先日発売のHoopに記事が掲載されています。3月25日発売のHoopに、"Numbers Don't Lie - 深遠なるスタッツの世界(第7回)"を書かせて頂きました。今回の内容は「リバウンド率」。また「特集★読者、ライター、編集部が真剣投票で決定!!ポジション別最強の男たち」の中の、シューティングガードのところで、スタッツで見る1on1の強さについても書かせてもらってます。よろしかったらご覧下さい。
という訳で、日本のバスケに戻って。今回はPERトップ20以外で気になる選手を。
既にお気付きかと思うが、日本人初のNBA選手で、今期栃木で日本バスケ界に復帰しベストファイブに選ばれた田臥選手が、PERトップ20に入っていない。そこで、以下は主な日本人ポイントガードのPERとその他スタッツの比較。
・#は、08-09シーズンで100分以上プレイした選手85人の中での順位
・3ポイント率の順位は、最低30本以上試投した選手のみを対象
田臥選手の総合的な効率性(PER)はリーグ24位で、他のポイントガード3人(桜井、石崎、佐藤)を僅かながら下回った。まず気になるのが、Usage(40分当たりの攻撃回数)が16.7回(リーグ42位)とそれ程高くないところ。JBLの場合は、アシストをあまりつけてもらえないという話もあり(これについては回を改めてコメントしたい)、田臥選手のようにアシストの多い選手にとっては、ひょっとすると攻撃回数が実際より小さく出てしまい(Usageはアシストも攻撃回数としてカウント)、つれてPERも小さくなっている可能性は否定できない。
加えて、3ポイントが量(フィールドゴール試投数に占める3ポイントの割合が16.7%)、質(3ポイント成功率22.6%)ともいまひとつだった、という点。
「量」・・・実は田臥選手がNBDLでプレイしていた時にもスタッツ分析をしたことがある(その1、その2)のだか、当時も3ポイントの割合がリーグ平均の14.2%をやや上回る15%と、外角の選手としては低い数字だった。今年は、田臥選手が国際ルールでプレイする久しぶりの年。国際ルールでは当然ながら3ポイントラインが短くなり、打つ頻度は高くなる。フィールドゴール試投数に占める3ポイントの割合は、NBAでは22.5%(2009年2月末時点)であるのに対して、JBL(08-09シーズン合計)では32.2%だった。しかし田臥選手の割合は、NBDL時代から微増の16.7%に留まり、上の表を見てもわかるとおり、これは他の主要ポイントガードの中で最も低かった。ではその分ゴールにアタックしているか、というとそうでもなく、フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は0.208と、これも3ポイント・マシーンの佐藤選手を除けば最も低い数値。
「質」・・・3ポイントの成功率は、最低30本以上試投した全56選手中、残念ながら53番目に高い確率であった。
田臥選手のいいところにも光を当てて見よう。アシスト率(攻撃回数に占めるアシストの割合)は30.5%でリーグ4位と、上の表に並んだ主要ポイントガードの中ではトップ。更に、ターンオーバー率は12.2%でリーグ43位。ポイントガードでこの数字が高くなるのはやむを得ないが、上のメンバーの中でも、3ポイント中心で殆どゴールにアタックすることのない佐藤選手を除けば、柏木選手に続いて低い数字。パッシングとボールコントロール能力はリーグで間違いなくトップクラスと言えよう。
また、ペース調整後の40分当たりスティール数は2.6本でリーグ4位。そして栃木の今シーズンのペース(40分当たりの攻撃回数)は75.5回と、トヨタの76.0回についてリーグで2番目に速いチームだった。このトランジションの速いバスケットは、田臥選手のスピードによって可能になったものと考えられる。
田臥選手がボールを持った時の能力については、もはや疑問を挟む余地は無いだろう。あの体格でNBDLで数シーズンに亘ってプレイできたことが全てを物語っているし、今期のJBLのスタッツにもそれは現れている。ただ、北京オリンピックを前にコーチKが語ったように、スペースの狭い国際ルールでは「キャッチ&シュート」が極めて重要。来期の田臥選手は、フリーになった際に迷わず3ポイントを決められるかが、1つのカギになろう。それが、田臥選手のパスとボールハンドリング能力を更に活かすことにつながる。
長くなったので、続きは次回。
という訳で、日本のバスケに戻って。今回はPERトップ20以外で気になる選手を。
既にお気付きかと思うが、日本人初のNBA選手で、今期栃木で日本バスケ界に復帰しベストファイブに選ばれた田臥選手が、PERトップ20に入っていない。そこで、以下は主な日本人ポイントガードのPERとその他スタッツの比較。
Name | MIN | FG% | # | 2P% | # | 3P% | # | TS% | # | USG | # | FT/FG | # | 3P/FG | # | Ast% | # | TO% | # | PER | # |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
