逝きし世の面影

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米ソの共同作戦だったソ連軍の千島占領

2018年01月04日 | 東アジア共同体
『ソ連の北方四島占領、米が援助 極秘に艦船貸与し訓練も』2017/12/30 北海道新聞

【根室】1945年8、9月に行われた旧ソ連軍による北方四島占領作戦に、米国が艦船10隻を貸与していたことを、根室振興局が米国とロシアの専門家による研究成果などを突き合わせ、明らかにした。
米国はソ連の対日参戦に備え、大量の艦船の提供だけでなく、ソ連兵の訓練も行っており、米国の強力な軍事援助が四島占領の背景にあったことが浮かび上がった。

振興局の調査結果によると、樺太南部の返還と千島列島の引き渡しと引き換えに、ソ連の対日参戦が決まった45年2月のヤルタ会談の直後、ともに連合国だった米ソは「プロジェクト・フラ」と呼ばれる合同の極秘作戦をスタートさせた。
米国は45年5~9月に掃海艇55隻、上陸用舟艇30隻、護衛艦28隻など計145隻の艦船をソ連に無償貸与。
4~8月にはソ連兵約1万2千人を米アラスカ州コールドベイの基地に集め、艦船やレーダーの習熟訓練を行った。コールドベイには常時1500人の米軍スタッフが詰め、ソ連兵の指導に当たったという。
訓練を受けたソ連兵と貸与艦船は樺太南部や千島列島の作戦に投入された。8月28日からの択捉、国後、色丹、歯舞の四島占領作戦には、米の貸与艦船10隻を含む17隻が参加。ソ連軍は各島で日本兵の武装解除を行い、四島の占領は9月5日までに完了した。

こうした歴史的史実が判明したのは、根室振興局が2015年度から取り組む北方領土遺産発掘・継承事業がきっかけ。各国の資料を集める中で、ソ連が樺太南部と千島列島での作戦に投入した全艦船を調べ上げたイーゴリ・サマリン氏(現ロシア・サハリン州戦勝記念館科学部長)の論文「1945年8月のサハリンとクリール諸島上陸作戦に参加した軍艦と補助船舶の注釈付きリスト」(2011年3月)を入手した。
リストに米艦船が含まれていることが分かり、経緯を探るうち、米ソの極秘プロジェクトの内実を書いた元米軍人リチャード・ラッセル氏の著書「プロジェクト・フラ」(03年)の存在を知り、米国から取り寄せた。国後島の地元紙「国境にて」の過去記事など各種資料と照らし合わせ、四島占領作戦での米艦船の使用を突き止めた。
調査を取りまとめた国後島元島民2世の谷内紀夫・根室振興局副局長は「米国が徹底した対ソ支援を行っていたことが分かり、北方領土問題への両大国の関与が浮き彫りになった」と話す。
調査資料は来年1月19日~2月2日に根室市内の道立北方四島交流センターで開く企画展で公開。初日の1月19日に谷内副局長が講演する。参加無料。

ソ連の独断ではなかった 
北方領土問題の経緯に詳しい和田春樹東大名誉教授の話
『北方四島占領を含む旧ソ連軍の対日作戦を米国が軍事援助していたことは、日本国内ではほとんど知られておらず、発見と言える。四島占領はソ連が勝手に行ったのではなく、米ソをリーダーとする連合国の作戦として行われたということを示している。』
12/30 北海道新聞

『北方領土問題、米国にも責任 ソ連の対日参戦後押し』2017/12/30 北海道新聞

<解説>旧ソ連軍による北方四島占領において、米国が軍事援助をしていたことが分かり、北方領土問題発生の責任の一端が米国にもあることが示された。
米国は、日米開戦前から表明していた「領土不拡大」の原則を曲げて、千島列島を取引材料に持ち出し、同じ連合国だったソ連から対日参戦の確約を取り付けた。
さらに今回の根室振興局の調査で明らかになったように、極秘プロジェクトを発動させて大量の艦船を提供し、ソ連兵の訓練を自国内で引き受けてまで、ソ連の対日戦争を支援した。
戦後、米ソ関係が悪化し東西冷戦時代に入ると、親米反ソ路線をとった日本は四島返還を強く求め、「領土問題は存在しない」と主張するソ連と鋭く対立。米国は日本の主張を後押しする立場を取ったとはいえ、北方領土問題の発端に深く関与していた責任は、ソ連側に匹敵するほど大きいと指摘せざるを得ない。
旧ソ連を継承するロシアは今、領土問題の解決に当たり、日米安保条約の存在を問題視している。北方領土の元島民と根室市などの隣接地域は、米ロの両大国のはざまで翻弄(ほんろう)され続けている。(相内亮)
12/30 北海道新聞

二人とも仲良く軍服姿のスターリンとチャーチル。(文民である国家の最高指導者とは、例外なく自動的に国軍の最高司令官でもある。ところが憲法9条がある我が日本国では安倍晋三など、自覚がないのに首相をしている不適任者が多すぎる)

