文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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ソ連と内通するピユリツァー賞を獲得したニューヨーク・タイムズ紙の大物記者(やはり実在の人物)にデマだと書きたてられ

2021年03月01日 21時54分10秒 | 全般
以下は先日の産経新聞に、迫り来る「リベラル全体主義」、と題して掲載された阿比留瑠比の論文からである。
本論文も彼が現役最高の記者の一人である事を証明している。
映画好きで知られる自民党議員に「これ面白かったよ」と薦められ、『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』をDVDで見た。
世界恐慌下の1933年、景気は絶好調とされたソ連(現ロシア)に赴き、当局の監視をかいくぐって隠されていた現実を目撃した実在の英国人記者、ガレス・ジョーンズの物語である。 
何でも育つ肥沃な大地であるはずのウクライナに潜入したジョーンズはソ連の統制下で誰もが飢え、家族の遺骸まで食べる姿に衝撃を受ける。
収穫された穀物などはほとんどがモスクワヘ送られ、ウクライナ人の口には届かない。 
帰国後、ソ連の恫喝をはねのけて実情を訴えるが、ソ連と内通するピユリツァー賞を獲得したニューヨーク・タイムズ紙の大物記者(やはり実在の人物)にデマだと書きたてられ、当初は相手にされない。
ジョーンズが外交顧問を務めていたロイド・ジョージ元首相もソ連の要請を受け、ジョ‐ンズの話を握りつぶそうとするー。
平等主義という搾取 
人民を飢餓状態に置く北朝鮮、ウイグル人ら少数民族の「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に関与しているといわれる中国、外国勢力の代弁者のような左派新聞社…と現在の内外情勢との類似が頭に浮かんだ。 
中でも、共産主義社会の実態がそこまでひどいと知らない知人が、スターリンに同情的なことを述べるシーンが印象的だった。
ジヨーンズは強く反論する。 
「平等主義というのは、搾取と同じ構造で、しかもよりタチが悪い」 
この場面を見つつ、改めて「ある種の平等主義は、全体主義者に利用される」「全体主義者らは現在は、『リベラル』を自称しているのだろう」と感じた。 
本紙では、桑原聡記者も19日付の朝刊コラム『モンテーニュとの対話』で、森喜朗元首相が男女平等に反する発言をしたと糾弾されて東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を追われた件を例に取り上げ、「平等という名の全体主義」と題して書いている。  
「平等を過度に追求すれば、その先にあるのは共産主義だろう」
正義を隠れ蓑に 
筆者も同感であり、その危険性が日本社会で高まっていはしないかと恐れている。
全体主義、共産主義が「リベラル」というソフトな装いで忍び寄り、逆らい難い「ボリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」を掲げて、保身と勢
力拡大を目指しているようにも思える。 
映画を紹介してくれた議員はこんな話もしていた。  
「以前は左翼だと名乗っていた連中が、冷戦終結以降は左翼が恥ずかしい言葉になっだので自分はリベラルだと言い出し、リベラルに逃げ込んでいる」 もちろん、「リベラル」の本来の意味は「自由を重んじること」や「自由主義的なさま」のことだが、わが国の「和式リベラル」はむしろ正反対である。 
多様性を訴えながら自分たちが気にくわない言論は弾圧し、封じ込めて社会を一色に染めようとする。
反論しにくい「平等」「差別は許されない」といった言葉を多用し、異論がある人も沈黙させる。
重んじるのは自身と仲間の権利と自由ばかりで、他者の人権や不目由には関心を持たない。 
密告を奨励し、伝統や家族関係を壊し、邪魔な相手は集団でつるし上げ、国民意識を画一化する。
そんな正義を隠れ蓑にした「和式リベラル」が支配する社会はどこに行きつくか。
かつて左翼があこがれたソ連や北朝鮮、中国のような全休主義国ではないか。
(論説委員兼政治部編集委員)




 

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