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[劇場アニメ] 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章

2022-02-08 | 映画

「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-」を川崎チネチッタにて鑑賞しました

新型コロナの第6波が猛威を振るっていますが、現状では劇場の入場や飲食に規制がかかるという事もなくて予定通りに後章が公開されてくれました


前章 -TAKE OFF- 感想


旧作のファンであれば非常によく見知った展開に沿ってるんですが、かつてのヤマトでは見られなかった(新たなる)要素も沢山あってファン心をくすぐりまくりでしたねヽ( ̄▽ ̄)ノ


まず最初に、後章というか「2205」では大きく2つのテーマが掲げられていたように感じられました

・「ヤマト2199」の後始末
・古代進を救え


「2199」は総監督の出渕裕を始めとしたスタッフが制作当初からファーストのヤマトのみをリメイクするつもりだったことで、その後のシリーズに登場する要素を内包させつつも、”続編潰し” と揶揄されるような設定や展開も散見されていたように見受けられました

同じく長年に渡ってシリーズ化されているガンダムなんかも同様に ”ファースト原理主義” な強固なファン層がいたりしますが、特にクリエイターの目線からすると、”一体誰が得をするんだ” 的な無理やりの続編の雑だったり蛇足感のあるシリーズ展開が我慢ならなかったりするんだろうなっていう気持ちも理解出来るんですけどね…(^_^;)

そしてキャラとメカと音楽以外のスタッフが総入れ替えとなってスタートした「2202」を(これまたガンダムと同じ)作家の福井晴敏が作品世界を再解釈した事で、また物議を醸してしまったというか、強固なファン層の存在する ”功罪” そのものというか…

まあ下敷きとなった「さらば」や「2」の段階から問題となる要素がイロイロとありましたし、「2202」の制作体制も決して万全とは言えなかったと思うので、誰もが満足する作品作りがいかに至難の業かという事実を今更いくら考えても意味は無い気がします


「宇宙戦艦ヤマト」という作品が生まれ出でてからもうすぐ半世紀が経過し、新たな若いファン層をどうにかして生み出して、これからまた何年も何十年もシリーズが作られ続けるか愛され続けるかどうかの瀬戸際にいる制作者たちとファンたちの切実な想いが込められた作品となっているのは間違いありません

 

■「ヤマト2199」の後始末

「2199」の ”続編潰し” と揶揄される最たる要素がデスラー総統の描写で、ガミラスの国家体制の設定をより深化させた事と引き換えに ”独裁者” としての自らの立場を倦厭してるかのような冷笑皮肉キャラになってしまってました……まあ根本的にはヤマトが単艦で敵の母星にて(何十億?の民間人もろともに)殲滅戦を仕掛けることのリアリティの無さ、道義上の問題などが影響してそうなんですが…σ(^◇^;)

そんなデスラーをどう情熱的な ”武人” として際立たせるか、”スターシャへの愛” という私情はともかく、多くのガミラス民族を犠牲にしようとした失地回復をいかにして成し遂げるか、「2202」が白色彗星帝国を相手に戦う一方で裏テーマ的に目指した(ヤマト世界における)”原状復帰” の努力にて8割方その目的は達成されていたと思いますが、その総仕上げが今回の「2205」であったのだと思います


一方のイスカンダルについて「2199」では、かつては強大な波動エネルギーをもって宇宙に覇を唱えていた時期を経て衰退し、やがてイスカンダル主義なる ”全宇宙のあまねく星々の知的生命体の救済” を掲げるようになり、地球へ救いの手を差し伸べたという概要が語られたのみで終わりました
イスカンダル人がスターシャ、サーシャ、ユリーシャの僅か3人しか存在していない経緯も適当に濁されただけで、イスカンダルやガミラスが死にゆく星であるというのも特に設定されてはいなかったように思われますが、今となっては「2199」の裏設定みたいなのはもう決して表には出てきてくれなさそうなのが残念ではあります

「2199」の裏設定といえば、コミカライズのむらかわみちお版でチラッと出てきた途端にいきなり連載が中止に追い込まれてしまった、”雪がイスカンダル人のクローン” であるという設定からすると、本来はもっと違う展開が終盤で想定されていたのではないかという気がしてならないんですよね…
おそらく今後の続編を見据えていた製作側と、現場の制作側がずっと対立していて、公開された展開は両者の妥協点だったのではないかなあ(…いくら独自に進行させることがある程度許容されてたとはいえ、旧来のヤマト世界の根本をひっくり返しかねない設定は、「2202」の公開もとっくに始まってるタイミングでもあったので慌ててストップがかかったと)


デスラーが抱える苦悩の一環として ”ガミラス星が寿命を迎えつつある” という旧作の設定が「2202」にて復活した時点で、イスカンダルの過去についても新たに設定が為されたのだと思いますが、なんとも業が深かったですな…(ノ_-;)

長谷川裕一による名作SF「マップス」にて銀河伝承族という、不老不死となった人類の成れの果てというか、究極の進化形態みたいなのが登場してましたが、現世人類の視点や価値観にとってみれば存在意義も次元も違いすぎてひたすら迷惑千万な存在でしかなかったのを思い出させられましたw

”記憶” という要素(エレメント)とそれを元に ”再生” させるコスモリバースが何を目的に存在していたのかが明かされたカンジでもありましたが、旧作におけるイスカンダリウムという単純なエネルギー資源が ”叡智の結晶” みたいな存在に格上げされた一方で、イスカンダル人(王族という名の管理者)の姉妹がより一層儚い存在になってしまいましたね……果たして新生サーシャを守とスターシャの忘れ形見だと言っていいのかはぶっちゃけまだピンと来てないんですが、古代の ”義姉さん” 呼びに、癒やしキャラだったユリーシャまでが一緒に消えてしまった寂しさを思えば呑み込んで納得するしかないよなあ…(T△T)


