あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

サルベージ療法:FUZEONとPrezista

2006年11月04日 18時40分35秒 | HIV・エイズ・肝炎の最新医療情報

 こんばんは。sunburst2006です。
 今日は、私が使っているFUZEONとPrezistaが、多剤薬剤耐性のHIVをもつ人にどれくらい効果があるのかというお話をしたいと思います。かなり突っ込んだ話になりますので、興味のある方だけご覧ください。
 なお、多剤薬剤耐性のHIVをもつ人の治療を「サルベージ療法」と呼びますので、その点を付記しておきます。



 今日のお話は CCO(Clinical Care Options)のHIVサイト から得た情報になります。
 CCOって何?という人のために、用語集に簡単にまとめておきましたので、そちらの説明もご覧ください→CCOの説明

 さて、このCCOのサイト、各種の記事を見るためにはサイトに登録をしなければなりません。登録は無料で、メールアドレスや名前を入れれば見られるため、私は登録してあちこち覗いています。
 しかし、こういう登録制サイトからの情報を自分のブログに書く場合、本文の引用をしてはいけないような気がします。ただし、登録すれば無料で見られる情報であるため、内容について考察する分には大丈夫だと判断しました。そのため、今回の記事では本文の引用はせず、私のつたない英語ではこう読めたという部分だけを書かせてもらいます。そこで、いつもの前置きです。

注意:これから書かれている内容は、医療の専門家でもなく、英語に精通しているわけでもない筆者が、ネットで集めた海外の医療情報をもとに書いています。そのため、これから書かれている内容については、それが正しい情報かどうかを保証することができません。あなたがここに書かれていることを信用し、いかなる損害を受けても、私、sunburst2006はその責任を負うことができません。間違った情報が含まれているかも知れないという前提の上でお読み下さい。 

 参考にされる場合は、ご自身でCCOに登録し、原文をお読みください。よろしくお願いいたします。

原文:
Investigational Protease Inhibitor TMC114
Demonstrates Activity in Highly PI-Experienced Patients


 このページによると、これは2005年2月、ボストンで行われた「2005 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections」での発表のようです。
 Prezista(darunavir : TMC-114)がアメリカFDAの承認を受ける前に行っていた2つの治験(TMC114- C213/C202 : POWER 1/2) のデータを解析し、その効果が示されています。

 この治験に参加できる人の条件は

1.HIV-1感染者で
2.最低3つのクラス(プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤)の薬を使ったことがあり
3.現在プロテアーゼ阻害剤を含む治療をしていて
4.プロテアーゼ阻害剤に対する主要な耐性変異が1つ以上あり
5.HIVウイルス量が1000より多い

だったようです。
 こうして選ばれた人を、5種類のカテゴリー(薬の量や一日何回投与するかで4種類、コントロールグループというTMC-114を使わずに経過を見るグループが1種類)に分け、それぞれに60人程度(全部で300人程度)がエントリーしています。
 TMC-114を使ったグループの人達について、これまでの平均使用薬歴は核酸系逆転写酵素阻害剤が5種類、非核酸系逆転写酵素阻害剤が1種類、プロテアーゼ阻害剤が4種類となっています(これはかなりの耐性状況だと思われます)。

 で、この効果をそれぞれ比較検討しているわけですが、このデータで最も重要なのは「24週後にウイルス量の50未満をどれだけの人が達成できたか」という点です。前にも少しお話ししましたが、大体24週間、ウイルス量を50未満にできれば、その後もその組み合わせのHAARTを時間通りにしっかりと続けていくことで、ウイルスの耐性化や増殖を防げる確率がぐんと高くなるからです。
 そうして比較した中で最も効果が高かったのは、その時点で最良と考えられるHAARTの組み合わせに、「TMC-114 (600mg)とリトナビル(100mg)の1日2回投与」を足したグループでした。このグループでは、投与開始から24週後のウイルス量が50未満になった確率は47%(コントロールグループは9%)でした。

 このグループを、FUZEONを使った人達と使わなかった人達の内訳で見ると、24週後のウイルス量が50未満になった確率は下記のようになっています。

今までにFUZEONを使ったことがなくて、TMC-114といっしょに初めてFUZEONを使った人→67%
FUZEONを使わなかった人→37%
(注:両者とも、その時点で最適と思われる抗HIV薬を足して治療をしています)

 FUZEONを使わない人では37%しか50未満にならなかったのに、FUZEONをいっしょに使った人では67%が50未満を達成しています。この結果から、ウイルス学的には、FUZEONを使ったことのない多剤薬剤耐性患者のサルベージ療法においてPrezista(TMC-114)の効果を最大限にするためには、FUZEONを足すことが望ましいと言えるのではないでしょうか。こうした考えから、私と医師は、現在のPrezistaとFUZEONを含むHAARTに挑戦することを選んだわけです。

 ということで、硬結や痛みがひどくても、なんとかこのHAARTを続行したいと思いまーす。


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