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[配信ドラマ] 沈黙の艦隊

2024-02-14 | ドラマ

■7~8話感想追記あり

 

「沈黙の艦隊・シーズン1」をアマゾンプライムにて視聴しました

シーズン1を全て見てから(全8話の残り2話分は2/16より配信予定)感想を書こうかなと思ってたんですが、イロイロと思いがあふれてしまってw


「沈黙の艦隊」はかわぐちかいじによって1988~1996でモーニング誌にて連載されていたマンガが原作です

かつて社会現象とまで言われるくらいに大ヒットした作品でして、内容がリアルな現代社会を舞台にした政治劇、外交劇といった側面を持っていた為に、国会質疑で野党から同作に付随する質問が出たという嘘のような本当の逸話があったりする程です

今「沈黙の艦隊 国会質問」で検索してみたら、現公明党代表の山口那津男が一年生議員の時に当時の防衛庁長官に質問してたのか…

オレが強く印象に残っている当時の現象としては「たけしのTVタックル」にて、”やまとが東京湾に入港しましたが、海江田艦長の目的は何だと思いますか?” と、いきなり何の説明もなく報道的な街頭インタビューを実施して、「沈黙の艦隊」のことを知ってる人はノリ良く ”艦長は一体何を考えてるのか”、”海江田さんの真の目的が気になります” みたいに回答し、知らない人は ”政治のこととか詳しくないので…” とか曖昧に逃げる、みたいなやり取りに笑いました(…スタジオでたけしが、”楽屋に何冊か置いてあったけど今時のマンガは凄いよな” と読んだのか読んでないのかいまいちわからないコメントだったのを思い出しますw)

それと単行本が公称3200万部とされてますが、(Wikiにも載ってない情報として)これ実質的にはもっと多くの部数が出ているハズです

どういうことかというと、単行本は週刊連載で約3ヶ月に一冊のペースで刊行されていたんですが、余りにも大ヒットしていた為にあこぎな商売といいますかw、通常の単行本より一ヶ月くらい早く、雑誌サイズでまとめた総集編を別冊として発売していたんですね

普通にどこのコンビニでも平積みされるくらいに売られていて、内容を政治的や軍事的に補足する記事なんかもあって別に詐欺とかではないんですが、マンガ部分は連載時のままで、大ハマりしていた当時のオレは単行本の発売が待ち遠し過ぎて(そしてマニア心理によって)結局その総集編も単行本の方も両方買ってしまっていたというアホな話ですw

また連載の中盤の展開にて政治的な要素が一層深まり、作中で実施される国会解散からの ”総選挙” に合わせて、モーニング誌上にてどの立候補者に投票したいかと、読者投票を実施していたりしたんですが、オレ自身が ”現実” の政治や外交、そして軍事に興味を抱くきっかけとなった作品となりました(ちなみに読者投票の結果は、作中と同じで竹上新民自党の勝利だったかと)

 

「沈黙の艦隊」は ”日米が極秘裏に建造していた原子力潜水艦が反乱逃亡、独立国家を宣言し、全世界を巻き込んだ国際問題に切り込んでいく” という実に壮大なスケールのアクション大作な故、これまで一部がビデオアニメ化されていたのみだったんですが、昨今の配信サービスの拡充によるコンテンツ不足の折に、90年代の名作を映像化する流れみたいなのに乗っかってまさかのドラマ化となったわけです

で、昨年9月に劇場版というのが公開されてまして…


これは見ておかねばとオレも劇場に足を運んでたんですが、要所要所に見所みたいなのはしっかりとありつつも、さすがに一本の映画にまとめるのは無理がありすぎるカンジだったので、どうにも感想をアップする気にはなれなかったんですが、Amazonが出資してるだけあっていずれは配信で行うつもりではあっても、劇場での評判が良ければおそらく第二部も劇場で公開するつもりだったのではないかなあ…σ(^_^;)

 

■■■前置きが異様に長くなりましたが、ここから(ようやく)本編の感想となります

 

痛ましい事件があったばかりで、”原作モノ作品” について語るのに気が重かったりもするんですが、幸いにも今作は多大な原作へのリスペクトと愛があると感じられる映像化だったと個人的には思いました


30年も前の作品で、最新の軍事兵器や世相がテーマに直結しているので現代にそぐわない部分は当然の改変が必要なのは理解出来ますし、劇場公開版を見たときには正直、疑問符がついていたアレンジ要素についてもかなり印象が緩和されたカンジです

逆に、シーバット計画の目的が日本の核軍備という、連載当時の方が戦中派老人の妄言や陰謀論的な荒唐無稽さが強くて、むしろ2024年の現代の方がリアリティがある世界情勢になってしまってる ”現実” が感慨深かったりもしました(-_-;)


シーズン1はやまとの独立宣言からモルッカ海や沖縄沖での米軍との衝突、海江田艦長と日本政府の同盟会談、東京湾海戦、と続くのが主な流れですが、原作から改変された一番大きな要素としてはロシア(ソ連)艦との絡みの全面カットでしょうか

実際に戦争の真っ最中のロシアを登場させることにはリスクしかありませんし、時代背景的に、原作が連載中だった約8年の間にソ連の崩壊に象徴される ”現実” の大変動を反映させることは実質的に不可能で、そもそもからして原作の完全再現は無理な作品であると

また潜水艦を中心とした海戦描写については連載当時からその荒唐無稽さが批判されてたりもしてて、まあそこら辺のエンタメ要素ならではの ”虚実” のバランス感覚は(知識の深さ次第で)人それぞれなので、余り深くはツッコまないのが楽しむためのコツなんだと思います(^_^;

”独立国家やまと” の異常事態に対する、日本や米国という国家の陥るパニック的な積み重ねの描写が薄味になってしまっているのは純粋に尺の都合ということなんでしょうが、”東京湾だとぉ!” と大騒ぎになるシーンが大好きだったので見てみたかったなあ……国会シーンが一切なかったのはホント残念です


基本的にアメリカが主敵となる今作が、よりにもよってアメリカの企業資本で制作されている現状にちょっと複雑な感覚を抱いてしまいますがw、今作の企画が通ったのには「シン・ゴジラ」の影響が強かったのではないかと思えてなりません

「シン・ゴジラ」では ”有事” の際の日本政府や官僚のシミュレーション要素に特化していた意外性が大いにウケましたからねえ……この内容でおそらく20億円以上?の予算をゲットした、今作の企画書を是非とも読んでみたいものですが、”やまと=ゴジラ” を制御不能な対象として状況を次々に推移させ、周囲で対応に追われる側の行動の矛盾やご都合主義っぽさを否応なく ”勢い” で押し切った演出は大正解だったと思います

