文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

自由貿易の重要性は分かつていても「相手はルール無視の泥棒だ」というのが、政権の基本認識である。

2018年07月26日 14時49分28秒 | 日記

以下は今日発売された月刊誌WiLL今月号の巻頭に掲載されている長谷川幸洋氏の連載コラムからである。

本日、発売された月刊誌HANADAも含め、活字が読める日本国民は今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。

何故なら、月間5000円以上の購読料を払って朝日新聞などを購読したり、彼らの放送局の報道番組や、朝日に同調しているだけではなく幼稚でお粗末な自虐史観や明らかに朝鮮総連などの影響下にある偏向報道が酷いNHKなどを視聴しているだけでは絶対に分からない物事の真相が、それぞれ月間、たった840円の支払いで、日本と世界の態様の真相を伝える本物の論文が満載されているからである。

長谷川幸洋氏の論説は私のトランプ評と寸分違わず、事の正鵠を射ている事も読者は気づくだろう。

見出し以外の文中強調は私。

中朝両国を相手に戦うトランプ政権

北朝鮮の核とミサイル開発をめぐる米朝交渉が、暗礁に乗り上げてしまった。

七月六、七日に平壌で開かれた米国のポンペオ国務長官と金英哲朝鮮労働党副委員長の実務者協議は、非核化について具体的な時期も手法も決まらなかった。

成果といえば、双方が作業グループの設置で合意したくらいである。 ポンペオ長官は「ほとんどすべての主要な問題で進展があった」と成果を誇った。

だが、北朝鮮の朝鮮中央通信は「(米国は)CVID(完全で検証可能、不可逆的な非核化)だの、申告だの検証だのと一方的に強盗さながらの非核化要求を持ち出した。我々の非核化意思が揺さぶられかねない危険な局面に直面している」という外務省報道官談話を伝えた。

いつもの「揺さぶり作戦」だろうが、時間稼ぎは明らかだ。 

北朝鮮はなぜ、強気になったのか。 

背景には中国との関係がある。 

トランプ氏は米朝首脳会談から三日後の六月十五日、中国に対する五百億ドルの制裁関税を承認した。

会談前には中国を敵に回さないために棚上げを決めていたが、金正恩朝鮮労働党委員長から非核化の言質をとりつけると、大統領はすぐさま復活を決めた。

それだけではない。

立て続けに十八日には、二千億ドルの対中・追加制裁関税も発表した。 

ロイター通信は追加制裁について「大統領は『北朝鮮と交渉手段を確保したので、中国の影響力が対中関税を控える理由にはならない』と考えている」と報じている。

タイミングからみても、対中制裁を米朝交渉の進展と連動させたのは間違いない。 

ところが、中国は二千億ドルの制裁発表とほぼ同時に、三度目の中朝首脳会談を開いた。

習近平国家主席は「正恩氏はオレの手のひらに乗っている」とトランプ氏に見せつけた形だ。

正恩氏は中国の支援に自信を得て一転、再び強気に転じたのである。 以上を踏まえて、今後の展開を考えてみよう。 

中国と北朝鮮が連携して米国に対抗している構図は、はっきりした。正恩氏は米朝首脳会談の前も二度目の中朝首脳会談を開いた直後に、強気に転じた経緯がある。

今回も同じパターンが繰り返された。

北朝鮮の強気姿勢は、中国の支援によって裏打ちされている。

そうだとすると、まずは「トランプ政権が中国にどう対処するか」を見極める必要がある。

結論を先に言えば、トランプ氏は本気で中国との貿易戦争を戦うつもりだろう。

自由貿易の重要性は分かつていても「相手はルール無視の泥棒だ」というのが、政権の基本認識である。

それはホワイトハウスの報告書に明確に記されている。 

報告書によれば、産業スパイやサイバー攻撃などで中国が盗み出した知的財産は、年額千八百億ドルから五千四百億ドル(約二十兆円から六十兆円)に上る。

前代未聞の「国家ぐるみの泥棒」に対処するには、個別事件の摘発ではとても対処しきれず、大規模な制裁関税に訴えるしかない、という判断なのだ。 

加えて「中国と戦うには、いましかない」という戦略的判断もあるに違いない。

米国の対応が遅れれば遅れるほど、中国がハイテク技術で米国に追いつき、やがて経済覇権だけでなく、米国の安全保障をも脅かすようになるからだ。 

そんな判断を後押しするように、中国の人民元は下落している。

米国の制裁関税に加えて人民元が下落すれば、中国にはダブルで打撃になる。

輸入品価格が高騰して、国内のインフレ圧力が高まる一方、債務返済圧力も重くのしかかつてくる。

逆に、米国はドル高によって中国の報復関税を一部相殺できるので、いまならマクロ的に見て、貿易戦争は米国有利なのだ。

対中強硬路線には議会の支持もある。

「十一月中間選挙での支持狙い」という解説は本質を外している。

中国が折れてこない限り、トランプ政権は長期戦を戦う決意ではないか。 

北朝鮮はそんな米中貿易戦争の激化を横目で眺めて「オレたちは当分、強気で大丈夫」とほくそ笑んでいるはずだ。

北朝鮮の時間稼ぎと分かっていても、トランプ氏はしばらく付き合うか、それとも再び強硬姿勢に転じるのか。

私は世論動向次第で、再び軍事オプションを含む強硬論に傾く可能性はある、とみる。 

日本は慌てる必要はない。

安倍晋三首相はトランプ氏に「アメリカは日本や欧州連合、カナダなどとも通商問題で対立しているが、我々は知的財産を盗むルール無視の中国とは違う」点をしっかり説明する。

そのうえで、対北朝鮮戦略での連携を維持すべきである。


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