映画と自然主義 労働者は奴隷ではない.生産者でない者は、全て泥棒と思え

自身の、先入観に囚われてはならない
社会の、既成概念に囚われてはならない
周りの言うことに、惑わされてはならない

『欲望』- BLOWUP - ミケランジェロ・アントニオーニ(1966年 111分 イタリア、イギリス)

2012年12月05日 07時02分33秒 | ミケランジェロ・アントニオーニ
『欲望』- BLOWUP - (1966年 111分 イタリア、イギリス)

監督  ミケランジェロ・アントニオーニ Michelangelo Antonioni
製作  カルロ・ポンティ
原作  ジュリオ・コルタザール
脚本  ミケランジェロ・アントニオーニ
    トニーノ・グエッラ
    エドワード・ボンド
撮影  カルロ・ディ・パルマ
音楽  ハービー・ハンコック

出演
    デヴィッド・ヘミングス
    ヴァネッサ・レッドグレーヴ
    サラ・マイルズ
    ジェーン・バーキン

馬鹿


一台の車に鈴なりになって騒ぎまくる若者の一団は、どうみても人間の屑のかたまり.
さて、主人公たるこの写真家はと言えば、たまたま公園で見かけた逢い引き中のアベックの写真を、なにがなんでも公にすると言う、肖像権と言う意識のかけらも無い人間.
骨董品店の店番のお爺さんが、この写真家の正体を一番端的に現しているみたい.
「安いものはないから無駄だ」、つまり、おまえは金にしか興味がないだろう.その通り、ゲイが歩いているから値上がりするかどうかは知らないけれど、この男、店を安く買いたたくためにやって来たのだった.
目の前で埃を吹き飛ばして、これは、モデル志願の二人連れの女の子を「汚らわしい」と言って置き去りにしたお返しなのかも.
芸術とは素直な心、写真が持つ芸術性が見えない物を写す、つまり人の心を写すものであるとすれば、ゴシップ写真で人を困難に陥らせるものではない.
また、ある一面において写真が真実を伝えるものであるならば、殺人に気が付いた時点で警察に届けるべきはずなのに、自分のスクープを優先して届けようとはしなかった.言い換えれば、真実より興味の方が、真実よりお金の方が先にある人間と言える.
写真にすべきでない事柄を写真にしようとする人間は、写真にすべき事柄を写真にすることができない、結果としてこうなったようだ.













テニスをやっているふりをする馬鹿の一団.乞われるままにボールを投げ返すこの男.
分かりやすく書けば、映画『夜』で描かれたのは、自分の書いたラブレターを覚えていなかった小説家.
この映画で描かれたのは、無いボールが見える写真家.
後から前の方へ辿れば、窓越しに他人のSEXをぼけっとして観ているこの男は馬鹿.
ロックバンドが演奏しながらギターを叩き壊して、壊れたギターを観衆が奪い合い、結局そのギターを道端に捨ててしまう.全部馬鹿げたこと.
モデルになりたい二人の女の子、結局裸になって馬鹿騒ぎ.
もう一度、骨董店のお爺さん、お客を見事に馬鹿にする.














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