昨年の秋頃から問題視されてはいましたが、まさか2020年が丸ごとコロナに脅かされるに終始する年になってしまうとはなあ…
本来なら東京オリンピックが一番の話題になって、日本中がそれなりに ”前向き” になれてたハズの年だったと思うんですが、オレ個人にとってはコロナの影響をモロに受ける職場なので気苦労ばかりの年でした
収入は減りつつも失業までは当面なさそうですが、来年はどうなることやら…(-_-;)
まあしんどい事を挙げてたらキリが無いので、引きこもり生活のオレの精神の支えとなってくれた両輪である配信サービスとマンガの存在に改めて感謝を捧げつつ、”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” の感想まとめです
■「東独にいた」宮下暁(既刊3巻)
社会主義体制下の東ドイツを舞台に秘密警察と反政府組織の暗闘が描かれる作品ですが、なんていうか個人的には(この10年であちこちから湧いて出た)”進撃イズム” みたいなのを最も色濃く継承している作品な気がしてなりません
登場人物がほぼドイツ人で一人だけ東洋人という設定だけでなく、絵柄の荒っぽさと相俟ったケレン味あふれる超人的な戦闘描写や、死生観、政治劇といった要素がひょっとして元アシとか?とつい勘ぐってしまうほどにイメージが重なるんですよ(何より面白さが抜きん出てる)
■「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」原作:島田荘司 漫画:嶋星光壱(既刊2巻)
かつてオレが島田荘司という作家に、ひいては本格ミステリーという ”沼” にハマるきっかけとなった小説が原作なんですが、漫画化してる人が全力を出した?結果、漱石視点のホームズの狂いっぷりと、ワトソン視点のヤバさがとんでもないことに(←どっちもおかしいんかいw)
■「ミステリと言う勿れ」田村由美(既刊7巻)
マンガ大賞だったかのランキングを見て何の予備知識もなく買ってみたんですが、こりゃ新手の ”タイトル詐欺” かとw、これ程よく出来たミステリ作品もそうそう無いぞといい意味で見事に裏切られました
いかにも小栗旬や大泉洋辺りを使ったドラマ化を狙ってそうですが(さすがに大学生という設定は改変が必要かw)、人の心にいつの間にかするっと入り込むメンタリストなキャラ描写は難易度高そうなので、やるからには相当気合い入れてやれよと(←謎の上から目線)
■「戦争は女の顔をしていない」原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 漫画:小梅けいと(既刊2巻)
第二次世界大戦中の女性目線、とは言ってもいわゆる ”銃後の暮らし” などではなく、洗濯部隊から軍医、狙撃兵、機関士、飛行士などソ連軍に ”従軍” した様々な立場の女性たちの視点というのは、(オレが男だからというだけでなく)ほとんど発想すらしたことがないエピソードばかりでかなり衝撃的な内容でした
■「半助喰物帖」原作:草香去来 漫画:灯まりも(既刊4巻)
ジャンルとしてはいわゆる ”タイムスリップ無双系” なんですが、過去から現代にやってくるパターンは珍しいですし、特に偉人でも有名人でもない幕末の侍が ”食文化” という共通項を手がかりに現代のヒロインと交流を深める様がとても面白いです大好き
■「国境のエミーリャ」池田邦彦(既刊2巻)
漫画家としてデビューしたのが40過ぎで、「カレチ」等の激シブな鉄道モノを何作も手がけてる作者による架空の戦後史を舞台にしたまさかの ”女スパイ” モノです
共産主義体制下の日本における悲喜こもごもが地味に面白いんですが、どう見ても ”おっさん” 向けの絵柄と構成なのに ”萌え” 要素やらにも果敢にチャレンジしてる姿勢も大いに応援したいです
■「宙に参る」肋骨凹介(既刊1巻)
ガンダム世界の様な巨大なシリンダー型コロニーが多数地球圏にある近未来SFで、でもそこに暮らす人々の生活感はお葬式、お役所、食堂のカレー、エキナカ、おでん屋チェーンといった、”現代の日本の延長線上”っていうギャップがとても素晴らしい
あとこの ”すっとぼけた絵柄で実はハードな世界観” を描写する感覚はあさりよしとおの作風を彷彿とさせますな
■「アンドロイドタイプワン」YASHIMA(全3巻)
