馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

Magic VS Celtics (Eastern Conf. Final Game 4) その2

2010年06月04日 | NBA等観戦記(NY・Indiana以外)
前回の続きを。

試合前から会場では、"Let's Go Celtics"の大合唱。これまで多くの試合に足を運んできたが、これほどの大音量は耳にしたことが無いくらい。ボストンファンの盛り上がり方は尋常ではなかった。またそれを煽るように、電光掲示板には"Where is Celtics Pride?"の文字に続いて、有名なDave CowensのルーズボールLarry Birdの脳震盪からのカムバック、そして第3戦のRondoのルーズボールが。。。Celticsの伝統であるハッスルプレイは、確かに受け継がれているようだ。そして会場ではまた"Let's Go Celtics"。。。


(ラシャド・ルイスのFTを入れさせまいとゴール裏で騒ぐセルティックスファン)

試合の中身はやや記憶が薄れつつあるが、なんとなく見ていたそれまでの3戦と比べたMagicの違いとしては(皆さんもお気付きかとは思いますが):
①かなり意識的にテンポを上げていた。たとえシュートを決められても、速く相手コートに持ち込み、セットの前にアーリーでも攻められたら攻めてしまう。Magicはレギュラーシーズンではそれ程速いチームではなく、ペース(48分当たりの攻撃回数)94.2回はリーグで18番目の高さ。
②ピックアンドロールの「しつこさ」。なんとも適切な表現が見当たらないのだけれど、攻撃の中でピックアンドロールをより多用したり、一度かけてかかりが悪ければ戻ってもう一回かけたり。更に後半に入ると今度はJameer Nelsonに対して下からダブルスクリーンをセットしてベースライン側に攻めさせるなど、ちょっとした捻りを入れてきていた。以前Coach Dから紹介してもらった、New York Timesの記事。Jameer Nelsonのピックアンドロールの成功率は、NBAでもトップレベルだそう。ようやくそれがこの試合で戻ってきた感じ。

この二つで、大分Magicのリズムがよくなったように思う。また途中からこれまで殆ど使われていなかったBrandon Bassを起用。試合後の記者会見で、Van Gundyコーチは「エナジーが欲しかった」と言っていたが、Matt Barnesの調子があまり上がらず、Howardへのシングルカバレッジで得意のIn&Outが使えない現状、逆に空いたインサイドを使えるBassを使えばよいのに、と思っていたところ(なーんて完全後講釈ですが)。

しかし後半のCelticsの追い上げも見事。Ray Allenのシュートが決まる前のアリーナの静けさ、決めたあとの歓喜はなんともいえないものがある。試合終盤、決めればCeltics優勝という場面では、瞬時に脇からぞろぞろ警備員が出てきて、コートに背中を向け優勝決定の場面に備えて座っていた。残念ながらRegulation内でPierceはシュートに至らず。試合後の記者会見でDoc Riversは、本来残りの選手がベースラインまで下がってアイソさせるべきところ、フリースローライン近辺でうろうろしていたから邪魔になってしまった、と言っていた。延長ではNelsonのピックアンドロールが炸裂し、Magic勝利。


(最終試合結果)

終わって見てHoward32得点と聞いて驚く。試合を見ていて、Howardのためにドローしたプレイ自体はそれほどなかった印象。事実、プレイバイプレイをみると、この日決めた13本のシュートのうち、Nelsonからのアリウープが4本、Nelsonからのパスによるダンクが1本、ランニングプレイが1本、速攻でのダンクが1本、プットバックが1本と、半分以上が先程の①②のおかげで生まれたシュートチャンス。ことこの試合に限れば作戦は当たったものの、Howardという選手の限界と今後の有効な対策を、今回のプレイオフは曝け出してしまったようだ。

記者IDにもの言わせて、試合後のロッカールームへも乗り込む。Jameer Nelsonは、身長173センチの僕から見てもそれ程大きくない。これであの大男たちのブロックの待つゴール下へ切り込んでいくんだから、恐るべし。Magicのロッカールームは、もう後がないチームとは思えないほど明るかった。一方Celticsのロッカールームにうかがった頃には主な選手はあまりいなかったけれど、覚えているのはGlen Davisが鍵がないと騒いでいたのと、Cheryl Miller(レジー・ミラーの姉でTNTの解説者)が横に立っていて緊張したことくらいか。


(試合後の記者会見でのレイ・アレン)

試合後の記者会見では、レコーダーで録音しながら手元のラップトップで次のOrlandoでの試合の飛行機とホテルを押さえる記者たちがチラホラ。移動が多く、特にプレイオフでは先のスケジュールが読めない記者稼業も、楽ではないようだ。試合が始まったのは夜8時半で、選手がポツポツ会見を始めた頃にはとっくに深夜を過ぎていた。都合により全ての記者会見を聞くことは遠慮させてもらったが、会場をあとにしても大試合を間近で味わえた興奮は冷めやらなかった。感謝感謝。


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