文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

政治は、やさしく我慢強い東北人の訴えを聞け 田原総一朗 5/20号週刊朝日から。

2011年05月11日 09時45分52秒 | 日記
文中黒字化は芥川。

4月24日に東日本大震災の被災地を訪ねた。まず、宮城県石巻市に行った。見渡す限りがれきの山で、立っている家は全くない。大地震、それ以上に大津波の恐ろしさを思い知らされた。

…中略

先の自衛隊員に、この地域の家を失った人々は、どこに避難しているみかと問うと、高台にある中学校だと教えてくれた。200人ほどの人が、中学校の体育館で避難生活を送っているという。
 
津波に襲われて44日もたっている。それでもまだ体育館暮らしというのでは、不満も怒りも絶頂に達しているのではないだろうか。
 
私は、体育館に入っても、避難している人々に不快な思いを抱かれ、話を聞くことを拒否されるのではないかと恐れていた。
 
だが、いざ接してみると、こちらが驚くほどやさしく対応してくれた。
「わざわざ遠いところをご苦労様です」とまで言われた。
 
体育館暮らしで、プライバシーは全くない。2人、3人、4人と家族で狭いスペースに座っている。横になっている人もいる。もちろん、みな家や財産の一切を失った人たちだ それにもかかわらず、私のぶしつけな質問に一つひとつ丁寧に答えてくれた。津波から危うく逃れたこと、母親が行方不明であること。この日、はじめて1食だけ弁当が配られたこと。それまでは、菓子パン、おにぎりなどがバラバラに配布されただけだったという。
 
最後に、「政府に要求したいことは」と問うと、「一刻も早く、仮設住宅でも何でもいいから、住めるところが欲しい」と、ここだけは強い口調で訴えた。そして、「仕事、働くところが欲しい」と、これはなんと遠慮気味に話していた。
 
厳しい避難生活を強いられている東北の人々の我慢強さに、逆に不安を感じた。どの避難所でも、人々は政府の人間や議員に対しても、やさしい対応をしているのではないか。そのために政府が高をくくり、救済、復旧が遅れているのではないか。
 
仮設住宅は、原稿を書いている4月26日時点で2538戸しか建っていない。家を失った人々が何十万人もいるにもかかわちず、である。
 
被災者の人々の訴えを聞くと、菅首相が「復旧ではなく、創造だ」などと言っているのが、あまりにも空々しく聞こえる。国会の論議があまりにも被災者たちからかけ離れていて、怒るというより情けなくなる。

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