goo blog サービス終了のお知らせ 

福祉マネジメント&デザイン

SocialWelfare Management&Design
〜福祉サービスに経営と創造を〜

貴法人で働く動機付けは「達成」「承認」「仕事そのもの」

2017年03月29日 | 人財育成
人事制度の構築・見直しをする際に、現状分析としてアンケートや職員へのヒアリングを行うと、必ずといって良いほど、組織に対する不満の声が挙がります。
その多くは給与に関する内容と頑張っているのに評価されないに大分することができるほどです。



ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、今回はハーズバーグの「衛生・動機付け要因」をご紹介します。
衛生要因とは、不足すると不満が高まるが、充足してもそれ以上にはならない要素を指します。
図では、「会社の方針と管理(理念やビジョンのズレ)」「給与」「監督者との関係、同僚との関係性(人間関係)」が多くを占めており、離職者に多い理由と近い傾向があります。
給与の不満が多く挙がりますが、給与を高くしても、いつの間にか当たり前になってしまい、仕事を頑張るというやる気(モチベーション)には繋がりません。

一方、動機付け要因とは、不足しても不満にならず、充足するとやる気(モチベーション)アップにつながる要素を指します。
図では、「達成」「承認」「仕事そのもの」といったやりがい、「昇進」「成長」といった育成の要素が多くを占めています。

前回までキャリアパスや処遇改善加算について取り上げてきましたが、この衛生・動機付け要因の両要素を含んでおり、だからこそインセンティブとして活用してください、とお伝えしました。

また、冒頭取り上げたように、「給与」と「評価」についての不満が多いと書きましたが、これも衛生・動機付け要因の両要素を含んでいます。
特に「評価」とは、イコール「承認(認める、褒める)」といったことを指しますから、日頃から職員に対して「承認」していなければ、「頑張っているのに評価されず、給与も低い→(だから)退職する」といった負の方程式が成り立ってしまいます。
「頑張っているから評価された→(でも)給与が低くてもやりがいがある」と思ってもらえれば、法人・施設を選んで働きがいを感じながら仕事をしてもらうことが出来ます。

職員が給与が低いと感じる要因として、業務量・負荷との見合いから、不満を引き起こします(モラルサーベイの傾向より)。
大変な利用者を受け入れたからといって、その方の利用料が倍になるわけではないので、結果的に「大変」という気持ちしか残りません。
しかし、施設長やリーダー層から、「大変だったけど、よく対応してくれたね。ご家族も喜んでいたよ、ありがとう。君がいてくれたおかげだよ。明日はゆっくり休んで、また頼むな」なんて言ってもらえれば、一つ階段を登った気持ちになりますし、自身の帰属意識も高まるというものです。

皆さんは日頃から職員にこのような言葉かけをされていますか?
職員の動機付けを促すためにも、「達成」「承認(認める、褒める)」を行いながら、「仕事そのもの」にやりがいを感じられるよう職員と向き合っていきましょう。

管理人

柔軟な組織づくりのためには確認する・見直しすることの習慣化が必要

2017年03月26日 | 経営戦略
4月から介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅲが追加されるのをきっかけに、改めてキャリアパスや考課制度を見直したいとご相談いただく法人様が増えています。

特に「キャリアパスと実際の職員像がかけ離れている」「人事考課の自己評価をしても、皆オールB評価をつけてくる(人事考課が育成の目的を果たしていない)」といった、過去の記事でも取り上げ内容の状態に陥っています。

介護保険制度が始まった2000年から17年が過ぎ、時代も変わりました。
法人・事業所を取り巻く内部・外部環境も大きく変わりましたので、処遇改善交付金の際に作ったキャリアパスでは、今の時代にはマッチしなくて当然です。
だからこそ、その時代時代に合わせてメンテナンスが必要です。

人間で言えば健康診断、車で言えば車検と行ったところでしょうか?
PDCAサイクルでいう「C(Check:確認)」です。
キャリアパスや人事考課制度だけでなく、「月次会議を価値ある情報を共有し、経営判断する場へ(OODAループ)」の中では、事業計画書の進捗確認を取り上げました。

マニュアルや手順書も業務の標準化を図るためには重要なツールですが、作りっぱなしで、見直しされず使用していませんか?

