”救い” を求めているからこそ、オレはマンガを(過度に?)必要としてしまっているんじゃないかとまで思い至ってしまって、もうどうしたものやら…

今もしマンガを読むことを一切禁じられたら(=棄教させられたら)、果たしてオレの精神はどうなっちゃうんだろう…?

「シカーダ」作中にはオレなんかの ”同類” が多数登場し、「うる星やつら」「最終兵器彼女」「ベルサイユのばら」といった現代のオレらからしたら ”あって当たり前” のマンガの単行本を文字通り ”火あぶり” になってまでも弾圧から守り抜こうと抗い続ける様に、どうすりゃこの展開を涙無しに読めましょうか…(ノД`)



今作の主人公が初めて触れるマンガである「うる星やつら」を読むシーン

オレが記憶してる限り、生まれて初めてマンガを読んだのは幼稚園の頃で、そのまま小学校、中学校と成長するに従い、少年マンガや少女マンガを中心に図書室で読んだりクラスで普通に貸し借りをしながら楽しんでいたんですが、中二の頃にとある作品に出会ったことでオレのマンガに対する価値観が激変した経験があったのを改めて思い出させられました

ぶっちゃけ、今に至るも引きずり続ける ”オタクな人生” の原初的な経験だったワケですが(まさに中二病w)、
 ”マンガってこんなにオレの感情を揺さぶることが出来るのか”
 ”こんなにも夢中にさせる力があるのか”
と当時この言葉通りに実感したワケでは無いと思いますが、(他を切り詰めてでも)”マンガを買い集める” 行為を正当化wし始めた ”始まりの作品” であったとオレの中で確信として存在しています

その作品のタイトルについては「シカーダ」とは関係がないので挙げませんが、誰しもが(マンガに限らず)自分の ”最も深い部分” に影響を与えた作品なり何なりが人生のどこかのタイミングであって、その後の人生をある意味決定づけたりしてるんだと思うんですよ



”救い” という言葉がちょっと宗教じみてて反発を覚えるというのなら、”心の拠り所” でも ”支え” でも ”大切なモノ” でもいいです

目の前でそれらが奪われる、奪われたとしたらどうする?



そりゃ正解は、”戦う” だ!



”紙と鉛筆さえあればいい” と、かの手塚治虫は繰り返し語っていたといいます

「CICADA シカーダ」はマンガを愛するすべての人に向けて描かれているある種の ”挑戦状” としての想いが込められてると思いますので、その愛の多寡に関わらず、自覚のある人wは是非とも読んでみて下さい!

「シカーダ」の物語はまだ始まったばかりですが、既にクライマックスと思われるシーンが冒頭で描写されてもいますので、そこから想像される今後の展開やシカーダの能力と名称の意味を考えると、”抗えない哀しさ” だけでなく、”溢れんばかりの希望” も間違いなく物語に込められてると感じられますので続刊を刮目して待ちたいと思います!!


p.s.
原作者である山田玲司先生がニコ生で、「シカーダ」を「沈黙」と併せて語っているとのことでこれから見ようと思います……かつて岡田斗司夫のニコ生に登場した際、スピリッツにて連載していた某作は本来なら山田玲司版の「アオイホノオ」を描くハズだった~的な発言が印象的だったんですが、「シカーダ」には改めてその想いが込められている気がするのでそういった意味でも注目して行きたいです

p.s.2
「シカーダ」作中には ”過去の名作” が実名で登場するのが特徴ですが、絵そのものは作画担当のバナーイ先生が描いてると思われるので ”オリジナル” とは違うんですが、普通に考えると「シカーダ」の世界観に合わせて ”名作を再現” してると捉えるべきなんでしょうが、実は(救いの書=聖書になぞらえるなら)”偽書” や ”偽典” といった仕掛けになってる可能性が微レ存…?

