馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

Ron Artestの判断は正しかったのか?

2010年05月29日 | バスケについて考える
小生の帰国前にNYで遊ぼうと、シカゴからPurdue時代の友人2名が来訪。

NY観光の合間に、先日のウェスタンカンファレンス決勝第5戦、劇的なRon Artestのシュートで幕を閉じた試合の重要な1プレイについて、簡単に備忘録。

1:01 98-101 Ron Artest misses jumper
1:00 98-101 Pau Gasol offensive rebound
0:56 98-101 Ron Artest misses 24-foot three point jumper

残り1分でPau Gasolがオフェンスリバウンドをもぎとり、通常であれば時間を使うところ、Ron Artestがあっさり3ポイントを打ち、ミス。最後にSunsに追いつかれるが、自らのミスをもみ消すプットバックでなんとかレイカーズ勝利。問題は、ここで3ポイントを打つという判断は、果たして正しかったのか?以下の通り、「3ポイントを打った場合」と「時間を使った場合」の2パターンの勝率を比較したい。簡略化のため、現時点を残り1分とし、Artestが3ポイントをメイクorミスしてその後サンズが攻撃をした場合、レイカーズがそのまま時間を使った場合、ともに残り40秒とし、それらの時点での勝率を比較する。

1.3ポイントを打つ場合の勝率
Artestが3ポイントを打ったとして、その後サンズが攻撃を仕掛けた場合の平均得点を1点とする(NBAでは、大体1試合に100回攻撃して100点くらい入る。つまり1回の攻撃で1点期待できる、ということ)。となると、サンズの攻撃が終わった残り40秒の時点での点差はそれぞれ、①Artestの3ポイントが入ってサンズの攻撃が終わると5点(=3点差+Artestの3ポイント-サンズの攻撃の平均得点1点)、②Artestの3ポイントが外れてサンズの攻撃が終わると2点(=3点差-サンズの攻撃の平均得点1点)、となる。NBAにおける、残り時間・点差別の勝率が、ここに計算されている。これによれば、残り40秒の時点で5点勝っている状況での勝率は97%(上記の①)、対して残り40秒の時点で2点勝っている状況での勝率は72%(上記の②)。これらを、それぞれの事象の発生確率(つまりArtestの3ポイント成功率=35.5%、今シーズン)でウェイト付けすると、81%となる(=97%×35.5%+72%×64.5%)。

2.時間を使った場合
レイカーズが残り40秒まで時間を使ったとして、先程のサンズの計算と同様、平均1点が期待できるとする。先程のデータによれば、残り40秒の時点で4点(=3点差+レイカーズの攻撃の平均得点1点)勝っている状況での勝率は、92%となる。

この二つを比較すると、3ポイントを打つより、時間を使ったほうが勝率が高い、という結論が得られる。しかし同じ残り40秒といっても、厳密に言うと1の残り40秒ではレイカーズボール、2の残り40秒ではサンズボールと、1の方が勝率が低いとはいえボールポゼッションがレイカーズにある点では、実はもう少し勝率の差はそこまで大きくないかもしれない。とはいえ、2で仮にレイカーズがシュートも打たずにボールを持ちきったとしても残り40秒で3点勝っていれば勝率は83%と、それでも1より高い。いかに試合終盤で時間が貴重なのかがよくわかる。


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1 コメント

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面白いですね (gotoguy)
2010-05-30 09:30:00
この結論から感じることは,時間が大切なことはもちろんですが,その前段としてポールポゼッションがいかに重要かということですね.
そしてそこから言えることは,さらにその前段としてリバウンド(=ポゼッションを得る最大の機会)がいかに大事かということです.
これで普段の指導(強調するポイント)に改めて確信を持ちました(笑)
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