ケアマネジメントでも、ケアプランの作成し(Plan)、半年または一年間という期間を区切ってアセスメント・モニタリングを行い(Check)、プランの見直し(Action)を行います。
このプロセスも、ケアプランを作りっぱなしにするのではなく、利用者の状態などを踏まえ、プランの内容をより良いものにしていると思います。

このように、「〜ぱなし」にするのではなく、随時または定期的に確認する・見直すことにより、最適化することが、柔軟な組織づくりには必要です。
裏を返すと、このように何事も確認する・見直しすることが習慣化している職員がいる組織は、その時流に乗ることができ、結果として「柔軟な組織」となっていきます。
「現場は人材不足で確認したり、見直しするどころではない」という声は上がってきそうですが、「〜ぱなし」にしたままのリスクがどの程度かをきちんと見極めた上で、優先順位をつけて、計画的に取り組んでいきましょう。

管理人

資質向上やキャリア形成のインセンティブとして処遇改善加算を活用する

2017年03月18日 | 人財育成
前回の記事で取り上げた介護職員処遇改善加算について、もう少し深掘りします。

前回の記事でも、「介護職員処遇改善加算のことを諸刃の剣に例えられる方もいらっしゃいますが、私としては、うまく運用していただき、制度の目的でもある「介護職員の資質向上や雇用管理の改善」「資質向上やキャリア形成を行うことができる労働環境を整備する」「介護職員の社会的・経済的な評価が高まっていく好循環」を作り出し、職員に誇りを持って介護の仕事に向き合ってもらいたいと思っています。」と述べました。

経営層(理事長・施設長)から私どもに「では、処遇改善加算をどのように職員に還元したらよいか?」という質問を多くいただきます。
現場の事務長などは、「年度末に一時金として支給すれば、入りも出も同じでしょう」という手っ取り早い方法を示すかもしれません。

しかしそのような支給方法で、果たして介護職員の資質向上やキャリア形成を後押しするようなインセンティブ(動機付け)となるでしょうか。
職員一律に同額を支給されれば、真面目に法人・施設、利用者のために毎日頑張っている職員からすれば、面白くはないでしょう。
「正直者がバカをみるような社会にしてはいけない」という中学校時代の恩師の口癖が印象的に残っています。
まさに人事・給与制度は「正直者がバカをみる」ような制度では運用も、職員の育成、定着もままなりません。

だからこそ、処遇改善加算分を例えば、夜勤手当に上乗せし、夜勤を頑張って入ってくれる職員に還元する、また介護福祉士などの資格を目指すために資格手当に上乗せするなどの支給方法を勧めています(現に手当に上乗せし、余剰分をメリハリをつけて一時金として支給している法人様がいらっしゃいます)。
このような支給をする上で大事なのは、各種手当の基礎額と処遇改善加算の上乗せ分を明確に分け、職員に周知を図る必要があります。

例えば、「通常の夜勤手当は5,000円であるが、介護職員処遇改善加算が支給されている期間に限り、3,000円を上乗せして支給する。ただし、介護職員処遇改善加算がなくなった時点で、上乗せして支給する加算相当額は廃止する。」といった補足文を明示するなど、職員が誤解しないような対応が必要となります。

少し手間ですが、処遇改善加算を介護職員の資質向上やキャリア形成のインセンティブ(動機付け)に活用しなければ、「もらえて当たり前」という状態を招くことでしょう(ひいては、37,000円もらえていない、理事長・施設長が何か悪いことをしているのではないかという悪い噂が流れるかもしれません)。
きちんと処遇改善加算について職員一人ひとりが理解するとともに、組織・サービスの高次化に向けて取り組む職員への成果報酬という位置付けにすれば、おのずと頑張る職員とそうでない職員との淘汰がなされ、前者は次世代の法人・施設を担っていく人財となることでしょう(そのためには、きちんと理念の浸透や職員一人ひとりが自身の役割などをきちんと理解する(させる)アプローチが必要であることは言うまでもありません)。

