以下は前章の続きである。
流出はやり取りだけか
―9月30日の会見では、月刊『現代』9月号に取材資料が流出した不祥事についてのみ管理責任者の処分があり、秋山社長が報酬50パーセントを3ヵ月間自主返上するほか、吉田慎一常務取締役や横井社会部長が更迭されました。
安倍 流出した取材資料はインタビューのやりとりだけなのでしょうか。
朝日の検証記事(7月25日付)に「安倍氏宅のインターホンと同機種の場合、通常約3分間で自動的に切れ、会話を続けるには再度押す必要がある仕組み」とあり、月刊『現代』にもインターホンが「3分で自動的に切れる仕組みになっていた」との記述があります。
朝日はインターホンの種類、製造メーカーまで調べたようですが、私の自宅のインターホンはドアロック解除のシステムと一体になっているのです。
つまり、もし、インターホンの機種名も外部に流出したとなれば、自宅のセキュリティーにもかかわる重大な問題です。
防衛策として、自宅はドアロックのシステムを変えなくてはいけないと考えています。
そんな個人情報の流出まで引き起こした恐れのある不始末をしでかしながら「実行犯は分からない」といってお茶を濁しています。
例えば、A社が欠陥商品を作って、その欠陥が原因の事故で亡くなった方がいたとする。A社がその欠陥の原因を究明した結果、「どの工程に問題があったのか、誰が関わっていたのかも分からない」などと記者会見したら、朝日は鬼の首を取ったように批判するでしょう。
この事実ひとつとってみても、いかに朝日が身内に甘いか分かります。
今回の一件で朝日は、このような企業の不祥事などのケースを批判する資格を失ったと言ってもいい。
内部の極めて重要な情報が安易に外部へ流出し、そのルートが解明されないということは大変な危険をはらんでいます。
この程度の個人情報管理ですから、一般の購読者の口座番号や住所、電話番号なども含む個人情報が流出する可能性だって当然あるでしょう。
私の多くの友人も、それを危惧してか、朝日新聞の購読を中止しました。
―毎日新聞の社説(10月1日付)でも「社内の流出元を突き止められなというのは、まず取材のプロとして失格ではなかろうか。しかも、この流出はジャーナリズムの自殺行為にも等しい深刻な問題なのである」と断じていますね。
朝日新聞は、一連の不祥事について「これらの問題は一つひとつ性格も原因も違う。しかし、こうも続いて起こると、何か構造的な問題があるのではないかと感じざるをえない」(8月31日付社説)と、まるで他人事のように論じています。
安倍 築地の警察署にでも届け出て、捜査してもらった方がいいんじゃないでしょうか(笑)。
―犯人を突きとめた警察官を記者にスカウトするといいかもしれません(笑)。
安倍 それにしても、朝日の構造的な問題、特異な体質を考えるとき、「番組改変報道」問題については、「女性国際戦犯法廷」と朝日新聞社の関係をもう一度確認しなければなりません。
そうみると、当事者と、それを報道する「報道機関」という中立的な関係ではなく、事実上、一体化し、寄り添っている関係であったのではないか。
同法廷の主催者の一人、故松井やより氏は朝日の元編集委員、それを報じたのが松井氏にあこがれて入社してきた本田雅和記者。
2人は示し合わせて……、こういう構図が浮かび上がってくるのです。
*安倍氏の推測が全く正しかった事は歴然たる事実なのである*
この稿続く。