桜井良太 | 1065 | 49.8% | 14 | 61.8% | 4 | 25.3% | 48 | 59.8% | 8 | 16.7 | 41 | 0.553 | 1 | 0.328 | 47 | 26.3% | 9 | 16.1% | 75 | 20.2 | 21 |
石崎巧 | 978 | 49.5% | 15 | 59.2% | 8 | 40.0% | 11 | 62.2% | 5 | 19.4 | 26 | 0.281 | 27 | 0.505 | 20 | 19.1% | 22 | 14.7% | 62 | 20.1 | 22 |
佐藤 稔浩 | 611 | 39.1% | 64 | 59.1% | 9 | 33.3% | 31 | 53.0% | 36 | 17.9 | 36 | 0.076 | 82 | 0.777 | 2 | 23.3% | 14 | 9.8% | 20 | 19.9 | 23 |
田臥勇太 | 1127 | 47.5% | 20 | 52.5% | 26 | 22.6% | 53 | 52.3% | 40 | 16.7 | 42 | 0.208 | 53 | 0.167 | 66 | 30.5% | 4 | 12.2% | 43 | 18.4 | 24 |
柏木真介 | 1043 | 43.2% | 39 | 48.0% | 38 | 35.0% | 26 | 53.3% | 35 | 15.6 | 49 | 0.234 | 41 | 0.371 | 43 | 26.9% | 8 | 12.1% | 42 | 17.0 | 28 |
五十嵐 圭 | 854 | 40.2% | 56 | 55.3% | 17 | 29.0% | 43 | 52.2% | 41 | 18.1 | 33 | 0.228 | 45 | 0.573 | 11 | 27.5% | 7 | 12.8% | 51 | 16.3 | 30 |
・#は、08-09シーズンで100分以上プレイした選手85人の中での順位
・3ポイント率の順位は、最低30本以上試投した選手のみを対象
田臥選手の総合的な効率性(PER)はリーグ24位で、他のポイントガード3人(桜井、石崎、佐藤)を僅かながら下回った。まず気になるのが、Usage(40分当たりの攻撃回数)が16.7回(リーグ42位)とそれ程高くないところ。JBLの場合は、アシストをあまりつけてもらえないという話もあり(これについては回を改めてコメントしたい)、田臥選手のようにアシストの多い選手にとっては、ひょっとすると攻撃回数が実際より小さく出てしまい(Usageはアシストも攻撃回数としてカウント)、つれてPERも小さくなっている可能性は否定できない。
加えて、3ポイントが量(フィールドゴール試投数に占める3ポイントの割合が16.7%)、質(3ポイント成功率22.6%)ともいまひとつだった、という点。
「量」・・・実は田臥選手がNBDLでプレイしていた時にもスタッツ分析をしたことがある(その1、その2)のだか、当時も3ポイントの割合がリーグ平均の14.2%をやや上回る15%と、外角の選手としては低い数字だった。今年は、田臥選手が国際ルールでプレイする久しぶりの年。国際ルールでは当然ながら3ポイントラインが短くなり、打つ頻度は高くなる。フィールドゴール試投数に占める3ポイントの割合は、NBAでは22.5%(2009年2月末時点)であるのに対して、JBL(08-09シーズン合計)では32.2%だった。しかし田臥選手の割合は、NBDL時代から微増の16.7%に留まり、上の表を見てもわかるとおり、これは他の主要ポイントガードの中で最も低かった。ではその分ゴールにアタックしているか、というとそうでもなく、フィールドゴール試投数に対するフリースロー試投数の比率は0.208と、これも3ポイント・マシーンの佐藤選手を除けば最も低い数値。
「質」・・・3ポイントの成功率は、最低30本以上試投した全56選手中、残念ながら53番目に高い確率であった。
田臥選手のいいところにも光を当てて見よう。アシスト率(攻撃回数に占めるアシストの割合)は30.5%でリーグ4位と、上の表に並んだ主要ポイントガードの中ではトップ。更に、ターンオーバー率は12.2%でリーグ43位。ポイントガードでこの数字が高くなるのはやむを得ないが、上のメンバーの中でも、3ポイント中心で殆どゴールにアタックすることのない佐藤選手を除けば、柏木選手に続いて低い数字。パッシングとボールコントロール能力はリーグで間違いなくトップクラスと言えよう。
また、ペース調整後の40分当たりスティール数は2.6本でリーグ4位。そして栃木の今シーズンのペース(40分当たりの攻撃回数)は75.5回と、トヨタの76.0回についてリーグで2番目に速いチームだった。このトランジションの速いバスケットは、田臥選手のスピードによって可能になったものと考えられる。
田臥選手がボールを持った時の能力については、もはや疑問を挟む余地は無いだろう。あの体格でNBDLで数シーズンに亘ってプレイできたことが全てを物語っているし、今期のJBLのスタッツにもそれは現れている。ただ、北京オリンピックを前にコーチKが語ったように、スペースの狭い国際ルールでは「キャッチ&シュート」が極めて重要。来期の田臥選手は、フリーになった際に迷わず3ポイントを決められるかが、1つのカギになろう。それが、田臥選手のパスとボールハンドリング能力を更に活かすことにつながる。
長くなったので、続きは次回。