先日、杉山大志氏の論文が産経新聞に掲載された時、私が本当に驚いた事は既述の通り。
以下は発売中の月刊誌WiLLに、日本の危機を招く、脱炭素の罠―背後の中国、と題して掲載されている櫻井よしこさんと杉山大志キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の対談特集からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。
そもそも日本国民は朝日等を購読しNHKを視聴している暇に、これらの月刊誌、WiLL,Hanada,正論を購読しなければ物事の真相は何も分からないのである。それぞれが約950円。
有数の読書家である友人の口癖は「本ほど安いものはない」だが、これらの月刊誌は、毎月、その事を完璧に実証している。
1回のランチ代で、日本と世界の実態や真相を完璧に知る事が出来るなんて奇跡に等しい事である。
世界には私が出来る限り知らしめる。
「温暖化対策に協力」の見返りに「人権や安全保障で口を出さない」でいいか
オバマ政権の大失敗
「温暖化対策に協力」の見返りに「人権や安全保障で口を出さない」でいいか
オバマ政権の大失敗
櫻井
バイデン大統領は就任初日、トランプ政権下で米国が離脱した「パリ協定」に復帰する大統領令に署名しました。
バイデン政権は環境政策に力を入れると明言していますが、中国が温暖化対策に協力するというカードを利用して、米国に人権問題や安全保障で譲歩を引き出すのではないかと懸念しています。
杉山
悪しき前例をつくったのはオバマ政権ですね。
オバマ氏は任期終盤、人類の歴史に残る「レガシー」を残そうとして、温暖化問題に目をつけました。
国際合意をとりつけるためには、米国と中国が参加しなかった京都議定書を超えるものをつくる必要がある。
オバマ政権は中国と交渉を行い、2015年6月にCO2削減の数値目標を設定。
これを契機に国際合意の機運が一気に高まり、同年12月にパリ協定が合意に至りました。
櫻井
オバマ政権がパリ協定に熱を入れる問、中国は2年ほどかけて南シナ海での行動を激化させました。
七つの環礁(ファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、クアテロン礁、ヒューズ礁、ガベン礁、スービ礁、ミスチーフ礁)を奪って人工島を建設し、3千メートル級の滑走路や格納庫、レーダー施設までつくってしまった。
杉山
杉山
オバマ政権が中国に強硬姿勢を見せれば、中国はパリ協定への参加を取りやめ、中国と関係の深い開発途上国もそれに同調する可能性がありました。
環境問題に手足を縛られたオバマ氏は、中国の膨張を黙って眺めているしかなかった。
レガシーを残したいというオバマ氏の“わがまま”によって、ベトナムやフィリピンが犠牲になってしまったのです。
櫻井
中国の対米戦略を分析するためには、オバマ氏が米国は「世界の警察」ではないと語った2013年9月まで遡る必要があります。
当時、シリアのアサド大統領は化学兵器を使用して、10万人を超える自国民を殺害していた。
これを受け、オバマ政権は「レッドライン」、つまり越えてはならない一線を越えたと宣言した。
にもかかわらず、軍事介入に踏み切りませんでした。
動かないアメリカを尻目にロシアは次々と先手を打ち、化学兵器の国際管理を提案。
アサド政権を支援するプーチン大統領は、「テロリスト撲滅」と称して反アサド勢力を攻撃します。
それが中東の混乱を深め、大量の難民を生み、欧州を追い詰め、英国のEU離脱の原因となりました。
中東におけるオバマ氏の弱腰発言が引き金となり、米国を主軸とした冷戦後の国際秩序に異変が生じたわけです。
杉山
中国が露骨に米国の足下を見るようになったのも同時期ですね。
櫻井
ええ。
オバマ氏が「世界の警察」を辞めると宣言した2ヵ月後、中国は突如、東シナ海の上空に防空識別圏(ADIZ)を設定し、圏内を飛ぶ航空機は飛行計画を中国側に提出するよう求め、従わない航空機には中国が「防御的緊急措置を講じる」と発表しました。
恫喝に等しい無法な要求にオバマ政権は屈してしまい、民間航空各社に中国の意図を尊重するよう命じた。
以降、中国は「ここまでなら米国は何も言ってこない」と見極めながら、南シナ海・東シナ海での行動を激化させていくことになります。
この稿続く