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福祉マネジメント&デザイン

SocialWelfare Management&Design
〜福祉サービスに経営と創造を〜

使いこなすか?使われるか?「介護テック」が目の前まできています

2017年10月15日 | 経営戦略
Twitterと連携し始めたことで、より多くの方と結びつき、様々な意見交換や考え方を知る機会を持つことができました。
いわゆるSNSが広まったことで、人との繋がり方やコミュニケーションの取り方も大きく変わりましたね。

さて、来年度の報酬改定に向けた議論が深まっていく中、9月末に国際福祉機器展(HCR)が開催されました。
足を運ばれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
前職では福祉住環境コーディネーターや福祉用具相談員の資格を生かした仕事をしていたこともあり、毎年最新の福祉用具のリサーチに出かけていました。
残念ながら今年は先約があり、行くことが出来ませんでしたが、行った同僚からは「「IoTやロボットなどのデジタル化が進んでいる」「ハイテクになった」などの感想を口にしていたのが印象的でした。

ちょうど昨日のつぶやきでも取り上げた、"D Free"という排泄予知ウェアラブルをご存知でしょうか。
超音波で膀胱にたまる尿量を検知し、排泄介助を促すというもの。
開発者の中西さんという方は、自身が排泄が間に合わなかったというつらい体験を踏まえ、「自宅を出る前にわかっていれば、漏らすことはなかった。」という気持ちから現在のプロジェクトをスタートさせました。
賛否両論あると思いますが、私は介護職員の業務量を軽減するためには革新的なディバイスだと思います。
ただし、つぶやいた通り、利用者の意思表示や尊厳を軽視するような対応を生じさせてしまうことについて、如何なものかと思います。

"表現力や語彙力を高めて、気持ちや意見を言葉で表現しよう"で取り上げた通り、SNSやLineによって表現が簡便になった一方で、直接的コミュニケーションの機会が少なくなり、表現力や語彙力が低下していると論じました。
誤解がないように言えば、基礎がきちんと出来ており、効率化を図るためにはSNSやLineを活用することは賛成です。
しかし、算数の基本的な考え方が出来ていないのに、いきなり電卓を使わせて学ばせても、電卓の使い方を知っているだけで、算数の原理原則や規則性を知ることには繋がりません。
基本的なコミュニケーションが出来ないのに、SNSやLineを使うことは非常に危険なのです。

"D Free"の話に戻すと、利用者主体のケアができ、コミュニケーション能力の基礎がきちんとしていれば、"D Free"を用いて、排泄誘導や業務を見立てることにつながるでしょう。
しかし、利用者の「トイレに行きたい」と訴えに対して、「(まだ尿量が50%なんだから今連れて行くよりも、もう少し後の方が二度手間にならないからいいか)さっき行ったじゃないですか。もう少し後にしましょう。」と職員が返答するようなことはあってはならないと、私は思います(人は給油メーターを取り付けた"車(モノ)"ではないのです)。
今まで排泄表などを用いて個別に排泄リズムを把握していた取り組みが、排泄予知というディバイスを用いて可視化されました。
「トイレに行きたい」という訴えをきちんと受け止めたうえで、個別ケアに生かして欲しいと思います。

また、株式会社シーディーアイはAIによるケアプラン作成支援にセントケアHDなどと連携し、取り組んでいます。
ケアマネジャーの業務を代替することが目的ではなく、属人的なケアプラン作成の効率化や標準化、相談業務やケアマネジメントの重点化を目指しています。

私としては、これらの社会福祉に関するケースデータを用いて、福祉サービスを必要としない状況作り(高齢者介護、子どもの虐待・貧困など)に生かせないものか、という考えを持っています。
持続可能な社会保障制度とするためには、社会保障いわば福祉サービスを必要とするケースそのものを削減して行く視点が必要だと考えています。
現在は福祉サービスを利用している方(既存)を対象とした施策が中心ですが、入り口に目を向けた施策も遅かれ早かれ必要になるでしょう(人口現象社会に入れば、社会保障費そのものが縮小するからです)。

現場では、質の高い介護を提供しようと思う反面、職員配置や定着率が高くなり、結果的に経営状況が厳しくなります。
しかし、"D Free"やAIを用いたケアプランをはじめとするIoTディバイスやデジタル化、「介護(ケア)テック(介護×テクノロジー)」を推し進めることにより、長期的にみて業務の効率化や生産性の向上を図り、経営状況を維持させていかなければなりません。

しかし、直接利用者に触れる介護や福祉サービスが全てロボットに置き換わることはない、と考えられています。
なぜならば、介護や福祉サービスという"行為"そのものがデジタル化できないものだからです。
暗記系(データベースで代用できる)、反復系(プログラムで代用できる)などの業務はAIやロボットに置き替わられることが予測されています。
昔、パイプを滑り落ちると食事、排泄、入浴(いわゆる3大介護)が全てロボットが全自動でやってくれるといったモノがアニメでありましたが、現実ではそうならないのです。

福祉現場で働く皆さまの仕事はこれからも永続的に残る仕事だからこそ、経営理念や職員一人ひとりの福祉観を大事にしながら、業務負荷を軽減するにはどうすれば良いか、効率化を図るためにはどうすれば良いか、「向上力(=もっと高次化したい・良くなったらいいなと思う問題意識と実行力)」を持って客観的に仕事内容・量の棚卸が必要です。
その解決手法の一つとして「介護テック」という視点を持ち、来たる将来、自身が順応できる準備をしておく必要があります。
「介護テック」を使いこなせるか、「介護テック」に使われるかはあなた次第です。

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