”機械に魂は宿るのか?” 系の王道SFですが、人間側がどう認識するのか、そもそも魂とは何なのかという視点が ”シンパシー(Sympathy)” とは似て非なる、”エンパシー(Empathy)”(同じ ”共感” という訳語でも、前者は相手を思いやっての感情で、後者は相手と自分を同一視する感情)をキーワードにより深く掘り下げてるのが特徴でしょうか
近未来社会の細かなガジェットの設定などオレ的に好感度高かったんですが、3巻で急にハナシが畳まれてしまったのにしょんぼり…(オチそのものは結構好き)
■「水溜まりに浮かぶ島」三部けい(既刊2巻)
小学生男子が凶悪な殺し屋と魂が入れ替わってしまう、物騒な「君の名は。」…あるいは変則的な「名探偵コナン」かσ(^◇^;)
中身が大人な小学生の方はともかく、逆側は一方的に無理ゲーなのではという危惧はまさにその通りなんですが、毎回の綱渡りにハラハラしながら夢中になって読んでます
■「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」漫画:小玉有起 原作:舞城王太郎(全3巻)
作家の舞城王太郎がアニメ用に構想したオリジナル作品で、なんていうか通常のミステリーをひっくり返した ”倒叙モノ” というジャンルを更に(SF的なガジェットを使って)時系列ごとひっくり返したみたいな不思議な作風で、深層意識や無意識なんかをビジュアル化する ”何でもあり” な世界観が楽しめるのはサイコダイバー物のお馴染みの設定ですがミステリー的にも非常に魅力的です
今年の1~3月期のアニメ版の放送終了に合わせて1巻が発売されたんですが、単なるコミカライズではなくて実は ”続編”だったっていうのがアニメの最終回を見ると判明するという仕掛けになっていて二度美味しかった作品です
■「怪異と乙女と神隠し」ぬじま(既刊2巻)
主人公達が働くモデルとなっている本屋(現存せず)には思い入れがあったので泣けたという個人的事情はさておき、”怪異” への恐れと畏れ、そしてエロの吸引力に人間が抗えないのはいつの世も不変であるという事を実感させてくれます
あと令和の世にもし江戸川乱歩先生が生きて、川崎に暮らしていたらこんな物語を紡いでくれていたかもしれないなと妄想w
■「パリピ孔明」原作:四葉タト 漫画:小川亮(既刊3巻)
タイトルからは全く面白そうに思えなくてスルーしてたんですがDAYSの無料チケットを機に読んでみたらメッチャ面白くて慌てて1巻をポチりました……まさかこんなに大真面目なw音楽(業界)モノだったとは( ゚∀゚)o彡゚
転生した天才軍師が芸能界を相手に様々な計略を巡らすわけですが、三国志に詳しい人はもっと深く楽しめるんだろうなと思うと羨ましいです
■「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」山田鐘人(全2巻)
後述の「葬送のフリーレン」の原作者の過去作という事でポチったんですが、リアルで人恋しさが募りまくりのコロナ情勢下で読んだのが奏功したと言っていいものか、「フリーレン」にも(ほぼそのまま)引き継がれてるすっとぼけたギャグと ”終末” の悲哀の組み合わせがとても良かったです
■「ベアゲルター」沙村広明(既刊5巻)
「波よ聞いてくれ」のアニメ版がとてもいい出来だったので、何となく勢いに乗ってポチってみたら余りのヤバさに(作者の志向(嗜好)としてエロもグロもバンバンやる人だというのは勿論知ってましたが)”これ本当に少年誌で連載してるのか?” と本気で疑ってかかる羽目に陥りましたw
■「将軍足利義昭 信長を一番殺したかった男」しまたけひと(全1巻)
作者の「敗走記」(→感想)の続きをずっと待ってたんですが、”歴史を追体験する” アイディアがこの様なカタチで結実した新作を読めて良かったです(T∀T)
無能っぽい印象しかなかった義昭の見え方がガラリと変わり、大河「麒麟がくる」とリンクしてる要素も楽しく読めました
■「とんがり帽子のキッチン」漫画:佐藤 宏海 原作・デザイン:白浜 鴎(既刊2巻)
「とんがり帽子のアトリエ」のスピンオフ作品ですが、「ダンジョン飯」のヒットによる ”ファンタジー世界でもグルメ物をやっていいんだ!” というインパクトは凄かったんだなというのを改めて感じざるを得ません(ジャンプの「トリコ」は料理を主体としてるとは言えなかった気がします)