…考えすぎかな(^^;)

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[マンガ] 今年のマンガ

2016-12-14 | マンガ
2016年も残り二週間余りとなりましたが(;´Д`)、最近マンガのエントリを書いてないなあと今年買った(今年から1巻が発売された)マンガについて軽く感想など

※発売巻数は電子書籍版を元にしてます



■「レイリ」原作:岩明均・作画:室井大資(1~2巻:別冊少年チャンピオン連載中)

ちょうど「真田丸」のおかげでにわか戦国知識の詰め込まれたオレの脳に、武田vs織田の戦いが背景になってるのは実にタイムリーな面白さでもありましたが、原作者としてのクレジットとはいえ、絵の方も含めて間違い無く ”岩明均の新作” だと、読んでてシビれまくりでした( ゚∀゚)o彡゚

岩明均は「ヒストリエ」の方も絶好調の面白さである一方、果たして作者さんが生きてる間に完結してくれるのかを本気で危惧せざるを得ないペース(^0^;)なので、こうして(原作者として) ”新作” を読ませてくれるだけでも有り難くて有り難くて…(-人-)



■「ネオ寄生獣」萩尾望都・他

ネオ寄生獣f」から結構な間があいて今年の9月に刊行された岩明均の名作「寄生獣」へのトリビュート短編集です……fは女性作家ばかりでしたが、こちらは性別問わずにアフタヌーンの作家陣が中心ですかね

ギャグからSFまでどの短編も物凄くクオリティが高いのが驚異的ですが、それぞれ「寄生獣」への愛情がたっぷり感じられて良かったなあ……太田モアレの作品が、”楽しい” という原作にも僅少だけれど確実に存在していた要素を膨らませてくれていたのがグッと来ました



■「双亡亭壊すべし」藤田和日郎(1~2巻:週刊少年サンデー連載中)

余りにも衝撃的だった第1~2話のインパクトからすると、その後の展開は緩やかに右肩下がりになってしまってる印象は拭えませんが、最新の連載の方ではまた想像を絶する展開に入っていて(゚Д゚;)先が楽しみでなりません


■「初恋ゾンビ」峰浪りょう(1~4巻:週刊少年サンデー連載中)

オレの心の中の ”もっと評価されるべき” フォルダに入ってる第2位の作品です(ちなみに第1位は田辺イエロウ「BIRDMEN」

”初恋” の幻影(呪い?)が可視化されてるという、ファンタジーというか異能力的な要素が入ってるので設定的に少々とっつきにくい印象は確かに否めないんですが、普通のラブコメ作品としてみても完成度が非常に高いと思うんですけどねえ(前作「ヒメゴト」とは大きく印象が違って脳天気ですがw、結構シビアな設定が見え隠れしてるのはこの作者ならではの表現だと思います)……サンデーの ”大改革” された作品群の中でもイマイチ数字が伸びてないみたいで(-_-;)

某掲示板にて ”恋愛探偵”という表現が為されていたのが個人的に凄くしっくり来てます



■「VECTOR BALL ベクターボール」雷句誠(1~2巻:週刊少年マガジン連載中)

もはや ”狂気” としか表現出来ない、よくもこんな作品がメジャー週刊少年誌で連載されているなと不思議なレベルです(←注:褒め言葉ですw)

王道の熱さとギャグが入り乱れる作風は「ガッシュ」や「どうぶつの国」と同様ではあるんですが、もう今作の ”狂いっぷり” についてはどうにも説明しようが無いのでw、とにかく読んでみてくれとしか(^0^;)



■「大正処女御伽話」桐丘さな(1~3巻:ジャンプスクエア連載中)

今作はパッと見の萌えラブコメ要素と、背後で見え隠れするシリアス成分のバランスが絶妙なんですが、とにかく ”大正時代”って好きなんですよ昔から……人も国も激動の時代のさなかにあって、ファッションなんかにしても ”和洋折衷” の絶頂期といった趣きに何だかとても惹かれるんですよねえ(オレのこの嗜好の根源には「はいからさんが通る」が間違い無くある気がしますw)



■「骨が腐るまで」内海八重(1巻:マンガボックス連載中)

かつて取り返しの付かない ”過ち” を犯してしまった過去を共有する5人の少年少女たちが巻き込まれるサスペンス・ミステリーといった風情なんですが、矢継ぎ早に予測不能な状況を提示して次回へとヒキまくる、アメリカのテレビドラマみたいな手法から目が離せません

