逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

「世界征服」は可能か?(1)

2009年01月04日 | 軍事、外交

不倫は日本の文化。世界征服は男のロマン。良い子は読んではいけない禁断の書。

岡田 斗司夫 (著) ちくまプリマー新書
悪の組織の「世界征服」に関するおそらく世界初の考察。
世界征服を思いつくところから、成し遂げた後までを仮想シミュレーション。
悪の組織は、何の為に「世界征服」を企むのか。?
世界制服を成功させるためには何が必要なのか。?その戦略とは如何なるものか。?
悲願成就。世界制服の暁には彼等は何がしたいのか。?

『何時から世界制服は悪になったのか』

昔々のアレキサンダー大王やチンギス・ハーンなどの英雄豪傑の最終的な夢は「世界征服」であるはずだったのに、何時から男のロマンだった世界制服が『善』ではなく『悪』に変わったのか。?
今でも日本全土制服を企てた織田信長が人気ナンバーワンで、中国インドまで征服しようと考えていた豊臣秀吉に人気が有り、反対に侵略した朝鮮と和解して平和外交に徹した徳川家康は人気が無いのに、それでも今人々は世界征服は悪だという。矛盾だ。実に不思議だ。

『修正しきれていない歴史修正主義』

今の日本の歴史修正主義者(新しい歴史教科書を作る会)などは良く『現在の価値観で過去の歴史を判断するべきでない』と主張するが、彼ら自身が一番現在の価値基準で当時の行動の善悪を判断している。
なぜ堂々と日本が世界制服を企てた事を誇らないのか。?
なぜ当時の日本人の価値観では『悪ではなかった』『善であった』と言わないのか。?
何故今現在流行していると言う理由から『時間軸を偽造』してまでインチキ臭いアメリカの民主主義的な価値観で、世界征服を夢見た偉大な?世界帝国であった当時の大日本帝国を弁護しようとするのか、?
自虐史観などというが新しい歴史教科書を作る会自身が一番自虐的で、世界征服を夢見た偉大な帝国であった大日本帝国の(もう少しで達成されそうだった)『偉大な業績』を貶めている。

因みに、古代ギリシャで一番有名な哲学者アリストテレスの師プラトンは民主主義よりも独裁者による専制政治が、共和制より帝政による『独裁』のほうが政治形態として優れていると断定している。
ローマも初期は民主制(議会制民主主義)でしたが独裁者(デイクタトル)による統治、そして共和制から帝政に移行と変化・発展していきます。
元老達の推薦と市民の選挙により『独裁者』を選び、それまで議会で長々と、時には数年も話し合いながら結論が引き延ばされていた懸案も、あっという間に解決される。当時においては民主主義よりも独裁政治が格段に上の政治制度とされていたのです。
今の日本の『作る会』などの歴史修正主義は、現在の価値観『民主主義』や『民族自決』を使って、過去の日本帝国の『独裁・専制』や『帝国主義』を説明(弁護)しようとする、何とも頓珍漢なことをしている。

『当時の日本人にとっては世界制服は善』

御前会議でニューギニアなどの遥か南。ニュージーランドもオーストラリアも全て日本の勢力圏(植民地或いは属国)でジャワ、スマトラ、シンガポールなどの要衝は帝国の直轄地にして中国インドなど世界人口の半分を支配しようと計画。後の世界の半分はナチスドイツ等枢軸同盟国。
しかもこの世界制服計画は(残念ながらに直ぐに終わってしまうが)一時的では有るが殆んど成功していた。
無血入城に近い(当時の中国の首都)南京陥落(南京大虐殺)で日本国内では大々的に熱狂的な提灯行列等の祝賀行事が行われていたのである。
満蒙は生命線のはずが、その生命線は拡大に拡大を続け世界制服に突き進んでいった。
当時、作る会の主張のような民主主義や個人の人権思想などは危険思想で取締りの対象で、日本人以外の民族の権利を主張する『民族解放』『植民地解放』などは考えるだけでも『悪』そのもので、ありえないことだった。
八紘一宇という天皇を中心として世界を一つに束ねる事は『正義』であり『真理』だった。因み『宇』とは村のこと。
八紘一宇の大儀を信じ世界征服の為に奮闘した皇軍兵士達にとっては、ましてや其の為に命を捧げて靖国神社に祭られている軍神達にとっては、今更日本の『世界征服は悪』では到底納得出来まい。

(「世界征服」は可能か?(2)悪の組織の「世界征服」に関する考察。に続く)

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