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全てを支配し「第2の毛沢東」を目指すが狭まる包囲網打破にW杯招致を謀る

2024年09月05日 19時15分31秒 | 全般
8月5日、産経新聞に、王外相とタリバン会談の深層、と題して掲載された石平氏の論文は、以下の論文が頭に入っていないと、その真相は理解できない。
定期購読のみの月刊誌である「テ―ミス」に、人権包囲網・原発事故・終身制打倒 習近平・「専横&終身」へ内外の攻勢強まる、全てを支配し「第2の毛沢東」を目指すが狭まる包囲網打破にW杯招致を謀ると題して掲載された論文である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。
P66
最新兵器で軍の近代化を誇示 
「外部勢力がいじめや抑圧を行い、中国人を奴隷扱いすることは決して許さない。もし誰かがそうしようと妄想すれば、14億の中国人民が血と肉で築いた『鋼鉄の長城』の前に血を流すことになるだろう」 
7月1日、北京の天安門広場で開催された中国共産党創設100年の祝賀式典で、国家主席の習近平はこう述べ、米欧との対決姿勢を鮮明にした。
式典では中国軍の最新鋭ステルス戦闘機「殲(J)20」15機が上空を飛行し、軍の現代化を誇示するとともに、広場を埋め尽くす約7万人の党員がマスクなしで参加することで、中国がコロナ禍からいち早く回復したことを国際社会に印象付けた。 
中国ウォッチャーが語る。
「中国では最高指導者だけが許される中山服だが、なかでも今回、習近平の中山服はグレー色だった。広場に飾られた肖像画の毛沢東国家主席と全く同じ服装で、毛沢東と自分を重ね合わせたのだ。習近平は『汚職追放』の名目で共青団や上海閥など政敵を次々と粛正し、腐敗が蔓延していた中国軍もほぼ掌握したと見られている。生涯権力を手放さなかった毛沢東と同様、来年秋の第20回党大会で共産党主席に昇格し、永久独裁政権を確立する可能性が高い」 
中国は鄧小平時代から(韜光養晦(才能を内に力を蓄える)」戦術を展開してきたが、習近平はなりふり構わず覇権を目指し、一方的な主張を威圧的に発信する「戦狼外交」を展開する。
前出の中国ウォッチャーは「習近平の父・習仲勲は副総理まで務めたが、文化大革命の最中に党から追放され、16年間も軟禁された。習近平も1969年から7年間、陝西省延安市の山奥に下放されたが、このときの経験で、共産主義政権で権力の座から落ちればいかに苛酷な仕打ちが待つかを身に染みて分かっている。習近平があらゆる権力を自分に集中させ、『第2の毛沢東』化しているのは恐れの裏返しだ」と語る。 
中国は2030年にも米国を抜き世界一の経済大国になるといわれる。だが、記念式典の習近平に笑顔はなく暗い表情が目立った。
狭まる中国包囲網と、永久政権への道のりを阻む内政課題に焦っているのだ。
鄧小平路線を支持する共青団 
ウイグル人権問題や「債務の罠」による一帯一路の破綻、急激な高齢化や若者間の格差など、多くの問題があるなかで現在、物議を醸しているのが、民間IT企業の抑え込みである。
20年11月、電子商取引大手アリババグループ傘下のアントグループの新規株式公開が突然中止され、創業者・ジャック・マー氏が一時消息不明になったことは記憶に新しい。 
アリババの「アリベイ」やテンセントの「ウィーチヤツトペイ」などの電子決済機能は、政府が進めるデジタル人民元構想と真っ向から衝突する。
さらに、電子商取引を舞台とする自由な経済活動を行うIT企業が、やがて共産党政権を脅かす存在になることを恐れた。
習近平は大きくなり過ぎた民間IT企業を解体・国営化し、人民の個人情報や購買履歴とともにプラットフォームを国家管理下に置こうとしている。
中国情勢に詳しい国際評論家は、次のように指摘する。 
「アントグループには、江沢民の孫である江志成が設立した『博裕資本』から江沢民派の資金が入っていたとの情報がある。金融当局は7月4日にも、米国で上場したばかりの配車プラットフォーム企業『滴滴出行』(DiDi)に対しても『重大な法規違反があった』として規制を強めるが、この企業も江沢民派の強い影響下にある。習近平による江沢民潰しの一環ともいえるだろう」 
当局の規制は外国企業にも及ぶ。
米EVメーカー・テスラに対して、安全保障上の理由によるテスラ車の購入規制に加え、交通量や車両の位置情報など、収集データの国外移転を制限し、データ集積拠点を中国内に設置するよう求めた。 
テスラの創業者・イーロン・マスクは王岐山副主席や李克強首相と昵懇であることで知られるが、そもそも李克強首相をはじめとする共青団は自由経済を取り入れることで経済成長を促す鄧小平の「改革開放路線」を一貫して支持してきた。
前出の国際評論家は「習近平のあらゆる企業活動を規制するやり方に共青団を中心に党内の不満が充満している。中国は不動産バブルの崩壊と国有企業の多額の債務による連鎖破綻が懸念されているが、それらが表面化すれば一気に習近平独裁打倒へ動く引き金になる可能性が高い」と指摘する。
FIFAに多額の中国マネーが 
そんななか、米CNNは6月14日、中国広東省の台山原発で燃料棒の一部が破損し、放射性物質漏れが発生したことを報じた。 
公安関係者は次のように指摘する。 
「台湾の対岸に位置する広東省の沿岸部には、人民解放軍の戦略ミサイル基地が存在し、『東風(DF)17』が配備されている。中国は甘粛省の砂漠地帯でも大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大規模地下格納庫を建設するなどミサイル戦略を急ぐが、今回の台山原発が核ミサイル開発に関わっていた可能性も出てきた」 
気になるのは、事故の3日後に核科学者で中国原子力学会の副学長である張志建・ハルビンエ業大学副学長が自殺したことだ。
原発事故で当局から厳しい隠蔽指示や責任追及をされたことも考えられる。
いずれにしても、急激な成長のなか未熟な技術で作った様々なインフラが限界を迎えており同様の事故は続くだろう。 
内外から窮地に追い込まれる習近平だが、起死回生のために狙いを定めるのが、サッカーW杯の招致だという。
来年冬の北京五輪は、自由主義陣営を中心にボイコットの動きも出てきた。
そこで、国際サッカー連盟(FIFA)との蜜月関係を利用し、W杯を招致することで、中国包囲網打破を図ろうとしているのだ。 習近平はサッカー好きで知られるが、中国は14年から欧州の強豪クラブ買収を続け、16年には中国不動産大手・大連万達集団(ワンダ)がFIFA最高位スポンサーと30年までの契約を結んだ。
また、18年のロシアW杯の中国企業によるズボンサード金額は約918億円で米国企業の約2倍だ。
IOCと同じく金満体質のFIFAを中国マネーで籠絡し、来年のカタール、26年の米国・カナダ・メキシコの3か国開催の次となる2030年の招致を狙う。 
だが、その前に習近平政権が崩壊する可能性が高い。
本誌5月号で米国の匿名の元高官による『X論文』を紹介したが、そこでは「中国共産党トップである習近平を排除せよ」が指示されていた。
党内で反習近平グループを組織するのは難しいが、暗殺は少人数で可能だ。
習近平は、トップ排除に最も手っ取り早い暗殺に怯える日々を送っているという。
また、習近平は権力が離れることを恐れ、後継者も指名していない。
習近平後の中国共産党は権力闘争の歴史を再び繰り返すことになろう。
 

2024/9/5 in Onomichi

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