少々のグロとエロの描写もありますが、最近の少年誌のレベルからすると大人しい方ですかね



■「ペリリュー 楽園のゲルニカ」武田一義(1巻:ヤングアニマル連載中)

さよならタマちゃん」や「おやこっこ」と同様に、コロコロと丸っこくて可愛らしい絵柄で非常に重いテーマをサラッと読ませる作風は今作でも健在です

”銃後の暮らし” をほんわかタッチで描写したこうの史代の「この世界の片隅に」と同様のアプローチが、人類史上でも最悪レベルでの凄惨さだった激戦地を舞台に描写されるんですが、絵の情報量に頼らず、構図や構成のみで ”ゾッと鳥肌が立つ” 思いをさせられる作品なんて滅多にあるものではありません

初読時、戦場とはあまりにも似つかわしくない”漫画家志望”という主人公のキャラクターが現代の読者を入りやすくさせる為とはいえ少々無理があるかな?と思ったんですが、かの水木しげるや手塚治虫らだって戦時中はそんな立場だったんですよね…



■「辺獄のシュヴェスタ」竹良実(1~4巻:月刊スピリッツ連載中)

1巻が発売されたのは昨年の6月なので ”今年のリスト” に入れるべきではないかもしれませんが、携帯アプリのマンガワンに出張掲載された際に読んでみたら余りにも面白くて一気に4巻までポチッてしまいました

”魔女狩り”という言葉が、人権思想も存在してない時代に ”異端” 扱いされる事は惨たらしい ”死” に直結していた~といった意味なのは何となく知ってはいたんですが、その実態がどういうシロモノだったのか、魔女狩りはどういった人々の思惑で行われていたのか、魔女とされた女性の ”身内” はどの様な扱いを受けていたのか、等々をまざまざと見せつけてくれるのがこの作品です

女の子が酷い目に遭う作品は正直苦手なんですが(;´Д`)、凄まじい逆境に立ち向かう鋼メンタルな主人公に励まされながら頑張って読んでますw



■「バンデット -偽伝太平記-」河部真道(単行本未発売:モーニング連載中)

こちらは10月に連載が始まったばかりなのでおそらく第1巻が出るのは来年の1~2月だと思うんですが、モーニングで久しぶりにインパクトが絶大な作品だと思うのでタイトルを憶えておいて損は無いと思います

基本的に歴史に疎いんですが、”武闘派な天皇” とか出て来るのが楽しくてたまらんですヽ( ̄▽ ̄)ノ ……ドラマや映画の時代劇ではあんまり扱われることのない時代という意味では「アンゴルモア 元寇合戦記」と同様の面白さがあると思いますし、いずれアニメ化実写化なんかにも期待したい所です(気の早い話ですがw)



////////////////////////////

…とまあ、大体こんなカンジでしょうか

これらの作品が果たして安定した連載となれるのか、どの作品もやがて名作と呼ばれる事になるかもしれないポテンシャルは持っていると思いますし(「ネオ寄生獣」もまだまだ他にも描いてくれそうな作家は沢山いそうですし)、これからの展開に期待したいですねえ
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[アニメネタ] パトレイバー REBOOT

2016-11-23 | マンガ
「アニメーター見本市」の企画の中で作成された「機動警察パトレイバーREBOOT」の配信がスタートしました

https://animatorexpo.com/patlabor-reboot/

おお、予告映像の段階から、オリジナルのパトレイバーへのリスペクト感がハンパ無く漂ってましたが、物凄いクオリティですな!

構図的に特撮っぽさを強調しているのと、レイバーを3DCGで表現してるおかげでスケール感を出す演出がケタ違いに凄くなっているのも、(旧シリーズから)四半世紀の月日が経ったことによる映像技術の進歩が感じられて良かったですねえ(本来のパトレイバーシリーズなら、街中に ”電線” が存在しないという世界観を敢えて電線を復活させてるのも、アニメの現場がより高度で複雑な表現にも堪えられる様になった証左でしょうか)

ただやはり本編が8分しかないってのは流石に短すぎで、あの ”ノリ” を現代のアニメ技術で作ってみたっていうのが精一杯でしたかね……それでも設定なんかはとんでもなく作り込んでそうなのが伝わって来ましたし、ここからマジでシリーズが ”リブート(再起動)” してくれるんなら素晴らしいんですがヽ( ̄▽ ̄)ノ 

