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福祉マネジメント&デザイン

SocialWelfare Management&Design
〜福祉サービスに経営と創造を〜

中長期的な視点をもとに、今やるべきことを設定する

2016年09月29日 | 経営理念
前回の記事で3年後、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”を示して、取り組みを積み上げましょうと述べました。
読者の皆さんであれば、もう”ありたい姿(あるべき姿)”が経営理念から通ずる姿であることは百も承知だと思います(しつこいほど繰り返していますから)。
しかし、その姿を目指すために、「1年目、2年目、3年目・・・と何をしていけばよいのか?」と戸惑う方もいるのではないでしょうか。

例えば、こんな事例で考えてみてはどうでしょうか。
あなたはケアマネジャーの資格取得を目指しています。
受験資格には国家資格を取得し、実務経験5年(900日以上)が必要です。
その5年間を通して、1年目にはどのような勉強を行う、2年目は・・・、3年目は・・・とイメージすることができるのではないでしょうか。

同様に、事業計画書で今年度どのようなことをしなければならないかを考えることは、3年後、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”から逆算して検討することが重要です。
1年目にはどのような状態に達していなければ2年、3年経っても、目指すべき姿にはたどり着けません。
だからこそ、それぞれの行動内容に目標を設定し、それを必達するんだという意識付けが欠かせないわけです。

いわば習熟チェックを行いながら新人職員を2年、3年かけて一人前に育て上げるのと同様、法人・施設のサービス水準や組織力を高めていくには同様の年月が必要です(制度改正や職員不足などの外・内部環境の変化により、それ以上の年月が実際には必要ですね)。

今年何をやらなければならないかを積み上げて、中長期の計画となる場合もあります。
このプロセスでは、結果として(偶然)”ありたい姿(あるべき姿)”になったという結果になればよいですが、そのほとんどが絵に描いた餅となるケースが少なくありません。
地図の例えでいえば、行き当たりばったりで毎回地図を書き直しているような状態ですから、最短距離で目的地にはたどり着けないでしょうか。

皆さんも出かける前はスマホなどで乗り換え案内アプリを使って下調べをするように、法人・施設経営においても、目的地を明確にした上で、それに必要な工程(中長期的な計画書)を立て、寄り道(単年度の事業計画書)しながら、着実に目的地へたどり着けられるよう想(行動内容に)を練って行きましょう。

管理人

法人や施設が向かうべき目的地への”地図”が事業計画書である

2016年09月28日 | 経営理念
経営理念の浸透段階の最後である”実践・実現”について述べる前に、その要である「事業計画書」について今日は取り上げます。

皆さんの社会福祉法人や株式会社にも事業計画書を毎年策定し、事業経営やサービスの質の向上に日々お取り組みのことと思います。
しかし、皆さんの法人や施設の事業計画書は以下のような状態になっていませんか?

・年度だけ更新し、毎年内容が同じ
・”事業”の計画書ではなく、”行事”の計画書になっている
・単年度の行動内容が中心で、中長期的な視点の行動内容が十分ではない
・達成目標や達成期日、担当責任者等が明確になっていない
・事業計画書を作成したことに満足してしまい、実際に運用できていない
・進捗管理が十分ではなく、達成目標や達成期日の概念があいまい
・経営層で作成しているため、職員が事業計画書を知らない

などなど。
挙げ始めるとキリがありませんが、1つでも該当する場合は、事業計画書をより戦略的なツールとして活用するための改善が必要です。
経営理念が法人や施設が目指す”目的地”であると例えるならば、事業計画書はそこへ向かうための”地図”といえます。

その地図が、世界地図のような全てを見渡せるような縮尺であれば、職員はあっちからも、こっちからも、そっちからも行けてしまう状態(行動の統一を図れない状態)を引き起こしかねません。
その一方、〇〇町△△番地□号のようなピンポイントの縮尺であれば、職員はその先どちらに進んでよいか、先を見据えて進むことができない状態(組織のビジョンや方向性の不透明さに対する不安・不満を抱く状態)となってしまいます。
また、古い地図ばかり見ていては、利用者ニーズに応えるサービス提供が遅れ、結果的に社会資源として地域社会から認められることはないでしょう(古い旅行雑誌を見ながら観光して、行きたいお店がなくなっていた時の気持ちはお分かり頂けると思います)。