ギリギリ、たつなみ乗組員の心情描写を ”実写映像化” することによる生身の人間の存在感に付随する ”重み” を最低限必要な描写として差し込んでるという印象でしたが、そういえばたつなみといえば、速水副長の性別が女性になってることについてはある意味原作通りというか、原作を超えた ”正解” といいますか(既読者には伝わるかとw)

水測長が軽やかに演じられてるのも、実写だと(日本人にとって)余りに重すぎる題材と展開へのカウンター・ウェイトなんだろうなと思えば全く気になりませんでした


実写ならではの ”重み” でいえば問題はやまと艦内の方が大きくて、原作でも ”乗員76名に身分も祖国も捨てさせる決断をさせ、意志を統一する強固な動機が” 的なセリフがありましたが、行動がどうにも無茶すぎるんですよね……海江田の真意を聞かされていたから、というだけでは余りにも説得力が足りなくて、その辺りをオリジナルの登場人物で補完しているのは上手いアレンジだと思いました(まだどう転ぶか何とも言えませんが)


日本人視聴者としては自然と、日本人であるやまと側に肩入れしてしまいますが、ハリウッドで散々映画化、映像化が為されてきた ”核テロリストとの戦い” を、完全に核テロリスト側からの視点で見ていると考えると愕然とする状況の作品ですよね(゚д゚;)……ライアン大佐の立場が恐ろしすぎるなと改めて思わされましたw

 

映像面については防衛省、海上自衛隊が全面協力してる部分については素晴らしかったの一言ですヽ( ̄▽ ̄)ノ

艦内での軍事用語なんかにしてもこれまでのどんなミリタリー系作品でも聞いたことのないレベルで専門用語が飛び交ってる感がたまらなかったですが、やはり実際の潜水艦を撮影してるシーンは最高でしたね(たつなみの出航シーン何度も見返してしまうw)……米艦隊など、洋上の特撮シーンは「ゴジラ・マイナスワン」と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまったんですが(白組も参加してるみたいですが…うーむ)、それでもこのスケール感だけでも十分に見応えありましたし、ハッタリの効きまくったというか、日本映画ではもちろん、ハリウッドなんかを含めてもこんなのが見てみたかったという新鮮な ”絵” がふんだんに見られたので総合的な満足度は高かったです


直接的な関係はなくとも、明白に「沈黙の艦隊」の影響下にあったと言える「亡国のイージス」や「空母いぶき」で哀しいアレンジが施され続けてきた実写映像化の負の歴史を、一気に全てとは言わんまでも、かなりの部分で救われた気分でもあります


公開されてるメイキング映像によると、艦橋のセットは実際に傾くように(さすが大予算!)作られていたみたいで、もしかしたらどこかで ”アップトリム90度” のシーンも実際にやってくれちゃうんでしょうか(^_^;

 

■7~8話感想追記:

第一シーズン終了までが配信されました

結構な改変されようでしたが、原作の全32巻を通した要素に配慮した改変が基本だと感じられたので、個人的には全然 ”アリ” でした

もちろん全く不満がないというわけではありませんでしたが、原作再現がどうしても難しい要素(規模的、予算的、技術的と要因は様々でしょうが)、原作の時点でリアリティ的に破綻していた要素を思えば、相当頑張って(誠実に)制作されていたんじゃないかと思います


「沈黙の艦隊」という作品のどの部分がウケていたのかを考えると、潜水艦を中心とした海戦描写が非常に珍しかったこと、アメリカら超大国に対しても物怖じしない日本政府の政治外交要素、そして海江田の真の目的は一体何なのかというミステリー要素が挙げられます

その海江田の目的というか、作品の根幹のテーマが ”世界平和” だったというのがオレにとって衝撃的で、これは今に至るもオレの中で「沈黙の艦隊」という作品を他のどのエンタメ作品とも違った立ち位置でオレの中に存在させている気がしてなりません

だって、”世界平和” を真正面から目指す作品なんてまずないんですよ……かつては当たり前だった ”正義の味方” や ”世界征服を企む悪の組織” みたいな存在がフィクション上でも存在が許されなくなり、この地球上で人種や民族や東西や南北に分かたれ、理想も信心も利権も思惑も絡みまくる複雑怪奇な現実世界で ”世界平和” なんて概念は実現不可能に決まってると、そんなの ”常識” じゃないですか

言葉だけなら何とでも言えるんですよ、対話でとか人類皆平等とか愛さえあればとか…

でもそんないわゆる ”お花畑” な理想論に逃げたりせず、様々な社会問題からも目を背けずに本気で世界平和を実現する為に、哲学的・思想的なアプローチも含めて思索を深めた上で、”一つの解決策の提示” にまで到達させた所がホントに凄かったと思います(現実に実現可能かと言えばそれはまた別問題ですが)


実写版では時代背景や海戦描写に止まらず、登場人物たちの関係性なんかもかなり変わってますが、「沈黙の艦隊」が到達した ”ゴール” には確実に向かっていると感じられるアレンジだと思いますので、是非ともシーズン2以降も楽しみにしたいです

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[テレビドラマ] 「いだてん」が面白い

2019-01-13 | ドラマ

もう先週の第一話の時点でガッチリ心掴まれてたんですがw、本筋(主人公の物語)は第二回からということで一応様子見しておくかとここに感想を書くのを保留してたんですが、そんな杞憂は一切不要でしたヽ( ̄▽ ̄)ノ



本来はスペシャルドラマみたいな企画だったのが、語りたいエピソードが沢山ありすぎて大河ドラマにまで昇格してしまったという話も頷けます(参照記事)……異様なテンポの良さとテンションの高さに面食らった第一話に引き続き、二話でも軽快にポンポン物語が進行していくのに、ダイジェスト感みたいなのがほとんど感じられないのは何故なんだろう?と見てて不思議に感じた程なんですが…


その疑問の答えとしては ”疾走感” がキーワードとなっていて、文字通り登場人物たちが ”走る”、”駆ける” シーンが多いというのとやはり詰め込まれた ”情報量” が膨大なのだと思われます……民放だとTBS日曜劇場(の福澤組)が多数のエキストラで画面を埋め尽くす手法を多用してますが、”名も無き人々” が大量に出まくってるだけで、登場人物たちの ”生きてる実感” や ”生きてきた歴史” みたいなのが底上げされる上に、(背景セットを含めた)”物量” や ”作り込み” で画面が充実してることの高揚感みたいなのは昨今の厳しい製作事情においてはそれだけで貴重です

そもそもこのドラマの基本構造が古今亭志ん生が狂言回しとして(未来から過去を)語る ”東京オリムピック噺” となっていて、昭和と明治の二つの時代の志ん生が二人同時に画面に登場するのも厭わないぶっ飛んだ演出が ”疾走感” の根底にありつつ、更に劇中の志ん生がオレら視聴者にもメタ的に語りかける事で ”2019年の現代” という三つ目の時代(視点)までが加わってくるワケですから、もうそりゃ視聴者は脳の処理に精一杯で間延びする余裕なんか感じるヒマすらないという仕掛けなんですなw