…ふと大変なことに気づいてしまったんですが、ファンタジー世界の実在しない食材も、「美味しんぼ」等のグルメ物に登場するそうそうお目にかかることの無い高級食材も、一般人のオレにとっては(手の届かないという意味で)同じような存在なんじゃねという哀しさ…(ノД`)
まあそれはともかくキャラや料理の描写も原作再現度というか、クオリティが高くて(誌面だと本編と本作で連続して掲載されてるのにも関わらず)全然違和感なく読めるので楽しいです
■「空母いぶき GREAT GAME」かわぐちかいじ(既刊2巻)
中国海軍の次はロシア海軍を本気で相手にすると…
前シリーズに続き、自衛隊も日本政府も(実状を逸脱して)無茶をしすぎるのがハラハラして面白いんですが、基本的に米軍に全く期待できないカンジなのがリアルすぎて何だかなあと(^_^;)
■「殺し屋は今日もBBAを殺せない」芳明慧(既刊2巻)
まさか令和の世に ”ながいけん閣下” の後継者が出現するとは…w
■「テロール教授の怪しい授業」原作:カルロ・ゼン 漫画:石田点(既刊2巻)
テロリズムとは切っても切れない関係にある ”洗脳” という ”テクニック” について学べる作品です……”洗脳” は決して一部の政治団体やら宗教団体にとっての特殊で謎な技術などではなくて、実は身近にありふれているという側面を知るだけでも今作を読む価値はあるかと思います
■「iメンター」小出もと貴(既刊2巻)
遺伝子情報を元に国民の管理が行き届いた一見、ユートピアの様なディストピア社会を描写してる近未来SFですが、「PSYCHO-PASS」の世界観が好きなのでこちらも非常に楽しんでます
人間の発想や判断力がシステムの根幹に必要というのはシビュラなんかと同様ですが、”究極の官僚システム” と揶揄されるシビュラと比較すると管理の実態が結構アナログで、匙加減ひとつでイロイロとどうにかなっちゃうのは好みが分かれるところでしょうか
■「少年のアビス」峰浪りょう(既刊3巻)
前作サンデーの「初恋ゾンビ」が何年も続いてたことで勘違いしそうになってましたが、青年誌ヤンジャンに移ったことで作者本来の作風を剥き出しにして来ました(゚д゚;)
第一話だけは ”推しのアイドルと出会っちゃった” みたいな軽めのイメージなんですが、そこからはひたすらエグい人間模様の連続で、しかも伏線っぽい要素が大量にバラ撒かれてるので全く目が離せなくなります
■「ぽんこつポン子」矢寺圭太(既刊8巻)
垣間見える情報からの「攻殻機動隊」みたいなハードな世界観設定と、お気楽なほのぼのギャグ展開とのギャップが楽しいですな
ツイッター上での島本和彦とのやり取りからのまとめ買いですw
■「満州アヘンスクワッド」原作:門馬司 漫画:鹿子(既刊2巻)
舞台が満州国の和製「ブレイキング・バッド」といった趣で麻薬戦争に巻き込まれる純朴な一人の青年の怒濤の人生ドラマです
島国根性とは対称的な ”大陸性” とでも言うべき気質へ、日本人が根源的に抱く限りない憧憬と底知れない恐怖の合わせ技が見事なタッチで描写されていて、夢も希望も悪逆も非道もスケールがケタ違いで面白いです
■「天泣のキルロガー」原作:菅原敬太 作画:井上菜摘(全3巻)
一種の ”吸血鬼モノ” に分類される作品だと思うんですが、”殺人者” を見分けられる能力を持った主人公と、”殺人者”を捕食しないと生きていけないヒロインの設定が面白くてWebアクションで読んだ時点で発売されてた1~2巻をポチッたら、3巻で打ち切られたという…orz
上述の「~タイプワン」にしてもそうですが、アクション編集部の打ち切り判断早すぎ…
■「オオカミライズ」伊藤悠(既刊3巻)
分割統治された日本が舞台という部分では同じで、上述の「エミーリャ」は架空の戦後史でこちらは架空の近未来の設定なんですが、”起こり得る” 世界観としての危機感がシャレにならんレベルで生々しくて恐ろしい…
ちなみに ”電子機器が無効化され、近接戦闘が主戦場となった日本で孤児達が戦う” という、まさに ”もう一つの「鉄血のオルフェンズ」” といった趣なんですが、「鉄血~」の物語案の一つだったのか、キャラクターデザインを手がけていた際に独自に物語が作者の中で膨らんだのかとても気になります
