※この小説はFetestaynightの設定を基に、夢小説として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。
Fete/AnotherIllusion
燃え盛(さか)る紅蓮(ぐれん)は天にまで手を挙げ、闇の空さえを飲み込もうとし勢いづき終わりなき炎上が続く。
灼熱(しゃくねつ)の地獄の焔(ほのお)は、衰える事なく風に勢いをまかせ熱風となり火柱が幾つも立ち上る。
街は瓦礫(がれき)化とし、ほんの数時間前には平和な日常が確かに存在して居た…‥突然の災難から誰、独(ひと)り身を護(まも)れる者はなく。
災難から救出の手を憐(あわ)れみ深く差し出す者はおらず、炎は諦めに似た哀(あわ)れみで一思いにと辺り一面を焼き尽くす。
よきせぬ悲劇が人々を絶望(ぜつぼう)の淵(ふち)へ────────── 連れ去って逝(ゆ)く。
「綺礼。」
美しい金の髪は絹の糸の様にサラサラと灼熱の焼け付く風に煽られ揺れる。調(ととの)った芸術作品の様な美しい裸体の腰に赤い朽(く)ちた一枚の布を纏(まと)う姿だっが神々(こうごう)しい。
美しい青年に綺礼と呼ばれた男は、名前を呼ばれても闇の先を睨み続けた。青年は不愉快な顔をせずに、満足げな笑(え)みを浮かべながら名を呼んだ男に手を延ばした。
共鳴するうめき声と死を受け入れられずに、悶絶(もんぜつ)し断絶魔(だんぜつま)がこだまする。数え切れない生が途絶(とだ)えるのには速く、生への希望は皆無(かいむ)である。
「躯(からだ)中が泥まみれだ。我は湯呑みをしたい。」
そう言いながら金髪の美青年は、言峰の背後から両腕を廻しピッタリと自分の胸を押し付け抱き込む。
小さな影が炎に揺(ゆ)らぎ幻影の様に見えた。しかし、影は実体化した。何かに導かれるかの様にただ前へと、覚束(おぼつか)ないフラりと今にも倒れてしまいそうなあしどり。
幼児だった。
男児の瞳には言峰と青年の姿が映(うつ)されておらず、助けの懇願(こんがん)をする訳でもなく歩く。
(なんと、美しい絶望的な瞳。)
男児は歳で言うと6、7歳ぐらい??で、言峰を気にするそぶりがない。 着てるものは、ジーパンにパーカー姿だった。
「幼子よ、お前は絶望にさえ見捨てられた。潔(いさぎよ)く、この場で命を絶(た)たれてしまえば楽かも知れん。 これから先、生きて試練(しれん)と言う名の苦痛を甘(あま)んじるか。」
言峰は慈悲(じひ)深い瞳で男児を見つめ、手を差し出した。男児は言峰の大きな掌(てのひら)を数秒間見つめ触れると、ぷっつりと糸が切れた様で倒れ込んだ。
言峰は両腕で倒れ込んだ男児を抱き込み、瞳を覗くと意識があるらしく浅く呼吸をして居た。
耐え難(がた)い苦痛は衝撃的で緩和(かんわ)される事なく、小さな身体で現実を受け入れた故(ゆえ)に暗い闇と絶望に染まった瞳に言峰が映し出される。男児は小さな掌(てのひら)を震えながらも、何かを掴もうとするかの様に空気を幾度も掴む。
「綺礼…‥ そんな物を拾ってどうする??」
甘くねだる様な声で名を呼ばれるが言峰は背後を気にする事なく、男児を喰らい尽くす様に一心不乱に見つめた。男児は深く深呼吸をすると真っすぐな瞳で言峰を見つめ返す。
言峰は背後からきつく抱きしめられた腕を振りほどき、カソックの上着のジッパーを下げ脱ぎ男児の身体をすっぽりと包み込む。
「それは、間もなく死に絶(た)える。なんだ、もう本業に勤(いそ)しむのか。まったく、お前と言う奴は。」
屈託のない宝石の様な美しい瞳でご機嫌よく笑う。
言峰はカソックのポケットから取り出した破片(はへん)を握りしめると破片(はへん)が、掌(てのひら)に突き刺さったらしく鮮血が滴(したた)り破片(はへん)を紅く染め上げた。
「綺礼?!お前、何をした!!」
破片(はへん)は金色に光り輝き徐々(じょじょ)に変色してゆき、まばゆく七色に光り輝く破片(はへん)を男児の心臓めがけて捩込む。
男児は言峰の手を掴みもがき足掻(あが)き、声を上げて泣き叫ぶ。それは、この世に生をたった今、受けた嬰児(えいじ)の様にせきを切った様に産声(うぶこえ)を上げた。
男児は二度目の生を享受(きょうじゅ)したのだ。男児からは血は一滴も流れてない。男児の強く脈打つ心音に言峰は心地よく耳を澄ました。
首から下げたロザリオを手に持ち男児の唇(くちびる)に、そっと添えて言峰は自分の唇(くちびる)をロザリオに押し付け囁(ささや)く。
「幼子よ、喜べ。お前は絶望に打ち勝った。さぁ、私と供に着いて来るがいい。」
言峰は教え諭(さと)す声音(こわね)で、男児に優しく語りかけた。そして、後ろを振り返りギルガメッシュに言う。
「さぁ、我が教会に戻ろう。」
「我を手間取らすな。そんな物を拾いおってからに。」
ギルガメッシュは不機嫌ではなく、喜々(きき)としており言峰の横に並び歩き出した。
