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[映画] 君たちはどう生きるか

2023-07-15 | 映画

「君たちはどう生きるか」をTOHOシネマズ与次郎にて観賞しました

”一切の宣伝広報をしない” という宣伝?で話題になってるんだかなってないんだか、非常によくわからない状況ですが、公開二日目の週末で天気も良好、オレが行ったシネコンの午後3時の回で客の入りとしては3割くらいだったのはちょっと夏休みジブリ超大作?としてはどうなのかと少し心配になるレベルです

ただ具体的にどういった事情なのかはわかりませんが、宣伝が非常にしにくい作品であることは理解できた気がします

 

※事前情報が一切ない方が観客にとって一番いいだろうという判断は間違ってないと思いますし、ネタバレもガンガンしますので未見の方は以降の感想を読まないでください

 

 


何せ今作は、映画の構造というか構成が「千と千尋の神隠し」とほとんど同じなので……これを普通に宣伝してしまうと、(「千と千尋」と)全く同じ様な内容としてしか紹介できないジレンマがあったのではないかと思われます

描写がエグかったり結構ハードモードな展開だったり、デビット・リンチか押井守かという(現実と虚構の)不条理劇な側面もあったりしましたが、要所要所で丁寧にセリフで解説してくれるので、”物語” として主人公が生きる力と、家族不和の解消を獲得していく流れは普通に観客に伝わるようにはなってたと思います

でも「千と千尋」と比べてしまうと、ハラハラはさておき、感動のワクワク感みたいなのは基本的に今作からは欠落しているので、これまた(CMや広告という限られた時空間で)どう宣伝していいものやらという…(^0^;)


それでオレにとっての今作の感想ですが、非常に面白かったですし楽しめました


演出やモチーフの寓意やら含蓄やらの全貌についてはちょっとオレなんかでは計り知れないカンジでしたが、”宮崎駿作品” として伝わって来た要素には実に引き込まれまくりでした

「千と千尋」的な部分は言わずもがな、「コナン」や「カリオストロ」といったジブリ以前から「もののけ」「ハウル」「ポニョ」等を経て「風立ちぬ」に至る作風の歴史が詰め込まれてるのを見られるだけでも楽しめましたが、「風立ちぬ」で自伝的(自嘲的)に ”遺言” をしたため、自らのワガママし放題のクリエイター人生を許容してくれた周囲の仲間や家族への感謝を捧げた宮崎駿が更なる新作によって一体何を語ろうというのだろう?……何の事前情報もなかったことですし、オレの今作への興味はほぼこの一点のみにあって劇場に足を運んだと言えるのかも知れません

 

要するに、この世への未練というか心残りというか、「(自分が死んだ後の)君たちはどう生きるか」というのが今作のテーマだったのではないかと

 

「千と千尋」の焼き直し的な展開とはいえ、最大の違いは設定の根幹に ”謎の塔” が存在していて、宇宙から飛来したとされることで、従来の作品における大自然の驚異とか恩恵とか、精霊や魔法といった(地球)土着な要素とはオリジンが明確に違うというアピールが非常に印象的でした

”天からの授かり物”…つまり塔は ”才能” を象徴していて、あのパズルみたいな構造物はスタジオジブリそのもののメタファーなんだと思われます

この20年ほど自他共に認めてるという風ではありましたが、宮崎駿にとって後継者を残せなかった(結果としてジブリという城を見殺しにして自らは逝ってしまう)ことへの後悔と懺悔みたいなのが相当色濃く今作では表現されていたのではないでしょうか

特に時空を越えて ”お母さん” の若かりし頃と繋がる描写なんかが象徴的でしたが、40年ものジブリの歴史の中で、どれだけの若者達がジブリの元でその青春と情熱をつぎ込んでいたか、つぎ込んでいてくれたか、そしてそれが最終的には(宮崎駿の主観からすると)無へと帰してしまう苦悩っぷりに実に胸がつまりましたねえ…(ノД`)

 

ジブリという ”地獄” から解放されたペリカン達は幾人か存在する(ジブリを飛び出した後に)花開いたクリエイター達を表してたんだと思いますが、あの(ジブリが崩壊する)ラストだけでなく、”潰されてしまった” ペリカンのシーンなんかに込められた宮崎駿の想いはいかばかりか、いやもう、歴史に残る世界的クリエイターが自らの ”業の深さ” を曝け出す心のありようについてはまさに想像を絶するとしか言えません…(゚д゚;)

 

今作が岡田斗司夫とかの解説でどういう風になされるのか楽しみですが、他の誰よりも押井守監督に語ってもらいたいです……宮崎監督の人となりに最も近づいた人間の一人ですし、しかもアオサギって押井監督なんじゃないかとか結構本気で思ってますしw、ガチでオーディオコメンタリーやってほしいなあ


御年82を越え、今度こそ ”遺作” となる可能性は高いと思われますが、また機会を見つけて ”劇場” で見届けておこうかな…

 


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