■「葬送のフリーレン」原作:山田鐘人 作画:アベツカサ(既刊3巻)
”魔王討伐” という究極イベントを終えた ”後” から始まる物語ですが、「このマンガがすごい2021」で堂々の第2位、サンデーから久々のブレイク作品が誕生しました
静かな叙情性と軽妙洒脱なユーモアのあふれる作風なんですが、”魔王” がかつて存在していた物騒なファンタジー世界でもあることが要所にて結構シャレにならんピンチを招いてるのが怖い(^0^;)
■「龍と苺」柳本光晴(既刊2巻)
”女に将棋は向かない” と、昨今のポリコレ姿勢なんざ糞食らえな勢いで断じてくる世界観で(女性のプロ棋士がまだ一人も存在していないという ”現実” に即した価値観ではあるんですが)、そこに殴り込みをかける天才少女という構図が実に爽快感に溢れています
あらゆる意味で ”浮いてしまってる” 主人公を支える(或いは抑える)、元校長やタッキーといった脇のキャラがとても魅力的なのも素晴らしい
■「スインギンドラゴンタイガーブギ」灰田高鴻(既刊2巻)
終戦直後の東京における荒々しい文化風俗を背景にした一人のベーシストと歌姫のシンデレラストーリーですが、いやはやモーニングはこういう独特のタッチの漫画の才能を見つけるのが相変わらず上手いですな
時折見せるゾクッとくる色気のある絵がたまりません
■「ジュピタリア」梶山昊頌(既刊2巻)
”SFの王道” みたいなのを定義するのはナカナカ難しいですが、個人的には ”宇宙の怖さ” をしっかりと描写している作品が(SFの一つのジャンルとして)そうなのかなと考えてたりします……”空気が無い” ”無重量” ”スケール感” といった、わかりやすく ”地球上ではあり得ない” 事象や現象が作中でどう扱われてるか、今作も多大な影響を受けてるっぽい「プラネテス」や、少し前だと「彼方のアストラ」や連載が中断している「MOONLIGHT MILE」なんかも同ジャンルですかね
少年マンガっぽさがいい意味でも悪い意味でも強いのでちょっと読者を選ぶ傾向はあると思いますが、木星圏を舞台にしてるというだけでもかなり挑戦的だと思いますし応援していきたいです
■「推しの子」赤坂アカ 横槍メンゴ(既刊2巻)
タイトルの ”推しの子”ってそういう意味なのか!…というのが一番の驚き
■「賊軍 土方歳三」赤名修(既刊2巻)
幕末まっただ中、沖田総司が実は死んでない~という展開から始まるんですがその設定はあんまり生かされて無くて(おそらく明治の世に入ってからが本番?)、連載の最新話で日本の歴史的タブーともいえる ”南北朝以来の天皇が二人いる” 状態になっていて、会津の方こそ官軍なんだという展開がめちゃめちゃ面白いです
”東武皇帝” やら ”東北朝廷” なんて言葉は完全に初耳でしたし、ここからどの様に日本史から ”葬られて” しまうのか、刮目して読んでいきたいと思います
■「ヨリシロトランク」原作:鬼頭莫宏 漫画:カエデミノル(既刊1巻)
一種の思考実験的な作品と言いますか、”殺人者を殺すと被害者が生き返る” という風に改変された世界で、SFやら時代劇やらメルヘンやら何でもありなシチュエーションの物語がオムニバス形式で語られます
原作を手がけてるのがあの鬼頭莫宏ですから、どのエピソードも一筋縄でいくわけがないのは言うまでもありませんが、経緯はどうあれ改変されてしまった世界で人の倫理観や価値観はどう変容してしまうのか、死刑制度を始めとした法の整備はどうなるのか……改変後の世界から ”現実” への否応の無い対比から読者は逃れられなくなります
■「メダリスト」つるまいかだ(既刊1巻)
フィギュアスケートの技術とメンタルの要素を上手く絡めつつ、連載が始まってから毎回がクライマックスな盛り上がりなのがとにかく凄い
もちろん緩急はきちんとあるんですが(カタルシスのために ”落とす” 展開にも容赦がない)、基本のテンションの高止まりが凄くて(イロイロと)大丈夫なのかと心配になるほどw
■「リサの食べられない食卓」黒郷ほとり(既刊3巻)
当初は吸血鬼モノにグルメ成分をちょっと重ねたくらいの印象だったのが、作者自身も認める ”すこしふしぎ” の方のSF成分がマシマシになってきて単行本の購入に至りました
去年の感想で挙げた「ノケモノたちの夜」、上述の「フリーレン」、そして今作の担当編集者が同じだと知って、ああなんか手のひらの上で転がされてた感が軽い衝撃と共に心地よかったりもw