同盟国だったソ連と米英、アメリカの敵国だった日本『冷戦の意味するところは』

旧ソ連を本気で『悪の帝国』だと信じていて、冷戦を過激にエスカレートさせすぎて大事な冷戦相手のソ連をゲームオーバーで崩壊させた愚か過ぎるレーガン大統領以外の歴代のアメリカ大統領は、皆がみな、『冷戦』とはアメリカに敵対する相手(仮想敵国)があってこそ始めて成り立つ(日本の無駄に大きい箱物造りと同じ公共事業としての)『戦争ゲーム』だと言う大事な点を踏み外す事はなかったのです。
永久に終わらない筈の日本の公共事業と、永久に終わらない筈の公共事業としてのアメリカの『冷戦』とは、どちらも世界第一と第二の経済大国の経済に取っては欠くべからざる重要な位置を占めていて、(正当な大義名分で大量の公金を半永久的に浪費する)まったく同じ意味を持っていた。
ところが経済事情が変わり、今では日本の無駄に大きい公共事業も、アメリカの公共事業としての冷戦も、どちらも最早続けられなくなっている。
半世紀続いた東西『冷戦』とは、今にも『戦争が起こるぞ』と世界のみんなに思わせて緊張感をぎりぎりまで高めて戦争一歩手前の際どい瀬戸際まで持っていく。ところが、決して戦争まで起こさない。剣法の達人の名人芸『寸止め』のような不思議な構造になっていたのです。(★注、今のトランプ大統領と北朝鮮の関係も、実は剣法の達人の名人芸『寸止め』のような不思議な構造になっている可能性が高い)



『731や玉音放送後の対ソ戦争など日本国の最高度のタブーを報じた「敗戦記念日」72年目直前のNHK』

8月13日放送の NHKスペシャル『731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』は30年以上も前(1980年代)の森村誠一『悪魔の飽食』をゴールデンタイムに放送した。731部隊とは京大など日本科学の超エリート集団であり敗戦後は米軍に研究資料を提出して免責され学長や学部長等のエリート街道を歩む。731に日本の医学者トップが加担したのは当時の『国民世論だった』とNHKがはっきり指摘しているが薬害エイズのミドリ十字なども731関連の事件だった。

『怖ろしい日本のタブー中のタブー(唯一、日本の狂気を止める力があったソ連赤軍)を取り上げたNHKの勇気?変心?』 

沖縄を捨石にし『一億玉砕』地獄の本土決戦を目指し着々と準備していた日本軍が突然ポツダム宣言受諾(無条件降伏)した原因とは、トルーマンの『100万人の米兵を救った原子爆弾』神話か、同時期のソ連赤軍の対日参戦の二者択一。それ以外に日本が翻意した原因は無いのである。
ところが、原爆とソ連参戦のどちらが真実であっても、その『結論』があまりにも恐ろしい。
そこで、仕方なく日本人の全員が思考停止に陥って『全ての真実』はタブーとして封印し、8月15日の玉音放送『天皇聖断の神話』で誤魔化して、現在に至っている。
★注、
世界では冷戦が、日本ではバブル経済が崩壊し未曾有の大混乱に突入した。(ところが、まったく偶然にも発生した時期が同じだったのでメディアは、3番目のニュースを大々的に報じることで、大崩壊を二つとも報じなかった)昭和天皇の下血騒動で、にわかに言われ出した1945年8月15日の玉音放送『天皇聖断』の神話の信憑性ですが、これが真実だとすると極端に困ったことが起きるのでヒロヒトが死にかかるまで右翼も左翼も同じで誰一人言わなかったのである。
(本当に負け戦で戦争を止めるだけの絶大な権力がヒロヒト天皇にあったとしたら、開戦責任を問われ死刑になった東条首相以上の最高責任者だったことが自動的に証明されるので、東京裁判で『絞首刑』は到底免れないのである)

樋口 季一郎陸軍中将 第5方面軍司令官兼北部軍管区司令官

『日本の敗戦後も、住民を盾に「全員戦死まで」対ソ戦争を強いる札幌方面軍の樋口司令官の卑劣さ』

731放送の翌日、2017年8月14日『NHKスペシャル「樺太地上戦 終戦後7日間の悲劇」』は類似の報道が今まで一切無かったのですから衝撃的である。
NHKの番組案内から、
『北海道の北に広がるサハリン。かつて「樺太」と呼ばれ、40万人の日本人が暮らしていた。昭和20年8月、終戦後にも関わらず、住民を巻き込んだ地上戦が1週間にわたって続き、5000人とも6000人とも言われる人たちが命を落とした。なぜ終戦後も戦闘は終わらず住民の被害が拡大したのか。長年沈黙を守ってきた元住民たちの証言、そして国内外で発掘した資料から、樺太の悲劇に迫る。』
2017年8月18日(金) 午前1時25分(45分)に再放送