しかも純粋なドラマ部分についても ”ドラマチック” な要素が詰め込まれていて、第二話で田口トモロヲ演じる四三の父が死ぬまでの過程なんかも、通常の大河ドラマなら1~2話かけてやったとしても全然おかしくない内容だったのに開始25分経たずにまとめられてしまいましたからねえσ(^◇^;)……クドカンの軽妙でありつつも、酸いも甘いも苦いも知り尽くした人物描写も相変わらず達者で、安心して見ていられました

何より、”疾走感” の最大の功労者かもしれない、「あまちゃん」でもお馴染みの大友良英の軽快なサウンドが心に響きまくりで、あのテーマ曲と共にワクワクが果てしなく上り詰めていく感はホント筆舌に尽くしがたいくらいに好きです( ゚∀゚)o彡゚



オレ個人としては第一話冒頭、”彼はレジェンダリー、ジゴローカノーの最期を看取った男です” と松重豊が星野源のことを紹介した際に欧米人たちがどよめいたシーンでいきなりグッときまして、コレは柔道経験者なら誰もがこのシーンだけで一気にワクワクが止まらなくなったんじゃないかと思います

明治時代、日本が西洋化の道を進もうとする中で古来の殺し合いの技術である ”柔術” から、”精力善用” や ”自他共栄”といった理念と共に(勝ち負けではない)自己修養を心がける ”柔道” を生み出した嘉納治五郎は、西洋の ”スポーツ精神” に大いに共感する所があったのだろう……といった概略を知っていた程度のオレですが、やはり自分が少しでもやっていた競技の創始者がこうして ”伝説的” な扱いを受けていたのを見せられると嬉しくなっちゃうものでして…(*´∀`)

国威発揚、政治利用、選手への過度なプレッシャーといった ”闇” の側面にもキッチリ言及しつつ、そもそも ”スポーツとはなんぞや?体育とは?” といった概念の説明から始まって、近代スポーツにまつわる明暗をキッチリと両論併記していたのが素晴らしかったです



そして第一話といえばやはり何よりも話題をさらってしまった愛すべきバカ集団w ”天狗倶楽部” の面々ですが、第二話より金栗四三の幼少時から物語が始まると聞いて、じゃあ天狗倶楽部が再登場するのはしばらく先かなあと残念に思ってたんですが、まさかの第三話の予告にもう普通に登場しているというw


いやー、これから一年、日曜の夜は是が非でも家に帰ってテレビの前にいようと思えるくらいに楽しみなのが何より幸せですd(≧▽≦*)

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[訃報] 大杉漣さん死去

2018-02-22 | ドラマ

あまりに突然の訃報でした

一年ほど前にこのブログでも取り上げた「バイプレイヤーズ」(最終話感想)のシーズン2の真っ最中のまさかの訃報でした

昨夜の、訃報に接してから一時間もしないウチに放送された第三話においても全く体調不良といった気配を寸分たりとも見せていませんでした…

例えとしては不適切かもしれませんが……大きな災害なんかが起こった際、(自らが当事者でない限りは)その直後は被害状況なども不明なままで奇妙にゆったりとした空気だったりしますが、やがて時間を追うごとに実態がメディアを通して明らかになっていき、徐々に頭と心が ”実感” していくというのが経験則としてオレにも備わっていますが、日付もとうにかわって午前三時過ぎ現在、ツイッターも掲示板も故人を偲ぶ声が尽きる気配が無い中で、”大杉漣” の喪失という事態を全く呑み込めていないオレがいます…

おそらく夜が明ければあらゆるメディアが大騒ぎになっていると思われますが、果たしていつオレは ”実感” するのだろう…

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[テレビドラマ] 「ひよっこ」が面白かった

2017-09-30 | ドラマ

二週目までの感想

 

ついに半年の放送が終了しちゃいましたが、いやー、最後まで楽しかったですヽ(゚∀゚)ノ

 

”次々と片付いていく” 終盤の怒濤の展開は流石にちょっと呆気にとられたりもしましたが(特にカフカの辺りw)、今日の最終回では津田寛治の先生までちょこっと出てきてくれて嬉しかったなあ(直前の田舎のシーンで、村長候補の松尾諭が出た辺りが限界かなと勝手に諦めてましたw)

脚本家の岡田惠和のインタビュー記事を読むと、本来は1964年から10年くらいの期間をドラマ化していく予定だったのがたった4年しか経過させられなかった~的なことを仰っているんですが、それぞれのキャラが(勝手に)どんどん膨らんでいくのを、これほどのベテラン脚本家ですらどうしようもなかったくらいに魅力に溢れていた~っていうのが、ホントこのドラマのクオリティを証明しているエピソードだなと思いました

次にまた朝ドラの脚本を書く機会が来たら(新作ではなくて)続編を書きたい~とまでの言いようなので、これは朝ドラ史上初の、”第二期” に期待してしまうのはオレだけではないでしょう( ゚∀゚)o彡゚

個々のキャラの魅力についてイチイチ書いてたらキリがないのでやりませんが、個人的には前半のキーとなったのは柴田理恵演じる三男の母、そして後半は ”さおり” ことw米子の存在がキーだった気がしてなりません

家族同士といえども互いに負い目をどうしても避けられなかったが故に ”清らか” である必要があった谷田部家の描写だけだと、やはり不自然さみたいなのが際立っていたと思うんですが、そこに奥茨城という ”田舎” を象徴する存在として、農家の実態というかリアリティラインみたいなのを担保していたのが柴田理恵の存在だったと思うんですね……木村佳乃演じるみね子の母を中庸にするために、逆方向に浮世離れしていた羽田美智子も重要といえばそうなんですがw、こうして最終回を見終えて「ひよっこ」全体を思い返してみても、一番ガチで泣かされたのが柴田理恵の三男への想いを吐露するシーンだった気がするのでやはり強烈な存在感だったのは間違いない気がします

そして後半というかラスト二ヶ月くらいは、やたらとパヤパヤ歌う ”恋のうた(太田裕美)”  が背景でかかりまくっていましたがw、今度はみね子を中庸とする為に、とにかく米子は突っ走りまくる恋愛模様を見せつけてくれたワケですな(逆方向のカウンターパートは富さんか)

三男がとことんいいやつだったってのが前提ですが、そんな三男への一途さや時子への嫉妬心も含めてやたらと魅力的なキャラでした……米子が誰よりもアグレッシブでいてくれたおかげで、(両極端である)米子と富さんの ”中間” でもろもろ描写される他のキャラたちの恋愛模様が少々無茶だったりしても大して気にならないっていう効果が実に絶大だったかとw