■「友達として大好き」ゆうち巳くみ(既刊1巻)
第一話のインパクトが凄いんですが一巻ラストまで読むとこのコに(上から目線で)ちょっとおかしくね?とか思ってた自分をひっぱたいてやりたくなります
”他人” と思いや感情を共有する為に言語化する事は難しいですが、”ルール化” を始めハッとさせられる演出の数々が素晴らしいです
■「怪獣自衛隊」井上淳哉(既刊2巻)
海上自衛隊を本格的に題材にしたエンタメは珍しい印象ですが(かわぐちかいじと福井晴敏でほぼ寡占状態かと)、”海洋国家” の日本で勿体ないなと常々感じてた俺得ホラーアクション大作です
「シン・ゴジラ」ではあんまりいい所を見せられなかった海自が大活躍!…というワケでもないんですが(ここまでの所)、脇役としての見せ場は微に入り細に入りで地味に嬉しい
■「クレイジーフードトラック」大柿ロクロウ(既刊1巻)
クレイジーとフードとトラックが登場するマンガです(←ひどい紹介だw)
世界が荒廃してるのと物資がそれなりに豊富なのが両立してる感覚がちょっとよくわからない世界観ですが、まあ細かいことは気にせずに楽しんでいきたいと思わせてくれる作品です
■「結婚するって、本当ですか」若木民喜(既刊2巻)
”おひとりさま” なんて言葉が流行して久しいですが、男女ともに中高年の未婚率がとんでもない数字になってしまっているというニュースの責任の一端を担う者としてはホント申し訳ないとしか言いようがありません
せめてフィクションの上ではという意識がオレの中にもあるのは情けない限りですが、恋人同士や夫婦同士というのとはまた違った ”結婚” そのものをテーマにした作品が世に増えてる気がするのはまさに世の中の流れなんでしょうな…
■「また来てね シタミさん」漫画:隆原ヒロタ 原作:青木潤太朗(既刊1巻)
”晴らせぬ恨みを晴らし、許せぬ人でなしを消す”(「必殺仕掛人」より)……殺し屋稼業モノというのは時代を越えて様々な派生作品を生み出し続けてますが、本家の ”必殺” からして(殺し技の)イロモノ競技みたいになっていった事が示唆しているように、設定のインパクト勝負な側面からは逃れ得ないジャンルなわけですが…
美少女が殺し屋という設定だけでは弱いと判断し、今作では日本各地の ”ご当地もの” を凶器に使用するという物凄いバクチに出ておりますw……都道府県を全て制覇するまでは連載が継続することを願ってやみませんが果たして吉と出るか凶と出るか
■「ダーウィン事変」うめざわしゅん(既刊1巻)
知能も意識も人間と同等(かあるいはそれ以上)の存在を目の前にした時の社会の反応を描写(シミュレート)する系の作品はホント大好きです
アフタ連載ということもあって「寄生獣」を彷彿とさせますが、人間とチンパンジーのハイブリッドであるチャーリーは ”異種” として唯一無二の存在である事から更に ”先鋭化” した思想や展開も期待できそうです
■「豊作でござる!メジロ殿」ちさかあや シナリオ:原恵一郎(既刊3巻)
江戸時代の ”郡奉行(こおりぶぎょう)” という農政を司る耳慣れない役職の主人公が当時の農業の諸問題の解決に尽力する物語です
ミステリやサスペンス仕立てだったり、現代農業との比較だったり(まさに農作物よろしく)バラエティ豊かなエピソードばかりでめちゃめちゃ面白いんですが、ほぼおっさんしか出てこないストイックさに編集の判断が介入?したのかw、2巻から登場する妹ちゃんがかっこかわいくて好きです(時折強くなる水木タッチも好きw)
最近は稲作をテーマにしたインディーズゲームが異例のヒットを飛ばしたりもしてるそうですが、「メジロ殿」も広大な農地や巡る季節の描写など地味に ”時空間” のスケールが大きいので、映画でもドラマでもいいのでこういう作品にこそ最新のCG技術を投入して ”滋味豊か” な時代劇作品を期待したいものです
■「走れ!川田くん」伊佐義勇(既刊2巻)
コミュ障気味で何の取り柄も無いと思われてた主人公が長距離走の才能を見いだされて~というありがちな展開ですが、要所要所の理論解説やレース展開が面白くてDAYSの連載も普通に楽しんでたんですが、もう一人の主人公が覚醒するシーンが激アツだったので慌てて単行本の購入に至りました(その展開は4巻辺りに収録?)
