これまで、
「出版企画を画一的な『特定の形式(フォーマット)』にまとめないほうがよい」
とお話ししてきました。
その理由は、
『特定の形式(フォーマット)』にまとめたとたんに、
味も素っ気もない、単に表面ツラをなでただけの、
魅力の乏しい企画書になりがちだからです。
実は、フォーマット主義には、
これまで触れてこなかった「もう1つの大きな欠点」があります。
それは「致命傷」と言えるほどの重大な欠点です。
なんだと思いますか?
それはズバリ、企画書に目を通す人の「上から目線」です。
そもそも「フォーマットにまとめろ」
というのは、
「フォーマットにまとめないと、企画を見てあげないよ」
ということですね。
これは、
企画書に目を通す人(出版エージェントや出版コンサルタントなど)が「上」で、
企画の立案者は「下」、という立ち位置を前提としています。
まさに、企画書に目を通す人の「上から目線」そのものですね。
すると、企画の立案者は委縮し、
「なんとかフォーマットにまとめなくては」
と、そちらにばかり注意が向き、四苦八苦することになります。
こうして良い企画が本来持つ魅力を発揮する前に、
どんどんしぼんでいってしまうのです。
ということは、
企画書に目を通す人が「上から目線」を改めればよいわけです。
企画の立案者に向かって、
「フォーマットにまとめなさい」
と言うかわりに、こう伝えればよいのです。
「まずは、企画の大まかな内容を教えていただけると助かります。
箇条書きでも、なぐり書きでも何でもかまいません。
形式は一切問いませんので、『こんな感じの内容』という具合に、
ざっくばらんにお教えください」と。
要は、形式にはとらわれず、
まずは自由に語ってくださいね、ということです。
たったそれだけのことです。
実に簡単ですね。
ここからすべてが始まるのです。
(少なくとも、私はそう思っております)
最後は当方の宣伝みたいになってしまって申し訳なく思っておりますが、
決して宣伝するために書いているのではありません。
長年、この仕事を続けていて感じていたことを、
そのままお伝えしたかっただけですので、
この点はなにとぞご容赦いただきたく思います。
これまでお話してきたこと
(6月2日以降、今回を含めて7回にわたって述べてきたこと)
を簡単に振り返ってみたいと思います。
6月2日以降、7回にわたって述べてきたことをご覧になった方は、
すでにお気づきかもしれませんが、
出版企画書作成の生命線は、
著者と対等の立場で、一緒に企画に向き合うことです
そして、
著者に対して「質問」を繰り返すことです。
このプロセスを経て、
それまで地中に埋もれて見えにくくなっていた企画の魅力が浮き彫りになってきます。
そうしたら、それを「企画書」に反映させればよいのです。
最後に、
企画書作成で重要なことを簡単に整理してみましょう。
すると、こうなります。
●企画に接する人が、企画立案者と同じ目線に立つこと。
(企画立案者と対等の関係で向き合う、ということです)
●立案者に、企画について自由に語ってもらうこと。
(「上から目線」に立って、企画の内容を特定のフォーマットにまとめさせるなど、
もってのほかです)
●企画について自由に語ってもらったら、次に立案者に質問すること。
(語ってもらったことはあくまでもスタートラインであって、ゴールではありません。
だから、なんら質問することなく、「そのテーマは古い」とか
「類書が多いからダメ」など、
何かしらの判断を下すなど論外です。
絶対にやってはいけません。
寄せられた内容はあくまでもスタートラインにすぎません。
そこからすべてが始まるのです)
●立案者と根気強くやり取りする中で、企画の「つかみ(魅力)」を浮き彫りにすること。
(企画の本当の魅力は、最初はたいてい地下に埋まっていて見えません。
意外に思うかもしれませんが、立案者でさえ、
自身の企画の魅力に気がついていないことが多いのです。
だから、何度も企画について質問し、
地下に埋もれている魅力を掘り起こす作業が必要不可欠となります)
●「つかみ(魅力)」を把握したら、それを「A4」サイズ1枚の企画書にまとめること。
(決して企画の内容を『正確』かつ『詳細』に書こうとしないことです。
これまで述べてきたように、
編集者に「この企画立案者に一度会ってみたい」
と思ってもらえるために書くのが企画書なのですから)
これまで長々とお付き合いしてくださり、ありがとうございました。
今後とも、マイペースでブログを書いていきますので、
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