参考までに、厚労省から処遇改善加算に関するQ&Aが出ましたので、合わせてご確認ください。

管理人

あまりにも多い介護職員処遇改善加算の勘違い

2017年03月13日 | 人財育成
4月から介護職員処遇改善加算が拡充され、加算Ⅰでは月額37,000円(現行よりプラス1万円)となります。
以前、「処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅲを明確にし、キャリア形成の後押しを」の記事で、新しい要件については取り上げました。

今回は、介護職員処遇改善加算の仕組みについて、改めて取り上げます。
介護職員処遇改善加算は要件を満たすと、施設に勤める職員一人当たり37,000円が自動的に振り込まれ、そのまま介護職員へ還元される加算、ではありません。
よって、新聞やニュースで「1万円増額」「37,000円」といった数字だけが一人歩きしてしまっているため、「うちの施設は37,000円支給されなかった(何か施設長は悪いことをしているのではないか?)」と不信感を抱く介護職員も多くは、頭を悩ましている施設長や経営層が少なくありません(辞められる職員もいると聞きます)。



介護職員処遇改善加算は、「サービス別の基本サービス費に各種加算減算を加えた1月あたりの総単位数にサービス別加算率を乗じた単位数を算定する」ことが謳われています。
特養であれば8.3%、デイサービスであれば5.9%を総単位数に乗じた額となります。
よって、入院者が多く、空床が埋まらず(利用率が低下し)、総単位数が減れば、自ずと施設に入る介護職員処遇改善加算相当額は減る仕組みです。
また、他の加算と大きく異なる点は、区分支給限度基準額の算定対象から除外されます、要するに利用者の自己負担が発生しないという性質を持っています(なので、介護職員の、介護職員による、介護職員のための処遇を改善する加算といえます)。



支給方法は基本給や手当、賞与など自由ですが、「安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい」と記載されています。
しかし、お客様の多くは、加算のはしごが外された時、法人・施設負担として職員一人当たり37,000円降りかかってくることを懸念し、手当の増額や年度末に一時金として支給しています。

また、毎月一定額支給している施設では、利用率が低下したため、支給額相当額を受け取られず、法人負担となっているお客様もあります。
介護職員処遇改善加算のことを諸刃の剣に例えられる方もいらっしゃいますが、私としては、うまく運用していただき、制度の目的でもある「介護職員の資質向上や雇用管理の改善」「資質向上やキャリア形成を行うことができる労働環境を整備する」「介護職員の社会的・経済的な評価が高まっていく好循環」を作り出し、職員に誇りを持って介護の仕事に向き合ってもらいたいと思っています。

そのためには、まずは職員自身が当事者意識を持って、正しく加算要件を理解することが必要です。
職員一人ひとりが自分たちの処遇をこれまで以上に改善していきたいと願うのであれば、利用率を高水準で維持させなければなりません。
介護職員の読者のために、誤解を恐れずに書かせていただくと、法人や施設だけの責任や努力だけではなく、職員による取組み成果があってこそ、初めて介護職員処遇改善加算により職員一人ひとりの処遇を改善することが出来るというものです。
例えていうならば、営業成績の悪い営業マンに高額な給与や賞与を支給しない原理と同じです(処遇改善のための原資(加算)をみんなの取組み成果として取ることは、法人や施設の永続発展のためには必須条件です)。
しかし、”戦略マップ”や”BSC(バランストスコアカード)”でも取り上げたように、「財務の視点」を達成するためには、「成長と学習の視点」から取組む必要があります。
ぜひ、職員のやる気を引き出しながら人財育成(資質向上)と収入増の両輪を回し、職員の処遇改善につなげていけるようストラテジー(戦略)を考えましょう。
また、法人・施設としても、職員が変な不安を抱かないよう、きちんと説明し、職員へ周知を図る姿勢を示すことが重要です。

詳しくは、3月9日付で厚労省から出された通知をご参照ください。

管理人