MARUMUSHI

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終戦の日。

2019-08-15 17:35:39 | インポート
#終戦の日

婆ちゃんから直接話を聞けたわけじゃない。父や親戚から聞いた話だ。
去年の三月に亡くなった婆ちゃんは、昭和20年8月15日満州にいた。
婆ちゃんの本当の戦争はこの日から始まった。

ソ連軍が満州に侵攻。条約の整理も何も待たず日本はポツダム宣言を受諾したのだから、と入ってきたのだ。
男は殺されるか労働力として持っていかれ、女、子供は殺されるか犯された上で殺されるかといった様子だったらしい。

当時、結婚していた夫は「子供をおいて逃げよう」と言ったらしいが、婆ちゃんは「何があっても連れて日本に逃げる」といい、別々に逃げたようだ。
婆ちゃんは二人の娘を丸刈りにして、自分も丸刈りになった。そうすると遠目には男として見えるからだ。ちょっとでも女として見られないために。
悟られにくいようにお札を縫い込んだ服をいくらかかばんに詰め、婆ちゃんたちは逃げ出した。
途中でソ連兵に出くわし、物陰で息を潜めてやり過ごしたこともあるらしい。
逃げている間の話はこれぐらいしかわからない。たぶん、覚える暇もなかったか思い出したくなかったかだろう。
本当に命からがら婆ちゃんと娘二人は日本の九州にきた。その日付とかもわからないけれど8月下旬か遅くとも9月あたまだと思う。
話はぼやけていて断片になっているけれど、これだけ聞いても壮絶だ。

娘二人を守りきった婆ちゃん。婆ちゃんたちの戦争が終わったのはその日になる。
終戦の日も昭和20年9月2日降伏文書調印の日も関係ない。国が始めた戦争は個人が終わらせるしかなかったんだなと思う。無責任な話だし、国が守るのは国であって国民とは限らないのだなと思ってしまう。

目印を付けておかなければ人は忘れてしまう。だから8月15日を終戦の日と決めた。戦争で命を落とした人々を想い平和を守ることを誓う日にした。でもそれは後から決めただけのことでそれ以後も戦争は続いていた。
終戦の日に昭和20年8月15日に終われなかった戦争にも少し思いを巡らせてもいい思う。


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