Fete/AnotherIllusion(2)
Fete/AnotherIllusion
燃え盛(さか)る紅蓮(ぐれん)は天にまで手を挙げ、闇の空さえを飲み込もうとし勢いづき終わりなき炎上が続く。
灼熱(しゃくねつ)の地獄の焔(ほのお)は、衰える事なく風に勢いをまかせ熱風となり火柱が幾つも立ち上る。
街は瓦礫(がれき)化とし、ほんの数時間前には平和な日常が確かに存在して居た…‥突然の災難から誰、独(ひと)り身を護(まも)れる者はなく。
災難から救出の手を憐(あわ)れみ深く差し出す者はおらず、炎は諦めに似た哀(あわ)れみで一思いにと辺り一面を焼き尽くす。
よきせぬ悲劇が人々を絶望(ぜつぼう)の淵(ふち)へ────────── 連れ去って逝(ゆ)く。
「綺礼。」
美しい金の髪は絹の糸の様にサラサラと灼熱の焼け付く風に煽られ揺れる。調(ととの)った芸術作品の様な美しい裸体の腰に赤い朽(く)ちた一枚の布を纏(まと)う姿だっが神々(こうごう)しい。
美しい青年に綺礼と呼ばれた男は、名前を呼ばれても闇の先を睨み続けた。青年は不愉快な顔をせずに、満足げな笑(え)みを浮かべながら名を呼んだ男に手を延ばした。
共鳴するうめき声と死を受け入れられずに、悶絶(もんぜつ)し断絶魔(だんぜつま)がこだまする。数え切れない生が途絶(とだ)えるのには速く、生への希望は皆無(かいむ)である。
「躯(からだ)中が泥まみれだ。我は湯呑みをしたい。」
そう言いながら金髪の美青年は、言峰の背後から両腕を廻しピッタリと自分の胸を押し付け抱き込む。
小さな影が炎に揺(ゆ)らぎ幻影の様に見えた。しかし、影は実体化した。何かに導かれるかの様にただ前へと、覚束(おぼつか)ないフラりと今にも倒れてしまいそうなあしどり。
幼児だった。
男児の瞳には言峰と青年の姿が映(うつ)されておらず、助けの懇願(こんがん)をする訳でもなく歩く。
(なんと、美しい絶望的な瞳。)
男児は歳で言うと6、7歳ぐらい??で、言峰を気にするそぶりがない。 着てるものは、ジーパンにパーカー姿だった。
「幼子よ、お前は絶望にさえ見捨てられた。潔(いさぎよ)く、この場で命を絶(た)たれてしまえば楽かも知れん。 これから先、生きて試練(しれん)と言う名の苦痛を甘(あま)んじるか。」
言峰は慈悲(じひ)深い瞳で男児を見つめ、手を差し出した。男児は言峰の大きな掌(てのひら)を数秒間見つめ触れると、ぷっつりと糸が切れた様で倒れ込んだ。
言峰は両腕で倒れ込んだ男児を抱き込み、瞳を覗くと意識があるらしく浅く呼吸をして居た。
耐え難(がた)い苦痛は衝撃的で緩和(かんわ)される事なく、小さな身体で現実を受け入れた故(ゆえ)に暗い闇と絶望に染まった瞳に言峰が映し出される。男児は小さな掌(てのひら)を震えながらも、何かを掴もうとするかの様に空気を幾度も掴む。
「綺礼…‥ そんな物を拾ってどうする??」
甘くねだる様な声で名を呼ばれるが言峰は背後を気にする事なく、男児を喰らい尽くす様に一心不乱に見つめた。男児は深く深呼吸をすると真っすぐな瞳で言峰を見つめ返す。
言峰は背後からきつく抱きしめられた腕を振りほどき、カソックの上着のジッパーを下げ脱ぎ男児の身体をすっぽりと包み込む。
「それは、間もなく死に絶(た)える。なんだ、もう本業に勤(いそ)しむのか。まったく、お前と言う奴は。」
屈託のない宝石の様な美しい瞳でご機嫌よく笑う。
言峰はカソックのポケットから取り出した破片(はへん)を握りしめると破片(はへん)が、掌(てのひら)に突き刺さったらしく鮮血が滴(したた)り破片(はへん)を紅く染め上げた。
「綺礼?!お前、何をした!!」
破片(はへん)は金色に光り輝き徐々(じょじょ)に変色してゆき、まばゆく七色に光り輝く破片(はへん)を男児の心臓めがけて捩込む。
男児は言峰の手を掴みもがき足掻(あが)き、声を上げて泣き叫ぶ。それは、この世に生をたった今、受けた嬰児(えいじ)の様にせきを切った様に産声(うぶこえ)を上げた。
男児は二度目の生を享受(きょうじゅ)したのだ。男児からは血は一滴も流れてない。男児の強く脈打つ心音に言峰は心地よく耳を澄ました。
首から下げたロザリオを手に持ち男児の唇(くちびる)に、そっと添えて言峰は自分の唇(くちびる)をロザリオに押し付け囁(ささや)く。
「幼子よ、喜べ。お前は絶望に打ち勝った。さぁ、私と供に着いて来るがいい。」
言峰は教え諭(さと)す声音(こわね)で、男児に優しく語りかけた。そして、後ろを振り返りギルガメッシュに言う。
「さぁ、我が教会に戻ろう。」
「我を手間取らすな。そんな物を拾いおってからに。」
ギルガメッシュは不機嫌ではなく、喜々(きき)としており言峰の横に並び歩き出した。
Fete/AnotherIllusion(2)