あー、でも愛子さんとシェフの顛末はグッと来たなあ……感想を見て回っても「めぞん一刻」の五代君を思い出した人が結構いたっぽいですが、”こんな私でも恋していいですか?” という質問にVサインで答えたヒキから、実は次の回ではそのVサインの意味が二番目の~っていう引っかけになっていたのも素晴らしい脚本だと思いました(ノД`)

ラストカットで視聴者にお礼を言ってましたが、みね子がカメラ目線になったのは三回ありましたかね?……セツコが来た辺りの広場で一回目、ヒデへの告白で二回目、そしてラストで三回目だったと思うんですが、大きく動くストーリーではなく、一人の女の子が社会に出る様をじっくりと指向して来た脚本ならではのお遊びで、視聴者もすぐ側で寄り添ってきた一人として扱ってくれてるって演出だったんでしょうか(^_^)

みね子自身の ”大人” への道程はまだまだ道半ばというカンジもしますし、他の登場人物たちのその後も見届けたい人たちばかりですし、ホントいつか ”第二期” やってくれないかなあ…

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[テレビドラマ] 「ひよっこ」が面白い

2017-04-15 | ドラマ
二週目までの放送を見終わりましたが、今回の朝ドラ凄くないですか?

一週目と二週目で印象がガラリと変わったというか、序盤のわずか12話で物語の ”振り幅” を目一杯見させて貰ったというか…(゚д゚;)



一週目はひたすら「ALWAYS 三丁目の夕日」などと同じ手法で、時代に存在する ”陰と陽” の ”陽” の側面を敢えて強調して、”いい人・いい話” にのみスポットを当て続けてる ”やさしい世界” が描写された印象でした

日本の原風景だっぺや!

という先週の第6話で出てきたこのセリフが象徴してるように、”あの頃は良かった” 的な懐古趣味に拒否反応を示した人もいるかもしれませんが、戦争の記憶や経済的事情などの ”陰”(現実)の要素もキチンと見え隠れさせていて、オレとしてはこういう ”王道” のホームドラマも逆に新鮮でいいなあと素直に好印象を抱いていたんです

それが二週目になって自分の認識の浅さを思い知らされまして、”一人東京に出稼ぎに出ている父親に対して家族全員が負い目を感じている”←故に一家は(不自然なまでに)”清い家族” にならざるを得ないんだと思う~的なセリフを主人公に言わせたことでもう、ガツンと頭を殴られたかのような衝撃でした

…親友役のコの反応じゃないですけどw、オレもこのドラマや主人公のことナメてました、すみませんm(_ _)m

周囲に守られていた ”子供” の時代が終わり、主人公がこれから飛び込んでいく ”大人” の世界が少しずつ丁寧に詳らかにされていっているカンジですが、表面的な ”いい人” も、”いやな人” も出すつもりは無いという、脚本家の決意表明みたいなのを感じられて身震いする程です



ここまで実に無駄の無い脚本で、出稼ぎに出ていた父親が不在となる事で主人公が代わりとなりそうな流れがもの凄く自然ですし、何気なく始まった東京の洋食屋との ”縁” が徐々に深まっていく描写も凄い好きですねえ……あの ”物騒” な上野駅で始発を待つ母親の小さな背中のいたたまれなさから、お夜食を持ち込んでくれたシーンは涙が止まりませんでした(ノД`)

厨房や料理の描写にも相当な気合いが入ってそうなのは既に一週目でその片鱗を見せていますし、いやー、これは先々の展開が楽しみでなりません!ヽ( ̄▽ ̄)ノ
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[テレビドラマ] 「バイプレイヤーズ」が面白かった

2017-04-01 | ドラマ
第一話感想


”遠藤憲一 大杉漣 田口トモロヲ 寺島進 松重豊 光石研(あいうえお順)ら6人の名脇役たちがシェアハウスで共に暮らす~” という大胆かつ、意味不明wな設定のドラマが最終回を迎えましたが、”夢のような” ドラマでした


企画段階ではテレビ東京の社内においても、”一体何が面白いのか解らない” という声があったと担当プロデューサーがツイッターで明かしていましたが、確かに普通に考えたらこれまで基本的には脇役の、しかも50代以上のおっさんばかりを集めて誰が喜ぶんだっていうカンジですよねえ(^o^;)

”枯れ専” なんて言葉が出てきたのは最近だと思いますが、大昔から ”ファザコン” 的な意味合いと絡んだりしつつ ”老けた男性” を好む渋い趣味の女性が一定数いたイメージはあって、オタク界隈の一般化とIT化が進んだ近年で ”需要” が目に見えるカタチで顕在化した気がします

オレ自身はおっさんなのでそうした女性ファンの嗜好については理解しきれない部分もありますがw、単純にカッコ良さやシブさに憧れる側面と、今回の「バイプレイヤーズ」の様に本人の ”私生活” らしき側面から導き出される ”中年あるある” なギャップ要素に親近感を抱く感覚は非常にわかりやすかったですヽ( ̄▽ ̄)ノ 

ただ正直、ドラマとしては無理がありすぎだったかなとσ(^_^;)

”「七人の侍」リメイクに際して役者間の絆を深める為に共同生活を~” という大前提からしてギリギリなのに中盤で早くもその設定は破綻し、後半は共同生活を続ける意味もどこかへ行ってしまっていましたからねえ…

芸能界の様々な現場(主にドラマ)にて、”役柄と本人の境目が限りなく曖昧(豪華ゲスト込み)” というパロディ的な面白さだけでも十分に楽しくはあったんですが、折角の6人を活かし切れてないんじゃないか?といった細かい不満があったのも事実でした



…ですが、11話から最終12話にかけて大杉漣による ”夢オチ” 的に壮大な展開になった終盤を見ててふと、

”ああそうか、このドラマそのものが実は夢なんだ……夢だから細かい整合性とかが破綻してるのも当然なんだ”

と思い至りました

そもそもこのドラマの成り立ちが、”この6人で共演したい” という2002年に開催された彼ら6人の映画イベントにまで遡るという記事を読んだんですが、十数年越しの6人の ”夢” を今作の制作陣がこういうカタチで叶えたという経緯らしいんですね

”名脇役” たちを全員、”主役” としてスケジュール調整するのも至難の業だった事が放映されたエピソードを見るだけでも伝わって来ましたし、当の6人ですら撮影が始まるまで本当に集まれるのか?と疑問だったそうですw

EDで謳われる ”フォーエバーヤング” というテーマに沿って、男なら誰しもが心のどこかで保持し続けたいと願う ”純真性”(悪く言えば幼児性w)が詰め込まれた、まさに ”男の夢” を表現していたドラマだったのではないでしょうか

役者馬鹿でありたい、いつまでもバカやってたい、新鮮なモチベーションを保ち続けたい、仕事以外の付き合いを大切にしたい等々、見る人それぞれで共感するポイントも様々でしょうけど、まとめると ”楽しそうに人生を謳歌してるオジさん達” みたいな言葉に集約されますかね(゚∀゚)


