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憲法9条に固執することの無意味さ…核兵器の有無が各国の政策判断に及ぼす影響の大きさ…特定国にエネルギー資源を依存する危険さ

2022年04月08日 19時26分09秒 | 全般

以下は4月8日の産経新聞に掲載された論説委員兼政治部編集委員阿比留瑠比の定期連載コラムからである。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
見出し以外の文中強調は私。
「第二の国連」検討しては
ロシアによるウクライナヘの侵略行為によって、改めて明らかになったことはいくつもある。
例えば憲法9条に固執することの無意味さであり、核兵器の有無が各国の政策判断に及ぼす影響の大きさであり、特定国にエネルギー資源を依存する危険さなどである。
そうした中でも、国際の平和と安全に主要な責任を持つはずの国連安全保障理事会が、実際は全く機能しないという現実は、日本社会に深く根付いていた国連信仰から目を覚ますいいきっかけになった。
常任理事国が虐殺 
ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、安保理でのオンライン演説でロシアの民間人虐殺を批判し、こう主張した(ウクライナの国営通信社記事などから引用)。
それを国連安保理常任理事国が行っている」「世界は国連安保理の拒否権を死をもたらす権利に変えてしまい、(中略)悪を無罰としてしまっている国と付き合わなければならなくなっている
拒否権を持つ安保理常任理事国であるロシアの暴挙に対しては、安保理は対処できない。
法的拘束力のある決議は、拒否権が行使されれば否決されてしまう。
ウイグル人の「ジェノサイド(集団殺害)」が指摘される中国もまた、常任理事国である。
ゼレンスキー氏は国連のシステム改革やロシアの排除ができないのであれば、「(国連の)自己解体しかない」と言い切った。
国連の矛盾は、そこまで顕在化しているのである。
一方、この演説を受けて松野博一宣房長官は6日の記者会見で「改めて安保理改革の必要性を痛感している。改革の実現に向け、日本として引き続きリーダーシップをとっていく」と述べた。ただ、前途は多難であるのは否定できない。
外交官の意見は 
関係者によると5日の自民党の外交部会などの合同会議では、杉山晋輔前駐米大使が国連改革について次のような趣旨のことを赤裸々に語ったという。
改革しようとしても、拒否権という既得権を持つ国がそれを手放すわけがない、これまで散々努力したができない。いくら言っていることが正しくても、日本が言って実現することは絶対にない。それより日本が中心となって他国を巻き込み、『第二の国連』をつくる方が現実的だ」 これに対し、出席していた複数の議員が「賛成だ」と声を上げ、「本音の言葉をありがとう」との謝意も寄せられた。
確かに現場を知る外交官の率直な見解が示されており、興味深い。
ロシアなどを排除した国際社会をつくっても、排除された側がその意見に耳を貸すことはないだろう。
同じ国連という枠組みにいるからこそ、意思疎通や意見交換ができる部分もある。
とはいえ、新たな国際組織の下では加盟国がより機敏に足並みをそろえて制裁を科すことは可能となる。
安倍晋三元首相も3月の産経新聞のインタビューで国連改革の難しさにこう言及していた。
「私も相当努力し、日本はその中でさまざまな案を出してきた。だが、大きな既得権と拒否権を持つ常任理事国のハードルを越えることはできなかった。そう簡単なものではない」
もちろん、米国、中国に次ぐ世界3位の分担金を払っている国連をただちに脱退しようとか、改革は無理だからあきらめようとか決めつけるつもりはない。
ただ、あらゆる選択肢を排除せず、検討することが得意な岸田文雄首相であれば「第二の国連」も考えていいのではないか。


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