マンガ版が大好きなオレとしては、ゆうきまさみの絵柄の再現度が(モブキャラ全部に至るまで)史上最高レベルなのが嬉しい限りです

イロイロと、セリフの端々から見え隠れしている設定を妄想してみると、どうやら太田が隊長となっていた時代を経てるっぽい?……押井実写版での太田の(その後の)扱いが余りにもヒドかったので(^_^;)、その辺りに制作者側からの何か含みもありそうな設定でw

そういえば予告編を見た時、山手線を使ってレイバーが出動してるっぽいシーンが非常に気になってたんですが、急ごしらえとかではなくて、どうやら鉄道運搬の装備を特車二課が標準で備えてるらしいのが燃えました( ゚∀゚)o彡゚……確かに道路幅が二車線必要なレイバーキャリアの巨大さを考えると都心での移動に鉄道を使うのは非常に合理的なんですが、果たしてこの世界の警視庁はどんな権限をもってして超過密ダイヤの山手線を運休させる事が出来てるのやら(^0^;)

…ちなみにこの要素は今年放映されていた「アクティヴレイド」にインスパイアされたんでしょうか(逆輸入的な何かでw)
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[映画ネタ] 「この世界の片隅に」本予告

2016-08-24 | マンガ
もうあれから1年半かあ…

(2015/3/18)「この世界の片隅に」クラウドファンディング
(2015/7/12)「この世界の片隅に」制作支援メンバーズミーティング

こうの史代による「この世界の片隅に」のアニメ映画化は、”ネットで制作資金を募る”~という異色のカタチで発表されましたが、公開日も2016年11月12日(土)と決まり、いよいよ予告編が公開となりました



原作を全く知らない人がこの予告を見てどう思うのか、どう感じるのか、事前にかなり強い思い入れを持ってしまって既にこれだけで涙目になってる(ノД`)オレの目からは判断がつかないんですが…

”ジブリっぽい?” とか ”火垂るの墓?” みたいなカンジの印象ですかね



”戦時中” と ”広島” というキーワードが余りにも強力過ぎるが故に、それを前面に押し出した宣伝をすると(内容がいいとか悪いとかの次元を越えて)”忌避感” みたいなのがどうしても先走ってしまう部分に物凄く気を遣ってる風に思えますが、映像のほとんどを日常描写に割いて、主演の声を「あまちゃん」の能年玲奈(現・のん)が務めるというバランス感覚は素晴らしいと思いました

原作ファンからすればこの短い映像だけでも、こうの史代の世界観を ”完璧” にアニメーションで表現しようという意気込みは十二分に伝わって来ます

片渕須直監督がこの作品に着手してから実に6年(!)が経過し、当時の広島の情景を可能な限りリアルに再現しようと ”執念” とも言える調査と取材の果てに、今まさに制作は佳境のまっただ中にあるのだそうですが、もう後は作品が無事に完成してくれるのを祈るばかりです(-人-)
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[テレビアニメ] 「うしおととら」最終話

2016-06-25 | マンガ
もう↓この時から一年かあ…

「うしおととら」PV公開
「うしおととら」第一話

1988年から30年近くサンデーを買い続けていますが、「パトレイバー(88)」「うしおととら(90)」「GS美神(91)」と、ほぼ同時期に連載されていたこれら三作がオレにとって未だに不動のサンデートップ3作品であり続けています

この頃のサンデーは(1980年前後に続く第二の)”黄金期” と呼ばれていたそうですが、確かに上記三作の他にも「帯ギュ」やら「今日俺」やらがいて、更には圧倒的な安定感を誇る高橋留美子やあだち充がどっしり控えてるってのは低迷にあえぐ今のサンデーからは想像を絶する布陣でしたねえ…(遠い目)

オレ自身が最も多感な時期に触れた作品だから~っていうのも勿論大きいんでしょうけど、”時代を超えて語り継がれるべき(その価値のある)名作”っていうのは間違い無く存在すると思うんです