”夢オチ” と聞くと反射的に ”制作者の逃げ” であるといったカンジで非難されがちなイメージですが、「バイプレイヤーズ」の様な ”虚実入り交じった” 世界観だと事情が少々違う気がします

全ての要素がフィクションというか ”作り物” の世界で夢オチにしてしまうと、余程上手く処理しないとそれは作品の ”全否定” に繋がりかねない危険性を孕んでいますが、このドラマの登場人物たちも世界観も相当な割合が ”現実” と敢えて混同されているので、彼ら6人や制作者達、果ては視聴者であるオレらが見てる ”夢” でもあると感じさせる効果があった気がするのはオレだけかな…

唯一、出演者たちが ”素の状態” で登場していたハズのバイプレトークのコーナーまでが最後の最後でドラマ部分と融合したのを見てその思いが確信に変わったかもしれません


起きぬけに、”なんか凄くいい夢を見た” 気がしながら目覚めた時
あまりにも惜しい後味の夢で、もう一度寝たら続きが見られるかもと期待して目を閉じてみるも
無理だと解って切なくなるまでがワンセットの夢ですw
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[テレビドラマ] 「バイプレイヤーズ」が面白い

2017-01-14 | ドラマ
全く知らなかった…

昨年末の「勇者ヨシヒコ」の最終回の後で予告とかやってたっけ?…と思って、慌てて録画を見直してみたらEDとDVD告知の間で軽く予告されてた!
あの時は山崎貴監督のCGやまさかの堤真一の登場等wナカナカ衝撃的な最終回だったので、EDが流れ始めた早々にネットの感想を見て回ってた気がするので(^0^;)、完全にスルーしちゃってたなあ……不覚でした


ドラマ24「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」
http://www.tv-tokyo.co.jp/byplayers/


オレが番組終了後に慌てて公式ツイッターをフォローした段階では6000人?くらいだったのが、今見たら一気に1万人近くに増えてますな(…って書いてる内に1万人越えた!w)

昨夜はホントに何の予備知識も無く、たまたまテレ東を見てたら ”遠藤憲一 大杉漣 田口トモロヲ 寺島進 松重豊 光石研(あいうえお順)” といった面々が俳優として実名で次々に登場して、あれよあれよという間に奇妙な ”同居生活” を始めるという展開に唖然としてしまいましたw

タイトル通り ”名脇役” と呼ばれる6人の俳優達は例え名前は知らなくとも、顔を見れば日本人の誰もが ”知ってる” のが間違い無いレベルの方々ばかりで、果たしてどこからどこまでが台本なのか?……2017年現在、実在する俳優やテレビ局や番組の話題なんかも普通に会話の中で出て来るカンジで進行しますし、しかも本編の後で、ドラマ内のセットで ”台本ではない” フリートークをするコーナーまでがあって、視聴者としては ”現実と虚構” が完全に曖昧になってしまって脳が混乱しまくりなのが凄すぎですw

年齢、芸歴の長さ、主に出演しているコンテンツや媒体(テレビ・映画・舞台等)の ”格” によって、上下関係が複雑に入り乱れると言われる芸能界で、同じ ”名脇役” 扱いでも微妙なパワーバランスが垣間見える緊張感wが堪らなく面白いんですが、基本、”かわいいオジさん” 達が一つ屋根の下でどうにか共同生活を成立させようとあがくコメディなのでお気楽に楽しみたいですね

そして俳優としての自分自身をそのまま演じてる6人が、普段ならお互いに言えないようなことも ”役柄” を言い訳にセリフとして言えちゃうのはご本人たちも内心で凄く楽しんでそうなのが見てる方としても最高でしたヽ( ̄▽ ̄)ノ 


こんなシャレた注意書きで締められるラストw

第一回のゲストにまさかの役所広司が出て来て、次回以降も ”名だたる俳優” が次々と登場するみたいなので実に楽しみです

ただ、全くノーマークだった事から当然録画なんかもしてませんし、全員黒ずくめでシビれまくりの「レザボアドッグス」的なOP映像とか、舞台経験も豊富なメンバーによる抱腹絶倒な掛け合いなんかをまた見直したくてたまらないんですが……いやー、久しぶりに第一話を録画してない事を本気で後悔する作品に巡り会えましたね(ノД`)


170401追記:
最終話感想
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[テレビドラマ] 「真田丸」が面白かった

2016-12-18 | ドラマ
1~2話の感想を書いてからもう一年近くが経ったのか…

もう2016年も残り二週間を切ってるってのが信じられません(;´Д`)……と、現実逃避はさておき、遂に最終回だった「真田丸」ですがオレが歴史に疎いこともあって、最後の最後ギリギリまで、あれ?豊臣方勝っちゃうんじゃね?とハラハラ出来るとは思いもしてませんでしたw

ドラマだからといって主人公側に創作的な肩入れをしてるとかではなく、歴史考証を担当していた学者先生のツイートなんかを見てると、諸説ある中で三谷幸喜が取捨選択をしているだけで、基本的に劇中で起こる展開は(○○(地名)で××(人名)が△△(出来事)した、というのは) ”史実” とみて問題ないっぽいので、どうやら本当にちょっとしたボタンの掛け違いで戦国の世が終わり、徳川の時代がやって来ていたんですな…(゚Д゚;)

関ヶ原の戦いなんかが顕著でしたが、ついつい歴史を俯瞰する視点から ”どうせ負ける” からと、石田三成らが悲壮感漂わせるドラマ性なんかを視聴者としても期待しちゃう所を、「真田丸」では ”当時を生きた人々の実感” として(東軍西軍の)どちらが勝つか本気でわからない状態で物語が進行していた姿勢が全体的に貫かれていたカンジだったので、毎週毎週ガチで引き込まれる大河ドラマでした(現代人の ”後知恵” とでも言うべき、当時の人はまずしなかったであろう平和思想みたいなのを語り出したりも一切しなかったのも素晴らしかったです)

父・昌幸に引っ張られた序盤の上田編から越後編、豊臣ファミリーを中心とした大坂編、そして九度山送りから再び大坂に戻った終盤と、基本的に ”真田幸村” が誕生する瞬間まで主人公が ”傍観者” 的ポジションを崩さなかったのが大きな特徴でもありましたが、源二郎が信繁を経て行く先々で ”人たらし” の本領を発揮しw、景勝やら秀吉やら家康やらの ”有名人”を(視聴者へ)紹介してくれて歴史に疎い一視聴者としても非常に入り込みやすい構造になってくれてたのが大変有り難かったです

放送後、ツイッター等の感想を見て回るのも日曜夜の楽しみの一つでしたが、歴史に詳しい人の ”補足情報” みたいなのも膨大に溢れていて、大いに勉強させてもらいました……三谷幸喜がこの調子で日本史全体をドラマ化してくれてたら、オレきっと日本史の成績抜群に良かっただろうなと詮無き妄想をしてしまったりw