■「怪獣8号」松本直也(既刊1巻)
連載開始早々、マンガ好きたちがネットで大いにザワついてたので1巻の発売を楽しみにしてたんですが、こりゃ想像を遙かに超えて凄いですな(゚д゚;)
ジャンプの王道要素を詰め込みまくりな上に、作品世界の ”リアリティ” の構築の手法がとにかく秀逸で、膨大な背景設定を匂わせつつも読み手に一瞬も停滞させることなく読ませるキャラ描写や構成力がハンパなさ過ぎです
■「JUMBO MAX」高橋ツトム(既刊1巻)
伊集院光がラジオで ”大人のドラえもんなんじゃないか” 的に紹介してたのを聴いて購入してみたんですが、「満州アヘン~」よりも更にストレートに和製「ブレイキング・バッド」な趣もあって(主人公の重度EDの中高年男のモデルも伊集院っぽいw)これは実にヤバいです
■「リコさんブッチギリです!」大田均(既刊1巻)
今どきのスポーツマンガは何となくの精神論が許されないと言いますか、(例え最終的には精神論に行き着くとしても)普段の練習法から技術論に至るまでをキッチリと構築するのが当たり前で、後はどの様なインパクトをキャラや展開で読者に提示するかが勝負なワケですが、今作の場合はまさかの、”ギャル” と ”卓球” の組み合わせというギャップで、これは意表を突かれまくりで好きですw
■「紛争でしたら八田まで」田素弘(既刊4巻)
古くは「沈黙の艦隊」「オフィス北極星」「大使閣下の料理人」等、国際的なスケールの政治劇や交渉劇を描写するのが伝統的に強いモーニングに ”ビッチ系” w才女の新顔が加わりました
個々の案件のスケールはそんなに大きくはないものの、人種、民族、宗教、イデオロギー、経済、紛争といった、地球上の全ての人類の根幹に関わる問題が入り組んだ題材の割には正直、絵のタッチが軽すぎる感がどうしても否めないんですが、これが劇画タッチだと重すぎるんだろうなというのも理解出来るので現状が丁度いいバランスなのかもしれません
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以上、46作品の感想を書いてきましたが、去年の24作品と比べて倍増してるのはコロナの自粛生活の影響が少なからずあると思います…
毎年言ってる気がしますが、ずっと読んでる連載作についても感想をいくらでも書きたいんですよ……今年の新刊をざっと振り返るだけでも、いよいよあと数回で連載が完結する「進撃の巨人」、60巻に至っても全くテンションの落ちない「キングダム」、奇跡の維・維コンビによるコミカライズ「化物語」、五百旗頭さんが編集長になって益々実写ドラマ版の続編が見たくなった「重版出来!」、コメディとシリアスのバランスが神がかってきた「ハコヅメ」、インディーズの底力「GROUNDLESS」、いろんな意味で頭のおかしい「ゴールデンカムイ」、精緻な世界観が相変わらず凄い「図書館の大魔術師」、ちばてつや御大の自伝エッセイ「ひねもすのたり日記」、今年遂に最終巻が発売された「銀の匙」、ずっとハイレベルで面白いのに何故か埋もれたままの「ノケモノたちの夜」、無念の5巻で終了も作者が執念で続編をネットに書き続けている「僕はまだ野球を知らない」、打ち切り候補から崖っぷちで粘り続けてる「アニメタ!」…etc etc
更に言えば連載を読んでるだけだったり、コロナ禍以前のネットカフェなんかで読んでるだけだったりの ”単行本は買ってないんだけど…” という更に多くの作品群でもちょっと書きたい事もあったりするんですが、もうそうなるとキリが無いどころでは無いので…
もうすぐ2021年を迎えますが、今年は劇場で映画を見る機会が激減したり、一度たりともネットカフェやらスパリゾートなんかにも行けなかったので、とにかく一日も早くコロナ騒動が収まってくれることを願ってやみません
全身全霊を込めて、よいお年を!