『聲の形』。

#こえのかたち
#聲の形

『聲の形』を観てきた。

人は多色に塗り分けられた多面体。
場所、時間、環境。ありとあらゆる影響で見せる姿が変わる。だから人と人とは惹かれあい、反発しあう。

僕は石田将也。
僕は西宮硝子。
僕は西宮結絃。
僕は永束友宏。
僕は佐原みよこ。
僕は川井みき。
僕は真柴智。
僕は植野直花。
僕は全てのみんな。
喜び、怒り、優越、劣等、期待、好奇心、不満、後悔、軽蔑、嫉妬、自責、不安。
ありとあらゆる感情を抱えて僕は生きている。
だから僕は彼ら全て。

目を閉じて、耳を塞ぐ。言葉は発さず、下を向く。そうすれば傷つくことはない。傷つけることもない。魂を閉じる。何者とも心を結ばない。

一度間違った木組み細工は、一度完全にばらさなければならない。
彼女の名を叫んだときに、将也は気付いたんだと思う。
もう一度、やり直せるなら。
自分がそこにいなくてもいいから、神様、もう一度だけ。
喜び、怒り、優越、劣等、期待、好奇心、不満、後悔、軽蔑、嫉妬、自責、不安。
それらを確かめるための、勇気を。

硝子が手伝い、仲間が傍にいてくれて。
目を開き、耳を塞いでいた手を離す。
閉じていた目は、なんでもない毎日と、大切な人を見るために使おう。
塞いでいた手は、人に聲を伝えるために使おう。

聲を発すること。聲を受け取ること。そして、心を繋ぐこと。
聲の形がそこにある。