特に「うしおととら」については ”少年マンガのひとつの到達点” とまで評された程でしたが、「うしおととら」の何が凄いかっていうと、 ”感情の振れ幅” と ”熱量” に集約されるんじゃないかと……正直、1990年の連載開始当初の頃から(主に絵柄について)”古臭い”、”ゴチャゴチャしすぎ” といった批判もありまくりだったんですが(^_^;)、作者である藤田和日郎自身からして過剰なまでにマンガを愛するタイプの漫画家であり、その溢れんばかりの情熱が原稿にほとばしる作風に多くの読者が ”強制的に” 慣らされていったという実状がありましたw

しかも物語が数千年の長きに渡る因縁や宿命をバックボーンとして内包していた事から、日本の平安時代や更には古代の中国・インドにまで作劇の舞台が及ぶにつれて ”古臭い” 絵柄についてもむしろ ”時代性を超越” している側面の方が自然に強調されるようになっていった気がします

人間ドラマを生み出す ”憎しみ” や ”哀しみ” といった負の感情の連鎖に如何に対応するか、少年マンガの醍醐味である ”直情性” や ”純粋性” は一歩間違えれば ”胡散臭い”、”非現実的”、”ダサい” と揶揄される危険性があるものの、”血みどろの茨の道” を(普通の中学生である)主人公に延々と進ませる事で有無を言わせぬ説得力を醸し出しているのがホントに凄かったんです……ホラー要素、バトル要素、感動要素が絶妙にミックスされ、読者の感情を揺さぶる表現が全33巻(+1)を通してひたすら継続するというだけでも凄いんですが、終盤の展開に向けて膨大な数の登場人物や莫大な量の背景設定が全て(文字通り ”全て”)収束していく構成は実に見事としか表現しようがありませんでした

これ程巨大な ”風呂敷” をキレイに畳んで見せた作品は、マンガだけに限らず、小説、テレビ、映画等あらゆるエンタメ史上を見渡してみてもそう存在しないのではないかと思わされる程です



そんな「うしおととら」の今回のアニメ化ですが、全39話という構成がとにかく ”短か過ぎた” という一語に尽きます(;´Д`)……一般的に週刊少年マンガの展開を忠実にアニメ化しようとすると、単行本一冊分を3話くらいかけて映像化するのが理想と言われていますが、そこから換算すると「うしおととら」を完全アニメ化するのには最低でも100話以上の分量が必要だったんですよねえ…

実際、今回のアニメ化でカットされたエピソードは6割じゃ効かない気もするので、もし完全アニメ化が実現してたら2~3年をかけて放映される必要があったワケですが、どこかにそんな幸せな世界線が存在しないものか(^0^;)

でもいくら完全アニメ化では無かったからといって、今回のアニメ化が無意味だったとは思いたくないですな

要所要所で原作のペースにほぼ忠実にアニメ化されたエピソードもありましたし、やはり動きと音と声が付く事で全く新しい感動が生まれたことも間違いありません……OPが本編のダイジェスト映像的にまとめられていましたが、原作からの ”見せ場” シーンの連続を劇場アニメ級のクオリティで毎週見られた事だけでもアニメ化してくれた甲斐があったってものです( ゚∀゚)o彡゚

本編の内容も最終決戦で ”全てが収束” する展開から逆算して、”全て” の要素を洗い出して行ったのだと思われますが、アニメ版はアニメ版でキチンと伏線等を回収しながらラストに向けて盛り上がりまくっていましたし、第3クールに入ってからはずっと涙腺がぶっ壊れた状態で見続けてましたからねえ(ノД`)

絵についてはテレビアニメなのでシーン毎にクオリティの差がついてしまったのは仕方が無いですが、”藤田絵” と呼ばれる鬼気迫る描写もちゃんと再現してくれてて、アニメ版スタッフの原作愛をしっかりと感じることが出来ました

声についてですが、うしおの実直さと熱血な演技は ”いい奴” っぷりが全面に出ていましたし、2000年を生きている大妖怪とらのツンデレ等のギャグキャラとしての側面と老獪で博識な側面、そしてかつて人間であった部分の ”熱さ” を併せ持ったコンビは最高でしたヽ( ̄▽ ̄)ノ 