そうならないためにも、事業計画書に経営理念を実現するための具体的な行動内容を落とし込むこと、また法人や施設の3年、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”を示し、それに向けて1年目、2年目、3年目・・・と取り組みを積み上げ、目的地に近づいていくことが重要となります。
そのように事業計画書を一般職員も参加しながら作成していけば、おのずと年度だけ変更したり、達成目標が欠けたり、進捗管理が不十分といった状態にはならないでしょう。

なぜならば、事業計画書はいわば法人や施設のケアプランと例えることができます。
ある利用者の抱える生活課題を多職種連携で解決できるよう取り組むための指南書(地図)がケアプランです。
定期的にカンファレンスを開いてモニタリングを行い、長期・短期目標のサービス内容をの達成状況を評価します。
”達成”であれば、新たな生活課題についてサービス内容を追加することになるでしょう。
”未達”であれば、その生活課題をクリアするために、違ったアプローチやサービス内容の見直しが必要になります。
このようなケアマネジメントサイクルは、PDCAサイクルで運用しています。
事業計画書もまたこのPDCAサイクルに沿って運用されています。
事業計画書と聞くと、馴染みのない”言葉”ということで拒否反応を起こす職員もいますが、実はすでにケアマネジメントで実践しているわけです。

法人や施設の3年後、5年後どのくらいのサービス水準を目指すか、どういった組織作りをしていきたいか、地域にはどのような存在感を示すことができるかなど、職員一人ひとりが経営理念を実現するために、社会資源の一つとして、どんな役割を果たしていく必要があるのかを考えることで(経営理念を”理解・納得”している状態が求められます)、優先順位をつけて行動内容が導き出されます。
皆さんの法人や施設の事業計画書が戦略的なツールとして使いものになる”地図”となっているか、改めて確認してみましょう。

管理人


職員の成功・失敗体験を通じて、理念の”理解・納得”を促す

2016年09月24日 | 経営理念
経営理念の「周知→浸透」と続いて、次の段階が”理解・納得”です。
経営理念を”理解し、納得している”組織の状態とはどういった状態を思い浮かべますか?
ちなみに”理解・納得”を経て、最終段階である”実践・実現”につながる重要な段階です。

”理解・納得”の段階は、前回の記事でいう「フォアグラという食べ物は知っていて、味や香りも自分の言葉で表現できる」状態と例えられるでしょう。
要するに、「経営理念を実現する実践者の一人として、成功・失敗体験を繰り返しながら、職員自身が経営理念を咀嚼して理解し、自信を持って、話せ、伝えられ、行動することが出来る状況」といえます。
経営層による経営理念に関する語り、事業計画書と日々の業務内容との連動性の意識化、そして”理解・納得”を促すためには、職員一人ひとりの「考動力(こうどうりょく)」の醸成が重要です。
「考動力」とは「考えて、自ら行動に移すことが出来る力」であり、職員一人ひとりが自立し、自律することを求めていくことになります。

最終段階の”実践・実現”を担う幹部管理職(幹部管理職だからと言って、必ずしも”実践・実現”の一翼を担っているとは言い切れませんが)、そのフォロワーとしての上級職員(リーダー職員)に求めらる組織のあるべき状態と言えます。
言い換えると、法人・施設の次世代を担う職員であり、それを具現化するための「考動力」が必要になるということです。
この段階に近づけるためには、前回の記事でお伝えしたように、日々の業務内容と経営理念の結びつきが、職員にとって意識化され、目的意識や組織の帰属意識を高めていくアプローチが重要です。

最近、現場からはこの「考動力」を持たない、また「考動力」が弱い職員が多くという声をよく耳にします。
そのような場合、職員自身に「考動力」がないのか、または「考動力」をうまく引き出せていない場合のどちらかが考えられます。

