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揺らぐドル基軸体制㊦ 人民元、主役交代には時間(1)…日経新聞7月1日31面より

2011年07月01日 13時33分39秒 | 日記
アジアでの利用拡大  国際通貨体制は多元化へ

・QE2で欠陥露呈、ドル発行量制御できず
・IMFは変化反映せず。SDR改革は困難
・人民元の管理変動制継続、国際化は徐々に


夏 斌(か・ひん) 中国人民銀行金融政策委員
51年生まれ。中国人民銀行研究生院修了。国務院発展研究センター金融研究所長。10年より現職を兼務

1971年に米国がドルと金の交換を停止し、戦後の国際通貨制度を規定したブレトンウッズ体制が崩壊した。それ以来、米国の相対的な国力が低下し、ドルの国際通貨体制における地位は大きく変化した。

21世紀に入り世界経済の融合が一段と進み、新興市場国の国際経済に占める地位は徐々に上かっている。こうした状況下でドルを基軸通貨とする体制は、現実に合わない面が大きくなっている。

2008年に米国で金融危機がぼっ発し、ドル基軸体制が抱える致命的な欠陥はこれまで以上に明らかになった。すなわち米国が自国の都合でドルを発行し、国際的にドルの発行量を調節するメカニズムがないという欠陥だ。

IT(情報技術)バブルが崩壊した01年以降、米国は長期にわたって誤った低金利政策を推進し、信用の拡大を通じて資産価格の上昇を促した。それによって一時的な繁栄を享受した。

新興国の側にも問題がなかったわけではない。安価な労働力でつくった商品や、資源などを輸出してきた新興国はグローバル化の恩恵にあずかり、利益をひたすら追求した。「輸出から内需主導への転換」という自身の構造調整を怠り、無意識のうちに米国の誤った政策を助けてしまった。

米国に輸出して得た資金を米国に投資してバブルを膨らませた。世界的な経済の不均衡が拡大し、最後に金融危機が起きた。

米国政府がこのような誤った政策を長期にわたって推進できたのは、ドルが国際通貨システムを主導し、世界が準備通貨の発行量を制限できないという深刻な制度上の問題に起因する。

米国は何の制約も受けず、米景気を回復させたいという自らの利益に基づいてドルを大量に発行してきた。昨年秋に打ち出した量的緩和策の第2弾(QE2)はその典型だ。ドルの無秩序な発行は必然的に世界的な商品価格の上昇や、インフレを引き起こした。

余ったお金は高い利回りを求めて米国の外にあふれ出し、中国など新興国に投機資金が流れ込んだ。20力国・地域(G20)の場で大多数の国が国際通貨システムの改革を訴えているのは当然だ。

…続く。

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