「2199」第七章の感想にて、デスラーがヤマトとの最終決戦に臨むにあたって、何故さっさとデスラー砲なり何なりで一気に決着を付けずに自らヤマトに乗り込んでまでしたのかという理由に、”愛するスターシャを奪った憎き恋敵のツラを拝もうとした” のではないかと書きましたが、何故アベルトではダメで地球人の古代守とは情愛を交わした(交わせた)のかについても補完されたと言っていいのかな

ガミラス人については本質的にはボラー連邦と変わらない、いや内心では人間以下(猿)の扱いをしてたイスカンダル人の方がむしろ酷いっていうのはホント、デスラーにとってはしんどすぎましたが、まあデスラーはデスラーで(他種族の)セレステラなんかに酷い態度とってたし因果応報ってことで!(←投げやりな感想)

 

■古代進を救え

レジェンド沖田艦長からの薫陶を受け、ヤマト帰還後の極めて人材不足に陥っていた地球防衛軍において当然の様に重用される時点で二十歳そこそこ、「2202」で究極の臨死体験を経たのもまだ二十二歳くらい、「2205」においてようやく二十代半ばとなる計算ですが、自らの能力と現実の情勢が望む理想像と余りに乖離しているのと、人類全体の実利を毀損した負い目と責任感で完全に視野狭窄に陥ってる様が前章ではひたすら痛々しい主人公でした

たしか笑顔になるシーンひとつすら無かったような…?

”叛乱なら経験者だ” のシーンも基本的には土門ら若手側の見せ場という風に演出されてましたし、後章に入っても冒頭のイスカンダル会戦においてちゃんと僚艦をあてにしている雪と、ヤマト(自分)のことで手一杯な古代の対比、久しぶりの再会のバーガーにもそっけない態度、挙げ句の果てにはデスラーにまでなんて小さな男だと見限られる始末でいやはやこうして書き連ねてみるとホントひどい扱いでしたな(^0^;)

それがようやく後章の半ばから状況が反転、まず真田さんと雪を始めとした仲間にも責任が分散されてることを自覚させ、土門という自分の映し鏡のような若者に、本来の自分はああいうイメージだったよなと再認識させる過程をこれでもかと丁寧に見せつけることで古代が自分を取り戻していく様は痛快でした


終盤、(旧作のように)艦長自らが最前線というか、コスモハウンドに乗り込んじゃった時はええ…と思いましたが、今回は身内案件で、古代本人が説得に赴く必要があったケースなので納得は行きましたが、さて今後のシリーズで果たして古代は大人しく艦長席に収まってる立場を貫けるんでしょうか…w

 

■そして「3199」へ

後章の公開直前、突如として発表された新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」

”未来を、変えろ。”
”敵は……宇宙戦艦ヤマト。”

↑謎に満ちたコピーがついてますが、「2202」も「2205」も基本的な設定や展開は驚くほど旧作に忠実であった事から、今度も「ヤマトよ永遠に」に忠実な流れになると予想が出来ますが…

今作「新たなる~」が8話分で、パンフの福井発言によるとスケールが3倍あるとのことなので、「2199」や「2202」と同様に全26話で「ヤマトよ永遠に」を再構成すると思われるので、かなりの分量で独自のオリジナル要素が加わる事も予想されます


ただ今更ネタバレも無いので書いちゃいますが、「永遠に」ではいきなり地球が完全に占領されてしまう所から始まり、後半でその敵は自分たちを ”未来の地球人である” と詐称する展開になってまして、なので同様の仕掛けで「3199」という表記になってるんだと思いますが、その動機やら行動やらが物凄く大雑把でテキトーだったんですよ…(^_^;)

完全にアレwな物語を一体どうやって現代風に再構築するのか、「2205」のエンドクレジット後に謎のアンドロメダ型をわざわざ出してきたり、歴史に残らぬノイズといったセリフを配してることからも、仕掛けに相当な自信があることが窺えるんですが、もう今はただ福井晴敏の手腕に期待するしかありません


一応気になってる点をちょっと挙げてみると…

まずガミラスはガルマン・ガミラスの建国に忙しいでしょうから地球との同盟関係どころじゃなくて一切登場しないと見てよさそうかな

登場人物たちはヤマトで敵の本陣に乗り込んでいく組と、制圧された地球に残ってゲリラ的に抵抗していく組に分かれることは確定的だと思うんですが、せっかくなのでアスカやヒュウガはそのまま(僚艦として)続投して欲しいなあ

「2205」から果たして何年後という設定になるかはまだ不明ですが、古代と雪は結婚してるんだろうか……「2202」における彼岸にて、古代に示された可能性の断片としての ”赤子の手” の描写は間違いなく古代と雪の将来の子供だと思ってたんですが、実はあれはサーシャの事だったのかなあ…

”敵は…ヤマト” というコピーから、デザリウム勢力のヤマト型が敵として登場する?
もしくは地球そのものを人質として取られた地球人同士が戦わされたり?

 

公開時期は早くとも来年以降になると思いますが、楽しみに待ちたいと思います!

 

「2199」感想リンク:

宇宙戦艦ヤマト2199第一章宇宙戦艦ヤマト2199第二章宇宙戦艦ヤマト2199第三章宇宙戦艦ヤマト2199第四章宇宙戦艦ヤマト2199第五章宇宙戦艦ヤマト2199第六章宇宙戦艦ヤマト2199第七章宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟

「2202」感想リンク:

第一章感想第二章感想第三章感想第四章感想第五章感想第六章感想第七章感想

 

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