戦国の世の ”終わり” が語られた「真田丸」でしたが、今更ながら(名前くらいしか知らなかった)戦国武将たちの実像に興味を持つようになり、職場の同僚と長時間 ”武将談義” に花を咲かせたりするようになるなんて去年までのオレからは考えられないような2016年でありましたヽ( ̄▽ ̄)ノ 

そういや真田のババ様の言い遺した、”(天命に気づくのに)遅いも早いもない” 的なセリフがオレは大好きだったんですが、それが全50話中40話目にして(齢五十近くにして)ようやく信繁が ”幸村” を名乗る展開に直結しているのがシビれたっけなあ…

”世の中、何がどう転ぶかわからない(良くも悪くも)” と、すっかり中年のおっさんであるオレの今後にもささやかながら希望を灯してくれた今年の大河を心に刻みつけて来年以降も頑張って生きていこうと思う次第であります
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[テレビドラマ] 「重版出来!」DVD-BOX

2016-10-28 | ドラマ
アオイホノオ」以来のDVD-BOXの購入です

放送版の感想はこちら→第1-2話感想最終話感想

DVD-BOXの特典映像120分というのに非常に期待していたんですが、残念ながら基本的にネットで公開されていた素材が大半で、個人的に見応えあったのは14分ほどのメイキング(←ゆうきまさみ先生や名物編集のヤマウチナオコさんも登場)、原作者インタビュー、NG集、クランクアップ集、そして未公開シーン集辺りでしたかね(付録冊子の方に劇中に登場したマンガ原稿が全て掲載されています)

ドラマDVDはほとんど買った経験が無いので他作品を引き合いに出すのは心苦しいんですが、「アオイホノオ」の円盤の充実度合いはちょっと異常だったんだなというのがよく理解出来ました(^0^;)

いやでもコメンタリー付の第一話、そしてそのまま第二話を続けて見て改めて思ったんですが、ドラマそのものの完成度が異様に高いのでDVD-BOXを買って良かったです……無性に見返したくなるタイプの作品なのは間違い無いのでヽ( ̄▽ ̄)ノ 

新規映像というワケではないんですが、タイトルバックのアニメや予告編をつなぎ合わせた映像集を見てるだけでまた涙が溢れてくるとか、ホントこのドラマ大好きだ…

特典映像の中で松重豊さんが何度も何度も ”続編に出たい” と言及し続けてるのを見ると、いち視聴者としてもついつい夢見てしまうなあ

付録冊子の小ネタなんですが、帝国日本印刷っていうのはあの…(^_^;)
横のバーコードもひょっとしたらちゃんと認識したりするんでしょうかw
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[テレビドラマ] 「侠飯~おとこめし~」が面白い

2016-07-23 | ドラマ
孤独のグルメ」、「めしばな刑事タチバナ」に続く第三(?)のテレ東 ”夜食テロ” ドラマである「侠飯~おとこめし~」の第二話の放送を見終わりましたが、メッチャ面白いですな

公式サイト→http://www.tv-tokyo.co.jp/otokomeshi/

”就活中の平凡な大学生がヤクザの抗争に巻き込まれ、警察や敵対組織に追われる身のヤクザ組長(とその舎弟)を匿う羽目に陥る”~という、設定だけ見るとかなりハードでバイオレンスが満載な雰囲気なんですが、全くそんな内容ではありません(^0^;)

いや、一応、暗にバイオレンスな要素も随所に出て来るんですけど、基本は ”こんな組長が一家に一人いてくれたら最高!” というw、料理のイロハを懇切丁寧に解説しつつ、”大人” が先行き不安な ”若者” へ至極真っ当な人生指南までしてくれる様を感動的に描写したヒューマンドラマです

「孤独のグルメ」がドラマ要素をおまけ扱いにして、料理の描写と食事中のモノローグに視聴者の全神経を注がせる構成にしている事で、ありとあらゆる視聴者層に訴求するのに成功していたのと比べると、今作「おとこめし」は少々好き嫌いが分れてしまうかもしれません

個人的には、ドラマ要素が登場する料理とキチンと絡めてあるのは非常に好感触ですし、安易にデレた態度を見せたりしない組長のキャラ描写と、ひたすらヘタレな主人公の対比が素晴らしいヽ( ̄▽ ̄)ノ 

柄本時生の絶妙に人をイラつかせる仕草や表情は ”完璧” としか表現しようがありませんしw、これからエピソードを重ねるごとに、生瀬勝久演じる組長によって少しずつ ”一人前の男” として成長させられるのかと思うと先行きが実に楽しみでなりません

”夜食テロ” の真骨頂である料理についてもまさに「おとこめし」の看板に相応しいカンジで、(丁寧に頑張りさえすれば)オレでも誰でも自宅で普通に作れそうなラインを見事に突いてきてると思います(…どこで読んだか聞いたか定かではありませんが、”美味いモノさえあれば大抵の不幸は吹き飛ぶ” 的な言葉がオレにとっては座右の銘に近いくらいの人生訓です)

…とにかく第二話にて ”創味シャンタン” を実名で出して来たシーン、好感度共感度親近感が瞬間的にMAXにまで引き上げられた自炊歴の長いおっさん視聴者としてはもう無条件でこのドラマを礼賛してしまいますよ、ええw



160924追記:
最終回を見終わりましたが、余りのどんでん返しにビックリしてしまいました(^_^;)

例の騒動のせいで(;´Д`)、放送予定が一話短縮されてしまったとの事ですが、このオチ自体に変更が加わったとは考えにくいですし、本来ならもうちょっとじっくりと伏線が明かされてたりしてたのかなあ…

悪徳刑事?役の小沢仁志とか出番が異様に少なくてあれじゃさっぱりワケがわからんかったですよねw

まあでも落とし所としては何の憂いも無く、非常にスッキリと出来たのはとても良かったです

主人公の成長っぷりも見てて気持ちよかったですしね(元々はフェイクだったとしても、そのまま神棚を大事にしてるシーン大好きです)

原作小説はこの後もシリーズ化されてるみたいなので、柳刃と火野のコンビの活躍をもっと見たいなあ
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[テレビドラマ] 「重版出来!」が面白かった

2016-06-15 | ドラマ

ああ素晴らしい最終回だった!!(ノД`)

第一話、第二話感想

久々に感動に打ち震えております(T∀T)……主人公のマンガ編集者人生における最初のマイルストーン、”連載を立ち上げる→ヒットして重版出来” を見事に達成して大団円を迎えた最終回でしたが、いやー、第一話から最終話まで脚本、演出、出演者と何一つ非の打ち所のないドラマなんてそうそうあるものではありません( ゚∀゚)o彡゚

