車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

アダム・スミスとセイ

2009年04月04日 | 経済学

アダム・スミスと近代経済学を書いて、そこから続きを書いていこうと考えていたのにすっかり時間が経ってしまった。気を取り直して、今日はアダム・スミスとセイについて書きたいと思う。

セイはアダム・スミスよりも少し後のフランスの経済学者だ。経済学の基本的な考え方の多くはスミスに始まるので、セイもアダム・スミスの影響を大きく受けている。しかし、アダム・スミスと違う部分もあって、アダム・スミスが市場というものを重視したのに対して、セイは起業家精神を重視した。

アダム・スミスは市場の機能の重要性を主張し、値段が高い国から安い国に商品が輸出されることによって価格が均等化していき消費者の利益にもなるし、利潤を求めて新規参入や退出が起こることによって市場が最適な状態へと近づいていく働きがあることを説いた。それに対して、セイは起業家精神を重視し、起業家が市場の歪みを発見し資本の生産性の低いところから高いところへと資本を移動させることによって経済が成長することを発見した。

アダム・スミスの考えにおいては市場における価格というものが資源の最適な配分を助け好ましい状態へと導いていく。スミスが言うところの「見えざる手」である。それに対して、セイは変化を起こし資源配分を変えるのは人間であり、その機能を起業家精神と呼んだ。

セイの考えもアダム・スミスの考えを受け継いでおり、資源の分配の改善がより優れた経済状態をもたらすとしている。しかし、アダム・スミスは市場というものの機能が価格メカニズムによってそのような状態を作り出すということを重視したのに対して、セイは人間が主導的な役割を担うことによってより優れた状態へと進み、さらには企業家精神が経済成長をもたらすという考えを唱えた。そのため、アダム・スミスはある意味今ある資源内での最適化(これは近代経済学の理論構築の中心になったものである)を考えたのに対して、セイは経済学今の状態からさらに外側へと成長していく過程を考えたといえるかも知れない。

押していただけると、励みになります。