『日本が敗戦したはずの「玉音放送」翌日の8月16日に樺太師団に届いた「死ぬまで戦へ」の札幌方面軍の理不尽な玉砕命令』

多くの日本人が知らない、もう一つのオキナワ戦(地獄の本土決戦)

『玉音放送』で武装解除の準備を進めていた樺太師団の本部に、終戦後にもかかわらず『樺太を死守せよ』との命令が札幌方面軍司令官から届いた。
命令を受けた樺太師団の鈴木康参謀長(大佐)は戸惑い『泣いて終戦命令を下し各隊が涙と共に実行中の16日午後 軍命令が届いた。今頃何事ぞと怪しみ考えてみたが合点がいかない。電話で作戦就任に尋ねる。はっきりした回答は得られない。』
樺太死守の命令を守り戦闘を続ける樺太師団の鈴木参謀長とソビエト軍との交渉が決裂。8月20日、ソビエト軍は樺太で最大の3万5000人が上陸作戦を敢行。日本側が5000~6000人が死亡する。
『樺太死守』を命じていた札幌方面軍は、大本営の指示を受けて8月22日になって命令を翻して『ただちに停戦せよ』と樺太師団に命令したので、ようやく停戦が成立、7日遅れで意味不明の不思議な戦争がやっと終わっている。

金子勝‏ @masaru_kaneko
【アベの「国を守る」の本質】
終戦後のカラフトの対ソ戦闘の歴史を昨夜のNHKスペシャルで放映。住民に犠牲をしいた沖縄戦と同じ、
札幌方面軍の司令官が住民を盾に「全員戦死まで」対ソ戦争を強いる。「国民を守る戦争」の隠されていた歴史の真実だ。

金子勝‏ @masaru_kaneko
【失敗の本質】
歴史家の保坂正康は、「日本軍の最も下の人は責任を感じるが、命令を出した政治家・軍人の責任は恐ろしいほど欠けている。日本に最も欠けている」。ポツダンム宣言受諾後、住民を盾にしながら文書を焼いていた大本営は、証拠文書を消去し証人喚問を逃げる今のアベ政権と完全に重なる

金子勝‏ @masaru_kaneko
【終戦記念日】
原発事故後の経産省・東電経営者に続いて、森友・加計・日報問題で、政治家・官僚たちはひたすら責任逃れのために、証拠文書を隠し、証人喚問で逃げ、メディアを使い大本営発表を繰り返す。その姿は、戦争末期の軍部とそっくりになってきた。1億総活躍=1億総玉砕はごめんです。

『8月15日の敗戦後に(自分たちが日本本土に逃げる時間稼ぎに)対ソ戦争を継続した日本軍司令部』

誰でも知っている8月13日放送のNHKスペシャル『731』には沢山の知識人が反応した。
ところがである、・・・対照的に翌日の14日放送のNHKスペシャル『放送ドキュメント。忘れられた戦場、・・・樺太40万人の悲劇』に対しては、あの『バブルの崩壊』をマスコミ御用達経済学者の中で唯一事前に指摘(予言)した金子勝ただ一人なのですから情けない。
満州でも樺太でも千島でも同じで、ポツダム宣言受諾後に部下の将兵に『最後まで戦うべし』との命令を残して司令官や参謀など日本軍幹部は飛行機で本土に逃げ帰って仕舞い、残された一般市民や下級将校や下士官など敗残日本軍は無理やりソ連軍と死ぬまで戦わされた、(ポツダム宣言に違反する)明らかな戦争犯罪なのである。

★注、
731のその後の推移で明らかですが、石井軍医中将などの日本軍幹部はアメリカ軍には進んで降伏して、その後は立身出世している。
ところがソ連赤軍に日本軍幹部は絶対に降伏したくなかったのである。(ロシア革命でロマノフ王朝の全員がソ連赤軍に処刑された事件は、今では歴史の一齣だが、当時は生々しい記憶が残っていたので、ソ連参戦では即座に御前会議でポツダム宣言受諾が決められることを、アメリカのルーズベルトは知っていた)
満州とか千島列島ではポツダム宣言受諾の後もソ連軍と戦争を意味なく継続し、大勢の一般市民や将兵に対して命の犠牲を強要したのである。(多分、この事実もルーズベルトは事前に正しく予想したと思われるが、急死してトルーマンにアメリカ大統領が変わったのが悲劇を生む)



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2 コメント

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『広島原爆と満州陥落』 (ローレライ)
2018-01-04 17:36:28
『広島原爆と満州陥落』も米ソのアベック作戦だったと言う資料が出る可能性も高い。
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太平洋戦争中も米ソは交流 (讃岐人)
2018-01-05 21:22:02
太平洋戦争中、アメリカ船がソ連国旗を掲げ津軽・宗谷海峡を経由して大量の軍事物資援助(レンドリース)をしていた
対ソレンドリースの半分以上が太平洋ルートを経由していた
日ソ中立条約があるので日本も座視せざるを得なかったそうです

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