特に後者の場合では、コーチングの手法を用いた育成指導を実践してみてはいかがでしょうか。
指導する立場として、自らの意見や指導内容を伝えることをぐっとこらえ、意図的に考えさせる投げかけを職員に行ってみましょう。
職員はすでに答え(いわば意見)を持っています。
職員の持つ答えをいかに引き出し、その答えに対して、方向性があっていればその答えを尊重し、誤っていれば緩やかに答えの軌道修正を行います。

そして行動に移すわけですが、ここで重要なのがほったらかしにしないことです。
行動に移しどのような成果をあげられたか、どういうところが難しかったかなど、職員をフォローし、保育でいう「共育て」を実践してみてはいかがでしょうか。
冒頭に「成功・失敗体験を繰り返しながら〜」と書きましたが、是非ともよい形で職員が成功体験を味わえ、失敗体験を次の成功に結び付けられるよう、コーチングも参考にしながら、経営理念の”理解・納得”を進めていきましょう。

管理人

経営理念を浸透させるために、事業計画書を活用しましょう

2016年09月21日 | 経営理念
経営理念を"周知(知っている)"という状態から、さらに組織へ"浸透"させるためにはどうすればよいでしょうか?
スポンジにじわっと水分がしみ込むように、職員への経営理念の浸透を促進させるためには、経営理念がより身近な存在であると感じことが出来る状態づくりが重要だ、と私は考えます。
例えて言うならば、「フォアグラという食べ物は知ってるけど、食べたことないから分からない」と同じです。
「経営理念は知っているけど、どのような取組みがその実現に関連するのか分からない」、経験がないから実感がわかない(自信がない)という状態です。

しかし、経験がないわけではありません。
経営理念と日々の業務内容と経営理念がどのように連動(関係)しているかを職員が考える(整理する)習慣をつける(=意識化させる)ことで、「もうやっている」という実感(自信)を持たせることが出来ます。
そうすることで日々"作業"として行っていたことについても"目的"意識が芽生え、たとえ嫌々行っていたことに対しても意義や役割を見出すことにつながります。
このように、日々の"作業"や"業務"が事業計画書の行動計画(アクションプラン)にも結びついていることを職員が気づけば、経営理念のさらなる"浸透"は加速します。
なぜならば、「経営理念→事業計画書→日々の"作業”や”業務”」というロジックで成り立っており、事業計画書は経営理念を実現させるための行動計画(アクションプラン)がまとめられているからです。

現場では、計画を立てた(作った)ことに満足してしまい、事業計画書のPDCAサイクルごとに十分機能しない課題を抱えているケースが少なくありません(このテーマについては、後日、深掘りしましょう)。

そこで、この経営理念と関連付けて事業計画書の運用についても一緒に見直してはいかがでしょうか。
「なぜこの取組みが必要なのか」、「この取組みを通して経営理念をどのように実現することができるか」について考える研修や勉強会を通して、日々の"作業"や"業務"が経営理念と結びついていることを再確認することが職員にとってはわかりやすい取組みと言えます。
裏を返すと、経営理念を実現させるために、この取り組みが必要なんだというロジックが成り立つわけです。
事業計画書の活用を通して、漠然としていた経営理念が、より身近に感じられ組織の状態、"浸透"を進めていきましょう。

管理人

経営層が経営理念について語っていますか?

2016年09月13日 | 経営理念
全ては経営理念に通ずる」でもふれましたが、経営理念について”知らない”という組織の状態から、周知→浸透→理解・納得→実践・実現のプロセスを、職層ごとに段階を経て進めていくことが重要です。

では、"知らない"という状態から”周知(知っている)”という段階に進むためには、どうすればよいでしょうか。
朝礼での唱和などを例として挙げましたが、まずは経営理念について、経営層(理事長や施設長クラス)が職員に対して語っていますか?
言い換えるならば、雲の上の存在のように崇高な概念である経営理念というものを、できるだけ分かりやすい言葉に嚙み砕き、より身近な存在に思わせられるプロセスが、「経営層が語る」という取り組みです。