うしおととらが出会っていく人々、妖怪たちもどれもイメージ通りの配役で、ツイッターなんかを見てるとベテラン勢が「うしおととら」に出られるのが嬉しいと感想を書いてたりするのが感慨深かったりもしました

そしてこの作品の根幹でもある「白面の者」

中盤辺りまで ”林原めぐみ” という名前がエンドロールでも明かされない状態で登場し続けていたと思いますが、いやー、この人が白面を演じてくれた事でアニメ版の評価が3割アップしたと言っても過言では無いと思いますd(≧▽≦*)

個人的には、”ラスボス” という概念を新しい次元に押し上げたんじゃないかとまで思ってるんですが、可憐な少女から妖艶な毒婦、果ては一瞬で何万人も滅せられる大怪獣に至るまでの形態変化をたった一人の演技力で表現させるなんて、普通に考えると正気の沙汰ではありませんよね(゚Д゚;)

エフェクトがかかってたりはしたものの、他者を嗤い、嘲り、滅する事で愉悦の極みに浸る事しか知らなかった ”絶対者” が、最終盤では徹底的に翻弄された挙げ句にあんなイノセントな存在にまで変貌する様は物語としての感動とは別個に、声優としての演技力への ”畏怖の念” まで抱かせられましたから…



今回のアニメ化で、果たしてどれだけの新規ファンを獲得出来たかはわかりませんが、原作マンガをまだ読んでない方は是非とも読んでみて下さい

アニメ版でカットされたエピソードは決して、不要と思われたからカットされたワケではありません……アニメ版スタッフもストーリー構成を担当した原作者自身も、断腸の思いでキャラや妖怪をカットしたんです

オレは当事者でも何でもありませんが間違い無く断言出来ます

”お前たちの旅は無駄ではなかった” という東の長のセリフがあったかと思いますが、原作はアニメ版の3倍濃い ”出逢い” と ”別れ” に満ち満ちた旅だったんです

つまり原作マンガを読めばラストの感動も3倍増しってことです(当社比)

是非とも原作マンガの方も!!
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[マンガ] 「僕だけがいない街」最終巻

2016-04-27 | マンガ
本来は(紙の単行本からは一週間ほど遅れて)5月2日に発売されるとなっていた三部けい「僕だけがいない街」最終8巻のkindle版が急遽、本日4月27日発売となってて角川書店も粋なサプライズをしてくれますなヽ( ̄▽ ̄)ノ 

アニメ版(第四話時点)感想
アニメ版最終回感想
実写映画版感想

これで遂に実写映画版、アニメ版、原作マンガ版と三種類の「僕街」の ”エンディング” を堪能出来たワケですが、こんなに短い期間に集中して(感覚が新鮮な内に)全然違うメディアごとの面白さを味わえる機会なんて今後もそう無いでしょうし、実に貴重な楽しみ方をさせてくれた作品だったと思います

最終巻のあとがきによれば、実写映画版の企画が持ち込まれたのが2巻が発売される前(2013年6月)、その少し後にアニメ版も動き出していたとの事で、原作マンガの終了時期(つまり今)に合わせて、作者自身を始め膨大な人数と労力と資本がまとめて動いていた背景事情が窺い知れますが、ちょうど今テレビで「重版出来!」という ”マンガの現場” を舞台にしたドラマを放送しているのでついつい、”裏方” の人たちへの想像が及んでしまいます(^0^;)

まずは2013年3月に原作マンガの第一巻が発売されて結構な評判となった事が全ての始まりだったんだと思われますが、3年先の ”今” を目指してメディアミックス戦略を組立てて ”仕掛け” をした人(たち)がいるって事ですよね

メディアに強い角川書店ならではという事なのかもしれませんが、実写映画とアニメでは制作に関わる人数やら職種やら資金やら期間やらがまるで違ってるでしょうから、それらを同時進行させて同時に終わらせるなんてとんでもない苦労だったのではないでしょうか

しかもその苦労を、まだ連載序盤でしかなかった原作マンガの ”その後の伸び” を信じて手探り状態で進行させたって事でしょうからねえ……そもそもの原作マンガが途中でコケちゃったりしたら何の意味もなくなってしまうワケで、これら全てを背負わされた原作者のプレッシャーたるや想像を絶しますな(゜Д゜;)