…強いて苦言を呈せば、この愛しき登場人物達をもっともっと見ていたかったという事くらいでしょうかw

最終回の放送を前に、ドラマ版の放送前~放送中は敢えて読み直さなかった原作本を読み返してみたんですが、ドラマ版が全く違う構成になってるのにビビりました……登場するエピソードは基本的に共通しているんですが、配役が違ったり、時系列が違ったり、ほんの小さなエピソードが大きく膨らませられていたり…

既に知ってるエピソードでも時系列が原作と全く違うので(るうるう先生が河さんに会いに来る等)、不意打ちのように涙がぶわっと誘われる演出に何度泣かされたことか(^0^;)

○○冥利に尽きる~という言葉があります

どんな職業でもどんな現場でも、男でも女でも新人でもベテランでも様々な立場で誰もが踏ん張ってる、戦っている…それぞれの立場で、それぞれの考え方で、それぞれの目標のもとで ”仕事” をしている…というのが群像劇としてこのドラマでは見事に表現されていましたが、”仕事で報われる瞬間” というのが他のどんな職業モノドラマよりもきめ細かく、大切に描写されていたような気がしてなりません

作家冥利に尽きる、編集者冥利に尽きる、営業冥利に尽きる、書店員冥利に尽きる……より良いモノを生み出そう、売ろうと己の頭をかきむしり、知恵を振り絞って ”結果” を出すために最大限の努力を払っている様をキッチリと描写しているからこそ、それが報われるシーンで途轍もないカタルシスを視聴者として味わわせて貰いましたが、一人のマンガ好きとしてオレが何より嬉しかったのは、そこに ”ファン冥利に尽きる” という視点までも描写してくれたことでした(ノД`)

マンガ好きを自覚するようになってからおよそ30年、自ら購入し、友達から借り、立ち読みし(←オイw)、ネットカフェで、ラーメン屋で、ネットで、これまで誰もが認める大ヒット傑作マンガから全くヒットせずに打ち切られたけどオレとしては死ぬほど好きだったマンガまで、おそらく数万冊のマンガを読んできた ”読者” としてのオレのマンガ人生をも全肯定してくれてるように感じていましたからねえ、毎週毎週(T_T)

あと何だろう、原作版だとイロイロと容赦ない展開も多いというか、かなりドライなんですよ

ドラマ版を見た上で原作を読み返してみると、漫画家や編集者という、まさに自分たちの界隈そのものをネタとしてるのでリアリティをより重視してる姿勢というか、”作り手としての視線” がメチャメチャ厳しいように感じられましたね

それが表現者として喜びも苦しみも共通する部分の多そうな題材に対して、テレビドラマという他業種からの視線から ”柔らかさ” や ”優しさ” が加味されてる気がしたのがとても良かったですヽ( ̄▽ ̄)ノ 

脚本を担当した野木亜紀子については「掟上今日子の備忘録(→感想)」や映画「アイアムアヒーロー(→感想)」の時にも熱く語らせて貰いましたがw、今回も至上の ”仕事” っぷりを見せつけてくれました……野木亜紀子という脚本家、やはりただ者じゃありません

一年も前の段階で既に、
「1心→2小泉→3壬生→4東江→5久慈→6安井→7沼田→8和田→9五百旗頭→10心」
という構成の大枠が決まっていたのだそうですが、まず原作の最新7巻までのエピソードを全てバラバラにして、各話ごとにテーマを決めてエピソードを2~3つ並行して進行出来るように再配置しているというのがもう神がかり的にハマッていてホントに凄かったなあ(゚Д゚;)

そして最終話の展開なんて原作追い越してほぼオリジナルの ”締め” なのにこの超絶クオリティです……”(これまでの読者が)納得する最終回を、いいかげんなたたみ方は許しません” と劇中セリフにあることをまさに有言実行してみせたワケです(ため息)

オレ結局、一話から最終話まで涙が流れなかった回って一つも無かった気がします(^_^;)

このドラマで唯一、”視聴率が芳しくなかった” という部分だけが残念に感じられてしまいましたが、こればかりは ”どんなに面白くても売れるとは限らない” という劇中の岡営業部長の言葉を図らずも体現してしまったって事なんですかね…

職業ドラマとしては別に出版社に限らず、世の中のあらゆる職業にも通じる普遍性を兼ね備えていたテーマだとは思うんですが、世の中は ”マンガ” と聞くだけで何だろう、文化として ”一段下” に見られる風潮というのが根強くあるのも事実ですからねえ(;´Д`)

出演者については黒木華、オダギリジョーの二人の存在感が白眉でしたが、脇役の一人一人に至るまでがホントに生き生きとしていたのが最高でしたね……例えその回では登場していなくとも、全ての登場人物たちが等しく同じ時間を生きて、見えない所で ”仕事” をし続けているというのが ”実感” として伝わって来ていたのがとても良かったです

登場人物一人一人についても書きたいことがいくらでもあるんですが、何か既に結構な文章量になってしまってるので(…もう午前2時過ぎちゃってるw)、ここまでにしたいと思います



ちなみにオレとしては「アオイホノオ(→感想)」以来にDVDボックスを購入する事になりそうですが(10月26日発売!)、ディレクターズカット版みたいなのを収録してくれないかなあ……最終話までの全ての回で重層的というか、複数の原作エピソードを組み合わせた構成になっていたので間違い無くカットされてしまったシーンなんかも多かったと思うんですよ(最終回でいうなら、沼さんと中田が再会するシーンとか撮ってないハズがないかと…あとマンガ家側の二次会シーンは…流石に無いかw)

そしてシーズン2というのは原作エピソードで主な部分は全て使い切ってしまっているので無理としても(印刷所や出版の他の部署の細かなエピソードにもいいハナシがまだあります)、SPドラマとしての復活なんかに期待したいと思います!

その為にもDVD売れろ!!売れまくってくれ!!!ヽ(^O^)ノ 

 

DVDBOX発売

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[テレビドラマ] 「重版出来!」が面白い

2016-04-12 | ドラマ

松田奈緒子によるマンガ「重版出来!」のドラマ版第一話の放送が終わりました

公式サイト:http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/

原作(の存在する作品の)ファンにとって ”安易な実写化” というのをとても恐れる気持ちがあるのを理解して頂けるかと思いますが(^_^;)、今作は原作モノを実写化する手腕に定評のある野木亜紀子(「空飛ぶ広報室」「掟上今日子の備忘録」等)が脚本を担当するとのことで結構安心してはいました……いたんですが、近年希に見るレベルでの ”マンガ愛” に溢れたこの作品がどのように料理されるのか、やはり実際に見てみるまでは不安の方が大半でしたねえ(^0^;)

それがもう、蓋を開けて見れば原作の雰囲気を見事な迄に再現していて、懸念も不安も見事に払拭してくれて実に面白かったです( ゜∀゜)o彡゜

原作の二話分くらいの話をじっくりと時間をかけて丁寧に、ここまで原作に忠実に描写してくれたドラマ化ってちょっと記憶にないくらいだったと思います……とにかくメインから脇役に至るまでやたらと出演者が豪華だったというか、個性派でクセの強い俳優ばかりをよくぞここまで集めてくれたというかw、そういう役者たちがその原作の流れに沿って ”肉付け” をしていっているカンジが見てて至福の時でした( ´▽`)

現在のシビアな出版業界の実態を踏まえて、それでも現場で踏ん張る作家や関係者たちの奮闘っぷりはホントに涙無しでは読めない原作なので(ノД`)、ドラマの方も毎週楽しみにしたいと思います!!