「経営理念とは〜」という堅苦しい、難しい伝え方をするのではなく、理事長や施設長のこれまでの職業人としての体験談の中で、振り返ってみると経営理念につながっていた、といった感じで伝えてみてください。
職員に「理事長や施設長はやっぱりスゴい!」と思わせるのが目的ではなく、「日々の業務や体験の中で、自ずと経営理念につながる取り組みをしているんだよ」、とった伝え方をすることで、新たな気づきが職員に芽生えます。
このようなメッセージの中には、経営層の法人や施設に対する思いやビジョン・方針などの今後の展望などの内容もおのずと含まれ、職員にとっては理事長や施設長との距離もぐっと縮めることにつながるでしょう。

そのためには、経営層は経営理念について自分の言葉で表現できる(伝えられる)よう、日々考え、メッセージを発信していくことが役割として求められます。
”知らない”状態から”周知(知っている)”という段階に進むためには、経営層はの経営理念に対する向き合い方を振り返ってもよいのではないでしょうか。

管理人

全ては経営理念に通ずる

2016年09月09日 | 経営理念
社会福祉法人のクライアントのご支援をさせていただく際、初回訪問でのヒアリングで経営改善や人財育成、事業計画書策定など、さまざまな課題をクライアントの担当者(特に理事長や施設長などの経営層)が口にします。

しかし、その課題を整理していくと、結論的に、「法人の経営理念が十分に浸透していないがために生じている」ということがままあります。
第三者である我々が法人や施設の課題を聞き、客観的に整理することで、いわゆる新たな”気づき”を感じ取っていただくことにつながるわけです。

例えば、経営理念の実現のための職員の行動計画(アクションプラン)に該当するものが事業計画書であり、経営理念の実現のための人財育成の指針が人事考課制度といえます。
その2つに課題があるとすれば、まずは経営理念をどのように捉えており、事業計画書や人事考課制度にどのように反映されているかを振り返る必要があります。

そこからズレていれば、事業計画書の策定支援や人事考課制度の見直しなどのご支援をさせていただいたとしても、結果的に法人や施設が期待する結果(成果)にはつながりません

ただし、法人や施設の規模や職員の成長度、予算などもあり、いきなり全ての改善に着手することはできません。
まずは、職員一人ひとりが法人の経営理念を実現するための実践者であり、組織の一員であるという意識を持てるようなアクションを起こすことが必要です。
例えば、毎日の朝礼時に唱和をしたり、経営理念と日々の取り組みがどのように関連しているのかを研修を行うなどが挙げられますが、取り組んですぐに成果が出る”特効薬”的な取り組みはありません。
だからこそ、できるだけ早い段階でアクションを起こすことが重要です(最低でも3年はかかるでしょう)。

経営理念について”知らない”という状態から、周知→浸透→理解・納得→実践・実現のプロセスを、職層ごとに段階を経て進めていくことが重要です。
具体的な取り組み事例として、”毎朝の朝礼時の唱和”を挙げましたが、職員が経営理念を暗記してスラスラいえる状態を作ることが目的ではありません(歴史上の出来事を暗記するばかりで、その背景を理解していないことと同じ状態といえます)。

日々の業務や取り組みが経営理念とどのように結びついているかを意識しながら、職員一人ひとりが経営理念を実現するための実践者であるという自己覚知を促し、組織への帰属意識を醸成していくための共通目標としての経営理念が真に浸透した組織を作っていくことを目標に取り組んでいただきたいと思います。

管理人

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2016年09月02日 | 経営理念
閲覧いただきありがとうございます。
本日より、「福祉マネジメント&デザイン〜社会サービスに経営と創造を〜」という名前のブログを新たに開設いたしました。

このブログの読者ターゲットは、社会福祉法人や介護サービス事業所などの高齢福祉をはじめとする"社会福祉"に関わっていらっしゃる方を対象としています。
記事の内容は、社会福祉法改正などによりガバナンスの強化や経営の透明性が求められている社会福祉法人や民間の介護サービス事業所にも今後求められる「経営力(Managiment)」や新たなサービスを生み出す「創造力(Desgine)」の参考となる情報提供(何かの気づき)になればと考えています。

本業の合間をぬっての更新となるため不定期更新となりますが、皆様の施設や事業所経営のお役に立てれば幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。

管理人