あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

HIVの遺伝子治療_VRX496

2006年11月22日 19時15分27秒 | HIV・エイズ・肝炎の最新医療情報

 こんにちは。sunburst2006です。
 今日はHIVの新しい治療として研究が進んでいる遺伝子治療の紹介をさせてもらいます。下のリンク先の記事で、VRX496を使った研究がphase I(第1相試験)の結果が良好であったというものをみつけました。

情報源:

Genetically modified HIV shows early promise as a gene therapy viral vector
http://www.aidsmap.com/en/news/
FA305B76-C5FC-49CD-AAFC-3DCBBA82B8F8.asp


Gene transfer in humans using a conditionally replicating lentiviral vector
http://www.pnas.org/cgi/content/full/103/46/17372#T1


 ただし今回も、つたない英語力の上に医学の専門知識もない私の解釈ですから、誤訳、誤読、誤解があるかもしれません。というわけで今回も注意書きをば。

注意:これから書かれている内容は、医療の専門家でもなく、英語に精通しているわけでもない筆者が、ネットで集めた海外の医療情報をもとに書いています。そのため、これから書かれている内容については、それが正しい情報かどうかを保証することができません。あなたがここに書かれていることを信用し、いかなる損害を受けても、私sunburst2006はその責任を負うことができません。間違った情報が含まれているかも知れないという前提の上でお読み下さい。 

 上の注意書きを読まれた上で、以下の記事をご覧ください。なお、専門家の方が読んで「ここがおかしい」という部分がございましたら、メールかコメントで連絡をいただければ幸いです。すぐに訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。




 遺伝子治療は本来、先天的な遺伝子の異常による病気に使われる技術です。HIVは後天的な病気ですからどうやって遺伝子治療の技術を応用するのかと思っていたのですが、その辺りのことも上記リンク先の記事に書かれていました。
 私のつたない英語力によるとですが、HIVは自身の遺伝子情報を人間のDNAに挿入する(RNAを人間のDNAに逆転写して増殖する)ため、人間ではなくHIVの遺伝子をターゲットにして遺伝子操作を行い、増殖機能を持たないHIVを作成(これをVRX496と呼んでいるようです)し、HIV患者のCD4に感染させて体内に戻すことで、そのCD4が破壊されずに生き延びるということのようです。つまり、悪さをしないように遺伝子操作されたHIVを放り込むことで、本来のHIVの免疫破壊活動を抑え込もうということです。

 これは今までのHAARTの概念とは全く違うアプローチになります。
 これまでのHAARTは、血中のウイルス量を限界まで下げ、CD4への侵入、破壊を防ぐというものでした。しかしこの遺伝子治療は、CD4を破壊しないウイルスに感染させることによってCD4を生かしてしまおうという、逆転の発想のようです。


 記事ではphase I(第1相試験)の結果が良好であったというまとめになっています。多剤薬剤耐性患者5人にこの方法を試し、そのうち4人のCD4が増える、もしくは状態を維持することができたと書かれています。

 では、これが実用化されるまでにはあとどれくらいかかるのでしょうか。

 臨床試験はphase I(第1相試験)、phase II(第2相試験)、phase III(第3相試験)という順序で行われ、phase IIIを終えたものが最終的にFDAに承認されるという順番です。大体、phase IIIで良好な結果が得られた場合、phase IIIに入ってから3年くらいで薬として承認されることが多いようです(一部、例外もあります)。
 ただ、今までの開発でも、phase I、phase IIで非常に良好な結果がでていても、phase IIIで長期使用による毒性が判明したりなどということがあって、開発はすんなりいくとは限りません。

http://www.seedmagazine.com/news/2006/11/genetically_altered_aids_retro.php

 上記アドレスの情報によると、VRX496もphase II(第2相試験)に入ったようですが、これがすんなり実用化されるかどうかはわかりません。特に、今までの治療のアプローチとは全く違う角度からの研究ですから、本当に安全な治療なのかどうかをしっかり見極める必要があります。
 
 まだまだどうなるかは分からない治療法の研究ですが、いろいろなアプローチからの研究が進んでくれるのは大歓迎です。この研究がうまく行くかは別として、これをもとに他の研究が進むこともあります。研究者の皆さんにはがんばってもらいたいですねー。


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