追記:
一週間の無料配信をオフィシャルでやってるみたいなので未見の方は是非!

http://tver.jp/episode/15072026/


160419追記:
第二話も素晴らしかった!!ヽ( ̄▽ ̄)ノ 

全章を加筆修正なんて、ゆうきまさみ先生も大変だなあ(←って違うw)

心に ”心” 動かされて小泉君がどんどん覚醒していく様で泣けて来て仕方なかったんですが(ノД`)、編集長と営業部長がかつて廃刊させてしまったのってヤンサンの事かな…とか考えただけでもう涙腺が(T_T)

実在書店が実名でバンバン出て来て、実際に行った事もある店舗の光景が感慨深かったりもしたんですが、そういやオレここ何年もまともに本屋さんに行ってないな…と胸がチクリと痛んだりもしました…(;´Д`)

あと劇中作が ”試し読み” の体で読めるようになっててこんな所にもこだわりまくりです(゜Д゜;)
http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/vibes/

漫画原稿だけでなく、会議シーン用の資料なんかでもスピリッツ編集部が全面的に協力しているみたいですが、この「重版出来!」という作品だけでなくて出版物全体のアピールを、”仕掛けて” いる関係者の方々の魂の叫びが響いてくるようです

 

最終話感想DVDBOX発売

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[テレビドラマ] 悪党たちは千里を走る

2016-01-28 | ドラマ
ムロツヨシの初(?)主演ドラマという事で見てるんですが、第二話まで見てもこれから一体どう展開するのかサッパリわかりません(^_^;)

誘拐ミステリーなんだけど主人公たちが知らぬ間に犯人になっている~という捻った展開がナカナカ面白いんですが、1~2話の尺の9割くらいがひたすら主人公の部屋の中だけで話が進行するので、何だか小劇場のお芝居を観てる気にさせられますな

とりあえず主人公の他にメインの登場人物が2人いるんですが、一人が最有力容疑者で、もう一人は未だに名前すら判明しないままに物語に参加し続けてるという状況がぶっ飛びすぎてて、もう完全に頭のおかしい脚本ですw

そして次回予告からするとどうやら第3話もまたこの部屋でずっと展開するみたいで、一体いつになったら ”千里を走る” のかなとか言ってる場合じゃないなこれ…(^0^;)



160324追記:
最終回を見ましたが、うーむ、ミステリーとしては正直物足りなかったかな(^_^;)

復讐譚の部分も、動機も目的も手段も集約しきれてなかったというかそれぞれが浮いてる風にしか受け取れなかったのが気になったなあ…
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[テレビドラマ] 「真田丸」が面白い

2016-01-17 | ドラマ
「真田丸」の第2話までを見ましたが、何ておもしろカッコいいんだ草刈正雄ヽ( ̄▽ ̄)ノ

脚本:三谷幸喜、主演:堺雅人の大河と来れば「新選組!」を思い出しますが、あの頃に20~30代だった視聴者の一人として、あの青春群像劇への思い入れはハンパ無く強いので、知らず知らず「真田丸」にも過剰と言えるほどの期待をかけてしまっていたんですが(^_^;)、その期待を見事に上回ってくれてると思います(今のところの不満点といえば殺陣シーンがヌルいことくらいです)

第一話から飄々とした軽さと一歩間違えれば全滅必至のシビアな緊張感が絡み合って、絶妙な面白さを表現してるのではないでしょうか( ゜∀゜)o彡゜

当面、主役は草刈正雄の真田昌幸で行く流れっぽいですが、このまま半年くらい活躍してくれてもいいんですよ?w

オレの場合、真田幸村、真田十勇士、猿飛佐助、霧隠才蔵、等々の単語レベルで何となく聞き覚えがある程度で、今後真田家の人々がどのように歴史に関わっていくのか、ほとんど知らない状態なので大いに楽しめそうです( ´▽`)

1~2話を見て視聴継続を決めた大河は「龍馬伝」以来で、これから一年、毎週日曜日を楽しみに出来る幸せを噛みしめたいと思います
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[テレビドラマ] 「下町ロケット」最終回

2015-12-20 | ドラマ
3時間スペシャル+2時間スペシャル+1時間半の最終回本編という、前代未聞の凄まじい「下町ロケット」攻勢の日曜日でした(^0^;)……オレはテレビを完全に注視していたのは19時からでしたが、14時からテレビはつけっぱなし状態で、PCで作業しつつもチラチラと見入っておりましたw

最後には結局、登場人物がほとんどみ~んなイイ人になっちゃった展開でしたが、非常に爽やかに締めくくってくれて良かったです

ロケット編の登場人物たちも総登場して、まさに ”これぞ最終回!” という盛り上がりのシーンだらけでしたなヽ( ̄▽ ̄)ノ

困った時の財前部長、完全にお白州のお奉行様だった帝国社長、佃は嫌いでも帝国への背信行為は許せなかった富山、変わり身が見事すぎた帝国本部長、カッコいい週刊ポストw等々、次々と悪人共が斬って捨てられる展開が痛快でたまらんかったです(ガウディ編に入って唯一の懸念だった今田耕司も、先週の感情を爆発させる回でかなりイメージ良くなりましたよね)

そして十数分にも及んだ佃社長と椎名社長の二人っきりの舌戦シーンも凄かったですねえ…(゜Д゜;)

元々、ロケット開発の部分に興味があって見始めたドラマでしたが、後半の医療機器開発編の方もとても興味深かったです……”悪役” として佃製作所を苦しめた連中の言い分にも、視点を変えればもっともな部分も多々あって、日本の医療業界が抱える問題なんかに鋭く疑義を唱えてる様なシーンが非常に見応えありました

普段、ドラマなんかでは見る事の無い人たちが沢山出てるのに賛否両論があるでしょうけど、演技の巧拙さよりも、その ”存在感” みたいなので不思議な説得力みたいなのを醸し出していた人たちを何人も見られたので、最終話まで見終えたオレとしてはこのドラマの全ての出演者の人たちを全肯定したいですね

最後の最後まで、”いいモノ” を見させてもらいました!!
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