・面白いマンガを作る
・販売促進をかける
・映画とアニメで相乗効果

言葉としては簡単に書けますが、どれか一つの要素だけでも成功させられる保証は全くないのに(むしろ意図して成功させられる確率なんて限りなく低い)、これら全てが成功しないと ”仕掛け” が連動しないってどんだけ高いハードルなんだ…


ぶっちゃけ、原作マンガの6巻~7巻辺りの展開についてはちょっと無理矢理引き延ばし?みたいに感じられた部分があったりしたのも事実なんですが、こういう戦略上のことだったのかもしれませんね……まあ、でも例え引き延ばしだったとしても、そのおかげで従来のタイムリープ物とは違った視点を導入出来た側面もあったでしょうし一概に功罪は語れそうにありませんが

マンガ、アニメ、映画と「僕街」全体としてはどの媒体も夢中になって楽しまさせてくれましたし、”仕掛け” は ”大成功” だったのではないでしょうか

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[マンガ] 「HUNTERxHUNTER」連載再開

2016-04-18 | マンガ
冨樫義博「HUNTERxHUNTER」連載再開との事でオレのジャンプ購読も復活です

画像は今週発売された2016年20号と、2014年27号からの「ハンター~」だけを切り取っておいてあるやつで、いつ連載が止まってしまうのか、いつ33巻が発売されるのかが全く不明だったので保管してたんですが、6月3日に第33巻が発売されるとの事で(2012年12月の32巻以来、3年半ぶり!)ようやく処分することが出来そうですw

もはや何年前に描かれたかわからない、ゴンが陽気にはしゃいでるイラスト画像が連載再開を表紙の隅でアピールしてますが、既にこの物語の主人公は完全にジンの方に移行して久しいので何だかモヤモヤしてしまうのはオレだけでしょうか(^_^;)

今回の休載期間である1年8ヶ月を全く感じさせることも無く、当たり前の様に話が前回の続きとして再開されましたが、懐かしい(物語上でも現実の時間上でもw)キャラが再登場してるのが非常に嬉しかったですねえ……少年マンガにおいては ”強さのインフレ” 現象によって過去のキャラは基本的に使い捨てにされるのが宿命でしたが、複雑極まりない設定の念能力の特性が思いもしなかった活用のされ方をしたりするのがこの作品の特徴だと思うので、これからどう展開して行くのか実に楽しみですヽ( ̄▽ ̄)ノ 



いやー、それにしても主人公がジンに移行~したと先に書きましたが、主人公の視点が子供→大人へとシフトした事によって、語られる描写が非常に難解になってるのが凄まじいですな

ゴン(子供)視点の時点で、社会の理不尽さであったり残酷性であったりする要素が類型の少年マンガの追随を許さないレベルで突き抜けていた作品ではあったんですが、ジン(大人)視点に移行した事で物事の背後にある利害関係や政治的な策謀策略といった描写がとんでもない次元に到達してしまったという感があります(゜Д゜;)

ゴン編であれば感情のままに突き進むことで周囲が(相手が子供ということで)折れてくれていたような状況があったとしても、ジン編に入って、最早そんな甘い幻想を露程も許さないシビアな展開がひたすら続いているというカンジなので、こちらとしても読むのに非常に気合いと根気が必要となってしまって大変疲れるんですがw、とことん理詰めで緊張感を煽りまくる展開が面白くてたまらんです( ゜∀゜)o彡゜

今回の再開にあたって保管してた341話からまた読み直したんですが、息子ネテロの行動とそれに対抗する十二支ん、ジンとパリストンの軋轢、カキン王位継承権争い、といった要素のそれぞれの絡み合い方が余りにも複雑怪奇で、雑誌掲載から2年近くが経過してようやく意味が飲み込めた部分なんかもあったりして、いやはや、作者の頭の中は一体どうなってるんだ?と改めて感嘆せざるを得ません

一部では深刻な病状を抱えてるとのウワサも出ていますが、どうか一話でも長く、作者の健康状態が持続してくれるように神様に祈るばかりです(-人-)
コメント (2)
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