馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

数字で見るJBL 08-09 (その6)

2009年03月31日 | バスケについて考える
PERトップ20以外の選手について、せっかくなので前回リストアップした日本人ポイントガードを中心に、コメントしておきたい。

今回日本人ポイントガードとしては最も高いPERを記録した桜井選手。2ポイントの決定率(55.7%→61.8%、リーグ4位)、ペース調整後40分当たりスティール数(1.5個→2.1個、リーグ10位)など、多くの項目で昨年から改善を見せ、PERは13.1→20.2へと大きな成長を遂げた。

日本人ポイントガードトップ、といいながら実は桜井選手のスタッツは最もポイントガードからかけ離れていて、①フリースローをもらう頻度はインサイド並みに高い。フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は0.553と、並みいる外国人選手やインサイドプレイヤーをおさえてリーグ1位、②ペース調整後の40分当たりリバウンド数6.8本(リーグ28位)。外国人選手が20人弱いることを考えれば、ポイントガードで28位は相当高い数字。③ペース調整後の40分当たりブロック数は1.0本(リーグ11位)。ただ、ターンオーバー率が高く(16.1%、リーグ75位)、ポイントガードとしてまだまだ成長の余地あり。

日立の佐藤選手は、昨年から既に短いプレイングタイム(387分)の中で高いPERを残していたが、今年はプレイングタイムが611分にまで増加。3ポイントシュート力の高い控えポイントガードとして、殆どゴールへアタックしない(フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は0.076、リーグ83位)が、その分ミスをあまりしない(ターンオーバー率9.8%、リーグ20位)。ペース調整後の40分当たりスタッツで見ると、スティール数3.2個(リーグ1位)、オフェンスリバウンド数は2.2個(リーグ29位)。

五十嵐選手のPERは、昨年の21.8(リーグ20位)→16.3(リーグ30位)に大きく後退。シュート率などについては著変ないが、Usageが20.7(リーグ4位)→18.1(同33位)に減り、特にゴールにアタックしてファウルをもらう頻度が落ちた。フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は、昨年の0.391(リーグ8位)→0.228(同45位)に落ちた。これはひょっとすると、五十嵐選手自身の不調というよりはチーム事情によるものではないだろうか。昨年の日立のペース(40分当たりの攻撃回数)は71.3回でリーグで最も遅いチームだったが、今年はペースが更に69.3回に落ちた。ハーフコートオフェンスを中心としたコントロールバスケットでは、五十嵐選手のスピードはなかなか活きてこないのかもしれない。

ポイントガード以外のスタッツを眺めていて、どうしてもコメントしたくなったのが、三菱電機の佐藤託矢選手。身長198センチ、体重115キロと日本人にしては恵まれた体格。過去10キロ太って日本代表合宿に現れたりと、いろいろと話題の多い選手のようだ。スタッツを見ると、Usage26.3回(リーグ6位)と、日本人の中では川村(24.1回)、竹内譲次(22.7回)を抑えて1位。攻撃機会が多いということは、それだけ自らシュート機会をクリエイトできる、ということで、1つの能力の表れではある。

しかし、佐藤選手の場合はそれだけ攻撃しているにもかかわらず、2ポイントの成功率42.1%(リーグ62位)と低い。更に、佐藤選手のシュートの約3本に1本が3ポイントのため、結果、フリースローをもらう頻度がビッグマンにしては低く(フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は0.234、リーグ42位)、オフェンスリバウンドにもあまり絡めていない(ペース調整後の40分当たりオフェンスリバウンド数は1.676本、リーグ40位)。ちなみに、このオフェンスリバウンド数は、同じ三菱電機の柏倉選手(身長173センチ)の数字(1.682本)を下回っている。

ディフェンス面ではなんと、シーズンを通してのブロック数が4本。大体同じくらいのプレイングタイムを得ている、東芝のポイントガードの石崎選手(身長188センチ)で7本、田臥選手(身長173センチ)でも4本。どのくらい佐藤選手のブロックが少ないかがなんとなくわかってもらえると思う。全体的に見ると、佐藤選手のPERは昨年の12.6→11.7に下落。オンザコートワンにより、他の日本人ビッグマンが軒並みPERを伸ばす中で、唯一数値を下げた。

佐藤選手は三菱電機で最もプレイングタイムが長く、佐藤選手のパフォーマンスが三菱電機の成績を大きく左右する。来期の成長にぜひ期待したい。


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