文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

20条の立法意図だ。そこには明らかに差別と苛めの勧めがある。何と異様な。 

2021年03月13日 17時36分52秒 | 全般
以下は発売中の週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
差別する憲法
明の初代皇帝、朱元璋はあれで国防にも心砕いた。 
周辺で最強国は日本だった。
だから最新兵器の青銅砲の充実を図る一方でその製造方法が日本人に洩れないよう注意せよと朱元璋自身が文書で命じている。 
ただ肝心の火薬に問題があった。原料の木炭と硝石はあっても火山のない支那には硫黄がなかった。 
日本には沢山ある。交易も一案だが、そうしたら日本人は何でそんなに硫黄を欲しがるか、きっと疑う。 
で、朱元璋は琉球に目を付けた。沖縄の北に火山島があり、硫黄を無尽蔵に産み出していた。 
皇帝は36人だかの華人を琉球に送って硫黄を朝貢品にする手伝いをさせ、見返りに莫大なカネと宝物を琉球の王に贈った。 
王は大喜びして華人どもを大事に遇した。これが「久米三十六姓」だ。 
王朝が絶えると、華人どもが権勢を振るい出し、沖縄の政財界を牛耳った。
元知事の仲井真弘多もその末裔の一人になる。 
彼らにへつらう沖縄人も出てくる。当時、那覇市長だった翁長雄志もその一人だった。 
彼は末裔たちが祖先を祀る「至聖廟」の用地に松山公園の敷地を提供した。
年間600万円の地代はもちろん免除だ。
市民は怒った。何で華人の廟に市が援助するのか。
それって「いかなる宗教にもカネを出すな」という憲法20条に違反していないかと訴え出た。 
先日の最高裁は訴え通り違憲判断を下した。 
当り前の結論に見えるが、実は宗教関係者にはこれが激震として伝わった。 
誰も口にしないけれど日本の憲法はマッカーサーが作ったのを知っている。 
その20条の「いかなる宗教」もマッカーサーの意向で神道だけを指し、他の宗教は対象にしないことをみんな知っている。 
実際、マッカーサー自身がキリスト教普及のために日本政府のカネで1500人の宣教師を呼んでいる。 
国際基督教大学の用地も政府に都合させた。 
長崎市は伴天連処刑場を市営公園にして26聖人像も飾った。 
日蓮を拝む外務次官(当時)は池田大作のアジア歴訪のとき、日本大使館を通じて各国に国賓待遇させるよう命じた。
その費用は国費で負担した。 
どれも「特定の宗教に国や自治体が便宜を図った」例だが、憲法20条は「神道滅却条項」だ。
その他の宗教はだれも訴えもしないで済んでいる。 
判事も思いは同じ。法廷でそう語ってもいる。 
昭和51年の箕面忠魂碑訴訟はそのいい例だ。 
戦死した箕面市民300柱を祀る忠魂碑を市が公金で別の場所に移転し、慰霊祭にも付き合った。
それは違憲だと市内のキリスト教徒らが訴えた事案だ。 
一審の大阪地裁では、自身クリスチャンの判事、古崎慶長が「忠魂碑は天皇に忠義を尽くして死ぬことを賛美する軍国主義の道具」と敵意ある論評を披瀝。 
「日本人は宗教に極めて無節操」とも非難したうえで「新憲法の言う政教分離を根付かせるには(神道には邪険にあたる態度を)貫き通さねばならない」と理由を述べ
て違憲と断じた。さらに関与した市長に超高額の懲罰的罰金を科す判決を下した。 
キリスト教徒らしい狭量で残忍な主文だった。 
その「神道だけ叩け」は今日まで変わらなかったが、最高裁判決は「いかなる宗教」に例外は一切ないと言い放ったわけだ。 
坊主たちにはショックだ。 
政府にローマ法王を招聘させ献金でぼろ儲けしたカトリック団体はもう二匹目の泥鰌(どじょう)は望めないということだから。 
今回の判断のために最高裁は大法廷を開いた。
15人のうち14人が「神道だけを苛めろ」とした従来解釈を変えたが、もう一歩踏み込んで欲しかった。 
20条の立法意図だ。そこには明らかに差別と苛めの勧めがある。何と異様な。 
それは前文の国家の自立放棄にも象徴天皇条項にもはっきり窺える。 
あの憲法は悪意の塊。
やめちまうのも一興と一人くらい傍論して欲しかった。

 

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